上島という人を、この前、ここで紹介しました。

そのきっかけは松岡洋右の独白録に、興味を持ったからです。

本は送られてきたけど、まだ、初めの2ページしか読んでいません。

なぜ、これを読みたいと、思ったかというと、

アメリカ生活が長くて、グローバルスタンダードを、体で覚えてきた松岡が、
「外交は、はっきり自分の考えをぶつけあうところから始まる」
「日本のやり方は、”外交”とは言えない」と、嘆き、

ついに、盧溝橋での銃声を聞くにいたると
「心配していたことが起こってしまった」と、慨嘆した・・・と、知ったから。

松岡洋右は、社会科の教科書では「国際連盟」から、脱退した時の、日本の国連大使だったとしか習わない。

つまり、日本人にあるまじき粗暴さとして、語られらる人だったから・・・私には、松岡は、戦争推進派に見えていた。

そうではなく、幣原喜重郎の外交のやり方に、危惧を抱く「国際人」だったのですね。

「なぜ、日本の思い、日本の立場を、ちゃんとぶつけないで、ハイハイ、ハイハイ言いなりになるのだ?!」
「しかも、互いのやり取りの詳細を、まったく報道しないとは、なにごと!!日本国の運命をひっぱっていく政府が、すべてを個人プレーにゆだね、内緒でことを進め、国民を巻き添えにするとは!!」

松岡の怒りは・・・あれから100年たつ今の日本でも、同じこと・・・混迷はますます深いけど、姿勢はちっとも、変わっていない。

そもそも、日本国に「外交」なんか、最初から存在しなかった!
河野や、今のあれ名前なんだっけ、とかを、責めてみても始まらない。最初からなかったものを、求めてみても無理だって!

こういう件に関して、上島氏は、問題意識を膨らませていて・・・高校中退の身で東京に出てきた、編集者となり、産経新聞にも勤めたけど、「制約される言語空間」にいや気がさしてやめてしまう。

「大東亜戦争」という名称を使ってはいけない規定って、なに?なぜ、そんなことに縛られなければならない?新聞社では、自由な表現ができない。

その上島氏と金美齢氏の対談を見た。たぶん何年か前のだと思うのだけど。

上島氏は、もっぱら「アメリカがー、戦後の日本をー圧力をかけてー。アメリカのせいでー」と、

ウォーギルドプロジェクトのせいで、戦前の日本の美しさが語れなくなった・・・焚書が、あった、GHQが、戦前の日本を根こそぎ破壊した・・・と、語っている。

ところが金美齢さんは、「戦勝国が敗戦国をめちゃくちゃにするのは、世界の常識ですよ。いつまで、そんなことを、言っているのですか?それを、ひっくり返せなかったのは、日本人ですよ。もっと、自分たちのことを考えなさいよ。」という。

実は、上島氏の言う「美しい戦前の日本」が、とどのつまりは白人に劣等感を持つ「島国根性」の国であって、やぶれかぶれの戦に突き進んで、負けた。

その敗戦処理の世界的に見れば「常識」でしかない、敵国のやり口に、一度の敗戦で、ぼろぼろになった。

つまり、戦争にせよ、平和にせよ、日本人は「国対国」のありかた、過ごし方、付き合い方を、全く知らない、まったくの世界の孤児・島国根性の塊なのだと思う。

もちろん、戦前の日本は、世界支配層によって「戦争へ」しむけられていたから、松岡洋右一人が、いくらわいわい叫んでも、筋書きは換えられなかったと思う。


当時から、決して独立国ではなかった。イギリスの属国だった。
松岡氏も、そのことに気づかなかったぐらい、みんな騙されている。

(確かに、洗脳装置として”天皇”は、彼らにとって良い働きをした)

でもね・・・過去と他人は変えられない。

変えられるのは「未来と自分」なのよ。

昨日、あれこれ世間話をした後で、株屋の上司(S60年生まれだから37歳ぐらいかな)が「では、本題に入らせてもらいます」と、言って、

平成になってからの失われた30年の株価の動向という資料を出してきた。

「日本だけ違う」

さまざまに「日本だけ違う」ことはある。

失われた30年、日本だけ所得が上がらなかった。ひたすら民は貧しくなる。

所得だけでなく株価の平均も、ひたすら低い価格で横ばいなんだって・・・

「大きく上がりもしない、下がりもしない」

「こっちを見てください。アメリカのアマゾンの株価です。ひたすら上昇しています。」

「日本では、株価は上がれば下がると、思われています。」

「うんうんそう思う。ある程度高くなると、いずれ崩壊するのでしょう?」

「日本では、です」

「日本だけなの?」

「日本だけです。あがったり下がったりを繰り返すのは。
アメリカ株は違います。もちろん、全部が成功しているわけじゃない。
でも、アマゾンのように成功しているところは、上がり続けるんです。
世界を相手に商売しているから」

