刑法(刑事司法)の耐え難い状況

シュペー『刑事裁判官への警告』を読む〔33〕

B DSCF6215冤罪被害と司法の罪

(その6)

宮本 弘典(関東学院大学 法学部教授)

犯罪被害と同じく、冤罪被害が生身の人間の尊厳と現実の生活を根こそぎ剥奪するものであることを、深く認識し共感するまでにいたっているかは別にして、私たちは「知っている」。死刑事件についても、冤罪誤判があることを知っている。現に冤罪を訴えている人々がいることも知っている。死刑には秘密が多いというとき、死刑は秘密を旨として執行されねばならないいかがわしい刑罰であるという現実を,すでに私たちは知っている。死刑の執行を止め、ついには廃止するために、冤罪を叫ぶ死刑囚を救うために、そして冤罪を叫ぶあらゆる被告人と確定囚を救うために、この上どのような議論を必要とするというのか。

必要なのは、先ずは救済の実現である。それを司法が阻むなら、罪は司法にある。

『無罪!』第104号より