陰陽座

2016年12月14日

陰陽座 - 迦陵頻伽 【感想・レビュー】

日本のヘヴィメタルバンド、陰陽座の13枚目のアルバム。2016年発売。


ところで、アルバムタイトルの『迦陵頻伽』って何ぞや?

そもそも、なんと読めば良いかもわからん(汗)

と思ってググってみると……読み方は「かりょうびんが」。

仏教における想像上の生物で、上半身が人、下半身が鳥という出で立ちだそうですね。

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そしてこちらが本作のジャケット。

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おぉ、黒猫版迦陵頻伽だ!!(;´Д` )ハァハァ

そして、この「迦陵頻伽」という生物は非常に美しい声の持ち主であり、その声は「仏の声」にも例えられるとか。さらには、美しい花魁を指して「迦陵頻伽」と呼ぶこともあったそうですよ(;´Д` )ハァハァ


それにしても、「非常に美しい声を持った伝説の生き物」というのは、陰陽座が扱うテーマとしてピッタリですね。

なんせ、陰陽座のヴォーカルである黒猫ヘヴィメタル界でも屈指の歌声の持ち主ですからね。しかも美人だし。

まさに「迦陵頻伽」の名を掲げるに相応しい存在ですね(;´Д` )ハァハァ


……そしてこのアルバム。そんなタイトルに相応しく、歌のメロディラインがとても充実した作品に仕上がっています。

もちろん、陰陽座のアルバムでメロディラインがイマイチなものなんて存在しないんですけども。

しかし、本作では過去のアルバム以上に豊かなメロディを堪能することができます。


ちなみに、近年の作品で言えば、音楽の中の物語性を追求したアルバムが『鬼子母神』。ヘヴィメタルの疾走感と解放感を追求したアルバムが『風神界逅』。ヘヴィメタルの重量感と力強さを追求したアルバムが『雷神創世』。そして、ヘヴィメタルの中のメロディを追求したアルバムが『迦陵頻伽』。

というのが、ぼくの中の大まかなイメージですね。



シンフォニックなイントロにはじまる1曲目は"迦陵頻伽"。

神聖かつ荘厳な雰囲気。そして黒猫の美しいヴォーカルが耳を引きますが、その裏で鳴らされる瞬火のベースラインが意外なほどグルーヴィーで、ものすごくカッコいい!

さらに、この曲のラストから間髪入れずに2曲目の""がスタートするのですが、この流れがシンプルながらゾクッとくるカッコ良さ。


その””は、陰陽座印のメロディックメタルナンバー。ドライブ感溢れるギターリフが超カッコいいです!

麗しさと力強さを兼ね備えた黒猫のヴォーカルも至高。

ちなみに、サビに「飾るは 此の 羽盛」という歌詞があるのですが、歌詞を読まず聴くと「飾るは この ハーモニー」と聴こえて面白いですね。和風ヘヴィメタルのはずなのに、全然違う雰囲気に聴こえます(笑)

実際の歌詞は「大空を飛び回る鸞」を描いているはずなのに、楽曲の雰囲気的には「宇宙空間を飛び回るスーパーロボット」みたいなイメージが……ぼく、前からずっと思っているんですけど、陰陽座の楽曲ってスーパーロボット大戦みたいな雰囲気ないですか?(笑)

例えば、この曲をバックに「サンダアァァァァァッ!! ボルトスクリュゥゥゥゥッ!!」とか叫んだらメッチャ燃えると思う(笑)


3曲目"熾天の隻翼"も疾走ヘヴィメタルナンバー。

この曲ではベースの瞬火がヴォーカルを執るパートも登場。陰陽座の最大のウリであるツインヴォーカルを堪能することができます。

特に、サビにおける黒猫のヴォーカルと、それに覆いかぶさるような瞬火のコーラス。このハーモニーが素晴らしいです。


4曲目""のキャッチーでメロディアスなヘヴィメタル。

ていうか、""、"熾天の隻翼"、""という3曲。並のバンドのアルバムなら、どれも圧倒的に輝けるリーダートラックになるはずなんですが……そんな楽曲を当たり前のように3つも畳み掛けてくるとは。恐ろしいバンドですね、陰陽座は。

で、そんな3曲の中でも、最もキャッチーなのがこの""ですね。

ヘヴィメタルでありながら、地上波のCMで流れていそうなくらいキャッチーなメロディ。

さらに、そこへ和音階までぶっ込んでくるという……そりゃーもう、カッコいいに決まってるじゃないか!

ただ1つ惜しむらくは、こんなに強力な楽曲なのに、""ってタイトルが素っ気無さ過ぎることでしょうか。

折角こんなド派手でカッコいい楽曲を作ったんだから、クサいぐらい大げさで絶対に忘れられないようなタイトルをつけたら良かったのに(笑)



と、前半から素晴らしい楽曲が盛り沢山の本作ですが、このアルバムで、ぼくが「断トツでカッコいい!!」と思うのが中盤の2曲。



まずは6曲目の"御前の瞳に羞いの砂"。

まずこの曲は、イカヅチのようにジャキジャキと刻まれるギターリフが超カッコいい!

