昨晩もオヤックスの練習に出た。

オヤックスは通常各自ランニング、柔軟、基礎練の後、ちょっとしたメニュー練習を行う。わしは昨夜、少し遅刻していったので、ランニングの後、柔軟と基礎練をすっ飛ばし、皆で楽しそうにやっている3対2に早速加わった。悪い兆候だ。もっと充分にアップをしたほうがいい。

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3対2をやって二度目の攻撃のとき、左サイドに開いたわしはボールを受けて1対1となり、さっそく相手を交わそうとターンをした。そのとき、ぐきっと靭帯を痛めた左足を内側に捻ってしまった。ちょっとした痛みが走る。

そのプレーが終わり捻った左膝に意識を向けてみると、やはり痛い。

「やべー、やっちまったぞい!」

わしは内心思った。

しかし、ここでメンバーにそれを言うと、すぐに帰れと言われるに決まっている。帰りたくないわしはそのまま練習を続けた。しかし、痛みはずっと続いている。

だんだん不安になる。以前手術をしてくださったG先生から、「X脚の人は再断裂をしやすいから気をつけてください。できればガニマタ気味に動作をやってください」と言われていたのを思い出した。しかし、わしは今でこそ坂下千里子のようなすらっとした美しいラインの脚をしているが、以前は超のつく内股で、X脚であった。現在もプレーの瞬間瞬間に、このX状に脚を曲げてプレーをしてしまう癖がある。

「考えてみりゃ、さっきもそうだったよ」

わしは冷や汗をかく。鏡を見て確認したわけではないが、ちょっと顔からの血の気が引いたような気がしている。馴染み深い体育館の風景がよそよそしく見える。オヤックスのメンバーが遠くに見えるような気がする。

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どうしよう。迷いながら練習を続けていると、ノリさんが途中で帰ったことに皆が気づく。3対2のとき、帰ったらしい。彼は非常に体調を気遣うタイプで、調子が悪いと無理せず帰宅する。多分、正しい判断をしているのはノリさんの方なのだろう。

わしは帰りそびれてしまった。そして表面上は積極的にゲームに加わりながらも、内心は「やってしまった、やってしまた」と後悔していた。

しかし、だんだん痛みが引いてくる。どうやらカラダが温まってきて、痛みを感じることがなくなってしまったらしい。

それでも余計に不安になる。

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その後、よいプレーはまったくできず、がっくりしながらも特にトラブルもなく練習を終えた。練習後、中学校のT先生とちょっとした情報交換をして(立ち話とも言うが)、家に帰る。風呂に入り、出て、氷で左膝を冷やす。

一緒に練習をしてくれている高校三年生のチームは、もうじき卒業で春が来ればバラバラになる。それを惜しむかのように、楽しそうに、また好いプレーを連発していた。特にU一が素晴らしかった。細かいステップからの物凄いスピードあるドリブル、その直線的なスピードを恐れていると、ターンをしてくる。更にドリブルと見せかけてのパス…トップ下としてチームを自在に操っていた。

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そんなことを思い出しながら、患部を冷やしていたのじゃが、どうやら大丈夫そうだ。思ったよりも熱を持っていないし、膨れてもいない。おお!わが坂下千里子ばりの脚よ、無事であったか。

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ほっとしてTVを見ていると、やべっちFCで、川崎のがなはが登場して、「右45度からのシュートが自分の得意の形」と語っていた。居残り練習でシュートをいつも練習していたことなんかを話している。

同じ右効きでも、デルピエロのように左45度からのシュートがうまい選手と、がなはみたいに右からのシュートが得意な選手とがいる。面白いものである。普通、相手マークがいれば、相手はより内側にいるから右からの方が外側からのキックになり、相手に阻まれにくい。左サイドからだと、相手にボールをさらしたような位置からのシュートになってしまう。しかし、フリーキックの得意な選手は、カーブの掛けやすさのためか、左からのシュートが得意な選手が多いような気がする。

まぁ、いずれにしても、「自分の得意の形を持つ」ということが大切なのだろう。中学校のT先生との話の中に、今度の新1年生は、それぞれ個性があって面白そうだ、ということを話されていた。オヤックスでも最近は、特にサトケンのインサイドが徐々に正確になりつつある。彼には右サイドでかけあがるスピードという長所があり、そこからインサイドで正確なクロスをあげられるようになれば、決定的なチャンスとなるのであるが、そのクロスがかなりデタラメであった。こういう特徴にあった特技が成長してくると、チームは助けられる。

マサは最近左サイドからスタートすることが多いが、その後ろでフィクソをやっているのがわしでありあまり走れないので、わしの前で左右によく動き、スペースを埋めてくれる。そういう判断がかなり的確になってきている。

ニシは前線でのプレスと、ちょっとしたポストプレーが安定してきた。とりあえずボールをあずけてみようかという機会が増えてきて、その期待にもこたえてくれるようになってきた。

ほんの少しずつだが、オヤックスのメンバーにも特技みたいなものが成長しつつある。しかしながら全体に、まだまだ特徴、特技というものが少ない。チームに対して何をしてやれるか、ということを考えることもサッカーでは大切なことである。ガチンコの試合になると、皆ディフェンスはできるようになってきた。精力的に自分の役割をこなして、相手からゴールを奪われないように出来るようになってきた。しかし、攻撃はタツがコメントしてくれたように、まだ形が見えてこないようだ。

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そんなことを考えていると、だんだん左膝も冷えてきた。現在は、全然痛みもなく、今週のハードスケジュールをこなせそうじゃ。

ほっとしつつも、わしは一番気をつけねば、と思うこの頃であった。