現在の日本企業で、世界を相手に勝負をはれる企業はないと、彼は言いました。

残念ながら日立も東芝も、肝心な技術を海外に、取られてしまいました。もう、日本が世界一だった時代は終わっています。

「トヨタは?売れているのでしょう?」
「世界2位です。一位はドイツの会社。でも、車が爆発的に販路を伸ばす時代は終わりました。会社が手堅いのと、株価が動くのとは、別の問題です。
われわれ株屋は、株の動きを追っています。」

「私はね、株価の動きを見張って、売った買った儲かった、損したなんてことをやる気はないのよ。
本来、株は、その会社の業績を愛して、応援するためのものだと思っている・・・う~ん、関電は、原発だから悩むところだけど・・・」

「そこは、僕らがやります。任せてください。それが僕らの仕事です」

「もう資本主義は行くところまで行って、これ以上伸びるところはないと私は思うけど。」
「もちろん、高速道路や、高層ビルのようなものの需要は終わりました。いまさら、コンクリートや、鉄鋼が、大きく伸びることはありません。車も同じ、買い替え需要だけです。」

「アマゾンのお話をしましたが、これは前段です。これから本題に入ります。
ちなみに、アマゾンが儲けているのは、流通部門ではありません。ほかの部門で業績を上げているのです。
そして、やっぱりアメリカがいいです。」

「え?やっぱりトランプ効果?」
「そうですね。トランプがよかった」

「じゃあ、バイデンになったらだめじゃないの?」
「いえ、トランプの時100兆ドルだった予算を倍の200兆にしているので、ますますいいです。」

・・・・ここに来られているみなさんなら、トランプを応援するものの、バイデン政権が、オバマと同じものではないみたいだという感じは持っておられるでしょう?

トランプとバイデンは顔が変わったものの・・・背後は同じではないか?という感覚ね。

そうみたいですね・・・経済政策でもバイデンはトランプ路線を邁進している。

「アメリカもいいけど、中国がやはりいいんですよ。儲かっているのは中国です。
そして、これから伸びると思われるものは半導体です。これは、世界的に不足しています。

世界で一番いい業績の会社は台湾の会社です。」

「おおっやっぱりアジア・・・平成の初め頃、マレーシアなど東南アジアの国がのしてきた」
「そうです。今は、もう後進国とか、低開発国なんてものはないんですよ。」

「お勧めするのは、台湾の会社が半導体の生産を託したカリフォルニアの会社です」

「でもね、日本人は外国株を買いたがらないでしょう?」

「確かに、その傾向は強いです。でもね、もう一度見てください。日本の株価はあがりもしない、下がりもしない。ここに勝機はありません。」

「私は、いいんだけどね。半期に一度、ちょびっと配当金をおこづかいにもらえれば十分満足なんだけど。」

「これからは世界を相手に勝負しなければ」
「でも、日本人はドル預金もしたがらなかったし、そういう話には乗りたがらないでしょ?」

私は、上島氏の「アメリカのせいで~論」や、松岡洋右の「外交論」を思い出しながら、そういったの。

「結局、日本人は外国を信用していない」

「それが、最近、少しずつ、変わってきました」と、彼は言った

「最近、話を聞いてくださる方が増えました。」

「変わってきたの?」

あの戦争で、実際に家を焼かれ、機銃掃射を受けた世代は、芯からアメリカ様を恐れている。アメリカの言いなりにならなければ殺されると心底おびえている。幼児期のトラウマは直しようがない。

我々団塊も、似たようなところがある。

白人相手には被害者意識というバイアスが入る。

「最近、変化してきました」

「そうなの?」

いつのころか
「日本て戦争したことがあるんだって!」
「うっそーどの国と?」
「アメリカだよ」
「まさか~」
という会話を聞いたという都市伝説。

白人に劣等感を感じたことがない。
アメリカと戦争したことすら知らない。

そういう子供たちが続々増えてきたことで、日本人の感覚に変化が起き始めている。

私は、今でも「日本人のアイディンティティ」にこだわり続けている。
「日本の神様が~」とか、思いたい。
ものすごい偏見の人だ。

でも、ここから、変えなければ、日本人が諸外国と本当に対等の立場で、口角泡を飛ばし、真剣に議論し、お互いの利害をすり合わせ、公平な未来を拓く道が見えてこない。

もちろん、真の日本人を育てなければ、真の愛国者を育てなければ、まずは、そこからなんだけど、その次は、こだわりを捨てて「島国根性」から抜け出さなければ・・・

私たちは「島国根性から抜け出そう」と、考えるけど、最近の子供は、そもそも島国根性ってなにかがわからない。知らない。

日本が戦争に負けたことを知らない。感覚的に「被害者意識」が染みついていない。

維新以後170年・・・戦争も経験して、ここまでこれたんだから、実際、日本人はよく頑張ったと思うよ。

これからが、楽しみだね。


そういえば、マクルーハンが「21世紀は日本の世紀」といったよ。その21世紀だよ、今は。


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