Have You Heard? (PATWEEK Blog)

パット・メセニー系の音楽? ジャズ、ブラジルやファンクなどの音楽いろいろ

カテゴリ: Orchestrion公演

Player誌9月号にも、Pat MethenyのOrchestrion公演のレポートが載っています。
(esabanさんにコメントで教えていただきました。esabanさん、ありがとうございます!)

P110〜P120と11ページにも及ぶ大特集です。
打楽器類の一つ一つからペダルまで、丁寧に写真が撮影されていて、ほぼそれぞれに解説がついています。補足説明もたっぷりで、ハードウェアの説明はたいへんな情報量です。いや凄いです。

ここに、ペダル類の接続図やソフトウェアの説明もあったら完璧なんだけどな… どこかでレポートしないかな…。

今回の記事は、公演レポートと楽器解説の他に、Pat Methenyの記者会見時のやりとりの様子も見開き2ページ、システム開発者のLEMURのEric Singerのインタビューも2ページ載っています。

Orchestrionの演奏について、様々な角度から楽しめるような記事になっています。素晴らしい!

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サウンド&レコーディング・マガジン8月号に、Pat MethenyのOrchestrion公演レポートが載っています。

今回の公演は、見た目にも賑やかで楽しいあの「Orchestrion」自動演奏装置が注目されていましたが、そのハードウェアについてはもちろんのこと、装置をコントロールするソフトウェア類までしっかりレポートしているところが、さすがサウンド&レコーディング・マガジンです。

例えばこんな感じ。
(前略)メセニーはこう解説してくれた。
「(中略)ライブではMOTU Digital PerformerとABLETON Liveが中心になっている。特にLiveはノンリニアな使い方ができるので、様々なアイディアを試すことができるようになった。Liveを拡張するMax for Liveも、ギターからほかの楽器をトリガーするために使っている」
つまり、ある程度構築済みの曲のシーケンスはDigital Performer、即興性の高い曲はLiveという使い分けのようだ。しかし、…(後略)


使用機材の写真も豊富で、「Launchpad」が「Live」のコントローラーとしてパートごとのミュートに使われていた、とか、MOOGの「Taurus 3」はMIDIコントローラーとして使われていたのではないか、といったところまでわかるようになっています。

<Launchpad>
http://www.h-resolution.com/Novation/LaunchPad.html

<Taurus 3>
http://web2.moridaira.com/Moog/taurus3.htm

そして機材の種類の話だけでなく、ギターでOrchestrion装置をコントロールする際に発生する遅れや、ソレノイドのタイミングのばらつきへの対処方法など、演奏面でのPatの考え方や工夫なども知ることができます。

いや〜素晴らしい! 4ページの記事ですが、とても読み応えのあるレポートです。



※以前、このブログでラストのインプロ曲について自分で記憶をたどってメモしたのですが、今回のレポートを読んで、だいたい想像していたとおりだったかな、と思っています。
今回は、ステージを俯瞰した写真を見て「そうか、ここにLaunchpadがあったのか… この立ち位置で演奏していた時、どんなことやっていたっけかな…」などと、また記憶をたどっているところです。今回の公演のDVDが早く出ないもんかなー。

※ちなみに、記事の最後にSETLISTが載っているのですが、これはもしや…?

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前の記事からの続き… になるかな、と思います。
 前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その1)
 前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その2)
 前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その3)

前のエントリの「Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その3)」で、ほぼラスト曲の振り返りはエンディングまで辿りついたんですが、「つづく」と書いたものの、エンディングがどういうものだったのか細かいところを忘れてしまいました…(苦笑)。
ただこの曲は、lydianっぽい音は最後まで続いていたんじゃなかったかと思います。

このlydian系のサウンドは、個人的には「これぞ、Pat Metheny」というような特徴的なサウンドだと思います。昔からPatの曲のあちこちに出てきている音だと思いますので、いつかその切り口でまとめてみたいなと思っています。

ということで、ひとまずラスト曲に関しては前回で終りにしようと思います。

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今回は、ラスト曲以外にOrchestrion公演で印象に残っている「Unity Village」についてメモしておこうと思います。

今回私は東京の公演を二回観たのですが、あまりにも普通じゃない内容だったので、一日目はわからないことだらけでした。特に初日は「Orchestrion」ということでいろいろと先入観というか妄想というか(笑)、変な予想をしてしまっていたので、よけいにわからないところが多かったのかもしれません。「Unity Village」もその一つでした。

(※東京二日目の6/12(土)はこんな感じだったと思います↓
その他の日のセットリストはpatweek.comをご覧ください
http://patweek.com/modules/pico/index.php?content_id=2
◆Setlist
1. Pat Metheny Medley
-- Phase Dance / Minuano (Six Eight) / Last Train Home / James / September Fifteenth / Farmer's Trust / This Is Not America --
2. Make Peace
3. The Sound of Water
4. Unity Village
5. Expansion
6. Spirit of the Air
7. Entry Point
8. Orchestrion
(MC)
9. Soul Search
(MC)
10. Improvisation
(MC)
11. Improvisation (Broadway Blues)
12. Antonia
(MC)
13. Improvisation (w/ The Orchestrion Sequencer )

