獄中処遇そのものが腰痛悪化を促進させる要因
横浜刑務所在監 須賀武敏
杉井先生の「意見書」の提示にあたって、改めて獄中処遇がなぜ私及び全獄中者の腰痛の悪化を促進するのか、共通の現状認識に立ち、開示されたＭＲＩ検査結果のＣＤ−ＲＯＭの画像に踏まえた厳正な診断所見の提示を先生にお願いしてください。頼みます。
獄中処遇が腰痛悪化を促進させる要因
（１）
作業時間 ８：００〜１６：００の8時間
昼食休憩は通常 １２：００〜１２：３０
途中休憩は、午前・午後に各１０分間
（２）
作業は前かがみになり、座りっぱなし。長時間同じ姿勢が強制される。作業中に目線を上げる姿勢をとると懲罰の対象となる。監視カメラで作業中の姿勢を常時監視されている。私の席は監視カメラの真ん前。
（３）
コロナ禍以降、工場内運動では、歩行リハビリなどの運動は無理。コンクリートの床に安静になるリハビリはできない。現在、私の工場内でコロナ感染が発生している。昨年と同様、パンデミックになる可能性がある。
（４）
作業中に腰と背中に激痛が生じても、安静にした保存療法（安静横臥）ができない。
（５）
心臓・胃・食道・肝臓・腎臓・大腸などに疾患を抱え、日常的に10種類の薬を服用しているため、鎮痛剤の服用をなるべく避けるように医師に指示されている。
（６）
脊柱管狭窄症と変性すべり症および坐骨神経痛による間欠性跛行などで、50〜１００メートル続けて歩けない。左下肢の筋力低下、しびれと麻痺症状でよちよち歩きしかできない。転倒防止のため車いすが必要。
（７）
あぐら、正座などを5分も続けると、下肢静脈瘤などが原因で、こむら返りになり、座り続けることができない。
（８）
椅子で作業・生活を6時間続けると、腰と背中に激痛が生じる症状になる。平日では午後6時までは安静姿勢をとることができない。
（９）
激痛を緩和するために、平日午後6時から、土日休日など午後1時〜3時まで、午後5時半から安静にする生活をすでに5年半続けていることになる。
(10)不注意に腰を中腰姿勢やひねる姿勢をとると、腰がビリーとして、軽い激痛発作寸前症状になる。
(11)居室の椅子は背もたれがないため、通常より腰に過重な負担がかかる。
(12)姿勢をちょっとでも反った状態にすると腰にビリーとした強い痛みが生じて、激痛発作寸前の症状になる。
(13)雨が降ったり、高温（30度）になるとグランド運動が中止になる。昨年の異常気象・猛暑で、10月になるまでグランド運動がほとんど中止された。この間の平均で、月に3回か４回しかグランド運動ができない状況である。
(14)ストレスになることはないが、この6年間、夜間頻尿（６〜7回）のため、不眠状況が続いている。昼食後、猛烈な眠気が生じて、転倒のリスクが倍加する状況が続いている。
そのため、午後の作業は、白内障による視力低下が通常より促進され、前かがみの作業がさらに促進され、腰に過度な負担をかける状況になる。
(15)医療センターへの入舎時、医師より１時間同じ姿勢で座り続けると、腰痛悪化を促進することになるので、やめるように指示されている。
小便も、便器に座って行うか、背中を丸めて実施するように医師から指示されている。背中を反った姿勢をとると激痛を生じる腰痛症状なので、厳守するよう指示されている。
(16)この3年半、医務相談日に医務職員に説明している私の症状は、以下の通りです。
夜間に立ちくらみ、不眠、左足に力が入らない。起床時のめまい、息切れ、だるさ、胃もたれ、胸痛。作業時の腰と背中の激痛、左足のしびれと麻痺症状、強い痛み、左目の圧迫痛、眼底疲労、視力低下、左ひじの強い痛み、両足のむくみの進行。右耳が難聴気味（左耳は突発性難聴で入舎前より難聴気味）、作業終了後の行進時に左足に力が入らない傾向、夕食後に極度の疲労感と脱力感(コロナ感染の後遺症と思われる)、週２回の血便と左下腹部の鈍痛（最近、強めの傾向）、週2回の、左胸の突き刺すような強い痛みが2カ月間続いている。また、爪の水虫が両足、すべてに生じ、促進されている。
以上です。
6月23日 記
「警察が法を犯さなければ国家を守れないというなら、そんな国家は消えてなくなればいいのだ」
十亀弘史