かなりヘヴィなサウンドなんですが、それと同時にファンキーなノリも感じられて、跳ねるような爽快感があります。

そして、黒猫のヴォーカル!

これまでの5曲と違い、ハードロックナンバーと言えるこの曲。「砂かけ婆」を題材にした歌詞も含めてコミカルな雰囲気を感じさせる楽曲であり、黒猫のヴォーカルからもこれまで以上に活き活きとした響きが感じられます。

個人的に、黒猫のヴォーカルって、こういうハードロックナンバーだと、男前(女前?)度がさらに上昇する気がします(笑)

ぼく、前作の"天狗笑い"とか"無風忍法帖"とか、そして今回の"御前の瞳に羞いの砂"とか、こういうファンキーなハードロックを歌っているときの黒猫さんが1番好きかもしんない(//∇//)

1番最後の「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんにゃーん!!」っていうのも、ちょっとあざとい感じだけどイイですよね(笑)

カッコカワいい姐さんって感じで。しかも、そこから挿入されるギターソロがメッチャ熱くて、これまたスゲー格好いいんだ!



そして7曲目の"轆轤首"。個人的には、この曲こそが本作の目玉曲だと思っています!

まず、耳を引くのが歌とキーボードのメロディ。これはもう歌謡曲! 古き良き80年代の空気を感じるポップなメロディです。

しかも黒猫の声が艶っぽいので、歌謡曲なメロディが活きる活きる! これはタマらん! これはエロいぃっ!!!!

ですが、それにも増して驚かされるのが、中盤とラストに挿入されるジャズアレンジ。

このアレンジは、間違いなく陰陽座の新境地でしょう!

すぐ上で黒猫の声を「艶っぽい」と表現しましたが、このジャズアレンジでも、まさにその「艶っぽさ」が活かされまくっています。

陰陽座ジャズアレンジって、これを聴くまで想像だにしなかったんですけど……実際に聴いてみると、「ドキッ」としてしまうくらいイイですね。

なんなら、次は1曲まるまるジャジーな曲を作ってほしいと思うくらい。メタルナンバーと同じくらい、黒猫の声に合うと思うなー。

あとは楽曲終盤!

ウフフフ……アハハハ!」という嬌声からギターソロへと繋がる流れのクライマックス感がすごくカッコいい! エロいだけじゃなく熱い! でもやっぱりエロいッ!!



陰陽座のアルバムは、基本的にメロディックなパワーメタルを中心に構成されていて、そこに毛色の異なるトリッキーな楽曲が数曲収録されている……というパターンが基本かと思われますが、今回の"御前の瞳に羞いの砂"や"轆轤首"を聴くと、ハードロックに歌謡ロックに、もっと音楽性を拡散させたアルバムも聴いてみたくなりますね。

和風妖怪男女ツインヴォーカルという超強力なコンセプトを持つ陰陽座なら、HM/HRという枠組みから完全に逸脱しさえしなければ、割と何をやっても許されるんじゃなかろうか。



さて、8曲目の"氷牙忍法帖"は再びのメロディックパワーメタル。

楽しく盛り上がった空気をピシッと引き締めるような疾走ナンバー。陰陽座の真髄を見せつける楽曲ですね!


9曲目の"人魚の檻"はアルバム一の大作ナンバー。

黒猫のシンフォニックな歌声。そしてピアノとシンセサイザーの音色が透明感を演出します。

そして、こういう雰囲気で魅せるタイプの長尺曲でも、ところどころでハッとするほどキャッチーなメロディが飛び出してくるのが陰陽座ですね。


不穏なギターイントロにはじまる10曲目は"素戔嗚"。

さらに、曲中の鬼気迫るドラミング。全体的に、焦燥感を煽るようなサウンドです。

その一方で、ヴォーカルのメロディとピアノの音色が非常に美しく、それらのコントラストが神々しい。

神話の神に対する畏怖の念を呼び起こすような楽曲ですね。

ただ……陰陽座って、デスボイスだけは微妙なんだよなぁ。


ピアノ演奏にはじまる11曲目は"絡新婦"。

絡新婦(じょろうぐも)」と聞くと、巨大な蜘蛛。あるいは恐ろしい妖怪をイメージしがちですが、この曲はとてもドラマティックなバラードナンバーです。

とにかく、この曲の切ないメロディといったら……ぼくはイントロのピアノ演奏だけで涙腺がだいぶ緩みます(笑)

ピアノ演奏と黒猫のヴォーカルのみで進んでいく前半から、バンドサウンドへと盛り上がっていく後半。

ギターソロもすごくドラマティック! 素晴らしいバラードですね!


