ムザイ

  迎 賓 館 ・ 横 田 裁 判 = 無 実 の 被 告 を 支 援 



 

ムザイ180号

無 罪! 180号

 本誌180号の目次
 ★須賀さん・十亀さん・板垣さんをただちに                事務局
 ★水戸刑日誌〔39〕                          十亀弘史
 ★新型肺炎感染の世界的拡大の原因は圧政と新自由主義である        板垣 宏
 ★「即時抗告棄却決定」弾劾!
  新型コロナウイルスの根拠                       福嶋昌男
 ★日本百名山踏破、獄中登攀記(13) 北上山地の最高峰・早池峰     須賀武敏

  安倍官邸による「検事総長人事ジャック」
        黒川検事長の違法な任期延長問題              西村正治
  革命のバチルスとなって立ち向かおう                  黒島善輝
       ★印は本ブログ掲載です。

須賀さん・十亀さん・板垣さんを

ただちに解放せよ!
          事 務 局

keimusyo01
        水戸刑務所
 4月5日、大阪拘置所の刑務官が新型コロナウィルスに感染したことが公表された。記者会見した森まさこ法務大臣によれば、感染したのは40代の刑務官であり、この刑務官と接触があったとみられる受刑者40人を、それぞれ「単独室」に隔離する措置をとったことを明らかにした。
 さらに、職員のうち2人に発熱の症状があり、509人の職員のうち刑務官と接触があったとみられる119人を自宅待機にしているとのことだ。その後、7日、上記2人の職員も新型コロナウイルスに感染していることが判明した。
 森大臣は「今回の感染の事実を受けて、今後さらに職員と被収容者の健康管理に努めるとともに、感染防止対策を徹底し万全を期したい」と述べた。
 4月8日、安倍政権による「緊急事態宣言」をうけて、法務省は、「感染防止対策の徹底」の一環と称して、対象となった7都府県にある38の拘置所・刑務所の被収容者が面会できる相手を、原則として弁護士だけに限る運用を始めた。
 しかし事態はさらに悪化した。4月11日、東京拘置所に収容されている60代の被告人が感染したと法務省が発表した。被収容者の感染が確認されたのは初めてである。さらに、大阪拘置所の刑務官の新たな感染が次々判明。同所での感染は16日段階で7人となった。

コロナ危機の犠牲を被収容者などに転嫁することなど許せない!
 法務省は、面会制限について、「施設の適切な管理を求める国有財産法に基づく措置」と説明しているが、こじつけもいいところだ。「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」には、感染予防を目的にした面会制限は規定されていない。外部交通権は被収容者にとって、不可欠な基本的権利である。安易な面会制限など許せない。
 実際の問題としても、被収容者との面会は、アクリル板によって遮られた状態での面会であり、ウイルスの飛沫感染の可能性はほぼないといってよい。東京拘置所では、アクリル板に加えて、透明のビニールで通気口をふさいでいる。他方、〈災害時の避難及び解放〉として、第83条は「刑事施設の長は、地震、火災その他の災害に際し、刑事施設内において避難の方法がないときは、被収容者を適当な場所に護送しなければならない、とし、第2項で、「被収容者を護送することができないときは、その者を刑事施設から解放することができる」と明記している。新型コロナウイルス感染拡大は、「災害」そのものであり、刑務所・拘置所さらに入管収容施設は、厚生労働省、小池東京都知事が盛んに喧伝している「3密」(「密閉空間」「密集場所」「密接場面」)の対象そのものではないか。しかも、すでに大阪拘置所では、クラスター状態が発生しているのだ。

いくつもの政府が、すでに被収容者を解放している
 アメリカは、連邦、州、市郡などの刑務所、拘置所などに、2017年の時点で約230万人が収容されているという。世界のどの国よりも被収容者の数が圧倒的に多い。劣悪な環境にある施設も多いし、新型コロナウイルス感染も、いくつもの施設で発生している。そして、すでに数千人が釈放されている。
 ニューヨーク市の矯正理事会(拘置制度の独立した監視機関)によると、市での釈放の可能性のある収監者は約2000人おり、条件は、50歳以上、身体虚弱で、暴力性のない軽微な犯罪による収監者などだという。
 また、タイやコロンビアの刑務所では、感染の噂が広がったせいで暴動が起き、イランでは感染拡大を恐れて、受刑者7万人を釈放したという。

被収容者をただちに解放せよ
 先述したように、日本では、全くの屁理屈を口実にして、あくまでも、施設内で、被収容者を「隔離」したり、面会制限したりでこの危機を乗り切ろうと考えているようだが、情勢認識が甘いし、被収容者の命と健康、人権をまったく考えない、不当な処置であり、許されない。
 今回の「緊急事態宣言」の対象外となっている、水戸刑務所在監の十亀弘史さんによれば、3月はじめ、全受刑者にコロナ対策の一環として、マスクが配布されたとのことである。一方、「緊急事態宣言」対象の横浜刑務所では受刑者のマスク着用はされていないとのことである(4月13日段階)。刑務所によって対策が統一されておらず、場当たり的だ。
 上記のように収容施設での新型コロナウイルス感染拡大情勢がはじまった今、すべての被収容者は解放されるべきだ。とりわけ、須賀さん、十亀さん、板垣さんは直ちに解放されなければならない!
 3人は、すでに75歳を過ぎ、社会的には後期高齢者となっている。すでに受刑者生活を強制できる年齢を越えている。十亀さんと板垣さんは、来年の1月初めには満期を迎えようとしている。こんな段階で感染でもしようものなら、刑務所は責任をとれるのか! 
 社会的に高齢者と規定される70歳を越える被収容者、あるいは、持病を持ち抵抗力、免疫力の弱い被収容者は、ただちに解放されるべきである。
 須賀さんは、いくつもの疾病を抱え、治療・検査を繰り返している。疾病がいつ爆発するかわからない状態である。直ちに解放せよ。
 帰るべき場所がない被収容者は、本人の希望に踏まえ、病院あるいは、介護施設に収容されるべきだろう。



 獄中からの手紙

水戸刑日誌(39)  水戸刑務所在監 十亀 弘史

 水戸刑の南側には、塀の全長に沿って桜並木が続いています。塀の内側にも十本ほど桜の樹はあります。しかし、ボリウムからいって、塀越しに見える外の桜にかないません。そして私の房からは、その桜並木の一部(東端)が見られるのです。それが見えるのは、私のいる房を含む3房ほどだけです。特権的ポジションといえなくはありません。いい季節が始まりました。
 とはいえ、娑婆は、花見どころではなさそうです。新型コロナウィルスについては、この先どこまで広がるのか、いま見通すことはできません。ここでは情報源は基本的にテレビに限られています。ただ『前進』や『国際労働運動』が、すでに正しい見方を示してくれています。その上で、私の考えたことを書いてみます。
 初期において安倍政権が、オリンピックを強行するために、検査数を限定し、感染者数を少なく見せようとしたことは明白です。「他の国に比べて、人口比でいえば、感染者は圧倒的に少ない」といった安倍の発言は、卑劣な虚構です。
 〈徹底した検査によってまず感染者の全数を把握せよ〉は、最初になすべき対策のはず。安倍はそれを故意に怠って、感染者を急増させました。その上でこれからも、福島での被曝隠しのように、感染者隠しは続くと思われます。官邸ホームページを見た人によると、新型コロナに対して、1月30日に1回目の対策会議をもうけています。しかし、そこから2月14日の第9回の会議まで、感染症の専門家の意見を一度も聞かなかったということです。彼らの対策が、少なくとも当初は、感染を防ごうという点にはなく、政治的意図の貫徹にしかなかったことが示されています。
 今回の事態は、何か大きな変事や惨事が発生すれば、それに伴う苦しみは必ず貧困層に集中し、そして救済はその層に及ばない(支配層が及ぼさせない)ということを、あらためて明らかにしています。それはまさしく、「惨事便乗型資本主義政策(ショックドクトリン)こそが、資本主義の基本政策だということです。
 安倍政権は、直近において、事態を「緊急事態宣言」などの強権発動の好機として利用しようとしています。しかし、さらにその先において、経済と体制の危機がもっと進んでくれば、一層大規模な、いっそう根底的な反人民的方策が採られていくはずです。金融緩和はすでに限界に達しています。財政に余力はありません。安倍のいう「思いきった手」「かつてない強力な対策」は結局は、大資本の救済、労働者のより過酷な搾取と収奪にしか向かいません。そして、対外的な争奪戦、軍事と戦争への道が開かれようとしています。
 「コロナ・ショック」を通して、そのような資本主義体制の本質が、人々の目の前に、日々具体的に開示されています。資本主義を打ち倒せという私たちの主張が、強い説得力を持ち得る時だと確信します。
 オリンピックは、さしあたり「1年ほどの延期」とされました。しかし、今なすべきことが来年のオリンピックの準備などでないことは、誰の目にも明らかです。オリンピックの延期と開催のための予算は、今すぐにも、その全てを、万全の医療体制の構築と、事態によって一気に困窮を深めた人々への給付の一部とすべきです。
yjimage
 オリンピックは、断じて中止させなければなりません。オリンピック・パラリンピックについても、現在のそれがアスリートやそれを応援しようとする人々のための催しでは少しもないことが、安倍の開催への醜悪な執着によって、逆に多くの人に実感されてきています。オリンピックは、原発による被災を隠し、大企業に莫大な利益をもたらそうとするものでしかありません。オリンピック中止の声が広く受け入れられるはずです。実際、ウイルスの変異も起こり得ます。新たな感染は、1年後のオリンピックの開催など、想定すらできなくするかもしれません。
 ところで、テレビ画面で世界地図が次々に赤く塗られて行くのを見ていると、つい世界革命の進行を連想してしまいます。パンデミックは、地球にとって、あるいは人類にとって、国境というものが、どれほど無意味で、どれほど歴史の前進を妨げているかを、切迫した一種の生々しさをもって感じさせているように思います。どんなことであろうと、人類にとって本当に重大な問題は、国境を越えた共同性をもってしか解決できないはず。そしてそのような真の共同性を持ち得るのは労働者階級以外にありません。
 などといいつつ、話を身辺に戻します。水戸刑では、3月の初めころから受刑者全員にマスクが2個配られました。所内の縫製工場で作られた布製マスクです。3月17日に「茨城での初の感染者」と報道されました。しかも、ひたちなか市そのもの。翌日、出房後は、昼食を食べている時と入浴時以外は必ずマスク着用、との指示が出されました。体調に少しでも異常を感じたら、直ちに申し出るように、との放送がありました。それと、3月に入ってから、食事のおかず、とりわけ野菜系のおかずが心もち増やされている、という感じがします。少しでも抵抗力をつけさせようということかもしれません。
 ただとにかく、ウイルスを獄壁の内側に入れないことこそが、決定的に求められていることです。いったん入って来たら、刑務所はまさしく「密閉・密着・密接」空間です。私も含めて高齢者も多く、何人かの死者も出かねません。従って、所内へのウイルスの侵入をどう防ぐのか、そのために当局がどのような対策を採っているのか、が在監者の関心の的になっています。所内に感染者を出してしまえば当局の責任も一定問われます。だから、それなりの対策は進められていると考えます(マスクについては、2年前から、職員は全員冬期は常時着用するようになっています)。しかし、それが責任回避を第一の目的とする、弥縫策であれば効果は限られます。当局は具体的にどのような対策をとっているのか、在監者に明らかにすべきだと考えます。
 それにしても、いま全国の現場で必死の努力を続けている医療労働者の皆さん、何重もの闘いを不屈に続けられている皆さんに、心から敬意を表します。
 そして、精神的にはあくまでも青年でも、肉体的にはご老体が少なくないと思われる本誌の読者の皆さんが、一人も感染しないよう切に願います。  3月29日 記


   灰色と黒の縦縞冬の夜の窓に映った監獄パジャマ
              十亀弘史(3月15日( 日) 付朝日新聞「朝日歌壇」掲載)



 獄中からの手紙

新型肺炎感染の世界的拡大の原因は
圧政と新自由主義にある!

    前橋刑務所在監 板垣  宏

 3月11日付手紙より

 今日(10日)は朝から小雨。思いの外寒い感じです。9日はぽかぽか陽気で、オオイヌノフグリに続いて、ホトケノザも咲いているのを見つけたり、これで冬用の下着も必要なくなるかと思ったのですが、まだ少しの間、脱げないようです。
オオイヌノフグリホトケノザ
 あと一つ、処遇で変わった点は、これまで自由に選べなかったテレビ番組の視聴が4月から自由選択になりました。十亀さんのところ(水戸刑)では、ずっと前から自由選択だったそうなので、前刑もやっと追いついたという感じです。
 ちなみに、テレビの見られる時間は、平日は独居房の人は火、木の夜、7時〜9時(雑居房は同時間に毎日)、土、日、休日はその他に昼間、10時〜12時、1時〜3時までです。
 この処置により、今までは録画によって放映されていた映画(土、日、休日)やドラマなどが見られなくなるため、その分は別に11チャンネルで放送するとしています。(この内容は選べません)。
 選択制になったことは良いことだと思いますが、視聴できる時間帯は変わらないので、一番みたいニュース番組が見られるか否かが気になるところです。
 『免疫力を強くする』ブルーバックスを購入して読んでみました。主な感染症についてと、その感染症を防ぐ体の仕組みについて、かなり分かりやすく書いてありました。
 そして結局は「悪しき健康習慣を改めて健康的な生活を送ること」が免疫力増強法の科学的方法だということです。当たり前のようですが、健康を守るには、これが一番のようです。こんな時期ですから心して過ごしましょう。
 新型コロナウイルスの流行がいっこうに収まりませんが、安倍政権は「緊急事態法」を成立させてしまうようです。野党も全部が賛成したようで、これは恐ろしいことです。絶対に発動させてはいけないと思います。人の移動や集会等を強権で禁止することができる、強力な権限を権力に与えることは、ウイルスなどよりはるかに危険だと私は思います。
 それにしても、毎日が日々激動しているのに、限られた情報しか受け取れない場所にいることが残念です。      では又。

 3月25日付手紙より
米山實則 様
 3月9日付けの手紙と本(2冊)の差し入れ、および3月18日付けの手紙、受け取りました。ありがとうございました。  こちらも、23日には桜が満開になって、暖かくなったと喜んでいたら、24日には何と雪が降り、冷たい風に震えるという状況になりました。3〜40分ほどで止みましたが、本格的な春はやはり4月まで待たないとダメなようです。
 もっとも世間では花見どころではなく、新型コロナウィルスにより大混乱の有様ですね。国際労働運動55号「新型肺炎感染の世界的拡大の原因は圧政(と新自由主義)」であると特集を組んでいましたが、まさにその通りですね。
 刑務所も社会の中にある限り無縁ではありません。まだ問題は起こっていないようですが、万一、いったん侵入されれば、お年寄りが多い上に密集した空間なので、ひとたまりもないのではないかと危惧されます。なんとかそうならないように願うしかありません。
  次に、迎賓館・横田裁判に関連してお願いです。
 ちょっと前の話になりますが、1月24日付けの読売(朝刊)新聞に、次のような内容の記事が載っていました。
 一審で無罪判決出された裁判では、「控訴審において、証拠調べをせずに逆転有罪判決をすることができない」との最高裁判例があり、これを巡って最近争われた事件があったとのことです。
 なにしろ、ここでは新聞を落ち着いて読んだり、メモをとったりすることができないので、ざっと目を通しただけで、具体的な内容をつかんだとはいえないのですが、私たちの裁判との関連で考えてみたいと思いますので、上記の記事のコピーを差し入れて下さい。できれば最高裁判例もほしいのですが。
 また、それと関連して、私が関東学院大学で迎賓館・横田裁判について講演したときのレジュメ(何回か行っていますが、その最後のもの)のコピーの差し入れもお願いします。
 では、米山さんもウィルスなどにやられないように健康でお過ごし下さい。




「即時抗告棄却決定」弾劾!
   