この間報道が続いている、鹿児島県警をめぐる数々の事件は、＜警察なんてどうせそんなもの＞ではすまない、重大な問題を孕んでいます。腐敗の範囲と深度が、かつてないとんでもない水準に及んでいる上に、その腐敗の構造が驚くほどあらわに暴き出されています。
新聞の記事や、青木理の論考「警察腐敗 内部告発者はなぜ逮捕されたのか」（『世界』８月号）から、事実経過の要点だけをまとめると次のとおりです。
・２０２０年以降、鹿児島県警の警察官による不祥事、とりわけ性犯罪が続発し、そのうち何件かは摘発もされ報道もされていた。
・21年夏に、鹿児島県医師会の男性職員が、女性に対しわいせつ行為を行い、女性が管轄の警察署へ告訴状を提出。しかし、鹿児島中央警察署は告訴状の受理を拒み、被害者を追い返した。実はその医師会職員は、県警の現職警察官の息子であった。県警は、性加害の続発の中で、警察官の家族による新たな性犯罪を握りつぶそうとした。
・そのような県警に対して、福岡のネットメディア「ハンター」が、追及・告発を開始。すると、県警の中からも、藤井巡査長がハンターに内部文書を提供し、腐敗の実態を明らかにしようとした。県警は、今年の４月、地方公務員法の守秘義務違反で藤井を逮捕。
・さらに、主要署の署長を歴任し、生活安全部長に昇り詰めていた県警ノンキャリアのトップで、今年３月に退職した本田元警視正が、札幌のフリーランス記者に、より高度な内部文書を送って、「闇をあばいてください」と依頼。その記者とハンターには交流があった。県警は、ハンターへの家宅捜索で押収したパソコンデータなどから本田を特定し、５月に守秘義務違反で逮捕。本田は、勾留理由開示公判で「県警職員が行った犯罪行為を、野川明輝本部長が隠蔽しようとしたことがあり、そのことが、いち警察官としてどうしても許せなかった」等と述べる。
・野川本部長は、記者会見で本田が言うような隠蔽の「事実はない」と否定、また、藤井や本田は「公益通報者」などではない、とした。
以上が事実の要点です。要するに、腐敗・犯罪→隠蔽→内外からの告発→逮捕という暴力行使→トップの居直り、という流れです。
・これを書いている７月11日の朝刊に、二つの続報が出ています。＜３月に起こした不同意わいせつの罪に問われた鹿児島県警の元警部に執行猶予３年の判決＞というものと、＜ハンターの社長が、家宅捜索は違法との刑事告発を鹿児島地検が不起訴にしたことに対して、検察審査会に審査を申し立てた＞というものです。
警察小説によくある、＜キャリア（野川）とノンキャリア（本田・藤井）の対決＞で事態を語る記事も目にしましたが、そんなものではありません。警察が底の底まで腐りきっている、ということです。そして、その現実を隠蔽するためには、仲間だろうが元仲間だろうが、ためらわずに逮捕し、犯罪者に仕立て上げる、ということです。青木理は、ことは鹿児島県警の問題だけではない、県警最高幹部の一人だった本田らの逮捕には「警察庁がゴーサインを出したのは間違いな」い、と書いています。全くそのとおりでしょう。戦争を前にして、警察権力全体がいっそう腐りきり、でっち上げ弾圧などを含む暴力行使をいっそうためらわなくなっているのです。
そして、一連の事態は、警察権力だけでなくマスメディアの腐敗をも浮かび上がらせています。すなわち、マスメディアは、小さなネットメディアやフリーランスの記者に加えられた家宅捜査や取材源の暴露に、直ちに怒りをもって抗議したり、真摯に報道したりせず、警察の同伴者と化しています。
さらに、これが最も重視すべき点かとも思いますが、ハンターはもう一つの県警内部文書「刑事企画課だより」というのも入手し、公表しています。そこには、あろうことか、要旨＜再審請求などの際に警察にとって都合の悪くなるような文書は適宜廃棄しよう＞と書いてあるのです。つまり、冤罪事件での無実の証拠はどんどん捨てろ、というのです。青木は、これも警察庁全体の意図であろう、としていますが、そうにちがいありません。権力の暴力装置は、徹底して卑劣です。でっち上げとの闘いは、最後は、ブルジョアジーの権力そのものを根元から打ち倒すしかありません。
