怒りと執念で団結してたたかい続けた時、

強大に見えた権力が一気に崩れていった

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須賀陽子

 長い闘いの過程では、「爆弾犯人」の家族ということで「非国民」扱いされたり、仲の良かった友達から一時期、距離を置かれたこともありました。しかしその一方で、「被告家族」という立場に立たされなかったら出会えなかったかもしれない、多くの人と新たに出会いました。その人々の真心と励ましに、どれほど支えられたことでしょうか。中には「こんな人物が」と思うような人も、思わぬところで力になってくれました。

 もうずっと前に亡くなられたので公表してもよいと思いますが、その一例に、須賀が獄中で体をこわした時に医療鑑定を引き受けてくれた、東京医科歯科大学のお医者さんがいます。裁判所が任命した鑑定医で、むしろ「権力側」と見なされる位置にいた人でしたが、鑑定のため入院した5日間を、須賀にとっての「解放空間」とするために、人知れず心を砕いてくれました。一番見晴らしのいい病室に案内し、監視のために病院内をうろついていた十数人もの私服刑事が病室に立ち入ろうとするのを、医者の権限を使って阻んでくれました。最終日には、最上階にある食堂で、権力に知られないまま、私と息子と一緒に親子3人が水入らずで食事をとることもできました。ガラス越しではない面会と、家族一緒の食事――そんな当たり前のことが、実はほんとに大事なことなんだと、心から感じた瞬間でした。

 ちなみにこの時、権力は、電波を飛ばすことが禁止されている病院内でところ構わずトランシーバーや携帯を使い、「あの連中は何様なんだ、暴力団の組員とどこが違うか」と職員の大変な怒りを買ったとか。しまいには「中核派がヘリコプターを使って奪還作戦をやるかもしれない」などと騒ぎ立て、「この調子では日本の警察も終わりだな」とみんなが思ったという話も、後で聞きました。

 こうしたことを思い出すと、このデッチあげ弾圧に国家権力がいかに死活をかけてきたか、それが打ち破られたことが彼らにとっていかに打撃であったかが分かります。これまで闘いをともにしてくださったみなさんに、完全無罪をかちとったという勝利の報告を捧げたい。そして何よりも、不当な有罪判決確定により5年の下獄を強いられている福嶋さんの再審勝利への扉を、3人の裁判の勝利によってこじ開けたいと切に思います。だからこそ勝ちたい! 頑張りましょう。

『無罪!』第98号より

夕空  1