                  福嶋 昌男
 東京高裁は、3月10日付で、即時抗告を棄却してきました。ほんとうに許せません。『無罪!』前号で、本棄却は、裁判所を追い詰めているが故の棄却であると指摘し、弾劾しました。  私と弁護団は、4月10日、特別抗告申立書を提出しました。申立書は棄却決定の誤りに対して、的確に反論しています。申立書は即時抗告棄却決定書の憲法違反、判例違反を、「本件ノート」及び岸田検証報告書の段階的発展に即して反論しています

 1 筆跡において
 魚住筆跡鑑定書は東京拘置所在監時代、私が書いた「学習用(1)ノート」の筆跡と押収メモの筆跡は違うことを明らかにしました。  原審、抗告審も「ノート」の新規性を認めています。ところが、原審、抗告審は「ノート」の筆跡は偽装されている、という判示です。高裁は、その理由を猊跡が公判の争点になることを知っていて「ノート」を偽装した瓩箸いθ充┐任后  私は無実だ! 有罪ありきの、予断と偏見は断じて許せない。特別抗告申立書は、決定書の「偽装されている」を覆せば勝利できることを鮮明にしています。  「ノート」の日付は1993年5月から翌年の4月です。第1回公判は94年3月16日です。無実の私がデッチあげに対しての冒頭陳述書を準備しているときに、公判の始まる前に「筆跡鑑定が問題」となることなどわからないことです。

 2 指紋において
 岸田特任教授の『指紋検証報告書』は、押捺指紋とメモの現場指紋の特徴点( 朱印点) のそれぞれの位置がズレていることを眼に見えるようにしました。  棄却決定書は、そのズレの原因は犹悗藁体であり、弾力があるので、2次元上・平面に転写した場合、特徴点はズレる瓩箸いν由です。再審・原審も同じ理由です。しかし、裁判所は、指紋について指の押し方で、隆線がどれほどズレるのかを、実際に実験しているわけでもなんでもありません。  押捺指紋は、指の立体を平面に転写しています。現場指紋においても、指の角度や力の入れ具合等を考慮しても、要は「平面」に転写されたものです。  『検証報告書』は、石川鑑定書のそれぞれの5倍写真をもとに「重ね合わせ指紋画像」法で検証したのです。その結果、両指紋に打たれた朱印点で、2隆線幅以上のズレがいくつも見られたのです。  岸田教授は、指の押し方、力の入れ具合等考慮した実験を行っていて、2隆線幅もズレることなどないことを科学的に検証しています。  裁判闘争は27年目に入ります。特別抗告審でも、勝利にむけて前進します。勝利へ!




満期の頂上めざし、日本百名山踏破 獄中登攀記(13)
−北上山地の最高峰・早池峰(はやちね)−
横浜刑務所在監 須賀 武敏   

1280px-初冬の早池峰山
     紫波町から望む初冬の早池峰山
 3月の凍てつく快晴の日、私は東北新幹線新花巻駅から今夜泊まる小田越山荘に向けて、バスで大迫バスターミナル経由で岳バス停に向かう。
 今回、登攀する早池峰山は、北上山地の中央部にどっしりと座す最高峰で、日高山脈のアポイ岳や至仏岳、四国の東赤石山と並んで日本有数の橄欖(かんらん)岩、蛇紋(じゃもん)岩の岩体からなることで知られている。その山名は「東方の脚」という意味のアイヌ語「パハヤチニカ」による説と、山頂にある「霊池」を「早池の泉」と名づけたことに由来するという説もある。
 早池峰は、蛇紋岩植物の宝庫、「花の名山」と言われるほど高山植物が豊富だ。ヨーロッパの名花、エイデルワイスの仲間であるハヤチネウスユキソウやカトウハコベ、ナンブイヌナズナ、ナンブトラノオなどの珍しい種類の高山植物が咲くことで知られている。
 北海道の山と同様に、一合目の海抜、一三九六メートル付近から森林限界のハイマツ帯になる。気温も青森より寒く、北海道の富良野に匹敵する。
 岳バス停から眺望する冬の早池峰は私の記憶の中の早池峰と、全然別の山だった。頂上部の岩礫は白一色の銀世界、しかしハイマツ帯は黒光りする鉛色の山肌で、山麓の樹林帯は凍りつく殺伐とした荒涼たる光景が広がる。

 翌朝、標高一二四五メートルの山荘を出ると、外は零下の酷寒だ。マイナス一〇度は超えただろうか。寒いのは通り越して、痛い。地元の山岳会のメンバーはすでに頂上へ向けて出発していた。その後について単独登攀を決行する。空を見上げると、無数の小さな雲の塊が高い空の風に乗って流れていた。うろこ雲だ。絶好の登山日和だ。先行隊が踏み固めた足跡に沿って、私は一歩一歩、ザクザクと踏みしめ、ゆっくりゆっくり歩く。めざすは五合目の御金蔵だ。雪と氷の岩積の早池峰を正面に、雪化粧した二つの大きな石碑を通り、木道が雪で踏み固められ、雪化粧したオオシラビソの樹林に入ってゆく。傾斜が突き出すと木道の雪道は途切れ、堀状になった道を進む。半時で樹林帯を抜けると視界は一気に開け、一合目の御門口に飛び出る。あたりは雪化粧した早池峰特有の硬い蛇紋岩が乱雑に折り重なっている。南に薬師岳が見える。左側に雪化粧した大きな岩石が出現する。ハイマツ帯に入る。岩場の急な登り。岩石は所々アイスバーン化した滑りやすい蛇紋岩だ。要注意だ。ここでの遭難は転倒と滑落で生じる。しかし、先行隊のステップはしっかりと刻み込まれている。見上げればすごい岩場の二合目、三合目をがんがん息を弾ませながら、ザクザクと登り続けた。そしてようやく五合目の御金蔵に到達する。
 右側は積雪した見上げるほどの大きな岩場だ。左側は雪化粧した角張った石塔がある岩場だ。頂上を見ると雪で埋もれた避難小屋の赤い屋根が見える。斜面は積雪したハイマツ帯だ。ここで一休みし、チョコレートを頬張り、熱いコーヒーをすする。

 疲れが吹き飛び、再び出発。大岩の塊の間を通り抜けると傾斜はいったん緩み、左右は積雪した背丈の低いハイマツ帯となる。前方を見上げると雪と氷の岩塔が威圧感をもって迫り出し、高度を上げるに従い、背後の薬師岳は徐々に低くなって眼下に見えるようになる。半時登ると最大の難所「天狗の滑り岩」の鉄ハシゴは雪に埋もれている。先行隊が設置したザイルを頼りに、凍りついた岩壁を削り取った階段に沿って一歩一歩慎重に登る。
 途中で急に寒気を感じる。ふと空を見上げると、いつの間に出たのか上層雲が空一面を覆っていた。薄日は差していたが、弱い光であり、それに急に風が出てきた。雪がちらつき始める。天狗の滑り岩を必死の形相で登り切った。七合目の上部はアイスバーン化した橄欖岩の崖だ。今私が足下に踏んでいる氷雪は、経験したことのない氷雪の感覚だ。完全にアイスバーン化している。また、身を切られるような冬山特有の乾いた寒さだ。多分、零下二〇度を超えるだろう。頂上の一歩手前の剣が峰分岐の稜線に出ると、雪が吹雪に変わった。一陣の風が起こると視界が煙り、その風が私の正面から吹きつけてくるようになると目を開けていられなくなった。ゴーッとうなりを上げて吹きつける音に恐怖を覚えた。冬の早池峰では、アルプス同様、生きるか死ぬかの厳しい自然との、雪と氷との格闘があるのだ、と実感した。逆に不屈の闘魂が沸き立つ。
 立ち止まるとひどく寒く、体が凍りついてくる。視界は動かず、山の音だけが、私を圧倒しようとした。下山は無理だった。ここで焦ると滑落・転倒につながる。頂上の避難小屋で、一夜を過ごし、対策を考えることにする。

 翌朝、小屋を出ると、朝日とともに吹雪は去り、白無垢の岩稜が凜として淡紅に染まる。小屋の横を通過すると、早池峰神社の奥宮が鎮座する山頂だ。雪化粧した大岩、巨岩、奇岩が乱立する山頂には一等三角点の標石が置かれている。午前六時、早池峰山頂、一九一七メートルに立つ。眼前に雄大に広がる稜線と北上山地の峰々、広大な空を身近に感じ、光り輝く幻想的な銀世界で、三六〇度のパノラマを堪能できた。雪化粧した山頂の大地上にたつ巨岩は、頂上を誇示しているようだ。朝の大地に鮮やかな輪郭を描く岩手山。山頂から一気に落ちる大岸壁。南には雪化粧した薬師岳や北上山地が折り重なって横たわる。はるか遠くにキラキラ輝く太平洋の海原が広がる。息をのむ大自然の幻想的なパノラマ、淡紅の朝日の輝きに立ちすくみ、感動の喜びに浸る。この瞬間をとらえ、北上山地の天空と峰々に向かってシュプレヒコールを腹の底から叫ぶ。
 「新型コロナウイルス感染拡大で、不安と危機感を抱き、困窮し虐げられし働く同胞と子どもたちの暮らしと命を守る革命の時ぞ、闘う時ぞ、ともに必死で頑張り、この難局を乗り越えよう。勇気と知恵こそが希望の明日を開く。頑張ろう!」
 シュプレヒコールは北上山地の天空に、峰々に、大地にとどろきこだました。そのとき、遠くで雷鳴がとどろく。嵐が来る前に下山に向かう。(三月二十二日 記)

ムザイ179号

無 罪! 179号

 本誌179号の目次
 ★受刑者の命と健康と人権を守ろう!                   須賀陽子
 ★水戸刑日誌〔38〕
    政権はいよいよ、そして一気に崩壊期へ踏み込んでいくと実感     十亀弘史
 ★コロナウイルス流行を利用した改憲策動許すな              板垣 宏
 ★「即時抗告棄却決定」弾劾!                      福嶋昌男
  ドキュメンタリー映画 棘』を見て・『評伝 棘男』を読んで
                                     山本健二
  新型コロナウイルスの感染拡大に際し訴える
     命と生活を守る闘いに立ちあがろう!               飯田英貴
 ★爆取デッチあげ弾圧との闘い(13)
         保釈奪還に続き、一審無罪判決かちとる          事務局
       ★印は本ブログ掲載です。

受刑者の命と健康と人権を守ろう!
          須 賀 陽 子
00yjimage
    東日本成人矯正医療センター

 武敏は、1月24日からの懲罰審査(調査)を口実とした隔離によって、体調を大きく崩していたこともあり、2月6日に緊急に弁護士面会が行われ、さらに、10日、19日と家族面会を連続的に行い、状況把握と、激励を行ってきました。明らかになったことは、12日に処分を決める審査委員会が開かれ、13日に決定が出されたということです。処分は一番軽い「戒告」ですみ、直ちに元の房に戻され、工場に出役再開となりました。
 ベテランの受刑者たちの話では、半年の間に2度の反則を犯せば厳罰は必至ということで、須賀も覚悟していたのですが、一番軽い処分で、意外だったとのことです。
 それはともかく、そもそも朝日新聞を読んでいたことをもって、処分をするなど、とんでもない話です。「戒告」だろうと断じて許せません。この点については、後日談があり、3月4日の家族面会では、当局は、矯正指導日の自習時間に朝日新聞を読んでも良いことに規則を変えたそうです。いかにとんでもない、不当な「規則」だったかということです。須賀の厳罰覚悟の断固たる抗議、闘いが情勢を切り開いたことは間違いありません。加えて、下獄闘争を支える、弁護団、医師団、支援者の皆さんの厚い陣形の存在が当局をギリギリと追い詰めていることも、また明らかです。
 そのうえで、工場復帰後、医務職員に要請した診察と検査の希望がすべて受け入れられました。要求していたのは、仝綟部のしびれ、頭痛に関する診察と検査、肩・背中から腰にかけての痛みに関する診察と検査、指の関節付近の血濃のような腫れに関する診察と検査の三つです。
 隔離直後の心臓の激しい動悸に関しては、投薬を経て28日には収まり、隔離中の2月5日の循環器内科の診察で、薬で治まっているのなら、大丈夫といわれ、須賀自身もストレス性の一時的なものと認識し、落ち着いています。
 2月21日(金)には整形外科医の診察がありました。以下、医者への須賀の病状説明から。「1月10日から14日早朝まで、右側の尻から腰にかけての激痛発作で歩行が困難になった。特徴としては安静にすると激痛が逆に強まり、尿漏れするくらいの強烈なもの。いすに座った方が激痛が緩和するような状況。
 それ以降、現在までは、これまで体の左側で生じた激痛が右側に移行した状態。午前の作業中には右側の胃の裏側の背中がきしむような強い痛みが生じる。そして午後の3時から4時にかけて背中の痛みと腰の痛みが共鳴した耐えがたい激痛になる。左側は何の痛みも感じない。痛みが完全に右側に移行した状態。前回の昭島の東日本成人矯正医療センターの専門医は、MRI検査結果に踏まえて、左側の激痛が右側に移行して、歩行が困難になる症状になると「腰椎変性すべり症」が重態化して、手術以外の治療法がなくなる。それを避けるためには、適切な保存療法の実施が必要との診断所見を述べている。
 心配しているのは、激痛発作が頻繁化して歩行が困難になること。今後の治療のあり方をどうするのか、医療センターの専門医に相談したい。」
 この訴えて対して医者からは医療センターの専門医の診察・検査を行うことが約束されました。また、医務職員からは、背中の痛みが内臓からの痛みかどうかは、今後血液検査を定期的に行って、炎症があるかどうか検査する。今回はそれも含めて医療センターの専門医の診察と検査で見てもらうようにする。また、今後、脳外科の専門医の診察と検査、指の腫れ物の細胞検査の実施など、それぞれの診察と検査を順次実施することになると通告してきました。
 以上の通り、懸案の診察と検査は今後順次実施されると思います。その結果をまずは見て、今後の医療処遇の要求を具体的に検討していくことが必要だと思います。しかし、処遇改善の大前提として、懲役作業時間の短縮と、運動時間と回数増加を勝ちとっていくことがとても重要な課題になっていると思います。この点では、府中刑務所で下獄闘争を闘いぬいた福嶋昌男さんの経験からも、また、須賀自身の医療センター在監時の経験からも「養護工場の処遇」制度の適用が実際に行われてきているのであり、須賀の「腰椎すべり症」の悪化を少しでも食い止めるための最低限の改善要求です。これはひとり、須賀のことに止まらず、高齢で障害を持った受刑者全体の大いに普遍性をもった改善要求であり、須賀もそういう意義を踏まえて訴えています。そのうえで、実施される諸診察と検査の結果を踏まえ、須賀とともに必要で正当な処遇改善を医師団、弁護団、支援一体となって勝ちとっていきたいと思います。今後ともご支援よろしくお願いします。