琴の音色を思わせるイントロにはじまる12曲目は"愛する者よ、死に候え"。

バジリスク~甲賀忍法帖~』のファンなら、目にするだけで鳥肌が立ってしまうタイトルですね(笑)

ちなみに、『バジリスク~甲賀忍法帖~』はパチスロで大ヒット。いまや、街へ繰り出せば甲賀弦之介を見ない日はないという……俺の大好きな『バジリスク』が、まさかこんな形で脚光を浴びることになるとは思わなんだ。

で、そのパチスロとタイアップして作られた楽曲がこの"愛する者よ、死に候え"。

「和」を強くイメージさせるサウンドに、強力なヘヴィメタルサウンド。カッコいい楽曲ですが、"甲賀忍法帖"があまりにも名曲過ぎるので、さすがにあちらには敵わないかな……


アルバムラスト13曲目は"風人を憐れむ歌"。

THE ROLLING STONESの"Sympathy For The Devil(悪魔を憐れむ歌)"を想起させるタイトルですが、パーカッションがポコポコ鳴っていたり、「フッー、フッー♪」とか言ったりはしていません(笑)

陰陽座のアルバムのラストソングではお馴染み。黒猫の歌声が可愛らしいポップソングです。

後味爽やかにアルバムを締めくくってくれますね。



近年の陰陽座は、コンセプトアルバム、そしてレギュラーチューニングオンリー&ダウンチューニングオンリーのアルバムを製作(しかも2枚同時に)と、あえて自らに「縛り」を課したうえで作品を生み出していましたが、そこで会得した方法論を一気に昇華させて作り上げたのが、この『迦陵頻伽』ということになるんでしょうね。

とにかく、陰陽座の魅力がとことん詰め込まれたアルバムだと思います。

そして、何度もクドいですが、"御前の瞳に羞いの砂"と"轆轤首"の2曲だけで何杯でもメシが喰える!!

わかりやすくカッコいい曲が非常に多いので、陰陽座の入門編としてもオススメできる1枚ですね!



陰陽座 - 迦陵頻伽

disc

1.迦陵頻伽
2.鸞
3.熾天の隻翼
4.刃

5.廿弐匹目は毒蝮
6.御前の瞳に羞いの砂
7.轆轤首
8.氷牙忍法帖

9.人魚の檻
10.素戔嗚
11.絡新婦

12.愛する者よ、死に候え
13.風人を憐れむ歌

※赤文字は特にお気に入りの曲です。

評価:☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆(10点)


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2015年08月16日

陰陽座 - 全国ツアー2015「斯くて其の魂に太陽を見る也」(大阪) 【ライブレポート・感想】

なんばhatch陰陽座のライブを見に行ってきました。

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2014年の9月に『風神界逅』と『雷神創世』という2枚のアルバムを同時発売した陰陽座
2014年の秋から2015年の冬にかけて、それぞれのアルバムツアーで1回ずつ、合計2回の全国ツアーを行っております。

そして今回の全国ツアー。この1年間で全国を3回巡ったことになります。
もちろん、ここ大阪はなんばhatchにも3度目の登場。にも関わらず、会場はいい感じの埋まり具合(後方は一部封鎖されていましたが)。

固定ファンをがっちりと掴んでいるということもあるのでしょうが、陰陽座のようなジャパニーズヘヴィメタルバンドが、わずか1年で3度も、なんばhatchのような大きな会場でライブできるだけの動員を持っているというのは素晴らしいことです。

まぁ、陰陽座には、瞬火黒猫という男女2名によるツインヴォーカル、あるいはヴィジュアル系にも通ずるようなルックス……といった飛び道具的な要素もあるわけですが、音楽性自体は直球の正統派ヘヴィメタル。それが、これだけ多くの人々に受け入れられているというのは、日本民族にヘヴィメタルを受け入れる下地があることの証である! と、一メタラーとして喜ばしく思うわけです(笑)


さて、今回のツアーはアルバムツアーではありません。そのため、陰陽座のこれまでの作品から、満遍なく選曲されたセットリストとなっています。
唯一、現時点の最新アルバム『雷神創世』からの楽曲がやや多めかな、という感じでした。



開演時間とほぼ同時に会場は暗転。オープニングSEとともにメンバーが登場します。1人、また1人。そして、最後に黒猫が登場すると、一際大きな歓声が。


そして、ベースヴォーカルの瞬火から楽曲のタイトルがコールされ、演奏開始。ベストアルバム『龍鳳珠玉』収録の"吹けよ風、轟けよ雷"がライブのオープニングを飾りました。
ドライブ感のある演奏がカッコいいハードロックナンバー。サビはキャッチーでメロディアス。ライブの1曲目に相応しい楽曲です。


MCを挟んで、琴の旋律を思わせるメロディが。アルバム『雷神創世』より"夜歩き骨牡丹"の演奏がはじまります!
歌に入る前に、黒猫さんが「夜歩き骨牡丹」と曲名をコールするのですが、その声が艶っぽくてなんだかエロかったです(;´Д` )ハァハァ

個人的に、『雷神創世』の中でもすごくお気に入りの楽曲。今回のツアーでまたも聴けるとは思っていなかったので、演奏が始まった瞬間にものすごくテンションがあがりました!
演奏も歌メロもわかりやすく和風でインパクトがあるし、しかもなんかエロい!
好きです! ライブの定番曲になってほしい!


