2010年04月03日

業務経歴書3

4月になり、技術士二次試験の申し込みが始まりました。
私自身は、昨年の重願失敗に懲りたこと(特に予想外だった建設環境の筆記撃沈は対応能力の限界を感じました)、冷静に考えるとこれ以上科目を追加しても、労力に見合ったインセンティブや業務上の実効があまり期待できないこと、等により、とりあえず今年は裏方に徹するつもりです。

今日は、申し込み手続きにおける業務経歴書の書き方について、自分の思うところを書いてみたいと思います。



業務経歴書は、受験資格有無の判断資料として用いられるほか、筆記通過後の口頭試問において試験官に「質問のネタ」として使われることになります。したがって、口頭試問を踏まえ作成することが重要です。

 
1.記入する行数について
規定の様式は10行となっています。これはできることであれば全ての行数を埋めるのが望ましいと考えます。
業務経歴が4年とか7年の人であれば、単年度内にやった業務がたった一つというのは稀と思いますので、年度内をさらに区切ってやった業務を書く等して可能な限り10行埋めた方がいいと思います。また、これは役所に提出する参加表明書ではありません。実施期間と契約期間が必ず適合している必要はありません。工期後のフォローでやった内容も立派な業務経歴と認識する必要があります。
 
2.職務内容の記載方法
この欄によく業務の契約件名をそのまま書く人がいるようです。しかし前述の通りこれはプロポや総合評価における参加表明書ではありません。業務件名ではなく、より具体的にイメージできるような記述とすべきです。一例は下記の通りです。業務で創意工夫を要したテーマで脚色してあげるイメージです。
●「ワークショップ運営を行いその結果を反映させて公園の実施設計をした」のであれば、単に「公園・緑地施設の計画・設計」などと書くのではなく「公園整備に係るワークショップ運営支援及びこの結果に基づいた住民主導の公園設計」
●「ボーラスブロック積みの護岸詳細設計」をやったのであれば、「河川護岸(河川構造物)の実施(詳細)設計」ではなく、「水辺環境の維持・再生に配慮した多自然川づくりを踏まえた河川構造物設計」
 
なお、経歴の長い人は、古い経歴は申込書記載例の「○○の計画、設計」で異動や転職、担当職種変更などで適宜数年分をまとめても問題ないと思います。但しその場合でも直近4〜5年分は詳細を記入するとともに、次に述べる技術的体験論文のネタとのリンクに留意する必要があります。 
 
3.技術的体験論文とのリンク
平成19年度より体験論文筆記試験がなくなり、代わりに筆記合格後に「技術的体験論文」を提出する方式に変更になりました。
私も変更後の口頭試験(建設−都市及び地方計画)を平成20年度に受けましたが、受けた第一の感想として「技術的経験論文の出来がそのまま口頭試験の出来に直結する」とつくづく感じました。
ここで、上記で述べた「脚色した職務内容」ですが、口頭試問を踏まえると、このうち2つがそのまま筆記通過後に提出する技術的体験論文の業務名2つであることが理想です。もちろん私も平成20年度の申し込みではそうしました。
このためには、申し込み時点で既に技術的体験論文の概要を固めておく必要があります。
したがって、職務内容として記載する事項は安易に決めず、技術的体験論文のネタとして相応しいか十分検討する必要があります。早く申し込んでも何のメリットもありません。技術的体験論文のテーマが決まっていない方は技術士有資格者の見解なども踏まえ十分検討することが重要です。 
 
4.地位や在職期間について
地位については「平〜主任〜係長〜課長〜部長」と経験を積んでスキルアップしていく様子が読み取れるようなものが理想的です。但し、特に近年は若い挑戦者も多く、いわゆる「平」の立場で受験される方も多いと思います。様式には「地位・職名」とだけあります。別に会社の肩書き、あるいは役所の官職を必ず書けとは特に読み取れません。同じ「平」でも段階的に「技術員」「技師」「主担当技師」などメリハリのある名前を創作し、やった立場に応じ「技術員〜技師〜主担当技師」等とスキルアップを強調するのもありかなと考えています。但し、この場合「補佐」「助手」等という表現はやめておいた方が無難です。業務の補助や助手は技術士法でいう「高等の専門的応用能力を必要とする事項についての技術的業務」にあたらない等と判断する試験官がいるかもしれないからです。
在職期間は長ければ長いほどいいです。受験資格が7年以上なので7年分だけ書くなんてもってのほかです。すくなくとも技術系の職種に従事していた期間は、現在の専門と違うとしても全て書くことがセオリーです。 
 