 獄中からの手紙

政権はいよいよ、そして一気に
崩壊期へ踏み込んでいくと実感

水戸刑日誌(38)  水戸刑務所在監 十亀 弘史

 暖冬でした。いつもは出来る手の霜焼けも、小指のほんの一部にしか現れませんでした。ひたちなか市の最低気温は一度だけマイナス5度になりましたが、他の日は0度前後。これで厳冬期をやり過ごせたのですから、ほっとする外ありません。
 ただ、この冬、環境的には一つだけ憂鬱な状態に遭遇しています。獄舎の外壁の塗装(と多分地震によるクラック潰し)のために窓の外に工事用の足場が建てられてしまったのです。その上に、作業のために足場を通る人たちと房内の私たちが何らかの意思疎通をするのを防ぐため(!)として、窓の内側にビニール紐を編んだカーテンのようなものが貼り付けられてしまいました。それらによって、独房の内と外は、.咼法璽詆蓋把螢ーテン、▲▲襯潺汽奪形襪箸修粒阿離好繊璽訐縮峺佑氾干併辧↓E乾僖ぅ廚氾感擇氾竿陳模で構成された足場、い修梁場の外側を覆う目のこまかい網によって四重に遮られることになりました(さすがに通常の目隠し板は外されて足場の通路の上に移されました)。
 冬の南側の独房の大きな慰めは、窓から斜めに射し込んでくるオレンジ色の陽光です。それによって、房内の明るさと暖かさが相当快適に保障されます。この冬は正月に入ってから後、その恩恵を受けることがありません。常に薄暗く、寒々として、朝焼けも夕焼けも、月も外景も、ただうすぼんやりと目に映るだけです。そして、そのうっとうしい現状がいつまでも続くのか、皆目見当がつかないのです。だいたい、建設労働者の人手不足のせいか、工事に携わっている人をほとんど見ることがありません。〈労働者との意思疎通〉どころではないのです。たまに二、三人が作業しているのを、行進中などに目の隅でとらえることがありますが、工事は本当に進んでいるのか。刑務官に訊いても「うーん、いつ終わるのかなあ」と返されるばかりです。くっきりとした空を、早く房内から目にしたいと思っています。
yjimage
 一方でその埋め合わせなのかどうか(まあ、そんなはずはないですが)、正月前後に珍しくおおっと思えるDVDが3本放映されました。その中でもベストは『焼肉ドラゴン』(鄭義信監督)。日本が戦中から戦後60年代にかけて、在日朝鮮人に対してどれほど非道なことを押しつけてきたのかが、鮮やかに把握できる作品です。泣かされ、笑わされ、そして日帝に対するしっかりとした怒りが残りました。強く胸を打つ、おすすめの映画です。
 その次は、こんな作品をよく選んだなあと、ちょっとびっくりした『止められるか、俺たちを』(白石和彌監督)です。1970年前後の若松孝二プロダクションの活動を劇映画として描いたもの。ただ、音声の状態が悪く、私には、セリフの大方が聞きとれず、ストーリーが追いきれませんでした。老化は大いに耳に来ているようで、テレビのしゃべりの中身が、このところ相当に聞きとり難くなっています。
 さすがに各局のアナウンサーとEテレ日曜日の寄席に出てくる落語家たちは、語りのプロだけあって、何を話しているのかはっきり聞きとれます。しかし、その他の番組では、時々画面に字幕を出したりしています。まあ『とめられるか』では、セリフは判明せず(DVD放映では字幕は出ません)、最後に若い女性が亡くなる理由も理解できませんでしたが、とにかく70年前後の熱さはひしひしと伝わってきました。それと、当時の私の職場(ATG)の周辺で顔を見たことのある映画人の皆さんが次々と出て来て、本人に似せた俳優たちの演技に楽しく笑わされました。
 もう1本は、『ペンタゴン・ペーパーズ』(スティーブン・スピルバーグ監督)です。ベトナム戦争の理不尽さを自ら詳細に記録していたアメリカ国防省の最高機密文書を巡る実話を映画化しています。その文書を入手したワシントン・ポスト紙が、それを暴露するかどうか散々迷った末に、ついに覚悟を決めて報道に至る、というストーリーです。ただ、映画では、新聞社の社主(メリル・ストリープ)と編集局長(トム・ハンクス)、つまり、最高幹部たちが政府への屈服を拒否した、と強調されていて、その抵抗を引き出したはずの新聞労働者たちの闘い(さらに、新聞社外の労働者・市民・兵士たちの反戦闘争)が少しも描き込まれていません。〈民主主義は上から〉という感じで物足りませんでした。
 ところで、安倍政権が、新型コロナウィルス対策として、全国の小・中・高等学校の明日(3月2日)からの一斉休校を要請(ほとんど強制)したとされています。情報が限られていますので全体を判断することはできませんが、安倍による、労働者とその家族に対する最悪の強権的な犠牲転嫁と思えてなりません。しかも背後にオリンピックの強行が意図されているようです。子どもたちとその子の親たちの深刻な窮状など最初から頭にありません。政権はいよいよ、そして一気に崩壊期へ踏み込んでいくと実感される事態です。
 もう一つ「やまゆり園事件」の裁判にも注目せざるを得ません。今進められているのは、事実を明らかにするという正しい裁判ではありません。もちろん、植松聖被告に対する、犠牲者とその家族たちによる怒りや慟哭の表明は全く正当です。もっと広く、もっと真剣に耳を傾けられるべきです。しかし、その表明は公判の場でなされるべきことではないと考えます。公判では、起こった事実、そして被告がそのような行動や考え方に至った、社会的な経緯や動機や要因こそが、客観的に徹底して明らかにされるべきです。それらのことが、たった3ヵ月の裁判員裁判で解明されるとはとうてい思えません。人間の人間性を根こそぎ破壊しようとする新自由主義の先導者たち、また安倍首相その人こそが、「生産性のない人は生きているべきではない」とする植松被告と並んで被告席に、あるいは少なくとも証人席に着くべきだと考えます。
                            2020・3・1 記

   残刑が一年を切った一月の夜明けの空の親しき光
              十亀弘史(3月1日( 日) 付朝日新聞「朝日歌壇」掲載)


 獄中からの手紙

コロナウイルス流行を利用した改憲策動許すな!

    前橋刑務所在監 板垣  宏

 2月17日付手紙より

米山實則 様 
 面会ありがとうございました。この間の連絡事項として、年賀状に受信記録と76通の不許可通知があったことは、すでに手紙に書きましたので、ご承知と思います。加えて、1月中に6通の不許可がありました。その後、さらに2月17日付けで7通の不許可通知があり、本当に許せない気持ち、怒りでいっぱいです。ただうれしいことに、年賀ハガキの当選(切手シート)が3枚ありました。昨年は1枚もなかったのです。送っていただいた方に感謝です。また、1月の報奨金は6700円でした。
 本とお金の差し入れもありがとうございました。この間、また少し目の疲れがひどくなって(海苔養殖のビニール袋の作製を相変わらずやっているのですが、前にも書いたように、実際の仕事は他の受刑者の作った製品をチェックして、規格どおりに作り直すという仕事です。タコ糸の結び目をつまようじで解き、寸法どおりにまた結び直すという実に細かい仕事なので、目が本当に疲れます)。本がなかなか読めないのが、悩みの種です。
 それでも少しずつ、コツコツと読み進めています。「法律、道徳、宗教はプロレタリアにとってはすべてブルジョア的偏見であって、その背後には必ずブルジョア的利害が隠されている」ということですよね。もう一冊読んでみたい本を見つけました。『道教と日本人』(講談社現代新書)です。ただ1975年刊となっているので、今入手できるか不明ですが、もし入手できるようでしたら、差し入れをお願いします。 では又。

 
2月26日付手紙より
 今日は25日。後数日で2月も終わり、前刑での最後の冬も終わりです。今年は暖かかったためか、思いの外早く冬が過ぎ去った感じです。
 もっとも、暖かいとはいえ、先週グランドに運動に出た時などは、気温は結構高めのはずなのに、前橋特有の風が強く、寒くて震え上がりました。
  暖冬に赤城下ろしの寒さかな 
でも今週は窓下に、タンポポの花が咲き、一足早い春を告げてくれました。
  窓下にタンポポ咲きて冬終わる
 あいかわらず、何の変化もなく、淡々と日々が過ぎていく刑務所ですが、今月末(28日)には、私の工場でちょっとした動きがあります。工場が移転するのです。といっても建物が移るわけではなく、私たち受刑者が移動するわけです。同じ建物の東側の工場へ移るだけということなので大きく変わるわけではないようですが、広さは1・5倍くらいあるそうなので、ことによると人員が増えるのかもしれません。仕事の内容は変わらないと思いますが。
 私が入った頃に比べると、前刑の受刑者数は相当数減っているようで、工場の数も減り、1工場あたりの人員も減っているようです。私の工場も、入所した当時は40人を越えていましたが、現在は30人を前後する程度で推移しており、確実に10人くらいは減っています。
 問題なのは、人員が減ったことで予算が減らされたことを理由として、1年ほど前から食事の内容が極端に悪くなったことです。
 そもそも入所当初から、各刑務所を渡り歩いているベテランの受刑者たちが、「前刑の食事は最低だ」と皆一様に口をそろえて言うほど悪い食事でした。それがさらに一段と悪くなったのだからたまりません。
鳥のから揚げスイカアジフライ

 とにかく、それまでは一応味はともかく、出されていた、いわばメインになるおかず、レトルトパックのものが多かったのですが、煮魚、鶏肉、おでんなどが全く出なくなり、鶏肉やハムカツ、あじフライ等の揚げ物などもなくなり、夏場に出されていたスイカやメロン(瓜)類も出なくなりました。要するにメインになるおかずが減って、今までそれに付け合わせて出されていたような、おかずが今やメインのおかずとなっているということです。しかも質が大幅に落ちただけでなく、量も確実に減っているのです。本当に、いい加減にしろ、と言いたくなります。
 話は変わりますが、新型コロナウイルスの流行が止まりませんね。このままいくと本当にとんでもないことになりそうです。甘く見ないで、できる対策はしっかりやり、体の不調が出たらすぐに医者に行くということでしょうか。ただ今回の新型ウイルスの流行は単なる自然現象ではなく、多分に人災、政治的・経済的要因による点が大きいと思えることです。
 中国政府は当初、新型コロナウイルスへの感染を最初に告発した医師らを「デマをまき散らした」として弾圧し、情報を統制して1月下旬まで、一般の人々には感染拡大の事実が隠されていたと言われ、これが全世界へと拡大した最大の理由だと言わなくてはなりません。
 一方日本政府の対応も、全く後手後手で、むしろこれを利用して、改憲?緊急事態条項の導入をはかる手段にしようとさえしています。こうした危険な動きを見据えて、考えていかなくてはいけないだろうと思います。
 とにかく元気で、この時期を乗り切れるようにしましょう。では又。




「即時抗告棄却決定」弾劾!
   −棄却理由は政治的判断−
                  福嶋 昌男
 3月11日、東京高裁第10刑事部から、主任弁護人の手元に「即時抗告棄却決定書」(3月10日付)が送達されてきました。棄却決定を徹底的に弾劾します。私の手元にはまだ届いていませんが(15日段階)、私が受け取ってから、5日以内の特別抗告申し立てが認められています。断固、最高裁での闘いに臨みます。
 本決定書は一読のところですが、裁判所が追い詰められているのが伝わってきます。本決定書はA4版で14頁です(ちなみに、2017年3月16日の再審請求棄却決定書は21頁でした)。
 本決定書の指紋については約5頁が、筆跡についても約5頁が割かれています。

機)楫萃蟒颪陵由の根拠
1 本決定書は、一審判決書(2006年3月) の「この3組3枚のメモは、その性質上、中核派の構成員の中でも極めて限られた範囲内の者のみが触れ得るものである」を引用したうえで、
|羈貿匹迎賓館、横田基地を砲撃した、
◆癖‥茲蓮法崔羈貿匹旅柔員」であるから、
K楫錣亡慷燭靴討い襦
という、一審判決同様の論理展開を行っています。
2 本決定書は控訴審、上告審について触れています。上告審においては、最高裁は指紋、筆跡に関して「この点に関する判断を示すことなく、決定で上告を棄却し、同決定は同月16日に確定した」(2頁 同決定は2012年3月)と言っています。
 一審、控訴審、上告審とも政治的判決です。特に、上告審は「個人認証の精度に関する一考察」(以下「岸田考察」と略)、「魚住筆跡鑑定書」を証拠採用していないのです。
3 再審における原審も、上記1の「この3組3枚のメモは、その性質上、中核派の構成員の中でも・・・・」の引用を前提にしています。本決定書の指紋、筆跡の理由内容は、原決定の踏襲の上に、「『石川指紋鑑定書』検証報告書」(以下「岸田検証報告書」と略)及び「魚住筆跡鑑定書」の中身に言及します。本決定書は階級的判断に立ちながら、再審請求棄却決定書そして本抗告審の申立書、補充書1〜3の中身に触れざるをえなかったのです。
 供〆匿垣禅畚馘塞佞痢峇濺銚‐敲鷙霆顱
  原決定同様「最適重ね合わせ画像における特徴点のずれの程度を表す方法が岸田解析報告書及び岸田考察とは異なっているものの」(4頁)と「岸田検証報告書」の段階的発展を認めています。
 しかし、他方で「同一の指紋画像を基に同一の手法で比較し、画面上で3組の指紋が一致しないという結論を導き出していることに変わりはない」(同)という矛盾の判示です。「同一の指紋画像を基に」と判示することは指紋鑑定及び指紋認証の否定につながります。
 「最適重ね合わせ画像は…岸田解析報告書及び岸田考察とは異なっているものの」と判示しながら、他方で「同一の手法で比較し」などと判示しているのは矛盾です。このような矛盾に陥っているのは、検証の段階的発展で、現場指紋と押捺指紋のそれぞれの朱印点がずれているのを認め、そのずれを隠蔽しようとしているからです。
 高裁は上記のずれの原因を「2次元座標上で重なり合うかどうかだけで判断しているためであると考えられる」(5頁)と判示します。ここは原決定と同様です。また「控訴審判決は、手指は弾性の強いものであり、指紋は物体に印象される条件等により、特徴点の幅や形状が変化するものであるから」(6頁)とも判示します。
 すなわち、指は弾力があり、立体であるので、指を押し付けると特徴点・朱印点はずれると判示しているのです。しかし、「岸田検証報告書」はいろいろの指紋の付き方を考慮した上で、実験的にも検証しています。判示は明らかな事実誤認です。

 掘〇慳翡Ь擇裡盈汗幅以内の精度について
 魚住鑑定は小島鑑定書の22文字及び馬路鑑定書の6文字の特徴個所を資料等で特徴的でないと否定します。しかし、本決定書は、これまでに、小島、馬路鑑定は肯定されてきている、と判示するのみです。そして、魚住鑑定が指摘する相違個所・字画は、全て個人内変動の範囲と切り捨てています。
 本決定書はこれまでの裁判で「解決ずみ」の旨を判示するのみです。ただ先天的な判示です。
 再審請求において、初めて提出した「学習ノート」はこれまで裁判資料とされていないので、「証拠の新規性を一応認めることができる」(10頁)としつつ、だが「本件ノートは、自然な状態で筆記されたとは考え難く、作為性が疑われるため鑑定資料としては不適切(11頁)との原決定における許しがたい政治的予断を踏襲しています。それは「請求人は、自らの筆跡が裁判において重要な争点となり得ることを知っていたと考えられるから、意識的にその筆跡を変え、かつそれを持続することは十分に可能であったというべきであり」(13頁) に如実に現れています。 
 一審は判決文の結論で、「本件はテロ行為であり」と判示し、裁判所の階級性をあからさまにしていました。
 私は、無実であり、文字を作為などしていないし、客観的にいっても魚住鑑定人も指摘するとおり、「学習ノート」の膨大な字を作為することなど不可能事です。
 本決定書には、原決定が棄却理由としていた、「『岸田検証報告書』の重ね合わせ画像の誤り」に触れていません。大いなる前進です。
 私は、何度もアピールしています。私は、メモを書いていないし、触ってもいません。今後とも闘い抜きます。ともに闘いましょう。


爆取デッチあげ弾圧との闘い (13)

  ―保釈奪還に続き、一審無罪判決かちとる―     事務局

3人出獄
中央で、口を開けて歌っているのが板垣さん、左が十亀さん、右が須賀さん。
東拘門前の様子は現在とまったく、異なっています。
(変わらないのは、差入屋の池田屋さんだけです。写真手前、道路を挟んであります)