続いて、荘厳なイントロから始まるのは、同じく『雷神創世』より"千早振る"。
陰陽座印のメロディアスなヘヴィメタルナンバー。スーパーロボット大戦のテーマ曲みたいな熱さがあって好きです(笑)


MCを挟んで、同じく『雷神創世』より"人首丸"。ベースの瞬火と、ギターの招鬼によるグロウルの掛け合いを中心に展開されるデスラッシュナンバーです。
曲中、あまり出番のない黒猫さんは、その場で激しくグルグルと回ります。すごく激しいアクションだったので、見てて転倒しないか心配になりました(笑)


続いて、さらに『雷神創世』より"天狗笑い"の演奏が始まります。この曲こそ、ぼくが『風神界逅』、『雷神創世』の総ての曲の中で一番大好きな楽曲です!
しかし、おそらく「その他大勢のアルバム曲のうちの1つ」という扱いだろうなぁと思っていたので、"夜歩き骨牡丹"以上に、まさか今回のライブで聴けるとは思っていませんでした。
なので、演奏が始まった瞬間には、思わず雄叫びをあげてしまいました(笑)

この曲を歌う黒猫さんの仕草が相変わらず可愛い(;´Д` )ハァハァ
こんなに力強いメタルヴォーカルなのに、そのうえ美人可愛いとか反則だろ(;´Д` )ハァハァ

曲中の招鬼氏によるギターソロもすごくカッコよかったですし、瞬火氏による「犬の鳴き声」パートも、『雷神創世』ツアーに比べて大幅にパワーアップ。犬はそんな舌巻かないだろww ってツッコみたくなるくらいの巻き舌で吠えていました(笑)


MCを挟み、アルバム『鬼哭転生』より"百の鬼が夜を行く"が演奏されます。
初期の楽曲の中でも、ライブで演奏されることの多い定番曲です。

これも、"夜歩き骨牡丹"と同じように和音階が耳を引く楽曲ですね。
おどろおどろしい響きのギターリフと、美しいメロディのサビの対比がすごくいいですね。瞬火をはじめとする楽器隊がステージ上を走り回ったり、楽曲後半のスローにテンポチェンジするところで、黒猫が舞台上に倒れこんだりと、視覚的にも楽しいパフォーマンスでした。


続いて、アルバム『金剛九尾』より、"相剋"の演奏が始まります。
ゲームソフト『犬神家の一族』のオープニングテーマでもある楽曲。ミステリー小説を思わせるようなイントロにはじまりますが、楽曲自体は熱いメタルナンバー。何気に大好きな曲なので、これも嬉しかった!
最後の「冥府(やみ)に沈め!」って部分の黒猫さんのヴォーカルが、スタジオ音源以上に気合い満点で最高でした(笑)


MCを挟み、アルバム『風神界逅』より"無風忍法帖"が演奏されます。
スタジオ音源では大好きですが、ライブではちょっとノリにくい曲だと思いますね、これは(笑)
陰陽座のライブでは、観客がリズムに合わせて拳を振り上げるのがデフォルトなんですが、この曲に関しては、その腕がしなしなしてしまうような感じです(笑)
なので、ぼくは黒猫さんのヴォーカル集中して聴いていました。


続いて、アルバム『臥龍点睛』より"龍の雲を得る如し"、アルバム『風神界逅』より"一目連"が演奏され、ギタリスト狩姦のMCへ。

陰陽座のライブでは、招鬼狩姦の両ギタリストが一度ずつMCをする(させられる?w)のですが、この人たちのMCはいつも見ていてヒヤヒヤしますね(笑)
招鬼さんのMCは、最初だけ爆発力があってそのあとグダグダになっていく……狩姦さんのMCは、話をうまくまとめているような雰囲気を出しつつ微妙にまとまっていないような(笑)
いつもそんな感じなんで、ある意味で安定感はあるかもしれません(笑)


そのあと、黒猫さんによる楽曲紹介から演奏へ。アルバム『風神界逅』収録の"八百比丘尼"です。

「八百」だけあって、スタジオ音源では演奏時間が8.00分という長尺ナンバー(笑)
この楽曲自体は、手塚治虫の漫画『火の鳥 異形編』をモチーフとしたものだそうですが、そのさらに元のモチーフとして、人魚の肉を食べてしまったことで不老不死になってしまった女性に関する伝承(八百比丘尼の伝説)があります。

それらの元ネタが訴える、深淵なる主題。そして、人魚というワードから連想される海のイメージも相まって、楽曲にも透き通るような美しさが存在してます。これも大好きな楽曲です。

ちなみに、この曲の演奏中、会場内は淡い水色のライトで照らされていました。そのライトによって、会場内の壁に光と影がゆらゆらとたなびいて見える光景。これが、まるで自分が美しい海の底にいるかのような気持ちにさせてくれて、なんだかすごくいい雰囲気でした。


楽曲が終わると、そのまま、サポートメンバーの阿部雅宏によるピアノの独奏に突入。暗い会場内に、美しいピアノの音色が響き渡ります。

ピアノ演奏が終わり、場内が薄明かりに照らされると、アコースティックギターによって奏でられる楽曲"夢虫"がはじまりました(アルバム『夢幻泡影』収録)。
こういう楽曲のつなげ方、ぼくが見てきた陰陽座のライブでははじめて! すごく綺麗な展開で、楽曲の世界観にどっぷりと浸ることができました。
このパートは、間違いなく今回のライブのハイライトでした!