ところで、馳星周のコミカルかつ無茶苦茶な警察小説『アンタッチャブル』（毎日新聞出版）を読んでいて、大いに笑えるセリフに出会いました。代々木にやってきた二人の警察官の会話です。「最初に公安に配置された新米は毎日この辺りをうろつき回って共産党関係者の顔を覚えるのがしきたりだった時期が長いことあったんだよ」「なるほどお」「（だけど）共産党にはもう国家を転覆する力はない」。そのとおりです。また、違法捜査に悩む一人の刑事は次のように考えます。「警察が法を犯さなければ国家を守れないというのなら、そんな国家は消えてなくなればいいのだ」。異議ありません。
鹿児島県警を典型とするような、卑劣な暴力によって守られている国家を消し得るのは、革命的暴力を否定して実際には警察と歩みを共にしている日本共産党ではなく、まさしく反帝・反スタの内乱を目指す闘いです。
十亀短歌
「右翼急伸欧州を覆う」の横見出し 螺旋を描き始める歴史
十亀弘史（７月７日付朝日新聞「朝日歌壇」掲載）
軍事問題レポート その12
中国侵略・世界戦争＝核戦争を、
起こる前に阻止しよう
板垣 宏
改憲・戦争阻止！大行進東京が、200人で「戦争反対！岸田打倒！ の反戦デモうちぬく
（７月９日新宿）
中国の「核」増強の脅威が叫ばれていますが、米帝はその７倍以上の核弾頭を保有している
日米帝国主義による中国侵略戦争は、人類を破滅へ導く巨大な核戦争として準備されています。７・６渋谷、７・９新宿反戦闘争は、沿道の多くの労働者・人民・外国人の圧倒的な共感を受け、大成功しました。さらなる大反戦闘争を巻き起こし、起こる前に戦争を阻止しましょう。
6月２３日のテレ朝ニュースは、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所（ＳＩＰＲＩ）が１７日に発表した年次評価をもとに、「中国が保有する核弾頭数は去年から９０発増えて推定５００発とし、『どの国よりも早く核戦力を増強している』」と報道し、中国核脅威論を煽り立てています。
しかし、ＳＩＰＲＩの年次報告には、「中国の核弾頭保有数は依然として米露より少なく、世界各国が保有している使用可能な核弾頭の総数は9585発で、ロシアは4380発、米国は3708発保有している」としています。つまりロシアは中国の８倍以上、米国は中国の７倍以上の核弾頭を保有しているのです。核弾道の数ではロシアが多いですが、実戦配備している核弾頭の数ではほとんど違いはないと言われています。核戦争への道を主導しているのは米帝（それに全面的に協力している日帝・岸田）なのです。
実際、米帝はオバマ元大統領が「核なき世界」の実現を目指すと言いながら、「近代化計画」の下に、古い核兵器を解体して最新式の核兵器に変える「核兵器の近代化計画」（３０年間で１・７兆ドルに達する）を進めてきました。トランプはオバマの「近代化」計画を引き継いだ上で、２０１８年の「核戦略の見直し」（ＮＰＲ）で、�＼�水艦発射弾道ミサイル（ＳＬＢＭ）に搭載する小型核戦力を追加（２０２０年２月に実戦配備）、�▲�バマが一旦は廃棄を決めた、海上発射型巡航ミサイルの開発・配備の再開を決めるなど、むき出しの核戦争への傾斜を深めました。
バイデンもこの政策を基本的に引き継いだだけでなく、「核態勢の見直し」（ＮＰＲ２０２０）では、中国が
「２０３０年代までに、米国は史上初めて、戦略上の競走相手であり、潜在的な敵である主要核大国に直面する」と述べて、次のような戦略核の近代化プログラムを確認しています。
�仝醜圓離�ハイオ級戦略ミサイル原潜をコロンビア級戦略ミサイル原潜に換える。�∪鑪�ミサイル原潜に搭載する潜水艦発射ミサイルを最新式のものに換える。��Ｂ‐２Ａ爆撃機はＢ‐２１新型戦略爆撃機に換える。�ぃ臓升毅横版�撃機に搭載される空中発射巡航ミサイルを、核兵器も積める新型長距離スタンドオフ兵器である巡航ミサイルに換える。�ス匐�機搭載型核爆弾を新型のＢ６１‐１２核爆弾に換える、など、米帝の「核近代化計画」とは、単に核兵器やその関連設備の改修・老朽化対策による運用年数の延長に止まらず、運搬システムの一新（ミサイル開発）など、全面的な核戦力のアップグレードを意味しています。
さらに、トランプ政権の下では、小型の戦術核の開発（低爆発力核弾頭と言っても８�船肇鵑發侶絨磴い琉厠呂�ある）が表明され、通常兵器による攻撃に対しても核兵器で報復する可能性を打ち出して核使用のハードルを下げてしまいました。バイデン政権もこれらを引き継いでいます。
