2011年02月25日

2010決算 <Cray:$15Mの黒>、<SGI:$88.5Mの赤>

 どういうわけか、余りCrayとかSGIといったHPC関係の中堅企業の決算状況は注目されることが少ないように思うので、とりあえず、売上と利益の履歴をメモしておこうと思う。

<Cray>
 2011年2月16日、Cray Inc.は2010年度の決算を発表した。売上$319.4M(約268億円、$Y84)、利益$15.1M(約12.7億円)とのこと。Peter Ungaroが社長に就任したのは2005年3月なので、Ungaroにとっては就任5年にしてやっと黒字達成ということである。

Cray Inc.の決算履歴 (単位$M)

年度  2010   2009   2008   2007  2006   2005
売上  319.1  284.0   282.9  186.2  221.0  201.0  
利益    15.1  -0.6     -40.7   -5.7   -12.1   -64.3

 現在のCray Inc.はTera Computerが2000年にSGIのCray Divisionを買収し、自社名をCray Inc.に変更した会社である。x86CPUベースのスパコンが主体の今日のCray Inc.はブランド名を除くとVector機のCray Research Inc.(CRI)とは関係のない会社といってよいであろう。 

 そもそもSGIのCray Divisionは、SGIがHPC進出の足がかりとして、日本メーカーの進出で経営不振に陥ってしまったCRIを1996年に$750Mで買収したもので、SGIのAltix,NUMALinkなどはCRIから移ってきたEngineersによって開発されたものといわれている。しかしブランドの利用価値は低下し、SGIはCray Divisionを2000年にTera Comuterに$42.5M(当初は$35Mといわれていた)で売却してしまったわけである。

 因みにSGI自身はその後の2006年に民事再生法(連邦倒産法11項)の適用を受け、更に、2009年に再度民事再生法の適用を受け、Rackable Computerに資産を売り渡す事になってしまった。買ったRackableは、Tera ComputerのCrayの場合と同じ様に、自身の名称をSGIに変更し、SGIの名称は存続することになったわけである。

 さて、Crayの売上規模は、表には入れていないが2000年度が$118Mであったので、10年後の2010年で約3倍程度になっているが、利益は2000年以来、赤字基調が連綿と続いているようで、黒字になったのは2002年度の$5M、2003年度の$63Mの2回だけであり、逆に2004年には$207Mの大赤字の記録があったりで、2010年度のバランスシートには累積赤字$418Mが計上されている。

 2011年の見通しは、XE6が好調で、売上:$320M-$340M、収益:Profitable(黒字)、としている。

 
<SGI>
 SGIのFY(会計年度)は前年7月から当年6月までなので、2010年度の決算は2009年7月から2010年6月までで、2010年度決算は昨年8月に発表されている。2011年度の2Qまでの結果は2011年2月に発表されている。
 現SGIは、2009年にChapter11の再適用を受けた旧SGIをRackable Systemsが$42.5Mで買収し、自社の名称をSGIに変更したものである。RackableのFYはCYと同じであったが、買収後のSGIはFYを7月ー6月に変更したため、2009年度の決算はわかりにくくなっており、下記の表には数値を入れていない。

 現SGIの売上規模はRackable+旧SGIという事で増えてはいるが、収益も赤が合算された格好で、厳しい状況にある。しかし、FY2011の見通しは、合併効果が発揮され、売上$550M-$575M、収益はBreakevenに回復の見込み、と発表されており、事実FY2011/1Q2Q(2010/7-12)の中間結果は見通しに近い結果を達成している。

SGIの決算履歴 (単位$M)
      SGI     SGI     SGI/Rackable    Rackable
年度 2011-1Q2Q  2010      2009        2008    2007 
売上     290.4    403.7     ―        247.4   350.7
利益    -0.25    -88.5       ―        -54.2   -69.6



 何れにせよ、HPCに主力を置いた中堅企業のCray やSGIの決算状況は、売上規模的には500億円以下で、収益的にはBreakeven程度で、ルンルンの黒字会社というより、かなり低空飛行で、どちらかというと赤字基調の、厳しい経営を強いられているらしいことが判る。



Posted by petaflops at 01:02│Comments(0)TrackBack(0) スパコン 04 | 業界

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