MCを挟んで、アルバム『臥龍点睛』より"甲賀忍法帖"が演奏されます。
テレビアニメ『バジリスク ~甲賀忍法帖~』のオープニングテーマ曲でもある楽曲。ぼくは『バジリスク』も大好きなので、この曲を聴いていると、アニメの名場面が眼前に蘇ってくるような気分になります。
もちろん、ライブではスタジオ音源以上の迫力。『風神界逅』ツアーでも聴けましたが、何度聴いてもこの曲はいいですね。


続いて、ミニアルバム『封印廻濫』より"侵食輪廻"が演奏されます。これはコアな曲がきたなぁ(笑)
ぼく自身、スタジオ音源は長らく聴いていなかったので、瞬火氏の歌がはじまるまで、何の曲が演奏されているのかわかりませんでした(笑)

瞬火氏のヴォーカルはスタジオ音源の収録時に比べてかなり太く力強くなっていて、ライブ演奏ではヴォーカルのカッコ良さが倍増していました。
サビの招鬼氏によるコーラスはスクリーモのような金切り声になっていて、これもスタジオ音源よりカッコ良かったです。


続いて、「夏のツアーで大阪の皆さんにぜひとも聴いてもらいたい曲がある」というMCから、"ゆきゆきて青し"が演奏されます。
シングル『晴天の三日月』のカップリング曲。メンバーが言うとおり、夏の青空が似合う爽やかな楽曲ですね。


1曲終えて再びMC。
「熱くなったりしっとりしたり爽やかになったり忙しいですが、ここから先は熱い曲しかないぜぇぇぇっ!!」という瞬火氏の熱い言葉から、ベースがグリグリとかき鳴らされ、はじまったのはアルバム『魑魅魍魎』より"がしゃ髑髏"。
さらに、アルバム『鬼哭転生』からの"鬼斬忍法帖"で畳み掛けます。

"鬼斬忍法帖"は陰陽座の最初期の曲ですが、のちの楽曲たちに負けないくらい、ヘヴィでメロディアスな楽曲。狩姦によるテクニカルなギターソロ、そこから繋がるツインリードがカッコいいです。
そしてなんといっても「おっ! にっ! きっ! りっ! にんぽうっ!!」という掛け声が最高に楽しいですね(笑)


続いて、ギターが和風の旋律を奏で、アルバム『煌神羅刹』より"羅刹"が演奏されます。
これぞ和風ヘヴィメタル! というべき楽曲。アグレッシブでカッコいいです。


さらに続いて、アルバム『臥龍点睛』より"組曲「義経」~悪忌判官"が演奏されます。
ライブ終盤だけあって、キラーチューンの連発。これで燃えないはずがありません。

瞬火氏がメインヴォーカルを務めるこの曲。ヘヴィメタルと言うよりJ-ROCKという言葉が似合いそうな楽曲ですが、メロディアスで熱いということにかわりはありません。
特に「代価に 燃える最期を呉れないか……くれよ大阪!!」と瞬火氏が叫び、観客が「おおぉぉぉっ!!」と応える。このパートがすごく燃えます!


そして"組曲「義経」~悪忌判官"から、演奏はそのまま次の楽曲へ。
会場中が赤く照らされ、高揚感を煽るようなギターサウンドが! こっ、これは……"焔之鳥"、そしてそこから繋がる"鳳翼天翔"!!(アルバム『鳳翼麟瞳』収録)
陰陽座が作り上げた様式美ヘヴィメタルの名曲! いや、神曲!!

魂を揺さぶるギターリフ! 黒猫熱いヴォーカル! イントロからラストまでの完璧すぎる展開! 総てが最高の楽曲!
部屋とか電車内とかで1人陰陽座の曲を聴いている時も、"焔之鳥"がはじまった瞬間に雄叫びをあげそうになる。それくらい熱い楽曲。ましてや、ライブ会場で聴いて、雄叫びをあげないわけがない!
カッコいい。カッコ良すぎる!!

最高の展開、最高の楽曲、最高のテンションで、ライブ本編は終了しました。



しかし、アンコールを経て、バンドの演奏はまだまだ続きます。

瞬火はじめ、メンバーからアンコールに対する謝辞が述べられ、演奏再開。


アンコール1曲目は、アルバム『金剛九尾』より"蒼き独眼"が披露されました。
これも陰陽座印の熱いヘヴィメタル。会場は再び熱狂の渦へ。


続いて、シングル『甲賀忍法帖』のカップリング曲である""が演奏されます。
忍者同士の決闘を描いた楽曲。「名乗る必要はない! 二秒で終わりだ!!」というフレーズが、バトル漫画好きの男心をくすぐります(笑)