日帝・岸田政権の原発・核政策の大転換許すな
日帝は２０２２年１２月に閣議決定した「安保三文書」（国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画）で、「反撃能力」（敵基地攻撃能力）として、スタンドオフ・ミサイルの保有をはじめて打ち出しました。また、これと一体で、「GX（グリーン・トランスフォーメイション）政策を打ち出し、原発の再稼働と原発の新増設と建て替えを打ち出し、原発＝核政策の大転換を打ちだしました。
８・６ヒロシマへの暴処法弾圧は岸田政権が本気で中国侵略戦争＝核戦争を狙っていることの現われにほかなりません。日帝を打倒する以外に、世界戦争＝核戦争を止める道はありません。共に闘いましょう。
獄中への激励のはがきを
須賀武敏さん
〒233-8501 横浜市港南区港南４−２−２
大坂正明さん
〒124-8565 葛飾区小菅１−３５−１ Ａ
松木誉明さん、古郡陸さん、冨山小太郎さん、�眦超播気気鵝∪焦竺抻砲気�
〒730-0012 広島市中区上八丁堀2-6
※ なお、この５人は、不当にも接見禁止処分となっていますので、本人には届きません。領置となりますので、ご承知おきください。
現代科学・技術の問題 第6回
福嶋昌男
シリーズ目次
はじめに
�� 資本主義の形成と近代科学の形成との関係
�� 資本主義における科学・技術の基本的・原理的把握
�� 帝国主義段階における科学・技術の軍事的性格
１ 帝国主義の経済・軍事の要が生産力・軍事力
２ 20世紀初頭までに近・現代産業の基本的土台がつくられた
３ 大量生産‐帝国主義戦争の物質的背景
（1）、（2）以上前号まで
(承前)
�� 帝国主義段階における科学・技術の軍事的性格
自動車の大量生産及び石油精製は飛行機、戦車、潜水艦等の近・現代兵器の産業的・軍事的な基盤です。すなわち、自動車産業は兵力の機械化・動力化を可能としました。そして、マルコーニの無線電信(1896年)は兵力の運用・機動戦を可能としたのです。
（３）大量生産は労働の自己疎外・非人間化の完成であった。
大量生産・大量消費・大量廃棄の基礎は20世紀初頭のフォードの自動車生産及び石油精製にあるわけですが、フォードの自動車生産は二つの原理に基づいています。一つは部品の規格化・品質化、もう一つはそれに伴う労働の細分化です。労働の細分化・単純化、それは資本による労働の組織化です。
労働者が機械・生産ラインに従属し、コンベアに沿って労働することになったのです。この生産ラインは労働のすさまじい単純化・疎外化の完成として現れたのです。労働者が機械の奴隷になっています。
大企業は生産の運用、大勢の労働者を動かす指揮系統とともに、スタッフとしての科学者・技術者を配置します。
大企業の生産ラインとスタッフ及びその指揮系統は労働者の精神的・身体的諸力を奪ってしまったのです。その対極に、資本家はもとより、科学・技術者の姿・役割があるといえます。そして、科学者・技術者は会社の利潤と兵器のために、機会・生産システムの改良・発明に従事していることです。
4 第1次世界大戦
第1次世界大戦では、銃・砲はもとより毒ガス戦でした。ドイツ化学工業は大量の塩素を保有していたのです。(第1次世界大戦は環境破壊に決定的な転機となります)
（１）科学の体制内化
第1次世界大戦では国家・軍事、産業、科学・技術が一体的に推進され、科学・技術が著しく体制に組み込まれたことです。ここに、毒ガス、火薬の化学工業、航空機、戦車と自動車工業等の軍事産業が台頭するのです。
第1次世界大戦での近・現代兵器である毒ガス、戦車、飛行機、戦艦、潜水艦等の産業的・軍事的基盤は20世紀初頭にすでに整えられていたのです。すなわち、それは大量生産のアメリカ的生産システムであるといえます。
大量生産と輸送力は帝国主義戦争でこそ、威力を発揮したのです。
（２）帝国主義列強は大戦をとおして石油の支配を自覚します。
大戦前において、自動車の大量生産は大量のガソリンを必要としていました。自動車の大量生産と石油精製技術は相互に強め合うのです。飛行機のエンジンは高オクタン価のガソリンを要求し、戦車のディーゼル・エンジンは軽油です。更に、戦艦は速度、航続距離の増大にむけて、重油ボイラー、タービンを使用します。