 2002年12月19日、東京地裁刑事第11部・木口信之裁判長が、ついに保釈許可決定を行いました。その2日前の17日、弁護側立証が終了、事実審理が実質的に終了したのを受けての、決定でした。しかし、この期に及んでも検察は、即日抗告し、地裁決定の取り消しと勾留の継続をあくまで求めてきました。検事抗告の粉砕を巡って、司法反動の牙城・東京高裁と真っ向激突する1週間決戦が、高裁前座り込み街宣をはじめとして、前回連載で触れたように白熱的にかちとられたのです。『寒梅』172号(2003年1月8日付)で須賀陽子さんが、「とりわけ一二月一九日の地裁決定から二七日の出獄までの約一週間は、息もつかせず走って走って、ついに走り抜けた『激動の一週間』でした」と、感動的な報告をしています。そしてついに、26日夕刻、高裁は大衆的怒りに追い詰められて、保釈決定を行ったのです。 今でも、その日の高揚感は忘れられません 。
 12月27日は、好天気でした。朝から東京拘置所前で、家族を先頭に、支援者たち、友人たちが、胸をどきどき高鳴らせながら、須賀さん、十亀さん、板垣さんの3人の出獄を待ちました。朝一番で、保釈金を裁判所に提出したということもあって、10時前後くらいから待ち始めたのではないかと思います。
 はじめのうちは、朝ご飯くらい食べてから出てくるのだろうとか話していました。そのうち2、3時間も待てば、出てくるんじゃないのかという話になり、門の脇にあった待合室のベンチで座り始めました。それでも、一向に動きがありません。昼が過ぎ、冬の日差しが明らかに傾き始め、冷たい風が吹き始めたのは記憶にありますが、その時間が何時頃だったのか、記憶は定かではありません。最初に門を出てきたのは、板垣さんでした。そして十亀さん、須賀さんの順で、3人の保釈出獄がかちとられました。心からの笑顔と涙の感動的な合流でした。花束を抱えた板垣さんが、インターナショナルを朗々と歌い始め、大合唱になったのが強く印象に残っています。

 歴史的な一審無罪判決かちとる
0325勝利報告集会
花束もビールなども条件付き予約でした。正直、無罪が現実になろうとは、
思いもしませんでした。(3 月25 日 弁護士会館)

 この部分は、『未決勾留16年』本に譲りたいと思います。(63〜64ページ)
 「2004年3月25日、実に176回目の公判において、3人の被告に、一審判決が宣告された。木口裁判長が最初に「被告人はいずれも無罪」と判決主文を読み上げた時に、法廷に爆発した歓喜を忘れることが出来ない。被告は立ち上がって両手を挙げ、全身に勝利の喜びを溢れさせた。弁護人の一人が指で涙をぬぐった。傍聴席から法廷を圧する拍手とワーッという歓声が上がった。一人が法廷を飛び出して、廊下で待っていた数十人の友人たちに結果を知らせた。傍聴席の歓声に少し遅れて廊下にも拍手と喜びの大声がわき上がり、法廷の被告にはそれが最初の拍手と歓声の木霊のように聞こえた。
 一審無罪判決は、実は各論においてはほとんど検察官の主張を容認するという誤りを犯している。しかし、それらを総合し総括する最後の総括部分において、正確で論理的な判断を貫いている。そして結論的に「本件では、取り調べ済みの全証拠をもってしても、被告人らが本件金属製砲弾の信管の開発・製造、炸薬の装填を行ったという事実が、合理的疑いを入れない程度に証明されているものとは認められないことが明らかである」とし、よって「共謀」の証明はなく、「被告人ら3名をいずれも無罪とすべきである」と明快に断じている。要するに、検察官が各論として個々に細かく主張している事柄を全部認めたとしても、そんなものでは到底立証にならない、という判決なのである。この総論部分は、疑問を差し挟む余地のない合理性に貫かれ、胸のすく展開となっている。無罪の判断に一切揺るぎはない。」

ムザイ178号

無 罪! 178号

 本誌178号の目次
 ★朝日新聞を読んでいたら懲罰!?                  須賀武敏
 ★水戸刑日誌                            十亀弘史
 ★大激動の2020 年の幕開けです                      板垣 宏
 ★「『石川指紋鑑定書』検証報告書」の決定的意義           福嶋昌男
  カルロス・ゴーンの国外逃亡と人質司法               村上進一
 ★爆取デッチあげ弾圧との闘い(12)
         十万人保釈署名運動の高揚と保釈奪還へ        事務局
       ★印は本ブログ掲載です。

  獄中緊急発信

朝日新聞を読んでいたら、懲罰!?

          横浜刑務所在監 須賀武敏
 【須賀さんから、先日、反則行為があったということで、懲罰に当たるかどうかの調査をするとの口実で
  隔離されたとの報告手紙が、家族と弁護士のもとに届けられてきました。以下は手紙の抜粋です】 
 今回私が隔離になった理由は、1月24日午前10時過ぎ、矯正指導日の第3時限、自主学習時に、回覧の読売新聞の閲読は許可するが、自弁(自分で購入)の朝日新聞の閲読は禁止されているので、反則行為に該当するとのことです。
 私は、ここに入舎以来、矯正指導日の第3時限あるいは6時限に朝日新聞を閲読したことがあるが、その行為を見ていた刑務官から注意喚起を受けたことは一度もありません。
 確かに冊子の受講要領では、私本、購入新聞は禁止と明記されていますが、ラジオ放送で流される、受講に当たっての注意事項では、「官本、私本を問わず書籍の閲読は認めるが、週刊誌、雑誌、マンガ本、写真集、パンフなどの閲覧は禁止」と、禁止する事項について具体的・網羅的に指示してますが、購入新聞の閲読は禁止との指示は行っていません。
 だから、私はそのラジオ放送の指示に従って閲読したのです。その行為が反則行為に当たるというのです。私はこの問題では、徹底的に、非妥協的に闘い抜こうと思っています。
 前回の懲罰房への転房の時と同様に、私の症状は急変しています。本部での取り調べの後、舎房への帰還中、急に気分が悪くなり、激しい動悸が生じる。舎房で脈拍を測ったところ、通常の2倍、150前後の不整脈が生じていました。
 1月24日(金)から26日(日)までの気になる症状の急変について報告します。
(1) 激しい動悸(「発作性上室性頻脈症」)
 24、25、26日の深夜に生じる。息苦しい。薬を服用すると1時間後に治る。
(2) 夜間の頻尿と睡眠障害
 24日、12回。25日、9回の小便。一睡もできない状況。
(3) 明け方に、いつもより強めの後頭部のしびれと痛み。
 24日以降継続。
(4) 起床後、いつもより強めの右側尻部から腰にかけての座骨神経痛。
 24日以降継続。
(5) 左手の人差し指の「血管肉芽」と思われる、腫れ物の痛みが強めになる。腫れは、第一関節の周りを、一回りするリング状で、赤黒く腫れ上がっている。腫瘍の可能性もある。
(6) 左右両足のむくみ症状が顕著に生じる。下肢静脈瘤の再発のリスクも考えられる。
 明日から作業が開始されます。懲罰房での作業、生活での問題が以下あります。
(1) 腰への過度の負担(長時間同じ姿勢で作業)。実質的に養護工場時の2〜3倍になる。
(2) 歩行できる状況の超短時間化。養護工場時の1/10以下、あるいは1/20。むくみ症状の進行が倍加する。
(3) 全身の冷え症状の長時間化。作業時は、カイロが使用できないので、一日中凍える舎房内での生活が強要される。
(4) 作業時間の長時間化。実質的には養護工場時の2倍化
(5) 医務相談がゼロ化する。私の症状を熟知した医務職員との相談ができなくなる。医療放棄の状況が強制される。
 ここが決定的な危機である。以上の状況が前回同様、4週間継続される事態になれば、各種の疾患の悪化は避けられません。私が一番心配しているのは、座骨神経痛の激痛の再発で、歩行が困難になることです。
反則行為の件の補足
 読売新聞も、購入朝日新聞も、矯正指導の受講教材の「今月の本棚」「生きる知恵」「生きる知識」「健康ミニ情報」と同様に、受刑者の健全な心身を研磨し、社会復帰に向けた改善更生と社会生活に適応する能力を育成する上での必要な情報・知識を提供する最良の教材である。 それゆえ、私本と同様に、自主学習に最適な教材になるかどうかの判断基準を適用して、回覧の読売新聞と同様に、朝日新聞の閲覧を認め、スポーツ紙などの娯楽性の高い新聞の閲覧の禁止処遇に変更することが妥当である。
 そうしないと、朝日新聞を購入した受刑者は、自主学習時に、回覧の読売新聞も朝日新聞も閲読禁止される現在の公平さを欠く不当な処遇を強制される。私本の閲読禁止の改訂と同様な、適切で公平な処遇に変更すべきである。なお、スポーツ紙の購入受刑者は回覧読売新聞を閲読できる。
 なお、横浜刑務所で購読できる新聞は朝日新聞とスポーツ新聞の二紙です。ただし、売店を通して、新聞を差し入れすることはできる。私の養護工場で新聞を購読しているのは4人です。
 今回の闘いの重要なポイントは、「養護工場に係わる法務省令の処遇規程」を横浜刑務所の養護工場に100%適用させる処遇改善を図ることです。そのためにも、上記の省令の処遇規程を入手することが決定的です。
 東日本成人矯正医療センターでは、治療を受けながら懲役作業を行う受刑者の処遇では、受刑者が作業を行うことが困難な状況になったら、当局に申請すれば、作業を止め、安静に過ごす処遇への転換(移行)の許可が認められる処遇になっています。上記の処遇規程が実際にどのような種類のものが存在しているのかを知る必要があります。この省令の入手ができるように頑張ってください。   1月26日 記
 2月17日 横浜刑務所 法務省宛に申入書を提出しました。
       申入書はこちらからダウンロードできます 




 獄中からの手紙


水戸刑日誌(37)  水戸刑務所在監 十亀 弘史

 沢山の年賀状をありがとうございました。三が日は快晴。その明るい部屋でおせちの小箱をつつきながら、ゆっくりと賀状を読んで行くのは、獄中正月の最も晴ればれとした時間です。ちなみにおせちは「本家かまどや」製。22×22×3僂離廛薀好船奪の箱入りで、普通のおせちメニューが大体そろっています。味も悪くありませんが、なにより、おせちだけはせき立てられず、時間を気にしないで食べられますので、それだけでおいしさが3倍化します。これで、きりりと辛口の酒が2合ほどあれば言うことありません。
   ×      ×      ×
 年末に『朝鮮戦争に「参戦」した日本』(西村秀樹著、三一書房)を読みました(お貸し下さった方に厚く感謝!です)。内容は大きく二つに分かれています。一つは吹田事件について、もう一つは朝鮮戦争への日本人の参戦についてです。歴史書というのではなく、毎日放送の記者としての著者の、取材記録といった感じの読みやすい本です。
 吹田事件については、「無罪!」の読者なら詳しく知っている人もおられると思いますが、朝鮮戦争に対する、小さな地方的な内乱ともいえる反戦闘争でした。大阪大学で開かれた反戦集会に集まった人々が、1952年6月24日夜から翌朝にかけて、二隊に分かれて、警官隊と激突しながら、国鉄吹田操作場や吹田駅付近まで、強烈なデモ闘争を展開しました。
Suita_Incident2
国鉄吹田操作場のデモ隊
 デモ隊は火炎ビンや警官から奪ったピストルなどで武装していました。深夜に、デモ隊だけを運ぶ「人民電車」を走らせたりもしています。参加者は、諸説がありますが、学生と在日朝鮮人が半々くらいで、合わせて約700名。負傷者は重傷の者を含めて警官とデモ隊の双方で計50名を越え、逮捕者は事後を入れて200名ほどです。111名が起訴され、「吹田騒(そうじょう)擾罪事件」の被告として、20年の裁判を闘い抜いています。なお、吹田事件と同じ日に、大阪造兵廠の分工場の設備を爆破するなどした枚方事件(ひらかた)も起こっています。また、吹田操車場では、その前50年11月に、40人の国鉄労働者が「山猫スト」によって、朝鮮戦争の軍需列車を止めています。
 この吹田事件については、箇条書きで簡単な感想を書いてみます。
1 なんといっても、現場における学生と在日朝鮮人が手を結んでの、命がけの決起の熱さに、強く打たれます。
2 当時の一審裁判所(大阪地裁)が、その決起に応えるような真摯な生きた裁判を進めたことに驚きます。111人(うち朝鮮人50人)の大被告人席を作り、朝鮮戦争休戦にあたっては、被告たちが法廷で起立・拍手・黙祷をすることを「人間性の発露」として容認します。63年6月の判決も、騒擾罪をはじめ爆取違反なども「成立せず」として、それらについて無罪としました。
3 あらためて、街の中には、戦後革命期から50年代の激烈な現場を、無私の魂をもって不屈に闘い抜いた人たちが、いっぱいいる(あるいは、いた)んだと思わされました。彼らは、スターリン主義の党によって沈黙の中に落とし込められながら、その後の困難な生を誠実に生き抜いています。例えば、吹田事件のデモ隊を先頭で指揮し、今は十三(じゅうそう)で小さな焼鳥屋を営んでいる夫徳秀(ぷ とくす)さんの生涯はずしりと輝いています。夫さんは言います。「朝鮮戦争に反対して、日本人と朝鮮人の気持ちが通い合ったわけ。そういう思いが現在でも必要じゃないのかねえ」
4 その上で、本書ではほとんど論じられていませんが、1950年から53年に至る、日本共産党の「軍事闘争」の誤りが指摘されなければなりません。党は、戦略と展望を欠くまま、多くの青年をばらばらの戦場に投げ入れ、凄惨な苦しみを強いています。しかも、「軍事の期間」が終わると、その闘いの「罪」を全て下部の党員に押しつけ、〈死者の数〉も数えないまま、事実を闇に葬ろうとしたのです。許されることではありません。
  ×      ×       ×
 次に、朝鮮戦争への日本人の参戦については、すでに多くのことが知られています。戦争中に韓国に渡って「国連軍」側で戦争に関わった日本人は8千人とされています。そして、海上輸送や掃海作業などの中で、戦争勃発後半年の間にも56人が死亡しています。日本は文字通り参戦していたのです。
 ただここでは、私が知らなくて衝撃を受けた次の事実についてだけ紹介しておきます。50年12月に、福岡県と佐賀県の二つの国立病院の看護婦に突然「赤紙」が配られました。それは、朝鮮戦争のために、福岡市の近くにもうけられた「一四一兵站病院」への動員命令でした。日本赤十字本社が発したその令状は、真に驚くべきことに、戦中の召集令状と全く同じ赤い用紙と書式によって作られていました。佐賀では「(二度と)戦争なんか行かればせん」と、「泣きながら赤紙を破り捨てた」看護婦もいましたが、16人の「戦時救護班」が構成されます。そして佐賀市役所で壮行会が開かれ、「どの看護婦も戦時中と同じ濃紺の制服に身を包み、飯ごうと水筒を胸にクロスにかけていた」。「『身分保障や待遇はどうなっているのか』と看護婦から質問が出たが『これほど名誉なことなのに』と逆に文句を言われた。万歳三唱に見送られ国鉄で博多駅に向かった」というのです。結局、九州の日赤各支部から合計で96名の看護婦が「国連軍病院」に動員されています。ここには、5年前の日本の敗戦と侵略戦争そのものへの反省など、かけらもありません。赤紙と制服を通して、戦前・戦中と戦後とが隙間なく重なっています。
 私は、その底には、天皇ヒロヒトの戦争責任が一切断罪されなかったことが厳としてあると考えます(日赤には皇族たちも多く関与していたはずです)。それと、「平和憲法」など、その中身を実現する労働者・市民の闘いがなければ、ただの文字に過ぎないということを痛感させられました。
 2020年を、安倍打倒のゼネストを実現する、その数と力を集めきる、めざましい前進の年としましょう。
                  1・5記

