皆様おはようございます。ピースです。
9月になりました。
朝晩冷える感じもありますが、昼間はまだまだ蒸し暑さも感じますね。
私は鼻水が止まらなくなりましたが、皆様も体調を崩されぬようお気をつけください。

そして、昨日9/1は大正12(1923)年のこの日に起こった関東大震災にちなんで、「防災の日」でした。
常日頃からの備え、大事にしましょう!

というわけで、本題は、土木学会誌8月号特集「地下街は快適ですか-いま、都市の地下空間を考える-」からの引用によるお話の続きです。
このシリーズは、とりあえず今回で締めます。
本日の引用は、大阪地下街(株)取締役施設部長の井下泰具氏による、「都市部の大規模地下街における集中豪雨時の対策-大阪での取り組み-」から。
ホワイティうめだの概要と集中豪雨時における地下空間の浸水リスク

当社が管理運営している「ホワイティうめだ」は大阪市の都市機能の中心である梅田(大阪駅前)地区の東部に位置する地下街であり、1963年の開業以来順次拡張を続け、現在では、総面積31336m2に及んでいる。
また、地上連絡26個所、ビル接続26個所、鉄道施設との接続3個所もの連絡口がある。加えてビルや鉄道施設にはそれぞれに単独の出入り口があり、更に別の地下街とも接続していることから、一つの出入り口からの浸水は梅田地区の地下空間全体に大きな影響を及ぼす可能性を抱えている。

集中豪雨シミュレーションの実施と各出入口の浸水リスクの整理

ゲリラ豪雨を想定した浸水リスクの評価分析として、図2に示す五つのモデルの組み合わせにより、「ホワイティうめだ」への浸水シミュレーションを実施し、一定の短期間豪雨の場合に、雨が降り始めてから浸水するまでの時間を出入り口ごとに把握し、各出入り口の浸水順序を整理した。
多数の出入口を持つ地下街への浸水を防止するためには、各出入口の優先順位を明確化し、限られた人員でも効率的に止水板設置などの止水作業や避難誘導が可能なよう準備しておく必要があると考えている。

リアルタイム情報の活用

シミュレーション結果を実際に活かしていくためには、現地の降雨情報を迅速に把握することが欠かせない。
当社では、これを解決するために、リアルタイムかつピンポイントの雨量情報として、「ホワイティうめだ」の接続ビル屋上に雨量計を設置し、その計測雨量と浸水シミュレーションで把握した各出入口の浸水特性に応じて現場監視や止水作業の順序を整備することで、ゲリラ豪雨時の初動体制の強化を図っている。
たとえば、浸水シミュレーションで、1時間当たり100mm級の豪雨時に、降り始めから40分で雨水流入するとされた出入口は、実際に雨量計が10分間で15mmの降雨を計測すれば、現場監視を行い、残り30分以内で当該出入口への止水板設置(写真1)を完了することになる。
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今回のシリーズでは、都市型水害の話題を、「地下空間」の特集から取り上げているということで、「ゲリラ豪雨」というキーワードは以前のエントリでも出てきましたが、今回はこれに関して深く掘り下げた記事の引用です。

梅田というと、私もガッツリ歩いたことはありませんが、「巨大迷路」とも言われている地下街があるので有名ですね。
引用元の記事にもあるとおり、当然それだけの規模の地下街ということで、出入口も多数あるのですが、私がここで注目したのは、対策の方向性についてです。

「水は高いところから低いところに流れる」というのは、皆様ごく当たり前に知っている、自然の摂理です。
となると、「地下街という低い場所へ流れる浸水を防ぐために、どこが早く水位が上がるかを予測し、順番に止水板で防護する」というやり方はよく分かるんですよ。

ただ、一方で、こういう見方もあるんじゃないかなあと思うんです。
それは、
どうやって、水をより早く「より低い場所」へ逃がすか?
ということです。

これ、今まではあまり着目されてこなかった着眼点かもしれませんが、これだけ地下空間の利活用も物理的、金銭的ともに大規模化したことですし、BCP(Business Continuity Planning:業務継続計画、つまり重大な災害においても仕事をいかに中断させず、また中断してもその影響を最小限にするかということですね)という観点から言っても、結構重要になると思うんです。
ただし、やっぱりコンセプトとしては悪くなくとも、技術的には難しいところもあるんでしょうね…

そして、ここでは「シミュレーション」という、まさに技術的な話題が登場します。
私の会社でも、流体力学の計算を応用した河川流や浸水など、コンピュータを用いたシミュレーションモデルでの解析は利用されており、また私自身も大学院の研究室の時から(流石にプログラムを0から創る機会はほとんどありませんでしたが)そういった解析的研究が中心でした。

で、この分野での研究と実務の違いと言いますと、研究は現象の再現が中心で、「過去の現象に対して」それをいかに精度よく合わせるかということを掘り下げていくのに対して、実務は「予測」が中心、つまりそのモデルの精度が十分という前提に立ったうえで、数時間先までの雨量やら水位やら、その他引用元の本文にもある「リアルタイム情報」の配信に必要な項目の時系列データを割り出していくわけですね。
そして、この「リアルタイム性」そしてもう一つ言うと「コスト」も、実際に情報を配信するのが国交省をはじめとする「官」によるものであることが多いですが、一方で業務を受注する側としては、そこそこお金をかけて高性能な計算機を積んでいるわけですから、そういう視点が見落とされることもあるんですよね。

……という、「技術者」としてよく直面し、頭をひねるコアな問題にも触れましたが
、以上、土木学会誌8月号の特集「地下街は快適ですか-いま、都市の地下空間を考える-」から、特に地下空間と都市型水害の話題を中心にして、3エントリにわたって書いてきました。
狭い日本の国土を十二分に活用し、なおかつその安全も確保するために、決して避けることのできない課題です。


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