大戦は兵器の動力エネルギーを石炭から石油へと代える節目でした。そしてこのような近・現代兵器の性能、動力化の土台は自動車工業と石油精製技術によります。
自動車の大量生産は流れ作業に基づき、石油精製(分解蒸留法、接触改質法)は温度、圧力、流量等の自動制御技術によります。
大戦の近・現代兵器の土台産業は自動車、石油精製、化学工業、有機合成化学工業等にありました。そして、これらの総合的な工業に共通するものとして自動制御技術があるといえます。
（３）戦後、毒ガスは化学工業に内部構造化
戦後、毒ガスは農薬、殺虫剤、医薬品、肥料等になり、化学工業に内部構造化されます。まさに、化学工業と毒ガスは一体なのです。さらに、化学工業と石油精製技術が結びついて有機合成化学工業を生み出し、この有機合成化学工業はデュポン、カローザスの手で多くのプラスチック及びナイロン、合成ゴム等を作り出すのです。プラスチックスは自然から出でて、自然にあらざるものの画期をなすものでした。しかし、他方にプラスチックは自然破壊・汚染の質的変化を引き起こすのです。
5 第2次世界大戦
帝国主義列強による世界市場の再分割戦はソ連スターリン主義を巻き込む第2次世界大戦として爆発しました。第2次大戦はナチス・ドイツの機甲師団・航空機、日米帝の空母機動部隊に見られる激突、大量殺戮でした。第2次大戦は航空戦争であったといえるのです。航空機は多くの労働者・人民を無差別に虐殺したのです。
原爆は帝国主義戦争の極限で到達したものであり、戦争の絶望的な産物です。アメリカは大戦中に原爆を開発・製造するため、数千人の科学者・技術者を動員しました。軍・産・官・学が総力をあげて原爆を開発するのです。多くのノーベル賞の受賞科学者は、原爆の研究・開発に従事します。アメリカ帝国主義は広島、長崎に原爆を投下しました。ほんとうに許せません。
つづく
須賀陽子さん追悼 みなさんからのお便り
須賀陽子さんの闘いを引き継ぎ、獄壁を越え共に闘います
広島拘置所在監 松木誉明
連日のたたかいおつかれ様です。８・６ヒロシマ暴処法弾圧の一人となりました松木です。
差し入れで、『無罪！』２２６、２２７、２２８号を受け取りました。ありがとうございます。２２８号が須賀陽子さん追悼特集号ですが、あえて２２６、２２７号の順で手にしました。「須賀が歩いて横浜刑務所を出られるように」と、獄中医療・処遇の改善を求めて、国家権力と不屈にたたかいぬかれましたが、陽子さん御本人も歩行が困難になられていました。前進社裏の路地をゆっくりと歩いていた陽子さんに会釈すると、「マルエツまで買い物に行き、少しでも歩くようにしている。須賀が出てくるまではがんばらないと」とご自身を励ますように話しておられたことを思い出します。
２２８号を開きました。「一人になっても、一緒の道を断固貫徹してほしい」。陽子さんの伝言を獄中で引き継ぎ闘う武敏さんに胸をうたれます。
さて、世界は戦争と革命の時代です。私は昨年８月６日、Ｇ７の核抑止を正当化する岸田首相の平和記念式典出席を弾劾したカドで「集団で広島市職員に暴行した」と弾圧され、広島拘置所に勾留中です。今年は平和公園を封鎖し、反戦反核集会を丸ごと禁止とエスカレート。その一方でガザ虐殺を繰り広げるイスラエル代表、中国侵略戦争の先頭に立つエマニュエル米駐日大使、岸田首相は招待するという。凶暴な反戦運動つぶしは、崩壊する帝国主義の危機のあらわれです。労働者階級が団結してたたかえば勝てる時代が来たということです。
８・６弾圧、平和公園規制への怒りを組織し、岸田政権打倒の８・６ヒロシマ大行動の大隊列を原爆ドーム前に登場させよう。ウクライナ戦争、ガザ虐殺弾劾、中国侵略戦争阻止の国際反戦闘争を世界に発信しよう。
反帝・反スタ世界革命のたたかいを切り開き、２年後、須賀さんと合流したいと思います。
須賀陽子さんの闘いを引き継ぎ、獄壁を越え共に闘います。
６月10日 記
謹んでお悔やみ申し上げます
国立市在住 大貫淑子
４月16日に須賀陽子様が急逝された由、謹んでおくやみ申しあげます。
陽子様の長年のご活躍に敬意を表します。私も病人なのでおくやみにも参加できず、申し訳ございません。悪しからず。