   星月夜秩父蜂起の昔より獄ひとやの夜具は赤い縦縞
              十亀弘史(1月19日(日) 付朝日新聞「朝日歌壇」掲載)


 獄中からの手紙

大激動の2020 年の幕開けです

     前橋刑務所在監 板垣  宏

 12月25日付手紙より

 前刑では、年末恒例、年1回の転房がありました。といっても東側の隣房へ移動しただけですから、ほとんど何も変わらないのですが。
 それから布団が(敷き布団、かけ布団とも)新しいものに替わりました。古くからいる人によると3年くらいで替えてくれる」のだそうです。重いだけでちっとも暖かくない刑務所の布団ですが、新しいだけに厚みがあり、前の1・5倍くらいあり、少しは暖かく、この冬を越せそうなので、思わぬクリスマスプレゼントになりました。
 クリスマスといえば、24日の昼にほんの一口で食べてしまえる、小さな小さなショートケーキが出ました。(昨年はオールバナナで、食べでがあったのですが、今年はあっけなく口の中に消えました)。
 「ダ・ヴィンチ」を読みました。たしかにたいした本は載っていませんね。それと字が細かすぎて、かろうじて読むことはできたものの、目がひどく疲れて困りました。かなり視力も落ちてきている感じです。
 それでも、『エネルギー400年史』(草思社、3800円)、『完全版韓国・フェミニズム・日本』(河出書房新社、1600円)、『82年生まれ、キム・ジョン』(筑摩書房、1500円)、『ボクはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社、1350円)、『グレタ―たった一人のストライキ』(海と月社、1600円)など、興味を引く本を見つけることができました。しかし、今のところストックがいっぱいなので、自分で購入しても差し入れをお願いするにしても、当分先のことになりそうです。
 これらとは別に、『時空大戦』1 〜 4 巻( 早川S F 文庫、各1180円)、『ロボ・サイエンス前史』(講談社ワイドKC上下、各980円)というのを見つけました。こういう軽い本ならすぐ読めます。1月後半から順次差し入れてもらえればうれしいです。
 なお、例年通り、年賀のハガキは「おめでとう」しか書けないので出しませんので悪しからず。これが今年最後の手紙になります。今年1年いろいろとありがとうございました。来年もよろしく。
追記
 24日の朝、トイレに起きたら、新月前の28日くらいの、細い細い月が東の空にきれいに光って見えました。なんとなくラッキーな感じです。

 1月9日付手紙より
米山實則 様
 あけましておめでとうございます。前刑の正月は例年よりも暖かく、今までの中では一番楽な正月だったのではないかと思っています。そちらはどんな正月でしたか。
 しかし、年明け早々からゴーンの逃亡というビッグなニュースが飛び込んできたと思ったら、その後さらに、米帝トランプによるイランの軍事指導者の爆殺という超弩級なニュースが伝えられて、まさに激動の2020年の幕開けとなりました。
 ゴーンは何千人もの労働者の首切りと合理化を強行しておきながら、自分は不正に巨額の富をかすめ取っていたという新自由主義の権化のような奴で絶対に許せませんが、日本の司法制度、とりわけ人質司法への弾劾は正しいのでちょっと複雑ですね。
 米帝トランプの行為は戦争挑発というより戦争行為そのものであって、宣戦布告ともいえるものです。そしてこれは北朝鮮に対してより一層の屈服を迫る威嚇行為でもあります。
 世界は完全に「世界戦争」情勢に突入したと言えるのではないでしょうか。これを、労働者・人民の闘いと国際連帯で阻止できるかどうか、否阻止しなければならないのであり、私たちの闘いの真価が問われる年になりますね。「関生」に対する弾圧粉砕、国鉄決戦に勝利することこそがその答えであり、同時に出発点でもあると思います。共にがんばりましょう。

toge4885463688


 さて正月は、「評伝棘(とげ)男」(展望社)を読み、その後「徹底検証神社本庁」(筑摩新書)を読みました。また農業問題としてよくわかる国連『家族農業の10年』と『小農の権利宣言』(農文協ブックレット)を、さらに『生きづらさを抱えるきみへ』(kkベストセラーズ)を読み、『中核』(復刊5号)に手をかけるところで正月休みが終わりました。
 もっと読みたい本はたくさんあったのですが、制約の多い中ではそれなりに充実した読書ができたのではないかと思っています。
 なお、新年号は正月明けに落手しましたので、11〜13日の連休中に読む予定です。差し入れのお願い。『神道入門』(ちくま新書)の差し入れをお願いします。
 では又。いよいよ後1年となりましたが、今年もよろしくお願いいたします。


 1月23日付手紙より
米山實則 様
 暖冬とはいえ、さすがに大寒を過ぎ、寒さが増してきました。でも今年は例年なら11月中・下旬には着込んでいる冬用の厚手の下着(メリヤス)の重ね着をしていません。65歳以上には通常の1枚に加え、増貸与分としてもう一着貸与になるので、それを重ね着するのですが、重く、それだけでも疲れが増す上、それでも寒くて震えが来るというのが前刑の冬でしたので、今年は本当に楽です。できればこのまま3月末まで暖かさが続いてほしいものです。
 差し入れのお願いですが、クラウゼヴィッツの『戦争論』と、これに対する適切な解説書または論文があれば、それを差し入れて下さい。ちょっと急いで読んでみたくなりましたので、よろしくお願いします。     では又。




  岸田「『石川指紋鑑定書』
       検証報告書」の決定的意義

                  福嶋 昌男
 はじめに
 裁判所は私たちの再審請求棄却決定に対する即時抗告に対する判断を3月にしてくるかもしれません。しかし、即時抗告の書面とその補充書1( 筆跡)、補充書2( 指紋)、補充書3( 筆跡、指紋) は裁判所を追い詰めています。
機ヾ濺帖峺‐敲鷙霆顱廚鯆未靴討△蕕燭瓩萄匿垣禅甦却決定を検証
 岸田教授の「『石川指紋鑑定書』検証報告書」(以下、単に「検証報告書」と略)は、2015年1月に提出されました。現場指紋と押捺指紋の朱印点( 特徴点) の相互の位置の違い、ズレが検証されています。
 再審裁判所(東京地裁刑事第3部)は、以下の二つの理由で請求を却下してきました。
   崕鼎郵腓錣算慳羃菫法」の検証・操作が適正でないために、朱印点の位置にズレが生じた、
 ◆ー覦点の位置にズレが生じたのは、指の立体を「2次元座標上で重なり合うかどうかだけで判断しているためであると考えられる」という判示です。
 しかし、この判示は裁判所の抽象的な思いを述べているだけで、科学的な、具体的な理由ではありません。
 即時抗告審では、上記の,砲弔い討聾‐擇虜櫃瞭芦茲鮑鄒し、適正な画像であることを証明しています。△砲弔い討蓮△垢任法峺‐敲鷙霆顱廚「2次元」を考慮して、実験的に作成していることを指摘しています。
 「検証報告書」は「現場指紋と押捺指紋との特徴点の位置誤差要因」を3点あげています。
  指にかけられる力の方向や強弱、▲縫鵐劵疋螢鷄佞里砲犬澣擇啝悗縫ぅ鵐をつけること、台紙に指を押すこと、写真撮影時の画像の大きさの相違。
 「検証報告書」はこれらを考慮しても、「重ね合わせ指紋画像法」は隆線幅1本分以内に両指紋を重ね合わせられた、と述べています。その結果、両指紋の朱印点のズレは隆線幅2本分以上のものがいくつも見られたのです。

 供ヾ濺超擬からの二つのアピール
 岸田教授は、即時抗告審へ二つのアピールを寄せてくれました。
 〇「第4補充書の作成にむけて(2019・8・30)」
 〇『無罪!』新年号(177号)への新年アピールです。この二つのアピールは、却下理由への科学的な批判・弾劾です。
 岸田教授の主張は、次の二つです。
  \仞郢慳羇嫩蟯韻慮蹐
 ◆ 崕鼎郵腓錣算慳羃菫法」 の正しさ
 この立場から、裁判所に迫る重要性を主張しています。
1 石川指紋鑑定官の誤り
 岸田教授は、,之抻,了慳羇嫩蠅砲弔い董⊆,里茲Δ鉾稟修靴泙后
 「従来から受け継がれてきた鑑定方法あるいは個人的に考えられた鑑定方法であるに過ぎない」 石川鑑定官は現場指紋と押捺指紋をそれぞれ独立に鑑定していません。押捺指紋と現場指紋を見比べながらの、現場指紋の読み込みです。この鑑定方法は、鑑定官の恣意が入り込みます。
 石川鑑定官は指紋に朱印点を印すにあたって、両指紋の「隆線数のみからの朱印点」で、相互の特徴点の位置関係を検討していません。即ち、石川鑑定官は現場指紋と押捺指紋の相互の朱印点の「一致」を確認していないのです。そのため、押捺指紋と現場指紋のそれぞれの朱印点のズレは隆線幅2本分以上あります。
 検証報告書は、その結論で「同一人の指紋画像でないことがわかった。その手法の正しさは最新科学の成果によって裏付けられている」と述べています。
 【警察の指紋鑑定は、現在、一指指紋制度です。現場指紋が一指でもその指の特徴点が12点一致したとき、同一人の指紋と判定しています。言い換えれば、特徴点(朱印点) が1点でも違えば同一の指紋ではありません】
2 岸田教授の指紋検証は正しく行われている
 岸田教授は指紋認証の第一人者です。指紋認証は科学であることです。
 「第4補充書の作成に向けて」で、「前回提示された隆線を最大限に活かして画像の倍率と回転による指紋画像( 指紋の隆線を考慮したパターンマッチング) はフォトショップを用いて最大限に押捺指紋と現場からの指紋の一致を調査した結果である」。
 岸田教授は、フォトショップ(ソフト) を用いることの指紋認証は科学であることを主張しています。
 岸田教授は、新年号へのアピールで、「つまり指紋のみで本人認証するためには鮮明な指紋画像、すなわち明確な隆線とそれを重ね合わせることができるのは回転角度と拡大縮小の倍率は必要不可欠な条件」と述べています。即ち、「重ね合わせ指紋画像」法は、現場指紋と押捺指紋の縦、横比を相対的に固定して、「回転角度と拡大縮小の倍率」によって行われています。
 今回提出の動画は、指紋の重ね合わせが適正におこなわれていることを示します。

 掘〇慳翡Ь擇裡盈汗幅以内の精度について
 岸田教授は、指紋認証の精度は1隆線幅以内であることを次のように述べています。
 「1隆線幅以上の誤差は異なる位置の特徴点と見なされ、異なる人の指紋となる。しかも通常の指紋認証は指圧の程度で多少位置が変わるが実験的に見ても明確なように1隆線幅以上の誤差は生じない 」
 岸田教授は検証報告書を「1隆線幅以内の精度」で作成し、その結果、石川鑑定書の押捺指紋と現場指紋のそれぞれの朱印点は、隆線幅が2本分以上ズレているのを検証したのです。

 むすび

 検証は科学的で、適正に行われています。動画は、その適正を示しています。
「現場指紋と押捺指紋との特徴点の位置誤差」が2隆線幅分もズレることはありません。検証は「位置誤差要因」を実験で確認しています。
 【私は今、自分の指紋を用いて、普通の力で押した指紋と強く押した指紋で、隆線にズレのないことを、実験しながら確認しています】
 現場指紋は私のものでありません。私はメモを書いていないし、触ってもいません。
                       2月15日 記



爆取デッチあげ弾圧との闘い (12)

 ―十万人保釈署名運動の高揚と保釈奪還へ―                 事 務 局 
 獄外での救援運動について、少し振り返ってみます。1986年10月の岩手借家での警察権力による暴力的襲撃・逮捕、そして、1年後87年10月、東京拘置所在監時における、再逮捕・起訴をへて、88年から「迎賓館・横田裁判」が始まりますが、これらの逮捕・起訴を受けて、家族を先頭にした、救援運動の組織化が開始されます。
 まず、87年3月に獄内外の交流誌として『寒梅』が発刊されました(05年4月まで発刊され、『無罪!』に引き継がれた)。しかし、「爆取事件」の救援運動ということで、社会的には「左派」「良心的」とされている学者、人士たちの反応は結構厳しく、当初は苦闘を強いられました。
 そんな中、キリスト者の牧師さんが、宗教的信念にもとづいて、家族たちの訴えに応えて救援運動に参加してくださったことが大きな節目となりました。
 89年6月、「迎賓館・横田事件の不当な裁判を許さない会」が結成され、96年には、その会を発展的に解消し、「爆取に反対する会」が結成されます。そして、「爆取に反対する会」が呼びかける形で「十万人保釈署名運動」が開始されます。さらに、00年8月には「不当な長期勾留をやめさせるために十万人保釈署名運動」が39人の呼びかけ人陣形をもって、本格的に開始されます。
 未決勾留が、10年を超えて強制される現実に対して、そのあまりの人権侵害の酷さに社会的にも大きな反響が生まれてきました。同年10月には、自由人権協会に申し入れを行い、「4人に対する長期未決勾留は違憲・違法な人権侵害であり、直ちに中止されるべきである」旨の裁判所に対する抗議の意見書、あるいは声明を出していただきたいと訴えたところ、翌11月には、自由人権協会として4人の即時釈放を要求する「意見書」を提出し、記者会見を開いて公表してくださいました。
 ついに世論が動いた! この確信をもって、直後の12月「知っていますか? 人質司法の実態、無実の4人を取り戻そう12・2集会」を120人の参加をえて成功させました。
0101年有楽町街宣0101年有楽町街宣2
   マリオン前で訴える十亀トシ子さん(左)と須賀陽子さん(2001年)

 その後、家族を先頭に東京有楽町マリオン前での、保釈要望署名運動・街宣を定期的にかちとりました。とりわけ、家族の訴えに対する反響は大きなものがあり、参加した誰もが感動を覚えました。署名は多いときで三時間ほどで300筆を超えることもたびたびでした。
 この署名活動は、02年12月27日に、須賀さん、十亀さん、板垣さんの保釈奪還の直前には4万筆を超え、さらに、04年11月の福嶋さん保釈奪還の際には4万8千筆を超える大きな署名運動として、全国で取り組まれ、この署名運動の力で保釈奪還をかちとったと言っても過言ではないでしょう。
 署名活動は、街頭を中心としつつ、労働組合、諸団体への働きかけなど、全国で、様々な形態での展開が行われました。有楽町での署名活動の際も大きな励ましの言葉をもらいましたが、全国から署名が事務局宛に送られてきた際も、様々な励ましの言葉が添えられており、どれだけ勇気づけられたか計り知れません。
 こうした全国の労働者民衆の声に励まされながら、裁判所への申し入れ行動・署名提出、あるいは国会前での座り込み街宣などにも積極的にうってでました。裁判所の申し入れといっても、実際に私たちに対応するのは訟廷管理官という、苦情処理官ですが、それでも私たちは全力で超長期勾留を弾劾し、即時釈放を要求し、署名簿を提出し続けました。裁判官ではないことに釈然としないし、こんなことをやっても効果はあるのか、などという意見も当初はあったのですが、熱烈に訴えることを通し私たち自身が燃えてきたのも事実です。短期間でぐいぐい集まった保釈要望署名の力を背景にした真剣な訴えは、間違いなく裁判官を追い詰めていることを、申し入れ行動を通して実感することができたのです。
DSCF0130
森山さんを中心に、左右に横断幕、のぼり、ボード
を広げて、街宣・署名活動を展開(02.12.25地裁前)

 未決勾留16年となる02年は、もうこれ以上は許せない!という思いで保釈奪還に向けて、運動は大高揚をかちとりました。11月には、「今年こそは!」との思いで、250人の参加で集会をかちとりました。さらに年末に向けクリスマスをはさんで、地裁前での座り込み街宣を連日かちとりました。掲載した写真に写っている方々の中には、すでに鬼籍に入られている方もいらっしゃいます。とりわけ、十万人保釈署名運動を先頭で牽引して下さった日本キリスト教団牧師であった森山 覆弔箸燹砲気鵝蔽羆)と山野みどりさんは、ガンを患いながらも、連日寒風の中裁判所前街宣を闘い、3人の保釈奪還を見届け、翌年、山野さんは5月、森山さんは11月、相次いで亡くなられました。まさに、命を懸けて不当勾留を弾劾、保釈奪還の闘いに決起されたのです。


ムザイ177号

無 罪! 177号(2020 新年号)

 年頭アピール
 須賀武敏/十亀弘史/板垣宏/福嶋昌男/藤沢抱一/青木秀樹/桜井善作/
 藤井高弘/星野暁子/座覇光子/宮本麻子/鶴田ひさ子/斎藤郁真/
 椎名千恵子/竹見智恵子/吉川健明/花輪不二男/小泉義秀/斉藤征二/
 羽廣憲/山田和広/木村洋一/宮本弘典/松尾光武/早川恵子/岸田悟/
 豊島耕一/須賀陽子/福嶋明宏/十亀トシ子/米山實則

11.3-02
 昨年の11・3全国労働者総決起集会開会、全国の労働組合や団体がのぼりや旗を掲げて登壇。
   中央演壇で開会あいさつするのは、国鉄闘争全国運動呼びかけ人の伊藤晃さん


2020年は、全世界に、      
       日本に革命の夜明けが来る年だ!

