初めまして。しゅん と申します。
montblancの修理などの記事を上げているShuNさんとは別人となります。ハンドルネームが被って申し訳ございません。

さて、私は、電気工学を中心に学んできた技術者でもあります。そんな立場として、万年筆を工学的側面から見てみよう、と考えております。
そこで、今回のブログ記事では、材料力学の理論から万年筆の撓りを考えてみようと思います。
今回述べることは…「万年筆のペン先の硬軟は、必ずしも材料に支配されない」ということです。
よく、金ペンだから軟らかい、鉄ペンだから硬い、という話を聞きますが、実際はそうとも限らない…というお話です。


万年筆のニブは、首軸に刺さっている側が固定され、切り割りから先が急激に撓む、という特性があります。
即ち、材料力学における片持ち梁によく似た特性を持つといえます。

fig.1

片持ち梁というのは、図1のように片側が固定され、反対側が自由に撓む、「壁から突き出た棒」とでもいったものです。
さて…片持ち梁の撓みの法則は、図2のようになります。

fig.2

ヤング率というのは、梁の材料が持つパラメータです。ニブの材料(金や鉄を中心とした合金)は、あるヤング率を持っております。
大雑把に言えば、「固さ」のような概念ですね。


断面二次モーメントとは、梁の形状が持つパラメータとなります。
断面二次モーメントは梁の断面形状に依存します。例えば、はりの断面が長方形なら、断面二次モーメントは図3のようになるのです。

fig.3

断面二次モーメントを梁の撓みの式に考慮すると…撓みはヤング率の1乗に依存する一方で、厚みや長さには3乗に依存することが分かります。
ヤング率・厚さ・長さ万年筆のニブに当てはめると、図4のようになります。

fig.4

理論的には、万年筆の硬軟は、材料(ヤング率)以上に、厚さや切り割り長さが重要になるということですね。
万年筆の硬軟に拘りのある方は…その材料に囚われず色々試してみたり、構造を観察すると、面白い発見があるかなと思います。
現に、最近話題のペリカンM120などは、鉄ペンでありながら軟らかいと評判ですね。

さて、次回は、万年筆の硬軟について、実際のペン先形状を更に考慮しながら述べていこうと思います。

それでは。