新年の決意・弁護団

差戻し上告審で無罪を!

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山本志都(須賀・十亀・板垣裁判弁護人)

差戻前地裁無罪判決の重み

 差戻後控訴審判決は、実行行為の核心部分が明らかになっていないではないか、という被告人・弁護団の主張(私たちはこれを「ミッシング・リンクが存在する」と言っていました)に対して、明らかになっていなくてもいいのだ、と明示して開き直りました。

また、この判決は、いろいろな解釈がありうるものについて、控訴審に至って被告人質問や証人尋問を行うことで、事実の提示を積極的に行ったのにもかかわらず、理由も示さず、その事実主張を一蹴しており、一片の説得力もありません。こんな判決で被告人が納得すると思っているのだとしたら、一般論としても、裁判所は自らの役割を放棄していると言わざるをえません。

たとえば、板垣さんが有罪だとする理由です。ある人物の調書上「3人一緒にいるところを見た」と言ったという記載があることから「その時期に3人1班を形成していたはず」というのが、その最も重大な根拠になっています。しかし、このような薄弱な根拠で、一人の人を有罪にするということがあっていいのでしょうか。

これに対して、一つひとつの事実認定を行う上で「疑わしきは被告人の利益に」という刑事弁護の大原則を踏み外さなかったのが、差戻前地裁判決でした。もちろん、この判決にも明らかな事実誤認を行っている点やもっと被告人・弁護団の主張を取り入れるべきだった点はあるでしょうが、少なくとも、この判決を読むと、大原則を堅持し、その上で、事実認定を行わなければならないという、裁判所の矜持は感じられます。判決の中で整理されている、検察側の主張などは、現在とほとんど変わりません。

そういう意味で、地裁無罪判決の時点で、事実は明らかにされていたのです。まず、この判決の地点まで立ち戻ること、刑事裁判の原則からいったら、有罪判決はありえない、このことを確認することは大事です。

つづく
鈴木たつおともにあゆむ会
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