2011年01月17日

Intelの2010決算とNVIDIAとのCross License、及び、AMD Dirk Meyerの辞任

<Intelの2010決算とNVIDIAとのCross License>

2011年1月13日、Intelは2010年度の決算を発表した。

Intel Corp.       2010年  2009年    
Revenue         43.6   35.1   124.2%   
Operating Income  15.9    8.4   189.3%   
Net Income      11.7    6.6   177.3%    
               (単位  $B)

 売上 $43.6B(約3兆6624億円、$84Y)、利益 $11.7B(約9826億円)であり、2009年より売上は24%増、利益は77%増で、利益は過去最高との事である。
 売上げの増加率より利益の増加率の方がはるかに大きいのは、前年の2009年度はSales/Operating Costがかさんだためで、その中にはAMDとの独禁法訴訟の和解金$1.2B(約1008億円、$84Y)の支払いが含まれていたからである。

 一方、2011年1月10日、IntelとNVIDIAは、2004年に締結した両社間のcross licenseの対象範囲に関し、2009年にIntelがNVIDIAを提訴した件に関して解決が図られたと発表している。

 2009年訴訟のIntelの主な主張は、2004年のCross LicenseにはFSBなどは含まれているが、その後のDMI/QPIなどは含まれていない、といったものであった。

 10日の合意は、基本的にはIntelの主張にそったもので、そのCross Licensの5年延長といったものであるが、追加的に、Intelが更なるNVIDIAのPatentにAcessを可能とするため、総額$1.5B(約1260億円、$84Y)を5年間で支払うというものである。

 この$1.5Bは、常識的には、NVIDIAのGeFORCE(GPU、Game)、Quadro(GPU、 CAD)、ION(GPU,Netbook)、Tesla(GPGPU、HPC)、Tegra(GPU、ARM-SmartPhone)などといったGPU群の様々なPatentに対し、IntelのSandy-BridgeやIvy-Bridgeなどが、Patent侵害を起こさないための措置と考えられ、cross licenseというより、Patent使用料の色彩が強いものと考えたほうが理解しやすいと思う。

 Intelの発表では、Discountで実質$1.4Bとかで、かつ2010年度に既に$0.1Bは支払い済みでなので、5年間で概ね$1.3B、年平均$0.26B(約218億)を支払うようである。

 この総額$1.5B支払いのIntelに対する量的意味は、AMDの独禁法訴訟での支払い額が$1.2Bであったことを考えると、突出したものとは思えない。
 また、前述の2010年度のIntelの決算からすると、利益は$11.7Bであるので、Nvidiaへの年間支払額$0.26Bは利益の2.2%程度となり、それ程大きな負担にはならないものと思える。

 他方、NVIDIAの決算は、2009年度は$30Mの赤字であり、2010年は9月までのデータで$81M程度の黒字となっており、基本的にはぎりぎりの経営が続いているようで、経営上は、IntelからのPatent料もどきの年$0.26B=$260Mは、極めて大きな意味を持っているように見える。

 言うなれば、GPUやチップ・セットの実際のBusinessを行うより、Intel相手のPatent Businessを行ったほうが効率が良いということかも知れない。

 今回の合意の結果、NVIDIAはDMI/QPIのPatent使用権は無いわけで、結局、GPGPU/HPCの分野では、NVIDIA独自の「Chip Set+GPGPU」のアプローチは無くなったわけで、可能なのは現状の「PCIe+GPGPU」か「Intel Chip Set+GPGPU」という事になり、HPC分野ではIntelのCPU+GPU統合型が有利になったように見える。
 NVIDIAは中長期的にはPC&HPC分野はIntelに売渡し、Market規模の大きいTablet/Smart- PhoneといったIntelが入り込めないでいる分野に向かってゆくものと思える。
 

<AMD CEO Dirk Meyerの辞任>

 1月10日にAMDのCEO Dirk Meyer の辞任が発表された。
 AMDの最近の決算は以下のようになっている。

2008 -$3.129B
2009  $0.340B (Intelからの和解金$1.2Bを含むので、実質は-$0.86B)
2010*-$0.418B (*1Q-3Qまでのデータで、4Q及び通年は1月20日に発表予定)

 AMDの決算はここ数年芳しい内容ではなく、Meyer辞任の最大の理由はこの辺りであろう。
 
 Dirk Meyerは、DECのAlpha Chipの設計やその後のX86の設計などの業績で、2003年にACMのMaurice Wilkes Awardを受けており、ある意味、AMDの技術面でのBackboneでもあったわけで、経営面のみならず技術面においても、今回のTopの辞任は、AMDの今後に大きな影響をあたえ、今後の動向が注目されるわけである。
 
 前述のIntel-NVIDIAのPatent騒動から、NVIDIAはARM+GPU(Tegra)=Tablet/Smart-Phoneの方向に向かい、Intelはx86+GPGPU統合型のHPCの方向を押さえてゆくものと思えるので、AMDがどちらの方向に向くにしろ、厳しい競争であり、経営的にも難しいものがあることは確かであろう。

 何れにせよ、経営基盤はIntelが群を抜いて安定しているが、AMDやNVIDIAはかなり厳しい経営状況が続いていおり、何が起きてもおかしくない状況であることは確かであろう。



Posted by petaflops at 00:38│Comments(0)TrackBack(0) スパコン 04 | 業界

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/petaflops/51540823

コメントする

このブログにコメントするにはログインが必要です。