アンコールラストは、アルバム『煌神羅刹』より"おらびなはい"で占め。
瞬火招鬼狩姦の故郷である愛媛の方言を使って歌われるファンキーな楽曲。
いわゆる「祭り曲」というやつで、ファンは各々で購入した物販の扇子を頭上に掲げます。ラストソングらしい楽しい楽曲です。



"おらびなはい"の演奏が終わり、会場大盛り上りでライブは幕を下ろし……ません!(笑)



2度目のアンコールに応じて、バンドが再びステージ上に登場します。まぁぶっちゃけ、ここまで予定通りの流れですね(笑)
バンドメンバーも、観客の体力を考慮してか、アンコールすると極めて短時間で再登場してくれます(笑)


アンコールその2の1曲目は、シングル『』のカップリング曲である"悪路王"。

極めてアグレッシブなこの曲は、カップリング曲でありながら、ライブでは外せない定番曲となっています。
曲に入る前には、瞬火氏と観客によるお決まりの掛け合いが。「悪路!?」「王ー!」「悪路!?」「王ー!」って感じですね。
ちなみにこの日は「悪路なに!?」「王ー!」「悪路なんやて!?」「王ー!」という大阪バージョンでお送りされました(笑)


そして、アルバム『金剛九尾』より"喰らいあう"が演奏されます。
アンコールラストという位置が定着した感のある楽曲。80年代のハードロックを彷彿とさせる楽曲。「喰らいあう! 喰らいあう!」というサビがキャッチーで盛り上がります。

この曲も、黒猫さんのステージアクションが可愛いですね。俺も黒猫さんが手に持つステッキに触りたい(;´Д` )ハァハァ

楽曲のラストのドラムが連打されるパートは、スタジオ音源よりもロングバージョンとなり、さながらドラマー土橋誠によるソロタイムような様相に。そのドラミングに観客は大いに盛り上がり、そして楽曲は大団円に。
クラァァァァァァイ!!」とシャウトする瞬火氏の声が凄い。JUDAS PRIESTロブ・ハルフォードのような見事なハイトーンを惜しみなく披露します。この人、本当になんでもできるよなぁ。



こうして、大盛り上りでライブは幕を下ろし……ません!(笑)



終演のアナウンスが流れる中、観客からのアンコールに応じて、バンドが再びステージ上に登場します。まぁぶっちゃけ、これも予定通りの流れですね(笑)
陰陽座のライブでは、3度のアンコールがデフォルト。いつも思いますけど、すごいです(笑)


3度のアンコールに対して「3回目の3回目(3回目の大阪公演の3回目のアンコール)」と喜びの声を口にする黒猫さん。「大阪のみんな、ホンマにありがとう! 大阪のみんなは私の家族です!」とハイテンションで叫びます。

そして、本当の本当のラストソング。アルバム『雷神創世』より"雷舞"が演奏され、この日のライブは幕を下ろしました。



トータル、2時間50分のライブ。さすがに最後は足腰ガクガクでしたが、それほどの長時間、一度もダレることのないライブを行える陰陽座はやっぱり凄いですね。

妥協のないパフォーマンス、アンコールを3回も行うというやりすぎ感もあるサービス精神(笑)、そして観客に対する感謝の意を常に口にし続ける誠意あるMC。本当に素晴らしいバンドですね。

年内のツアーはこれで最後。大阪にはあと1度だけ。ライブハウス西九条BRAND NEWの20周年記念イベントの一貫として、ワンマンライブを行うそうです。
会場のキャパ的に、チケットを取れる気がしませんが、できることなら参加したい……っ!!

あと、2015年9月9日には、『風神界逅』、『雷神創世』のそれぞれのツアーファイナルの映像を収録したDVD『風神雷舞』と『雷神雷舞』も発売されるそうです。楽しみだなー。



セットリスト

吹けよ風、轟けよ雷
夜歩き骨牡丹
千早振る
人首丸
天狗笑い
百の鬼が夜を行く
相剋
無風忍法帖
龍の雲を得る如し
一目連
八百比丘尼
夢虫
甲賀忍法帖
侵食輪廻
ゆきゆきて青し
がしゃ髑髏
鬼斬忍法帖
羅刹
組曲「義経」~悪忌判官
焔ノ鳥
鳳翼天翔

encore

蒼き独眼

おらびなはい

encore2

悪路王
喰らいあう

encore3

雷舞


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2015年02月12日

陰陽座 - 全国ツアー2015「雷神」(大阪) 【ライブレポート・感想】

なんばhatch陰陽座のライブを見に行ってきました。

2014年9月に『風神界逅』と『雷神創世』という2枚のアルバムをリリースした陰陽座ですが、今回のツアーは『雷神創世』のツアー。『風神界逅』からの選曲は1つもなく、『雷神創世』の曲に旧曲を交えたセットリストとなりました。

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なお、『風神界逅』の全国ツアーは、2014年末に行われています。
そして、アンコール後のMCでベースヴォーカルの瞬火も触れていましたが、前回の『風神』ツアーと今回の『雷神』ツアーではセットリストの「かぶり」が1曲もありませんでした。
陰陽座のライブは毎回20曲以上演奏するので、2度のツアーで1曲も「かぶり」が発生しないようにすると、日替わり曲も合わせると50曲は練習しないといけないんですよね。しかも、聴く者を魅了するくらいハイクオリティに仕上げなければいけない。
いくらプロとは言え、それは大変だよなぁ。凄いことだと思います。