（事務局注 大貫さんは、すでに90歳を超えられています。東京・国立市議としても活躍されたこともあり、70年安保・沖縄闘争過程では、国立救援会として、設立されたばかりの救援連絡センターとも連携しながら、救援運動にも深く関わってこられた方です。陽子さんが直接大貫さんに会って、須賀さんたちの救援運動への支援を要請し、それ以来の関係であると記憶しています。裁判傍聴、有楽町街宣、裁判所申し入れ行動、署名提出行動、東京拘置所への面会行動など、ともに闘ってくださいました。あらためて、感謝します。）
武敏さんへの愛と、革命家としての生涯を貫かれた
岐阜刑務所在監
中井隆雄（なかいしどう）
須賀陽子さんの訃報に心を痛めております。また、武敏さんの心中は察するに余りあります。謹んでお悔やみ申します。自身の病も気づかない程、武敏さんへの愛と、また、革命家としての生涯を貫かれたのだと拝察致します。
当所、岐阜刑務所でも先日40代の受刑者が自殺しました。私も同じ40代、他人事とは思えません。受刑者の心情を規則という画一的な鎖で縛り上げ、当局が自殺に追い込んだのだと私は思っています。当の私も現在、珍妙な闘いを強いられております。それは本名を使用できないというものです。なんのことかと首をかしげる人ばかりでしょうが、私の本名は、中井隆雄で実は＜なかいしどう＞と読みます。しかし当局は、入所時の＜なかいたかお（旧読み方）＞から変更しないし、＜中井しどう＞との表記での信書の発信は認めないとのことです。理由は２点、読み方の変更はしない、ひらがなでの表記は認めない、というのです。そのため本名を使えないという状況であり、理不尽です。
猛暑に向かいますが、皆様ご自愛ください。
『無罪！』と共に成長している感じが…
土浦在住 Ｙ・Ｗ
いつも『無罪！』をお送りくださいましてありがとうございます。
須賀陽子さん追悼特集号は心がこもっていてすばらしかったです。『無罪！』と共に成長している感じで、勧めてくださった事務局に感謝申しあげます。
『前進』第３３４９号の記事を読み、思いを新たにしました。私もせめてと手紙や葉書を出したいと思います。
どうぞ、お体を大切に御活躍くださいますよう、お祈り申しあげます。
追伸 ６・９芝公園デモ、お世話になりました。お久し振りでした。又です！（Ｓ・Ｗ）
渋谷反戦デモに青年が続々合流
「青年・学生の行動が世界戦争を止める！渋谷反戦集会・デモ」が7月6日、東京青年労働者交流集会実行委員会と改憲・戦争阻止！大行進東京の共催でかちとられました。渋谷勤労福祉会館での集会から、全学連の学生の発言とまとめと行動提起の要旨を紹介します。（文責 事務局）
200人に膨れ上がった反戦デモ（７・６渋谷）
女性の手に政治と暴力を奪還しよう 全学連 Ｍ
私は、今年の沖縄闘争に初めて参加しました。沖縄の米軍基地の現実を目にして、日米安保の矛盾と現実を考えると、日本が法治国家だということを私はもう二度と信じられなくなりました。
米兵による少女暴行事件は絶対に許せません。徹底的に弾劾したいと思います。日本政府はこの事件を把握しながら、およそ３カ月にわたり、隠ぺいを図り、沖縄県側に伝えていなかったことが６月25日になって発覚しました。３人の米兵が少女を暴行した１９９５年から２０２４年までの29年間に沖縄県内で発生した、米兵による性的暴行事件で県警は逮捕や書類送検した30件の事件のうち、公表していない事件は少なくとも半数の15件にのぼる可能性があることが、沖縄タイムスの報道で明らかになりました。
なぜ隠ぺいしたかといえばそれは、女性の人権よりも、沖縄の基地の島として維持し、中国への侵略戦争に向けた政治目的のほうを優先しているからです。帝国主義の暴力性そのものだと思います。「軍隊は住民を守らない」。これは沖縄戦経験から、二度と島を戦場にさせないための重要な教訓です。
性暴力は兵器として戦争に使われる。それは性暴力が敵の民族をただ虐殺する以上に民族としての尊厳を深く傷つけ、すべてを奪い、支配することのできる手段だからです。米兵によるレイプは沖縄軍事占領の支配をさらに強めるために、繰り返されていると思います。そして、それに同調している日本政府も打倒しなければならないと強く思います。