          横浜刑務所在監 須賀武敏
 すでに香港で、チリで、韓国で、全世界で、青年が、学生が労働者が決起し、新自由主義体制を転覆せんとする怒りの反乱、ゼネストの大破が巻き起こっている。香港で若者が口ずさんだ抵抗歌は、全世界の人民に革命を呼びかけている。なぜ人々が怒りに震えるのか。日本でこの二〇年間の新自由主義体制下の暴政で、心の内戦で命を絶った同胞は三〇万を超えた。自殺を考えた若者が、子どもたちが、成人、老人が五六〇万を超えた。
 一人が万人のために、万人が一人のために、青年の、働く同胞の溢れる闘魂と団結の力で、今こそ「非正規だけの社会を、労組なき社会」を目指す安倍政権を打ち倒す時ぞ。もうこれ以上、資本家の、安倍政権の暴政に屈するわけにいかない。今年こそ、改憲と戦争の道を選択した安倍政権を打倒する時ぞ。青年が、学生が、女性たちが、二〇二〇年の歴史の舞台に主役として登場し、改憲を阻止しよう。安倍政権を打倒しよう。ともに力を合わせて革命の夜明けの扉を開こう。勝利に向かって前進せん。


反スターリン主義は反帝国主義だ
          水戸刑務所在監 十亀 弘史
 いつもご支援と激励ありがとうございます。残り一年、気を抜かずがんばります。
 この半年ほど、テレビでは連日香港の闘いが、詳しく報道されています。韓国におけるろうそく革命とその後の激闘がこれほど頻繁に報じられたことはありません。マスコミは、アメリカ・フランス・イタリア・スペイン・チリなどにおける労働者の激しい闘いについても、ほとんど伝えようとしません。香港の場合は、中国共産党政権に対するレジスタンスだから、安心してどんどん報道しようということかと思います。
 しかし、安倍政権もマスコミも、スターリン主義との闘いが、すなわち資本主義との闘いであることを忘れています。反スターリン主義は反帝国主義であり、反帝国主義は反スターリン主義なのです。青年たちと警察の激突は、階級闘争の普遍的な姿そのものです。香港の民衆の不屈の闘いは、私たちを強く励まし、胸を打たずにおきません。例えばいま、何より関生弾圧に対して、あのように怒りを爆発させ、あのように行動を広げていきましょう!


「事業は90%をもって半ばとせよ」
          前橋刑務所在監 板垣  宏
  前橋刑務所での受刑生活も3年半を勝利的に乗り越え、残りあと1年となりました。「事業は90%をもって半ばとせよ」という言葉がありますが、最後の詰めが肝心ですから、気をひき締めて、残りの獄中闘争を闘い抜きます。
 安倍政権はいよいよ追い詰められて、星野さんをあろうことか獄中で虐殺しました。さらになりふりかまわず、関西生コン支部への戦前を想起させる大弾圧をかけてきています。同時にJRを突破口とする「労働組合なき社会」攻撃を「働き方改革」として全力で推し進め、天皇代替わり・オリンピックを口実にした「挙国一致」体制でのり切ろうとしています .
 労働者階級は、人民の中に充満している安倍政権への怒りを、今こそ労働組合と労働運動を復権させ、解き放ち、改憲阻止・安倍政権打倒の巨大な闘いを実現しましょう。韓国・香港の労働者人民をはじめとして、全世界で闘う人々と連帯し、新自由主義・帝国主義を打倒しましょう。迫り来る核戦争を止める力は労働者階級の国際連帯の力の中にあります。

資本主義は終わりだ
               福嶋 昌男
 資本主義・帝国主義はソ連スターリン主義を巻き込み、2度の世界大戦を引き起こし、労働者・民衆を殺し合わせた。しかし、大戦中、労働者は団結力でロシア革命を実現した。非正規労働者6割の日本帝国主義はすでに崩壊している。今だからこそ、日本革命だ。
 資本主義・帝国主義、スターリン主義は地球の環境( 大気、海、川、土) を破壊しつくすことで、今日まで「生きながらえ」ている。グレタさんを支え、ともに闘おう。
 労働者の団結力・組合を拠点に生産物と生活・地球環境を奪還しよう! 安倍の改憲・戦争阻止!!
 今年3月、再審裁判所は抗告審の判断をして来るかもしれない。しかし、筆跡、指紋は裁判所を追い詰めている。
 東京拘置所時の「ノート」の膨大な字を偽装などできない。筆跡鑑定官が印した現場指紋と押捺指紋の相互の朱印点はズレている。筆跡も、指紋も私のものでない。勝利へ!!

2020-001
星野文昭さんの命を奪った法務省を弾劾するとともに、星野精神を継承することを誓った
7・5 法務省包囲デモ(2019.7.5東京日比谷公園霞門を出発)
 

  弁 護 団 年 頭 あ い さ つ
獄中闘争がんばれ
    須賀・十亀・板垣再審主任弁護人 藤沢 抱一
 須賀さんは、2018年6月、横浜刑務所に移監され、1年半が経過した。
 胸痛・腰痛外多くの疾患を抱えている。
 診察・検査、その治療を要求して来たが、当局は対応しなかった。
 弁護団からの要求、「かちとる会」「星野救援会」の申入書の提出の結果、当局は検査・診察を実施した。循環器内科の専門医の診察、外部の医師の脾臓・肝臓・膵臓・胃・膀胱・前立腺の検査、又医療センターで整形外科専門医による検査・診察が行われた。今後も必要な医療の要求を行っていく。
 検察庁の証拠品の返還交渉の担当者が変更となったもののその交渉を継続している。
 弁護団会議を2〜3ヶ月に1回開催し、再審に向けての準備を進め、その間3人の面会を行い、協議を実施している。
 本年も支援、協力宜しくお願い致します。


裁判所の虚飾に満ちた言葉への逃げを許さず、再審へ
           福嶋再審主任弁護人 青木 秀樹
 新年あけましておめでとうございます。そんないつもの挨拶をかき消すように、トランプはイランを攻撃して人殺しを命じ、イランは報復のロケット弾を撃ち込み、中露はイラン支持を打ち出したと報道され、これから大戦争に為りかねない情勢になっている。政府は、昨年暮れのどさくさに紛れて中東海域の研究・調査に自衛隊を派遣することを閣議決定し、現在の情勢下でも2月に派遣することは実行すると言っている。自衛隊が調査・研究することも、その必要もないことは分かっている筈なのに、それは押し殺して何としても自衛隊を派遣しようとしている。一方、安倍総理は予定していた中東訪問を取りやめた。何故行かない?
 裁判は、言葉の戦いの側面がある。言葉の意味合いを理解し、相手にも理解させる、相手も同じことをし、その取り交わされた言葉の範囲内で判断がなされる筈である。福嶋再審事件は、裁判所の虚飾に満ちた言葉への逃げを許さず、正確で重みのある言葉で再審の扉を開く覚悟でいる。


  共 同 代 表 年 頭 あ い さ つ
主権者・民衆の急務は安倍断罪・追放だ
                共同代表 桜井 善作
 年頭の挨拶にふさわしくない私事で恐縮ですが、昨年来、私は介護中の妻の緊急入院と、その同じ日に息子のガン再発診断、という老骨にメリメリひびが入りそうな事態に見舞われました。それは、この世の中の無数の不幸の中の一つにしか過ぎませんが、しかし、一人ひとりにとっては、他と比べようもなく深刻な悪夢であることを実感させられました。
 息子と妻を失うやもしれぬ恐怖と、この命に代えても救わねば、との悲願で、気持ちがざわつきます。病院・医師の対応姿勢や、手術治療行為を通じて、アベ・ゾンビ政治の人権・人命無視の実態とぶつかり対決することが生じるかも知れません。
 私は主権者・民衆の急務は、安倍断罪・追放であり、その実現のためには民衆の決起・怒濤デモの連発連波を生むことだと思っています。
 私はこの間、福嶋さん、獄中の三人の皆さんにも一筆の便りも書けませんでした。誠に申し訳なく身の縮む思いです。ご容赦下さい。―会員皆々様のご健康をお祈りしつつ―


世界史的激動に合流しよう!
                共同代表 藤井 高弘
 激動の2020年に突入しました。情勢と時代が、「改憲・戦争阻止!大行進」運動の大きな飛躍を求めています。韓国や香港、フランスや全世界で100万人規模のデモやゼネストが数年来たたかい抜かれている中で、日本の青年、学生、労働組合の総決起こそが求められています。
 「桜を見る会」「モリ・カケ疑獄」「改憲と戦争への突進」等々の腐敗と極反動の安倍政権打倒かかげ世界史的激動に合流する新年の決意をかためたいと思います。
 併せて私たち「完全無罪をかちとる会」は、獄中44年の星野文昭さんを生きて取り戻せなかった無念を胸にきざみ、わが獄中被告団とともに必要な医療・処遇を実現すべく全力を尽くして闘っていく決意です。
 星野国賠・再審闘争は松川裁判(松川運動)的な大飛躍をたたかい取ろうとしています。その星野(大坂)闘争と一体になって、「完全無罪をかちとる会」運動も獄内外ぴったり呼吸をあわせ激動の2020年を共に疾走していきましょう!


sougi-02
告別式で挨拶する暁子さん。右に長兄治男さん、いとこの誉夫さん
(6月8日、杉並・光明院観音ホール)

チョンテイルの母のように
星野文昭さんをとり戻そう!全国再審連絡会議
               共同代表 星野 暁子
 須賀さん、十亀さん、板垣さん、いいお正月を迎えていますか? 刑務所のおせちは豪華だそうですね。おせちとお菓子とみんなからの年賀状で楽しんでください。
 文昭が亡くなって7か月が過ぎました。文昭が亡くなったことで求められている転換とは? 飛躍とは何なのだろうということを考えてきました。それは、チョンテイルの母のように、労働者民衆の母になることです。文昭のすべてが大切であったように、労働者民衆のどんな痛みも自らの痛みとして感じ、ともに闘うということです。
 同時にそれは私が星野文昭になるということです。文昭のもっともすぐれた資質は「人のために生きる」ことでした。 今年も決意新たに頑張ろう。

2020-003
3 学生の無期停学処分撤回を求める集会で、被処分者を校外退去
させようとする大学職員を学生の団結の力で撃退!(12.10 京大)


誰にもわかるような転換・反撃の年にしましょう!
              全学連前委員長 斎藤 郁真
 明けましておめでとうございます!
 『日本経済新聞』の元旦1面が「逆境の資本主義」であることからもみてとれるように、世界中で激発する民衆の闘いに支配者たちは震え上がりながら新年を迎えたようです。日本では、いよいよ安倍政権の任期も限界に近づき、またカンフル的な経済政策の限界が露わとなりつつある2020年です。
 世界的な技術・資源の奪い合いと潰し合いが激しくなるなかでどの国でも「民主主義どころじゃない」状況は強まっており、既存の政治レジームは動揺し、それによってこれまでの視点では捉えられないイデオロギー構造も生まれてきています。
 安倍政権はしゃにむに凶暴性を強めるでしょうが、それは新たな時代を迎えうつこちらの構えしだいでチャンスとなるでしょう。いよいよ今年を、日本階級闘争の誰にもわかるような転換・反撃の年にしましょう!
 全学連は京都大学の仲間たちを先頭にがんばります。今年もよろしくお願いします。

この社会を転覆したい!
 3・11反原発福島行動実行委員 椎名 千恵子
 すでに自衛隊の中東派遣の既成事実を重ねている安倍政権です。復興五輪の成功で一気呵成にフクシマ抹殺をして戦争へ疾走する流れを、3・11反原発福島行動20の成功で打ち砕かなければなりません。
 今年は沖縄県宜野湾市、「チーム・みどりが丘1207」のお母さんの参加が決定し、福島のお母さんの怒りと並び、子どもの命と未来を守る闘いを訴えます。沖縄の子どもは、空からの落下の不安と基地の存在の間で「自分は半分アメリカの人だから、自分も悪いのか」( 手記より) と苦しみ、福島では、甲状腺がんの子どもにも、文科省副読本で「放射能の安心・安全教育」をする。許しておけない現実です。
 獄中同志の果敢な闘いと共に、この社会を転覆したい。切に願う年頭となりました。

全臨時労働者組合結成50周年記念誌を刊行
     合同・一般労働組合全国協議会
                  事務局長 小泉 義秀
 疱疹の痛み残りて去年今年
 「全臨時労働者組合結成50周年記念誌」の執筆・編集の中で帯状疱疹にかかったのが9月。2か月の治療を経て、痛みはほとんど無くなったものの、まだ帯状疱疹の痕は残り、ちくちくした感覚は年を越しそうだ。
 全臨時労働者組合が結成されたのは1969年10月19日(土曜日)。その50周年を記念して集会を行い、記念誌を刊行した。30冊限定で、集会参加者に配布し、そこでの討議に踏まえて、プロの編集者とデザイナーの力を借りて、2020年冒頭に「増補改訂版」が刊行される。300頁を超える、本格的な本だ。非正規職撤廃闘争の原点的運動であり、内外に与えるインパクトはあると確信している。

20200101関生弾圧粉砕元日デモ
関西生コン支部弾圧粉砕元旦行動  労働組合、各団体400 人がのぼりを翻し、
大阪府警本部へ向かって「弾圧やめろ」「仲間を返せ」と訴えて、デモ(2020. 元旦)

憲法改悪を阻止し、侵略戦争への道をとめよう!
            動労西日本書記長 山田 和広
 日本帝国主義・安倍は、関西生コン支部やJR職場に限らず、全ての職場で労働組合をつぶし、全員を非正規職にする激しい攻撃をかけてきている。動労総連合を始め闘う労働組合の組織拡大を勝ち取ろう!
 さらに、安倍は、1月1日に日本帝国主義の「国づくり」と称して、アジア・中東地域への再侵略戦争をおこなうと宣言している。絶対に許すことはできない。憲法改悪を阻止し、侵略戦争への道をとめよう!
 自治体職員全員を非正規職員にし、1年任期で問答無用に雇い止め解雇する、会計年度任用職員制度を粉砕しよう!