*Encore:
14. Stranger in Town
15. Sueno Con Mexico
16. Dream of the Return


今回の公演は、これは私の勝手な予想だったのですが、「Orchestrion」のコンサートということで、「機械じかけの楽器による自動演奏ばかりやるのだろうな」と思い込んでいました。
でも、いざ公演が始まってみると、まず始めはPatのアコースティックギターによるソロ演奏がメインでした。ステージ上も、何か大掛かりなセットがあるようなのですが、布がかけられていて中身がわからないようになっていました。

1曲目はナイロン弦のギターでPat Methenyメドレー、2曲目はバリトンギターによる「Make Peace」、3曲目はピカソギターによる「The Sound of Water」。ここまでMCもいっさい無しのノンストップの演奏です。

4曲目でPM-20プロトに持ち替え、指慣らし風に少し音出しをしたところで、ステージ上の小さなシンバルがカウントを刻み出します。客席からも大歓声が沸き起こります。

<おー、いよいよ「Orchestrion」が始まるんだなー>

そのカウントに合わせて、Patはしばらくボサノヴァ風にコードを弾いていきます。
そして弾きはじめたメロディは、「Unity Village」。ファーストアルバム「Bright Size Life」からの曲です。

ふとそこで気づきます。何かバッキングが聴こえているような… 「誰かがギターでコードを弾いている?」

私はこれは、東京公演の初日の段階では、てっきり自動演奏のギターがどこかにあって、それがコードを弾いているのだと思い込んでました。よく考えればこんなにうまく弾けるわけないのに!(笑) でも、何しろ今回の公演は「Orchestrion」ですから、機械の自動演奏しかないだろう、と思い込んじゃっていたわけです。ひとまず、この日は曲が終わった後もずっとそう思い込んでいました。

その後、この初日の公演が進んでいくうちに気づくのですけど、これは自分のコードバッキングを一曲分まるごとサンプリングして、その繰り返しをバックにソロを弾いていたのでした。

いや驚いた驚いた。

まさか1曲24小節分まるまるサンプリングするなんて!
しかもライブでそんなことをするなんて!

初日はリアルタイムではまったく理解できていませんでした。中盤のMCで説明を聞いて内容を理解して、二日目の公演でバッキングの特徴を聴きとって「あぁ確かにさっき弾いていたバッキングだなー」と確認して、それでやっと納得がいったというところでした。

この東京初日のステージは、自分にとってはこんな感じで次々にわからないことが出てきて大変でした。
「Orchestrion」公演は、いやホントに度肝を抜かれた公演でした。


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「Orchestrion」公演後にあらためてアルバム「Bright Size Life」の「Unity Village」を聴いてみると、バッキング側のギターが、まぁよく聴こえることよく聴こえること。これまでとまたずいぶん違った形で曲が聴こえてきて、いや〜、楽しい!

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前の記事からの続きです。
 前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その1)
 前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その2)

Patは半音上げた状態でミュート気味の音でバッキングを続けるのですが、もちろんこの時はそれまでに鳴っていた半音下のLydian系の音は全て止んでいます。

〜〜 今になって思うのは、このキーの切り替わりの瞬間にアルペジオや低音パートを弾かなかったがポイントだったのかな、と。キーの変化をわかりにくくしていたんではないかな、と思います。私は東京の公演を二回観たのですが、初日は何かキーが変わったとは思ったのですが、正直なところ半音上がっていたとは気づきませんでした。二日目は、仕掛けがあるとすればここしかないはず、と注意して聴いていたので、ここで半音上がったことに気づけたのでした。 〜〜

半音上がったキーの状態でも同様に音を重ねていきます。そこで重ねる高音のフレーズやピアノとベースによるフレーズは、前半の半音低い状態の時と似たような内容にしていたと思います。

こうして、前半から半音上がったLydian系の音の場が出来上がると、ここでPatはPM-120を背中に回し、ステージ下手でスタンドに立てられたギターシンセGRを構えます。
「Are you going with me?」風のギターシンセの音が会場を満たします。

