楠山忠之さんの

ドキュメント映画『陸軍登戸研究所』

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十亀弘史

もう10年以上前のことですが、獄中の私たちの所に、映画学校の生徒たち何人かと一緒に事件の取材に来て下さったのが、当時その学校の講師をされていた楠山忠之さんです。7、8年前には、「迎賓館・横田事件の完全無罪をかちとる会」主催の集会で、楠山さんに講演をしていただいたことがあります。

B楠山氏pngその楠山さんが監督されたドキュメンタリー映画『陸軍登戸研究所』が、この春『キネマ旬報』の「2012年(の作品を対象にした)ベスト・テン」の「文化映画」部門で第3位に選ばれました。半年遅れになってしまいましたが、「おめでとうございます!」と申し上げなければなりません。

ちなみに、「文化映画ベストテン」の第1位は『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎』(長谷川三郎監督)です。真正面から国家権力との対決を貫く福島氏の不屈さと迫力は見る人を一気にスクリーンに引きずり込みます。第2位は『を生きる』(土井敏邦監督)で、根津公子さんたち教師3人の闘いを描いた作品とのことですが、私は見ていません。そして、次点(11位)に選ばれているのが『死刑弁護人』(齊藤潤一監督)です。安田好弘弁護士の公判活動と日常生活を追った作品で、ナレーションは山本太郎さん。そして、我らの藤沢抱一主任弁護人もちらりと画面に登場されます。

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その『陸軍登戸研究所』が、映画館での公開開始を前後して、大きな評判をよんでいます。

『週刊新潮』の「夏休み映画セレクション」では、白井佳夫さんが、21作品の中で最高の「85点」を呈しています。

『朝日新聞』は8月23日付け夕刊の映画欄で山根貞男氏の好意的な評を載せ、続いて29日の夕刊では今度は社会面で「陸軍極秘機関 若者が迫る」という見出しを付け、「20代の若者たちが制作の中心を担い、加害者としての戦争に向き合った」と紹介しています。

さらに、私たちはめったに手にしない『クロワッサン』の8月25日号が、目次の下に楠山さんへの短いインタビューを載せています。

そして、インターネットには「上映中の渋谷ユーロ・スペースは立ち見が出る盛況」との報告が出ています。

つづく