少女暴行事件に対する、沖縄県民10万人大会に至る怒りの爆発によって、日米政府は１９９６年４月12日に、普天間基地の全面返還を約束しましたが、この３年後に、辺野古への代替施設建設案を提示、こうして、返還は移設にすり替えられました。米兵による少女暴行事件に対する沖縄県民の怒りを卑劣なやり方で押さえつけ、推し進められているのが、辺野古新基地建設です。絶対に許せません。この怒りを絶対に忘れず、辺野古新基地建設絶対反対の沖縄の人々の闘いに連帯しましょう。
繰り返される、米兵によるレイプを阻止するために闘いましょう。労働者の力で食い止めましょう。性暴力の連鎖を食い止めることができるのは、戦争絶対反対を貫く、労働者・学生の闘いにこそその力があります。今こそ、みなさんの怒りを力にして、スクラムを組んで、性暴力によって、ズタズタに分断されていることから、私たちは団結して、連帯しましょう。性暴力によって奪われた人間としての尊厳を取り戻すために、決起しましょう。そして女性の手に政治と暴力を奪還しよう。団結して本日のデモをかちとりましょう。
まとめと行動提起
街頭・職場で、反戦反核の声をあげよう
動労総連合水戸委員長 照沼靖功
まとめと行動提起ということなんですが、私の言いたいことはほぼ皆さんから発言されました。8割がた発言されましたので、あと２割について提起したいと思います。
輸送と戦争、何がつながるのかなと、思う人も多いと思います。でも今、ＪＲをはじめ、あらゆる輸送会社が決めようとしていることは、鉄道を軍事輸送に使う、これが今狙われています。実際にＪＲでは、西日本エリアや九州エリアで軍事物資の輸送訓練が秘密裏に実施されています。そこにＪＲ東日本もかもうとしている。
その一方で、ＪＲが進めている攻撃はローカル線の廃止攻撃です。金にならない、赤字だからと言って、ローカル線を切り捨てる。でも一番金にならないところが、軍事輸送に使うための路線なんです。そこは何としても残す。金にならないとか、そんなことではないんです。戦争に使えるところは残す、使えないところは残さない、それが今のＪＲの姿なんです。こんなことは絶対に許してはいけない。
２０１１年、東日本大震災、福島第一原発の事故から13年が経ちます。私は、茨城県に住んでいるんですが、大震災、最初は何が起きたのか全く分からなかったんですが、そこからＪＲ・日本政府がやってきたことは、２０１８年にＪＲの最大の御用労組だった東労組すら解体して、労働組合の根絶ということに力を入れ始めてきて、そして２０２０年東京オリンピックに合わせて、福島第一原発のすぐ近くを通る、常磐線という路線をすべて、開通させるという暴挙に出てきたわけです。燃料が高い、避難者たちもほとんど帰ってきていない、そんな人が住んでいないところに鉄道を通す。鉄道を通すことで、そこに帰えろという「帰還攻撃」が行われている。労働組合で被ばく労働拒否ということで闘いました。でも、その闘いを一緒に闘った一部の人間は、今の戦争情勢の厳しさに、もうこれ以上闘えないといって、逃げてしまったのです。そんなことが許されますか。
今こそ、労働組合が職場で、街頭で、力を甦らせて、労働者に訴えかけるということが必要になってきていると思います。昨年の福島原発の汚染水海洋放出強行にも明らかですが、岸田が進もうとしているのは核武装、核戦争です。それは福島の怒りの声を圧殺すること以外のなにものでもない。そして、広島の被爆者の怒りのすべてを圧殺する攻撃と一体であると思います。
青年学生が、反戦・反核の声を大きく、職場、キャンパス、街頭で訴えかけることが強く求められていると思います。また、その訴えが伝わる時代になっています。今日の集会・デモを皮切りに、７・９新宿に再度集まり、さらには、８・６広島に総結集し、11月3日、全国労働者総決起集会に巨万の労働者・学生・市民の大結集をつくりだそうではありませんか。共に闘いましょう！
刑事訴訟法の大原則を掲げ闘う
5月26日、東京・目黒区民センターで「星野文昭さん獄死５年 大坂さん奪還・星野国賠勝利集会」が開かれ、250人が参加しました。集会は「復帰」52年沖縄５・15闘争を全力で闘い、戦争阻止の新たな情勢をきり開いた熱気があふれ、沖縄闘争勝利、大坂奪還、星野国賠勝利を誓い合う集会となりました。集会での山本志都弁護士の発言を紹介します。（文責 事務局）