自らの怠惰と怯懦と向き合い
            関東学院大学 宮本 弘典
 須賀さん,十亀さん,板垣さん,福嶋さんに対する憎悪裁判を目の当たりにして,国は政治的意思や思想の弾圧ばかりか,物理的な暴力による人身攻撃をも辞さないのだということを改めて思い知らされた。さらに『国民を殺す国家』(前田朗・耕文社)の叙述のリアリティを再確認させられたのが,星野さんの非業の死である。
 「国民を守ると称する国家ですが,実は一部の人々の利益追求のために,多くの国民を 犠牲にするものです。それに抗して声を上げようとすると,かつては虐殺されました。… 政治的意見で葬られるだけではありません。…日本という国では,国民は粗末に扱われ,踏みつけにされ,放り出されます。公然と文句を言うと弾圧されます」
 この平明で自明な理を実感するために,皆さまとともに自らの怠惰と怯懦と向き合います。


  家 族 か ら み な さ ま へ
ゴーンの「逃亡劇」に思うこと
                     須賀 陽子
 新年早々、日産前会長のカルロス・ゴーンがレバノンに逃亡したとのニュースに接しました。元米陸軍特殊部隊員らを雇い、木箱に隠れて空港の保安検査をすりぬけるなど、まるで劇映画のよう。これを見ていて、ゴーンのような大金持ちはその気になれば「法の抜け穴」をいとも簡単にくぐり抜けられるのだと痛感せざるをえませんでした。
 赤っ恥をかかされた日本政府は、保釈したのが間違いだったと「人質司法」の一層の強化や入管体制の強化に動こうとしているが、その結果苦しむのは私たちのような冤罪被害者や貧しい外国人労働者。それだけは許してはなりません。
 安倍政権も、ゴーンのような人物も含め、労働者民衆の犠牲の上に金と権力をほしいままにしてきた連中のすべてを民衆の力で打ち倒す時代が来ています。2020年をその第一年とするために闘いましょう。

体中ガタがきていますが…
                     福嶋 明宏
 新年明けましておめでとうございます。
 私も74歳になります。2年前から黄斑変性の治療を受けていますが、うまくありません。体中あちこちガタがきていますが、だましだましやっていく以外ありません。よっぽど兄貴の方が健康体なんじゃないかと思います。
 さて、昨年も言ったかもしれませんが、私は全学連が大好きです。前委員長・斎藤郁真さん、新委員長・高原恭平さん、大いに期待しています。
 チェ・ゲバラも大好きです。タバコも、ゲバラの肖像がデザインされた「チェ」をのんでいるくらい好きです。
 今年も兄貴共々よろしくお願いします。


20191214川崎集会・デモ
「排外」・「国益」に屈しない12・14 川崎集会&デモ。改憲・
戦争阻止!大行進神奈川を先頭に川崎駅までデモ)


世界中の闘いに応え日本も
                     十亀 トシ子
 あけましておめでとうございます。
 ことしはいつにもまして激しい年明けになりましたね。世界中で戦争含みの状況が進行し、労働者民衆の激しい戦いも継続して闘われています。世界中の闘いに応えて日本の闘いも前進させたいですね。
 さて板垣さんと十亀は残刑が1年を切りました。最後の1年、病気をせず、無事に出てこれることを願っています。1986年10月12日の逮捕から今日まで、たくさんの方々に支えられて闘いを貫くことができました。本当にありがとうございました。
 とは言え、被告団としては須賀さんの奪還まで気を緩めることなく闘っていくことが求められていると思います。どうぞ、みなさま、今後ともご支援をよろしくお願いします。

ムザイ176号

無 罪! 176号

 本誌176号の目次
 ★ついにカイロ購入とマスク着用許可かちとる             須賀武敏
  水戸刑日誌〔番外編〕                       十亀弘史
 ★刑務所での結核の流行とは!?                   板垣 宏
 ★「地球温暖化」の根拠について 
   『熱学思想の史的展開』と自然の循環と社会の循環をつなぐ     福嶋昌男
 ★BIGDATAはBIGBROTHERか              森川文人
  シャバで暮らせば
         「代替わり」を機に天皇制からの脱却を         竹見智恵子
 ★爆取デッチあげ弾圧との闘い(11)
         東京拘置所で初めて5 度にわたる医療鑑定をかちとった   事務局
       ★印は本ブログ掲載です。


  獄中発信第76信

ついにカイロ購入とマスク着用許可かちとる

          横浜刑務所在監 須賀武敏
yokokei

 朗報が一つあります。ついに当局はカイロと手袋の購入、使用許可を決定しました。工場に出役する受刑者にカゼが流行し、一人また一人、病舎に移監されています。カゼとインフルの流行期に入ったので、当局もその予防に対処せざるを得なかったのでしょう。早速、11月26日(火)にカイロと手袋の購入申請をしました。カイロは一日2個まで居室内での使用が許可されました。カイロの購入は毎月2回の特別購入日に1袋(10個)の購入ができます。差し入れも2袋(20個)も可能です。
 それに、11月27日(水)、インフルの予防接種が実施されました。今回は65歳以上の高齢受刑者が対象です。順次、その対象者が拡大すると思います。横浜市当局が無料でインフルの予防接種を実施するのはありがたいことです。たぶん、横浜市当局は市内の名所・名跡の見学ツアーの対象に「横浜刑務所」も入っている(可能性)関係上、その配慮のために実施している可能性もあります。
 なんと、11月には大勢の見学ツアー一行が12回も横浜刑務所にやってきているのです。本当に驚かされます(笑い)。
 この間、11月28日(木)から11月30日(土)にかけて、朝日新聞記事の一部墨塗り削除がなされています。特に11月30日(土)では、社説の下段(3段)が全面墨塗削除されています。異常な検閲状況です。
 11月28日(木)、29日(金)は社会面で3段にわたる記事が削除されています。たぶん、横浜刑務所に直接関連する記事だと思いますが、全面墨塗の検閲による削除は異常です。
 このかん、『救援』第605号に掲載された猯悪な獄中医療許さず、須賀武敏さんの命を守れ!瓩竜事が、私以外の受刑者に届いた『救援』では、全面墨塗削除がなされています。
 11月28日(木)『無罪!』の一部削除の「同意サイン」をしました。12月3日(火)に交付予定です。この『無罪!』の他の同志の掲載文章全面墨塗削除も異常な検閲です。やはり、重大問題化すべきです。医療センターでは一行も削除しなかったことを考えると、横浜刑務所当局による新処遇法の趣旨を逸脱した、違法な検閲処遇です。次回弁護士面会で、この問題についてどう対処すべきか、相談することにします。
 戦後体制の脱却を掲げて登場した安倍政権は、戦前の政権・軍部と同様に、防共軍事外交路線の基本にたって、対北朝鮮、対中国に対する戦争政策を、アメリカトランプ政権以上に率先して推進しようとしていることです。インドを含めたアジア・太平洋戦略の推進をトランプに進言したのは安倍です。この軍事外交路線については、与野党問わず、マスコミも含めて犁鷙餔戝廰瓩箸い状況になっています。
 この間の韓国の戦犯企業・三菱徴用工への謝罪・賠償要求などに対する韓国・文政権へのマスコミあげてのバッシング、まさに戦前同様、マスコミ各社が犢餘廰瓩鯊緤曚垢襦△△襪い論菫りして犢餘廰瓩鮗臂Г垢襪箸い状況になっています。
 一握りの支配者のための労働者民衆を殺し合わせる来たるべき帝国主義戦争の本質は、結局最後は反社会的犯罪者に等しいボリシェヴィズム・共産主義を撲滅する戦争・階級戦争に行き尽くし、行かざるを得ない。なぜなら、共産主義は未来の途方もない脅威なのだ。共産主義は資本主義体制の息の根を止める墓堀人だからです。
 だから、安倍政権の改憲攻撃は資本主義社会の私有財産制度の根幹をなす、賃金奴隷制を維持するために、社会体制の崩壊的危機の現実化、労働者人民の社会体制の抜本的変革を求める階級的怒りと闘いのエネルギーが爆発する脅威が差し迫ってきたが故に、それを予防反革命的に圧殺し、鎮圧する攻撃と一体です。
 関西生コン支部弾圧に見られるように、資本家の利益・利害を擁護するために、国家的暴力を行使して、憲法上の労働者の基本的権利と自由を根こそぎ剥奪し、資本家と国家に対し抵抗する労働組合運動を根絶し、「労働組合のない社会」、解雇自由と過労死、貧困を強制する「非正規だけの社会」を目指す攻撃です。絶対に粉砕しよう。                      12月1日 記
〈事務局から追記〉
 12月11日の須賀陽子さんの面会によれば、マスクの着用も認められました。マスクは毎日1枚が支給されます。これらの処遇改善は、闘いによって獲得した大きな地平です。この夏の、「須賀さんの命を守れ!」という要望書署名運動、申入れ行動など横浜刑務所への強力な闘いが切り開いたのです。獄外の闘いに意気揚がる須賀さんは「刑務所長宛ての嘆願書、監査官に対する口頭での提起、視察委員会への意見・提案書の提出、内科医の診察での訴えなど、徹底的に闘い抜いてきました」(須賀さんからの手紙)。この闘いは、ひとり須賀さんの問題ではなく、横浜刑務所全受刑者、とりわけ高齢受刑者の命に関わる処遇改善であり、重要な勝利です。今後とも、獄内外一体となって、命を守る獄中処遇の改善をかちとっていきましょう。




 獄中からの手紙

刑務所での結核の流行とは!?

     前橋刑務所在監 板垣  宏

 11月14日付手紙より

 11月10日付けの手紙を13日に受け取りました。ありがとう。10日は朝から冷たい雨が降って寒く、工場でも初めてメリヤス(下着の上だけですが)を着ました。又、13日には工場で朝の2時間ほどストーブが点火されるなど、次第に冬らしくなってきました。
 大分寒くなってきましたが、ここでカゼなど引いて回復が遅れたりすることがないように十分気をつけてくださいね。
 25日に面会に来てくれるとのこと、これは大変うれしい知らせです。久しぶりなので今から楽しみです。また、20日に保護観察官と米山さんを含めて、会うそうなので、この点もよろしくお願いします。
 体の調子が良くなったせいか、ずいぶん忙しくしているようですが、あまり急に張り切りすぎて息切れしないようにほどほどにね。
 本は相当いろいろ差し入れてもらったり、こちらで購入したりでかなりたまっているのですが、固い本ばかりなので、今回面会の時に、もし差し入れが可能であれば、「ダ・ヴィンチ」(カドカワ)という本紹介に特化した雑誌(月刊)があるそうなので(『無罪!』の十亀さんの記事に載っていました)その最新号を差し入れてほしいと思います。無理をしなくていいですよ。こちらでも買えるのですが、注文して入手するまでに2カ月くらいかかってしまうので、できれば早くほしいというだけなのですから。
 それと、これもできたらでいいですが、駅への途中にある「ブックオフ」がまだあれば、そこで手軽に安く文庫本を買えるので適当に面白そうなやつを差し入れてください。SF系統のものをしばらく読んでいないので…。
51QDr4r+vQL

  なお、10月の報奨金は6900円でした。全く、一日分にも当たりませんよね。怒りです。では又。 
 25日が待ち遠しいです。
追記
 手紙のパターンが変わったのは、3級から2級になって、発信日が増えたせいです。書く時間があまりないので、全部の日には発信できませんが、増えたこと自体は良いと思っています。


 11月27日付手紙より
 面会ありがとう。久しぶりに「無事!」な姿を見て、ほっと安心しました。手紙では回復基調にあると知らせてもらってはいても、やはり直接会って目で見るとは違いますから。
 たしかに右目は少しはれぼったく、左目より小さく見えましたが、それほど目立つというほどではなく、焦点も次第に合うようになってきたとのことなので、時間の経過とともにさらに良くなっていくことと思います。あせらず回復を待って下さい。太極拳にも行き出したということなので、散歩も含め運動を続けて、体力を取り戻すように心がけて下さい。
 今日(26日)は昨日とはうって変わって、一気に気温が下がり寒いこと、あなたはちょうど良い日に面会に来たようです。もう12月も間近ですから寒くても不思議はありませんが。
 それと今日は、同じ工場から結核の患者が出たということで、工場就業者全員のレントゲン検査等が行われました。私の場合、とりあえずは異常なしです。ただすぐに症状が出るとは限らないので、今後注意するようにとの話が医者から一人一人に言い渡されました。須賀さんのいる横浜刑務所でも同じようなことがあったと『無罪!』に書いてありましたが、刑務所では結核がはやっているようで、ちょっと不安です。
 差し入れの本は目録だけですが受け取りました。同じ日に米山さんからの差し入れの本3冊も入ってきました。感謝です。
 なお、11月11日付けで2通、20日付けで1通の受信が不可となりました。全く許せません。急に寒くなりました。皆さんカゼを引かないようにね。  では又。

 12月4日付手紙より
 今日、3日、先日面会の時に、工場で結核患者が出たためにレントゲン検査があったことを話しましたが、それに関連して、今度は血液検査があったので、一応報告しておきます。
 また、3日、米山さんの面会がありました。保護観察官との面会の話などを少し詳しく話してもらいました。
 11月30日〜12月1〜2日はとても寒くて、いよいよ本格的な冬かと思ったのですが、今日は、けっこう暖かくて、ちょっとひょうしぬけです。とはいえ、冬は冬、カゼなど引かないようにお互い注意しましょう。       では又。




  「地球温暖化」の根拠について 
『熱学思想の史的展開』と自然の循環と社会の循環をつなぐ 

                  
福嶋 昌男
 はじめに
 グレタ・トウンベリさん(16歳)の運動・闘いに触れて、前号に「地球温暖化」の現実化を投稿しました。保釈時の2005年以来になりますが、山本義隆氏の『熱学思想の史的展開』( 現代数学者 1987年2月刊) と槌田敦氏の『新石油文明論』( 農文協 2002年6月刊) を手にしました。  『熱学思想の史的展開』は、結論として環境問題に迫っている、と改めて感じました。『新石油文明論』の方は「自然の循環と社会の循環をつなぐ」の視点から、環境問題とはどのようなものか、を明らかにしています。両書を手にして、グレタさんの運動・闘いの意義を考えました。
機 愬学思想の史的展開』から
 まえがきの終わりには次のことが書かれています。「顧みれば熱学は、その発生の当初から、人間の唯一の生活環境でありまた巨大な熱機関でもある地球の理解を目指して発展してきた。・・・人類の生存条件は、地球のエントロピー・バランスに負っているのである」( 1986年11月)。
【エントロピー : ギリシャ語の「変換」に由来。物体の熱量Qをその温度T(K)で割った値Sを言います。エントロピーの増大 : 高温の物体から低温の物体へ熱( 量) が伝わり、一定の温度になる状態】
 本書は、近代物理学の形成にあたって、熱学と力学は対象領域が異なって発展してきたと述べています。特に、熱学は「地球の解明」をめざして発展してきていることです。「地球の起源は、熱学の起源にまで遡る」( 542頁)。「熱学そのものが力学だけでは捉えきれない地球を理解するための中心的理論として生み出されたのである」( 同)。
 マイヤーとジュールはほぼ同時に熱エネルギーと力学的運動の同等性を明らかにしました。「熱の仕事等量の測定」( 1843年)です。
 エンゲルスは19世紀の3大発見として、細胞の発見、エネルギー転化の法則(「熱の仕事当量の測定」) そして『進化論』を上げています。
 熱学において、理論よりも実用性が先行していました。炭鉱の水を汲み出すために、ニューコメンは大気圧蒸気機関を発明しました( 1711年)。ワットは改良して効率の良い蒸気機関を実用化します( 1765年)。フルトンの蒸気船( 1807年)―スティーブンソンの蒸気機関車( 1814年) と続きます。
 資本家の工場は旋盤をはじめ諸工具の発達とともに、蒸気機関で回転力を工場内に配分します。
 フランスのカルノーは『火の動力についての考察』( 1824年、28歳) で、蒸気機関を理論的に説明しました。水と同じように「熱も、温度の高い所から低い所へ流れ、この温度差が大きいほど熱機関が生み出す動力は大きくなると考えました」(『高校数学でわかるボルツマンの原理』竹内敦 ブルーバックス76頁)。
 【機械、諸工具の発達を主要な契機と蒸気機関との結合によって、1860年ころから産業革命が進行します。イギリス資本主義は1820、30年ころ確立します。
 若きマルクス、エンゲルスは唯物史観の提唱とともに、プロレタリアートといっしょになって、目の前のイギリス資本主義を解明・叙述しました。プロレタリアートの革命の書・『資本論』第1巻が発刊されます( 1867年)】
 本書のあとがきは「実際には、18、9世紀の熱学は、20世紀のミクロ物理学への発展・結合を意図して形成されたのでは決してない。・・・生活環境としての地球を理解するためのものとして産み出したものであり」( 591頁) と述べています。ところが、資本主義の勃興と発達は「熱の動力」とその効率のみを追求し、石炭・石油の燃焼からの廃物・廃熱は毫も考えてこなかったのです。
 本書は、槌田氏の『資源物理学入門』( NHKブックス 1982年刊) を引用して、地球が熱機関であることの重要性を指摘します。何故、地球の「平均気温は15℃」といわれるのか、です。
模式図
 供…氾鳥瓩慮解
 太陽光が地球に注いでいます。地球と社会からの熱は大気と水蒸気の循環で上空にゆき、断熱膨張によって、宇宙へ遠赤外線として放射されます。熱は、地球より大きい空間・宇宙があることによって、捨てられるのです。
 氏は環境問題の解決を次の図で示します。(事務局注 編集の都合で、上図に示しました)
 「地球の温暖化」とは、資本主義社会の利益追求と対抗するスターリン主義の生産力主義からの温室効果ガスによって、熱が宇宙に放出されません。
 北極、南極いわゆる緯度その地域等は関係ありません。地球全体の「平均気温」の増加の問題です。
 放射性物質は上記の循環の外にあるものです。放射性物質は人類・生命と自然と最初から相容れません。