いま来日中のMOTLEY CRUEなんて、もう10年くらいほとんど同じ曲しか演奏してないですからね(笑)
彼らには、陰陽座の爪の垢を煎じて飲んでいただきたい。まぁ、モトリーの場合はあれでいいんだという気もしますけど(笑)


さて、なんばhatchに到着すると、なかなかいい感じの客入り。
満員ギュウギュウというわけではありませんが、風神ツアーのときと比べると、客入りは確実に多かったです。
風神界逅』より『雷神創世』の方が人気あるのかぁ……なんて思いもしましたが、よくよく考えると、前回は平日。今回は祝日。そりゃ、客入りは多いよな。


ちなみに、今回発売されたアルバム2枚を比べるなら、ぼくは断然「風神」派です。
風神界逅』は文句なしの素晴らしい作品だと思いましたが、『雷神創世』はぼくの中で賛否両巻き起こっています(笑)
雷神創世』に収録されている楽曲はアクの強いものが多くて、ぼくにとってハマる曲はすごくハマるんですが、ハマらない曲については、正直「イマイチだな」と思うレベル。
そして『鬼子母神』のときも思ったのですが、ダウンチューニングという方向性が、陰陽座とはイマイチ相性が良くないように感じたのです。
特に疾走系のメタルナンバーにおいて、どれも「歌メロ」が(陰陽座のほかの曲と比べて)弱い気がして……

そして、今回の大阪公演はMOTLEY CRUEの神戸公演と日程がかぶってしまいましたΣ(゚д゚lll)

当初は「今回は雷神ツアーだし、陰陽座はパスしてモトリーのライブに行こうかな……」と思っていたのですが、『雷神創世』にもすごく好きな曲はあるし、今回を逃せばそれらの曲はいつ聴けるかわからないし……
何より、スタジオ音源ではピンとこなかった曲をライブで聴いて初めてそのカッコ良さに気づき、それ以降大好きな曲になりました、みたいなことはこれまでに何度も経験しているので、今回もそれを期待して最終的には陰陽座のライブを選択した次第であります!

くっ……苦渋の決断だっ!(T ^ T)
なーんて、MOTLEY CRUEさいたまスーパーアリーナまで見に行くよーん♪


さて、開演時間となり、会場が暗転すると、雷のSEが流れます。
ステージ上のライトがピカッピカッと光り、舞台上の天井から真っ青なライトの光が降り注ぎます。
その光景はまさに雷雨。その雷雨の中、陰陽座のメンバーが登場し、力強いドラムが会場中に響き渡ります。
アルバム『雷神創世』より、"雷神"です。
迫力あるドラミング。そして瞬火のベースがゴロゴロと雷のように鳴り響きます。
リズム隊によるサウンドと、じわじわと盛り上がっていく歌メロが、オーディエンスの気持ちを高揚させていきます。
ぼくもすごく気持ちが高ぶってきて、歌の最後「ごーうぉーかぁぁぁぁっ!!」の部分では思わず雄叫びを上げてしまいました。
自分さっきまで「雷神」の何が不満やったんや、って言いたくなるくらい1曲目から盛り上がってますが(笑)

続いてアルバムの進行通り、疾走ナンバー"天獄の厳霊"が披露されます。
バスドラの打撃音が重く響き渡る楽曲。スタジオ音源では歌メロに若干の物足りなさを感じていた曲ですが、ライブで聴くとやっぱりカッコいいですね(笑)


2曲が終わり、ここでMCに。
ベースヴォーカルでリーダーの瞬火、そしてメインヴォーカルの黒猫が喋ります。
いや~、黒猫さんのMCはいいですね。当たり前だけど、やっぱり声がいい(;´Д` )
歌はすごくパワフルなのに、話し声は可愛らしい感じ。でも、可愛らしさの中に大人の女性にしか出せないようながあって、イイすごくイイ!(;´Д` )ハァハァ


MCを挟んで、『雷神創世』より"夜歩き骨牡丹"が演奏されます。
陰陽座としては珍しい、明らかな和音階を使った楽曲。和音階と、黒猫による演歌風のヴォーカルが特徴的なおもしろい楽曲。
この曲の詞は、死んで骨だけになった女性が自らの骨格の美しさをみんなに見てもらいたくて彷徨い歩くという内容で、作詞作曲した瞬火によると、そのおぞましい様子の中に潜むエロティシズムを表現したかったそうです。
そんな意図がある曲だからか、歌う黒猫さんの仕草がセクシーな感じ。胸を張った感じで歌います。着物なのにおっぱいが強調されて(;´Д` )ハァハァ

