臓器移植についての私の考えは何度か表明している。

 ナイーブな問題だし、世の中の動きに老人が異を唱えてもはじまらないので最近はあえて何も言わないが、私の考えは変わらない。
私は臓器移植そのものに反対である。

いつだったかのニュースで海外で移植手術をした赤子の手術料として3-4億円を請求されたという。
日本では毎年3万人が自殺している。
妻や子や親を残し、どんな思いで死ぬのだろう。いやその者らがいるからこそ死なねばならなかったのだろう。

 3億円あれば、そのうちの何人が死なずにすんだか。

手術した赤子の命は、死なずにすんだかもしれない多くの命とその家族の悲しみに見合うか?
絶対に見合わない。

こんな説話がある。
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 インドの昔話にこんな話があるという。
 <旅人が空家で一夜を明かした。鬼が死骸をもって入ってきた。その後から来た鬼と
 取り合いになり、旅人にどちらのものか言えと命じた。最初の鬼のものだと言うと後
 からの鬼は怒り、旅人の手を身体から引き抜いて床に投げた。前の鬼は死骸の手を引き抜いて旅人にくっつけた。後の鬼が旅人の脚、胴、頭とすっかり引き抜き、その度
 に前の鬼が死骸の脚や胴をくっつけてくれた。旅人の身体がすっかり入れ替わってし
 まうと、二匹の鬼は仲良く死骸を半分ずつ食ってしまった。
 旅人は驚き、自分の身体はどこの誰ともわからぬ人の死骸になってしまい、生きてい
 る自分が本当の自分かどうか判らなくなった。そこで寺にとびこみ、「自分の身体は
 あるのかないのか」と聞いた。
 坊さんは言った。「人間の”われ”は仮のものだ。人は”われ”にとらわれて苦し
 む。仮のものだとわかれば苦しみはなくなる。」>
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これは臓器移植の話である。

 旅人が鬼か。医者が鬼か。ブローカーが鬼か。
 仮のものだと判れば苦しみはなくなるか?