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「M:i:III(ミッション・ インポッシブルIII)」 に参加中!
 7月8日(土)公開のトム・クルーズ主演、「M:i:III(ミッション:インポッシブル3)」を先行上映&映画の日で観てきました。

 名作であるテレビシリーズ「スパイ大作戦」との関連を示しつつ、チームプレイよりもトム・クルーズ演じるイーサン・ハントのソロミッションに光が当たり、そしてジム・フェルプスを悪役にした映画「M:i」シリーズ第1弾「Mission:Impossible」(1996年)。
 ジョン・ウー節が炸裂(黒服で2挺拳銃ぶっ放すスローモーション&白い鳩が飛ぶ)し、もはやスパイ映画でも何でもなくなったけど大ヒットした第2弾「M:I-2」」(2000年)。

 そしてシリーズ3作目となる「M:i:III」は、アクションだけでなくのパーソナリティを描く作品としている。第一線を離れてスパイ組織(って陳腐な表現だな…)「IMF」の教官となっていたイーサンは、恋人のジュリア(ミシェル・モナハン)との婚約
パーティの途中で、自らが手塩にかけて育てた訓練生・リンジー(ケリー・ラッセル)が武器商人・オーウェン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の組織に捕まったことを知らされる。現役復帰を望まれたイーサンは、リンジー救出のために仲間とともにベルリンへと向かうのだった…。

 アクション映画のデキとしては「さすが」というか及第点はラクに越えている。上記のストーリーはほんの出だしでしかなく、その後はバチカン→アメリカ(チェサピーク・ベイ・ブリッジ※ワシントンDCとメリーランド州を結ぶ橋。橋とトンネルで構成され全長は約36キロ)→IMF本部→上海と世界中を飛び回る。アクションもド派手な銃撃戦は当たり前、風力発電所を舞台にした深夜のヘリ・チェイス、無人戦闘機からのミサイル攻撃、そしてイーサンお得意のワイヤーロープを伝っての高所からの急降下、高スピードで走り抜ける車を避けての道路横断、など見どころ満載。これらのアクションをトム・クルーズが「体当たり演技」しているので、非常にカッコイイ。当然CGとの組み合わせもある筈(爆発シーンのエフェクト追加とか)だが、変なスローやらカメラワークなどを使わず、ライブ感のある「目線」に近い素直(=正統派)な映像で捉えているので緊迫感が伝わってくる。

 アクションのレベルは前2作を越えているし、前2作にも登場している黒人エージェント・ルーサー(ヴィング・レイムス)、若きイーサンを髣髴とさせる若きエージェントのデクラン(ジョナサン・リス=マイヤーズ)、アジア系の美人エージェント・ゼーン(マギー・Q)、というイーサンと共に活躍する3名のIMFメンバーは、そのキャラクタが丁寧に描かれている点も好感。初ミッションとなるベルリン、そして「いかにもIMFらしい」バチカンでのミッションでは、個々の活躍と連携プレイもスピーディながら細かく描かれている。上海での高層ビルを舞台にした「奇想天外」なアクションやそれに続くカースタントでも、「チームとしての見せ場」が用意されている。またイーサンとルーサーの友人関係が(まあ)描かれている点もポイント。本シリーズで同一人物が引き続いて登場するのはイーサンとルーサーだけだったため、実は「シリーズ物」的な要素が少なかったので、この辺のフォローはシリーズのファンとしては嬉しい。

 そして本作の魅力は何と言っても武器商人・オーウェンの非情ぶり。感情を持つのにそれをめったに露にせず、イーサンに捕まって殺されかけても淡々としている、といった姿はまさにプロの犯罪者。そしてイーサンを捕らえて反撃する場面では、「オーウェン自身の感情をコントロールして表現することでイーサンを精神的に追い詰める」という素晴らしい悪党っぷりを見せてくれる。「知的とバイオレンス」が両立したナイスなキャラクタ(と演技)だ。