5.マルチホルダーを目指す方へ
私自身もそうですが、近年2分野目、あるいは3分野目の技術士(いわゆるマルチホルダー)に挑戦する方が非常に多くなっているようです。ここで頭を悩ますのはやはり業務経歴の書き方だと思います。
受験資格は「高等の専門的応用能力を必要とする事項についての技術的業務」に7年従事していればOKですので、例えば河川関係に7年、都市計画関係に3年従事した河川の技術士が、2個目の都市計画に挑戦することは可能です。
但し、口頭試問の試験官にはこれが徹底されておらず、例えば上記のケースで口頭試問に挑み「君は都市計画分野の経験が3年しかなくて経験不足なんじゃないか」等とつっこまれ落とされるケースがあるとも聞きます。
幸いにも私は口頭試問でこのような経験はしていませんが、対策として例えば経歴偽造というかこれは反則です、倫理的にもアウトです)までは必要ないと考えています。但し、「業務の脚色」を分野ごとに変えるような以下のような手法はありかと思います。
●2個目で都市計画を受ける下水道の技術士は、「下水道の基本計画、事業認可設計」ではなく「下水道等、都市施設の事業計画策定」と書けばこれはこれで立派な都市計画的業務経歴です。
●2個目で都市計画を受ける河川の技術士であれば、「バリアフリー坂路及び親水護岸の詳細設計」ではなく「ユニバーサルデザインを踏まえた水辺プロムナードの計画・設計」とすれば十分都市計画的(公園緑地的)業務経歴です。
なお、本件については、あとは口頭試問時のフォローしかないと考えています。 
 
6.おまけ
私がH20年度に出した業務経歴書です。
経歴書



pe_sagishi at 15:26│Comments(4)技術士試験 | 受験支援

この記事へのコメント

1. Posted by saykiyo   2010年04月05日 09:32
今年〜来年で2つ目を取得しようと思っています。

僕が心配しているのは、どう経歴を書くか?なのですが、旨く脚色できればいいのですね。

あとは・・・専門的な知識だけです。
2. Posted by 詐欺士   2010年04月05日 19:37
saykiyo様 コメントありがとうございます。
saykiyo様はどの科目をお持ちで次は何を目指されるのでしょうか?

脚色については、うまくできる組み合わせと、なかなかうまくできない組み合わせがあると思います。

国土交通省が示している、縦断的分野と横断的分野というものがあります。

縦断的分野とは
「河川、砂防及び海岸・海洋部門」
「港湾及び空港部門」
「電力土木部門」
「道路部門」
「鉄道部門」
「上水道及び工業用水道部門」
「下水道部門」
「農業土木部門」
「森林土木部門」
「水産土木部門」
「廃棄物部門」
「造園部門」
「都市計画及び地方計画部門」

横断的分野とは、
「地質部門」
「土質及び基礎部門」
「鋼構造及びコンクリート部門」
「トンネル部門」
「施工計画、施工設備及び積算部門」
「建設環境部門」
「機械部門」
「電気電子部門」

※出典は以下の13頁です
www.mlit.go.jp/common/000057422.pdf

縦断的と横断的は比較的どうにでもなります(例、下水道とトンネル、河川と土質基礎、道路と鋼コン)。
また、横断的同士もよくあるパターンです(地質と土質基礎、トンネルと施工計画、地質と建設環境)。
これに対し、なかなか水と油みたいに融合させるのが難しいのが、縦断的分野同士です。
道路と河川とか、港湾と上下水道、鉄道と廃棄物等、特に難しそうですね・・・。

但し、上記の分類で「都市計画」が縦断的となっていますが、私はかなり横断的な分野であると考えています。また、河川と下水道(特に雨水)は突き詰めると同じ発想の学問分野です。
こんなことから、私はなんとか(脚色して)やってこれたんだなと思っています。

今後も宜しくお願いいたします。
3. Posted by saykiyo   2010年04月06日 15:21
現在、建設部門・土質及び基礎を取得しています。
多分自力をつけるためには1年ぐらい必要だと思いますので、これから準備し始めて、来年度に受験しようと思っています。
他分野としては、コンクリート構造物系(鉄筋又は無筋)と考えています。
無筋コンクリートではトンネルと砂防ダムを経験していますので、この3つで何を先に頑張るかと考えています。

土の上の(又は地中の)構造物ですので、土質での業務で少しかすっただけです。
ですので、経歴書の書きかたも大事ですが、自力をつけることに多大なエネルギーが必要な気がします。
4. Posted by 詐欺士   2010年04月06日 23:24
saykiyoさんの技術分野は土質基礎でしたか、なら、2つ目は近そうだと思いますよ。
既に文章作成能力等は証明されているので、2カ年計画などといわず、今年取っちゃうのをお勧めします。
ちなみに、自分の知人、同僚にも土質+トンネル、土質+河川砂防、土質+鋼コン、土質+地質の技術士がいます。

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