大坂弁護団弁護人 山本志都
大坂裁判控訴審への決意を表明する大坂弁護団（５月26日、東京目黒区民センター）
裁判における当事者主義
今、朝ドラで「虎に翼」というドラマをやっています。初めて放送になった女性をモデルにしているもので評判になっています。弁護士の間では、戦前の裁判についてもかなり調べたうえでドラマにしているよね、と話題になっています。
主人公の父親は「帝人事件」をモデルにした疑獄事件に巻き込まれ、被告人となります。無罪になるまでが短く描かれましたが、その中で、今の刑事裁判と違い「予審」が行われたと説明されました。予審というのは公判に先立って予審判事という裁判官が捜査に携わる仕組みです。予審判事がとった予審調書が公判における証拠として認められており、証拠価値は極めて高いものとされ、それを覆すことはほとんど不可能だ、という仕組みになっていた。そういう仕組みの中で、検察官は裁判所に属し、検察官が作った検面調書というものの、証拠能力は否定されていた。しかし、「戦時刑事特別法」という法律で、弁護人選任権の制限や書類閲覧謄写の制限などとともに、検事が作った調書も証拠として使うことができることになりました。
そして敗戦を経て日本国憲法が制定され、それに基づいた形で刑事訴訟法を立て直さなければいけないことになりました。今の刑事訴訟法の制定です。
その時に見直された一番基本のところは何かというと、裁判官が捜査に携わる、そういう仕組みを変更する、刑事の法廷というのは検察官と弁護側、被告人側がそれぞれ当事者として、公平な第三者である裁判所の面前、公判廷でいろんなものを闘わせるという建前、それが本当に建前通りになっているかというと、そうはなっていませんけれども、しかし建前というのは、手続法の中ではとても重要なわけです。これを「当事者主義」と言います。裁判官は「起訴状一本主義」と言って、起訴状しか裁判の当初には見ていないという建前になりました。公判を中心に真実を明らかにするんだというのが戦後の刑事訴訟法の大原則だったわけです。
検面調書は汚れた証拠
今、起訴状一本主義なんてのは形骸化してしまって意味がなくなっていますが、当事者主義、公判中心主義というものの顕著な表れは、「伝聞法則」です。これは公判で行われた証言というのは、信用できるからそのまま証拠にできる、だけども誰かが書き取ったもの、聞き取ったものというような調書というものは、いろんな人の認識とか、いろんな作為とか入るから、基本的には証拠として使っちゃいけません、というのが「伝聞法則」なわけです。特別な場合だけ、例外的に検察官が作った供述調書も証拠として使えるということになっています。つまり、裁判所の面前で当事者同士がやり取りをして弾劾を受けた証言でなければ意味がないんだ、というのが戦後の刑事訴訟法の大原則だったわけです。
検面調書というのは、汚れた証拠です。それは大川原化工機の事件などを見ていて、今や誰もが分かっていることだと思います。そういう汚れた証拠、しかも、本件でいえば、少年を「警察官殺し」でギリギリ締め上げて、その中で反省しているということをどう示せばいいかわからなかった少年が、作らされてしまった調書、その汚れ切った証拠を基本に据えたというのが、今回の裁判の基本なんです。そういうやり方をとるということを裁判所自身が宣言をしてしまっている、本当におかしい、歪んだ裁判であるということだと思います。
《編集後記》
右の耳を銃弾は貫通しており、あと２センチずれていたら死んでいただろうということだ。13日、アメリカ東部ペンシルベニア州で選挙集会を行っていたトランプが銃撃を受けた。
「トランプが無事でよかった。死んでいたら、アメリカの本格的分断は避けられなかった」などというマスコミ報道があるが、もうそういう段階はとっくに過ぎている。アメリカは内戦過程に深々と突入しており、ブルジョアジーはそれゆえに世界戦争を開始しているのだ。戦争で革命を押しつぶす以外にブルジョアジーの生きる道はないことを重々承知しているのだ。
欧州での極右の台頭、フランスの左派連合の逆転勝利など、労働者・民衆の怒りと闘い、既存の政治秩序の崩壊が激しく進行している。戦争か革命かが問われている。革命を！ （SI）