 一方のイーサンと恋人・ジュリアの関係は、「この手の話ではオーソドックス」な展開。仕事を秘密にするイーサンと、何か隠していることを知りつつ、それを聞くことができないジュリアが、お互いを愛し・信じつつも不安を拭いきれない、という展開。まあ中盤以降ではジュリアが話の重要なポイントになるので「こんな恋愛話は不要」とは言えないが、イマイチ2人の愛情の深さが伝わってこないのが難点。まあ映画全体が2時間ちょっと、と近年の作品にしてはコンパクトにまとまっている(この点は評価。無駄な展開を排除してスピーディな作品になっている)のでしょうがないが、2分〜3分ぐらいで出会いから婚約に至るまでの展開を回想シーンやフラッシュで挿入すれば、もうちょっと感情移入ができた気がする。


 いろいろと書いたものの、気楽に楽しめるアクション映画としては満足できる。デートムービや友達同士で観るのがイチバンだろう。トム・クルーズ自身もインタビューで「映画館に行って腰をおろして、どこかよそへ行った気分になり、興奮できる。観客にそんな体験をして欲しい」「自分がスタントを演じることで、思わず椅子から腰を浮かせるようなアクション・シーンで観客を楽しませたい」と言っている。単体の「アクション・エンターテイメント」としては十二分の作品だ。

 でも、劇場を後にする時、この興奮が維持できずにいたことも事実。この辺は続きのネタバレで。
俺にとって「M:i:III」最大のマイナス要因は、視覚的にラストの展開が「こじんまり」してしまった点。誘拐されたジュリアを救うため、上海を舞台に駆け抜ける映画後半は、深夜の高層ビルでの振り子ダイブ&パラシュート降下、カーチェイス、と緊迫するアクションが連続する。だがその後、イーサンがオーウェンに盗み出した機密「ラビットフット」を渡すシーン以降は、脱出&ジュリアの監禁場所までのイーサン生身の疾走、など見どころはあるもののアクションとしての見せ場は少ない。なまじ最初のベルリン廃工場やチェサピーク・ベイ・ブリッジでの銃撃戦を見せ付けられただけに、「物語の終息に向かってアクションのスケールが小さくなる」という事態に遭遇する。しかも最後はジュリアが活躍してしまうし…。

 まあ、このクライマックスへの流れは「筋書き」としての展開は納得できるのだが、「興奮と盛り上がり」という点では明らかにマイナス。フランス新幹線「TGV」の屋根で戦った(この当時のCG・合成技術は今見るとジョボイなぁ)第1作、鳩飛ばして銃乱射してバイクかっ飛んでタイマンバトルに挑んだ第2作、と比べると本作のラストは「地味」としかいえない。だから映画終了後、あまり印象に残らない作品になったと思う。

 あと「M:i:III」ならではの「魅力」「テイスト」が薄い気がした。もちろんトム・クルーズは間違いなくカッコイイし、本シリーズは「トム・クルーズがいかにカッコイイのか」を示す映画(!)として観ているので、その点はOKなのだが、何だか「綺麗にまとまり過ぎ」な感じがする。「M:I-2」がバカ映画(もちろん褒め言葉。ジョン・ウー先生は香港時代から大好きだし、「男たちの挽歌2」は俺のバイブル)として突き抜けていて、それがツボに入っていた可能性も高いが、「M:i:III」ならではの「カラー」が見えにくかった。

 簡単に言うと、「M:i:III」ってこれまででいちばん「OO7」シリーズっぽい。仮に「M:i:III」のチームアクション部分をイーサンがひとりでこなせば、物語の展開は「OO7」シリーズのオーソドックスな展開になってしまう。元々同じジャンルの作品だし、しょうがない部分はあると思うのだが…。
 映画「M:i」シリーズは、「トム・クルーズ」のキャラクタは立っても「イーサン・ハント」のキャラクタが立ってない、と思う。本シリーズの主役は「カッコイイスパイ」ではあるけれど、それが「イーサン・ハント」である必要性(強烈な個性)に欠けている、と感じる。個人的な感想だけど、この辺が「M:i」シリーズが「ランボー」や「ダイ・ハード(これもシリーズ2までだが)」、「スティーブン・セガールのケイシー・ライバックシリーズ(「沈黙の戦艦」と「暴走特急」)」といった「王道娯楽ドンパチアクション」のシリーズ作品と比べると、俺の中で1ランクダウンしている最大の要因だ。

 まあ、次作では東京&JAPANを舞台にしてくれる(リップサービスだろけど)ということなので、それと「イーサン・ハント」の魅力アップを期待しよう。