何かやり残している
座覇光子(沖縄民権の会・代表)
去年の元旦のことである。
夜、八時頃銭湯へと自転車を走らせた。すると自転車のゴム紐が後輪に巻きつき、車輪が動かない。懸命に直そうとするがだめだった。「どうしましたか。」と、近づく男性に一瞬緊張した。「家はすぐそこですから、ドライバーをもって来ますから待って居て下さい。」と、云って、間もなく戻り、直してくれた。「ありがとうございます。お名前は?」「いいですよ、困っている時に黙って通るわけには行きませんから…」と、さわやかな印象を残して去って行った。新年早々、石鹸でも落ちないチェーンの油をつけて手を汚していたんだ、申し訳ない。段々暖かい気持になってあの道を通る度にあの青年に会いたいと思う。
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一年経つ度に老いの重さを感じ、「老いとの闘いだわ」と云うと「いつ死んでもいいと思うことが、老いに勝つことだよ。」と、体操仲間の76才の男性に教えられた。
そうか!でも私はいつ死んでもいいと云う心境にはなって居ない。何かやり残していることがある気がする。
そうだ!世の変革も実現できていないじゃないか! 沖縄のみならず、オスプレイは私の上に落ちてくる可能性あり。孫の恵奈は泣くだろう。誰であろうとそんな悲劇はあってはならない。
心の目を開いて、困っている人が居たら黙って通り過ぎることのない民衆で、世の中でありたいと切に望む春です。
『無罪!』第93号(2013新年号)より