 掘.哀譽拭Ε肇Ε鵐戰蠅気鵑留親
  グレタさんは「金の社会」その「経済関係」は「地球の温暖化」を引き起こしている、と警鐘します。「地球の温暖化」・気候変動は「金の社会」の資本家を筆頭に大人たちが引き起こしており、事態は人類・生命の危機であると。 グレタさんの運動・闘いは資本主義、スターリン主義への批判・弾劾です。  私たちは、この「回っている」―「金の社会」を労働者人民の団結力で止めることができます。労働者階級は現場で、労働力を搾取されていますが、自身はまた主体的に働いています。団結こそ力です。

 むすび

 このたびグレタさんの運動と闘いが、山本氏の『熱学思想の史的展開』と槌田氏の『自然の循環と社会の循環をつなぐ』を結びつけました。
 私たち労働者階級の、地域の団結した力こそが「地球の温暖化」をとめます。実践的に安倍政権、トランプを打ち倒しましょう!         12月13日 記




BIGDATAはBIGBROTHE
           弁護士 森川 文人
1.5-03



 12月5日、東京・弁護士会館で、現代の治安維持法と闘う会主催の「監視社会化は止められるか」と題する学習会が行われ、森川文人弁護士と山本弁護士から問題提起が行われました。2人とも、時代状況への意欲的な切り口での提起がなされましたが、この紙面では、森川弁護士の講演を大幅に抜粋・編集し、掲載させていただきました。(文責 事務局)

 ビッグブラザーというのは、『カタロニア賛歌』などを書いた、ジョージ・オーウェル(1903―1950)という作家が、1948年頃に書いた『1984年』という小説で登場する独裁者のことです。小説では全体主義批判がされています。
 ビッグデータという概念は後で説明しますけれど、現在、事態はジョージ・オーウェルがSF的に描いた世界が現実化していると思います。
 「ビッグブラザーは、いつもあなたを見ているよ」というのが監視社会のテーマなんですが、「戦争は平和である」、「自由は屈従である」、「無知は力である」などと、ダブルスピーチというのかな、矛盾するようなことを、どんどん押しつけて、結局は人に思考を与えずに、屈服させていくという世界が描かれています。今だって、政府が言うことは、真反対のことだし、非常に我々は自由で、便利になったとされているのに、実際はどんどん屈従していくという状況を考えると、今も変わらないと思います。
 この『1984年』で描かれている世界では、自分で記録をつけちゃいけないとか、それこそ、テレスクリーンといった、モニターの前にずっといなくちゃいけないとか、そういう形で監視され、管理され、そして洗脳されていく、ということが描かれていると思いますが、実際今も、ほとんどそういう世界ですよね。
 また、レイ・ブラッドベリーの『華氏451度』という小説がありますが、それは紙が燃える温度で、要するにその世界では、本を読んじゃいけない、本を読むと考えちゃう、考えると抵抗してしまうからと。そういう管理国家化のことを描いていました。その上で、思考や、感情をコントロールするという世界、それが、「ビッグブラザー」の世界で、今はその危険性が非常にあるんじゃないのかと思います。
 今、ビッグデータを集めて、AIで分析すると、本人以上に本人の指向性がわかるなどと言われています。自分の政治的指向性とか、食べたいものが、あらかじめ把握されて自分に勧められてくる。皆さんも経験があると思うんですが、そういう広告が、自分のパソコンに現れてる。何に興味があるのかということに関して、自分よりAIのビッグデータによる分析が詳しくなって、誘導される可能性があるということです。
 監視ということなんですが、今、グーグル検索というのは当たり前ですが、ちなみにアイホンとか携帯というのをほとんどの人が持っていると思います。このアイホンが登場するのは2007年ですからね、わずか12年前です。この12年で、人は、ある意味携帯デバイスに支配されている、持っていることによって監視されている、という世界が訪れています。
 そこで、ビッグデータとはなんなのかというと、何の検索をしたのか、メールを誰とどこでやったのか、コンビニでどういうポイントカードにどういう記録がなされているのか、といった情報を全部マスとして把握して、そこから人々の行動を予測するということのようで、個々のデータそれ自体には大きな価値はないのだけれど、まとまった量になると、人間というのがどういう傾向性を持つのかということが、把握されていく。この40年間で、扱われた情報量が10億倍くらい増えたといわれている。ビッグデータというもの自体が大きな価値を持って、情報銀行とか、そういうことまで言われるようになってきた。
 ところで、顔認証ということですが、このアイホン10というのも顔認証ですから、もう判断されちゃうんですよね。街頭のカメラが、かなり飛躍的に増えている。2015年から、18年の3年間で市場規模が倍増しているということです。おもに中国が世界1
、2位の監視カメラのシェアを持っているようなんですけれど、どこにでも監視カメラがある。中国ではもう、顔で買い物をするという、いわば顔パスですよね。それが可能になっている。逆に顔がパスしない場合もあるんです。そういう形で、人間の情報と顔かたちが完全に把握されてしまうような状況にどんどん近づいてきている、ということです。日本でも、2017年から羽田空港では入国審査システムが、顔認証になっています。来年から成田空港では、搭乗手続きを顔認証でやるから、搭乗券とかパスポートとかはもう見せなくてもいいらしい。そういう話を聞くと便利な感じがするんだけど、便利と危険性が常に裏腹になっているということが、今の世界の特徴になっているのかなと思います。
 中国のアリババというサイトでは、学歴、勤務先、資産、返済状況、人脈、行動から算定して、950点満点で「個人の信用度」を査定する。したがって、高スコアだと金利も安くローンを組めるとか、賃貸するときも敷金不要となり、また、観光ビザの取得も簡単にできるとか、病院の診察も待ち時間も少なくてすむとか、図書館の貸し出しもデポジット不要であるとか。そうすると、逆は逆ということですよね。スコアの低い人は、生きにくくなっていく。
 司法の分野では、AIで、判決を予測するということをやってみたところ、欧州人権裁判所の判決を学習して、予測するAIを構築したところ、人間の裁判官が下した判決と同一の結果を79%の精度で予測したということです。
 中国では、先ほどのスコアリングをさらに進めて、「国民点数」として数値化するというのです。スコアリングして、管理していくというのです。これは、監視国家、警察国家の完成ということです。
 GAFA、つまりグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルですか、要するに、これらの企業が情報という世界では支配しているということです。これは我々が、新自由主義的に分断されて、基本的に孤独の中で、みんなが繋がりを求めてきている。それをどっちがとるのか、組織するのか、ということなのかなと思います。
 ユヴァル・ノア・ハラリという歴史学者が言っているのですが、「自分のことをよく知れ」と言っているんです。自分が何かを思いついたとき、それが本当の意思だと思わないで、それを疑えと。自分は誘導されているんじゃないか、という発想を持てといっている。さらには、組織活動に加われ、ということを言っている。結構、面白いことを言っているんだなと思います。要は自分たちの発想、AIよりも信じられる世界を構築していかなければいけない、ということだと思います。
 テクノロジー自体に主体性があるわけではないので、我々が、そこに主体的にコミットしていって、対抗していかなければいけない。しかし、全体主義になるわけにはいかないわけだから、いかに自己解放していくのかが、大きな課題ですが、テクノロジーの進化は、この10年で今言ってきたようなところまで進んでいるということを、今日は、皆さんと確認できればと思って、お話ししました。




爆取デッチあげ弾圧との闘い (11)

 ―東京拘置所で初めて5度にわたる医療鑑定をかちとった―                 事 務 局
 星野文昭さんの獄中死(肝臓がん)は、断じて許しがたい明白な権力犯罪であり、現在、連れ合いの暁子さんを申立人とする国家賠償請求訴訟がなされようとしています。

下獄者の命を守ることは、デッチあげ弾圧との闘いそのものだ
 この衝撃的事態を受け、「完全無罪をかちとる会」としては、須賀武敏さん、十亀弘史さん、板垣宏さん3人の下獄者の獄中処遇、とりわけ、3人の命に関わる医療処遇問題をあらためて、救援運動における第一級の課題として据え直さなければならないと考えました。デッチあげ弾圧との闘いの主体を守り抜くことです。下獄中であれば、当該の命と健康をしっかりと守り抜くことが、救援運動の闘いだと痛感しました。
 とりわけ、須賀さんは昨年2月に下獄したばかり。まだ残刑が約6年半もあり、満期出獄は、2026年、年齢は、81歳を超えることになります。年月の問題もありますが、須賀さんの場合は、抱えている諸疾病がとても多いということがあります。
 こうした事態を踏まえて、この夏、直接的には熱中症状で倒れる状態に至った須賀さんの命の叫びに応え、「刑務所は須賀さんの命を守れ!」という怒りの要望署名運動をはじめ、弁護団、救援運動による「申入書」の提出、当局への申し入れ行動などを闘いとってきました。
 獄外の闘いに励まされ、獄中の須賀さんもさらに奮い立ち、当局に対する申し立てなど粘り強く闘い抜き、ついに要求していた諸検査と診察をかちとり、さらには、すでに報告したように、冬期の寒さ対策、インフル対策に関する諸要求を実現するまでに至っています。
 刑務所における受刑者処遇は、「監獄法」から「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」へと歴史的な転換をとげたにもかかわらず、処遇実態は、旧態依然的なままであり、須賀さんたちが告発しているように人権侵害・医療放棄=医療虐待がまかり通っており、まさに、「闘わなければ生きていけない」状況が獄中でも展開されているということです。

未決勾留当時の医療虐待との闘いをあらためて振り返る
 未決勾留16年の過程は、「監獄法」の時代でしたが、東京拘置所医務当局の露骨な医療虐待に対して、須賀さんは法廷で裁判官に対して、自己の病状と、それに対する医務当局の医療放棄をつぶさに訴え、はげしく暴露・弾劾し続けた結果、獄外の医者による医療鑑定を、実に5回にわたってかちとりました。東拘始まって以来だそうです。板垣さんの表現を借りれば「公判廷で毎回、須賀さんが自分の病状をありのままにさらけ出し、その鬼気迫る訴えの迫力が裁判官にもわかり、このまま放置したら大変なことになるとその責任問題を自覚したからだと思います」。(『未決勾留16年』本93頁)
 とりわけ、3回目の医療鑑定は、2001年1月に、東京医科歯科大学病院でおこなわれました。前年春頃から胸痛、めまい、吐き気、微熱さらに血便、下腹部の痛みが断続的に続き、便潜血反応検査の結果、臓器内からの出血が生じていることが確認され、原因の早急な解明が必要でした。この状況を放置していたら、裁判所の責任が問われかねない、と裁判所が判断した結果でした。
 鑑定結果は「狭心症の存在は否定できない。確定診断には心臓カテーテル検査が必要。そのためには、約1週間の入院を要する」というものでした。
 この鑑定を受けて、5月再び東京医科歯科大学で4回目の医療鑑定に臨むことになりますが、大学の特別エレベーターの前で、勾留執行の一時停止が告げられたのです。その時のことを須賀さんは、『未決勾留16年』本の中で、以下のように語っています。
 「この瞬間から、退院日である5月12日の午前11時まで、15年間奪われていた「自由」が突然に、不思議なほど静かに、私のもとに戻ってきた。私服刑事は一人も病院には入れませんでした。この時私は私たちの保釈解放の道が必ず開かれるにちがいないと実感しました。15年ぶりに、病棟の最上階にあるレストランで親子3人で一つのテーブルを囲んで一緒に夕食をとることができました。」(96頁)
 こうした勾留の執行停止は、非常に珍しく、須賀さんで3例目だと言われています。
 鑑定終了後、鑑定医の丸茂文昭教授(当時)は、「今回の胸痛などの全身症状は長期拘禁のストレスから来る神経症的なもの。また、左足首の片側の脈がほとんど触れず、血流が阻害されているので、歩行困難な症状は血行障害を伴う座骨神経痛による間欠性跛行が原因。この抜本的治療のためには、入浴や運動の機会を大幅に増やすなどの生活環境の根本的改善が必要。東拘の現在の処遇環境では不可能」との所見を述べました。つまり、保釈解放以外に須賀さんの健康回復の方策はないことを真正面から提起されたのです。
 この3、4回目の医療鑑定と執行停止の獲得は、保釈奪還に向かった決定的節目となったことは間違いありません。実際の保釈奪還(2002年12月)の1年半前の地平はこういうものでした。
いよいよ保釈奪還への情勢を切り開いていった
 もちろん保釈奪還への道筋は、なによりもまず、3人(と福嶋さん)の団結した力で不屈・非妥協で闘いぬかれた裁判闘争の前進が切り開いたものです。また、それがデッチあげに対する怒りを大きくし、広げ、また家族を先頭にした、獄外での救援運動の前進となって勝利をたぐり寄せたことも決定的でした。

記事検索
迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会

賛同とカンパのお願い

 賛同会員になって下さい
 年会費一口 3000円
 「無罪!」を送付します
   郵便振替口座
  00170-2-279274

 連絡先 〒105-0004
  港区新橋2-8-16
   石田ビル4F
  電話03-3591-8224

メールアドレス
 hosyaku@mte.biglobe.
 ne.jp

4人に激励の手紙を

 十亀弘史さん
 〒312-0033
 ひたちなか市大字市毛
       847

 板垣宏さん
 〒371-0805
 前橋市南町1-23-7

 須賀武敏さん
 〒233-8501
 横浜市港南区港南
      4-2-2

 福嶋昌男さん
 〒105-0004
 港区新橋2-8-16
     石田ビル4F
 完全無罪をかちとる会宛
ア ー カ イ ブ

『序局』 第20号
改憲と闘う国際連帯
総合雑誌

安倍を倒し
社会変えよう
 
     Twitter
.
QRコード
アクセスカウンター

    .
    • 累計:

    • ライブドアブログ