2回転ほどギターソロが進んだところで、突然! バンドのキーが半音下がります。Patのギターソロは熱さを保ったまま、滑らかに半音下のキーの場に溶け込んでいきます。

<うぉー、なんだ? この半音ズレの気持ち良さは!>

ふと気づくと、バンドの後ろの方からは、聴き憶えのあるボトル・オルガンのゆったりとしたフレーズが聴こえています。

<そうか、前半で仕込んだ音が今、鳴り始めたんだ…>

…なるほど!! Patは、前半で楽器の音を重ねていただけではなくて、半音違いのLydianの音の場を二種類創りこんでいたようなのです。キーの半音違う8小節?(16小節かな?)のバンドを創りこんで、その二つのモードを切り替えながら、ギターソロを弾いていたのではないかと思います。(モードの切り替えは、モードが切り替わる時に体が動いていたので、たぶん足元のペダルで切り替えていたのではないかと思います)

半音違いのモードを組み合わせている曲といえば、Miles DavisのSo Whatですが、これは半音違いのdorianで行ったり来たりだったかと思います。今回の曲では同じように半音違いのLydianモードの中でギターソロを弾いていたのだと思います。
So Whatの場合は、最初のテーマから途中で半音上がって緊張感が出るのですけど、今回の曲は、最初のキーから途中で半音下がることで緊張感が生まれていたのが印象的でした。

〜〜 どうしてでしょうね… モードの場合は安定も不安定も無いと思うので、人というのは最初に聴いた音を足がかりにして、そこを安定した音に感じて、次の音がその基準と違うと感じると不安定に感じるのでしょうか。あるいは、もしかするとCだと明るくてDbだとちょっとダークな感じがする、というような、調性の問題なのかなぁ。 〜〜

こうやってキーが半音下がって盛り上がるPatの曲としてパッと思いつくのは、アルバム「Imaginary Day」に入っている「The Roots of Coincidence」でしょうか。この曲自体はいろいろなキーが入り乱れるのですが、ギターソロの最初のあたりが今回の演奏に似ていたように思います。「The Roots〜」のギターソロでは、「F#m→A」を繰り返しておいて、一瞬「Fm→Ab」と下がるところ(2:49で半音下がります)がキモだと思うのですけど、それと同じような緊張感があったように思います。

「The Roots〜」の場合はその後あっちこっちのキーに行きますが、今回のインプロ曲は、半音上がったり下がったりをひたすら繰り返していたのが、たまらなく心地良いものでした。
クラブ系の曲でも半音のキーの上り下りを繰り返すような曲がよくありますけど、こうした曲は終止の感覚がないので、もうどこまででも続けちゃいます、という雰囲気が私たちを興奮させてくれるのかと思います。今回の曲も、あの例のギターシンセの音色と相まって、このままいつまでも演奏していて欲しいなー… などと思ってしまったのでありました。
(「あの音色」といえば、この曲でも「Are you going with me?」と同じように、盛り上がってきたら途中でペダルを踏んで、ギターシンセの音をキラキラした音色(1オクターブ上)に切り替えていました。このへんもお約束って感じで良かったなぁ)

(つづく)


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前の記事からの続きです。
(前の記事:Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その1)

Lydian系の音が漂う中で打楽器類の音を重ねていったところで、Patはステージ中央に戻ってきて、また足元のペダルを踏みます。
今度はギターを操作すると、エレキベースとピアノの低音を混ぜたような音が出てきます。ただ、そのベース音でルートを強調して弾く、というのではなくて、ループさせる低音のフレーズを弾いていきます。ここでのフレーズは、私には13thの音が強調されていたように聴こえました。

ただこのベース音、ギターからの入力が難しいから? なのかどうかわかりませんが、リズムがとてもぎこちなかったように思います。でも、繰り返し聴いていると、そのうちズレが気にならなくなってくるのでした。これはものすごく不思議。何か加工していた… のでしょうか? でも生演奏らしさが無くなるから、それも考えにくいのですが…

…と、こうしてベース音も加わって、今の状況は、ここまで一つずつ重ねて来た音が分厚くホールを満たしている、という感じです。印象としては、高音の方は#11とかmaj7の音が強めにでていて、低音の方では、ルート音やmaj7や13の音が強調された形で鳴っていたように思います。コードそのものではなくて、繰り返されたフレーズの組み合わせで音の場が作られていた、というのが新鮮でした。ステージのあちこちからパラパラ、パラパラ、とLydianっぽい音が湧き出すような感じ。そしてさらにその上に、ボトル・オルガンでゆったりとしたフレーズを重ねます。後になってわかるのですが、このボトル・オルガンの音が自分には重要なポイントでした。

こうして音が塗り重ねられたところで、しばらくPM-120でソロ。

その後Patはまた立ち位置を上手側の最初の位置に戻します。そこで足元を操作すると、リズム楽器の音はそのままに、バッキングの音が鳴り止んで、気がつくとソロを取っていたギターの音だけになっている、という状態になっているのでした。

そしてソロを取っていたギターはまたバッキングに戻ります。
ここでPatは、おもむろにキーを半音上げてバッキングを続けるのでした。

(つづく)

Orchestrion公演でのラスト曲を振り返る(その3)
http://blog.livedoor.jp/patweek/archives/51683858.html

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