さらに『雷神創世』よりヘヴィメタルナンバー"千早振る"が披露されます。
正直、スタジオ音源ではピンとこなかった曲なんですが、ライブで聴くとすごくカッコいいじゃないか!
止めの 雷斧(ライフ)に 籠めて」とか「其が 照らす 馬手を(メテオ)」とか、耳に入ってくる歌詞がカッコいい。
なんだかスーパーロボット大戦のオープニングテーマみたい(笑)
コンセプト的にありえない話ですが、陰陽座の楽曲って熱血系ロボットアニメのテーマ曲にすごく合いそうですよね。


再びMCを挟んで、1stアルバム『鬼哭啾々』より"百の鬼が夜を行く"が演奏されます。
陰陽座が、まだドロドロとした音楽を作っていた頃の楽曲です。
人間椅子の楽曲に黒猫の高い歌唱力が加わったような名曲で、これも本当にカッコいい。
そしてこの曲でも、お琴のような和風フレーズが登場します。
瞬火氏は、和音階で和の世界観を表現することをあまり好まないみたいですが(安直なやり方だから?)、やっぱり、メロディからしてわかりやすく和風の曲というのもいいですね。
確かに、和音階を使う和風ロックというのは今となってはありきたりですが、陰陽座のメタルサウンドと黒猫のヴォーカルがある時点で、それは陰陽座にしか作れない唯一無二の作品になると思いますし。

"百の鬼が夜を行く"が終わった瞬間、ぼくの大好きなギターリフが鳴らされます。
アルバム『臥龍点睛』より""。陰陽座には珍しい、アメリカンハードロック的雰囲気の楽曲です。
これも雷をテーマにした楽曲なので、きっと聴けるとは思っていましたが、実際に演奏がはじまるとやはりテンションが上がります。
もともとミドルテンポの楽曲ですが、ライブ演奏ではスタジオ音源よりもかなりテンポアップしており、カッコ良さも倍増しています!
ヘヴィメタルだけでなく、ハードロックをやらせても陰陽座は素晴らしい!


ここで再びMC。陰陽座のMCは基本的に瞬火が執るのですが、ここではギタリストの狩姦に話が振られます。
で、狩姦氏がお話するのですが……狩姦の話の間、雷神ツアーのタオルをアンプの上にかけようと背伸びして手を伸ばすもちょっと苦戦している黒猫さんが可愛すぎてそっちばかり見ていました(;´Д` )ハァハァ
だから、MCはなんとなくしか聞いてませんでした。ポテチとどん兵衛でタバコ屋がリフォームされたとかされないとか(?)

続いては、再び『雷神創世』より"神鳴忍法帖"を披露。
シリアスにドラマティックに盛り上げたあとは、アルバム『鬼子母神』より"組曲「鬼子母神」~鬼拵ノ唄"が演奏されます。すると、黒猫がツアーグッズの扇子を掲げ、観客もそれに習います。
陰陽座の楽曲には、ファンキーな祭囃子のような楽曲がいくつかあって、そういう曲が演奏されると、グッズの扇子を頭上に掲げてみんなで盛り上がるというのがお約束であります。
この"鬼拵ノ唄"も、ハードでファンキーな曲調に、黒猫の演歌風ヴォーカルが乗るすごくカッコいい楽曲。
しかし、「お祭り曲」とか「扇子曲」などと言われる(?)これらの曲は、大抵が陽気で楽しい歌詞なのですが、この曲は「そこら辺の適当な人間をさらって、儀式の生贄にして殺しちゃえ」みたいな感じのダークな内容なので、みんなで楽しそうに扇子を振ってる姿が異様な光景に映ります(笑)

そしてそこから、犬の鳴き声(を真似た声)と共に始まるのが"天狗笑い"。これも『雷神創世』の楽曲です。
ぼくは、『雷神創世』に収録されている楽曲の中でこの曲が一番大好きなのですが、やはり今回のライブの(個人的)ハイライトはここでした!
この曲は、天狗界の中で一番身分の低いとされる「狗賓」という妖怪の、しょっぱい日常と心情を歌ったもの。
曲自体は渋いカッコ良さを持つハードロックですが、そこにコミカルな詞が乗ることで、とてもいい味が生まれています。
そんなコミカルな歌詞を、ジェスチャーを交えながら歌う黒猫さん可愛すぎ(;´Д` )ハァハァ
視覚的にも聴覚的にも素晴らしい時間。本当にここに来て良かった(;´Д` )ハァハァ
ツアーファイナルではDVD撮影もするのかな。この"天狗笑い"は絶対に映像作品化してくださいね(;´Д` )ハァハァ


さらに続いて『雷神創世』から""、""を演奏。
""は『雷神創世』の中でも最も長尺の大曲で、今回のアルバムの中でも特に目立つ楽曲。
容貌が醜いというだけの理由で殺されてしまった女性の恨みを歌った楽曲。時にメロディアスに、時にヘヴィにドゥーミーに、目まぐるしく展開していきます。
ただ、個人的には、もう少しわかりやすい方が良かったかな。複雑な展開自体は、主人公のドロドロとした恨み渦巻く心情をとてもよく表現していると思うのですが……メロディアスなパートで、このまま一気に盛り上がるか!……と思わせながら、最後の最後で盛り上がりきらずにダウナーになってしまうという展開が1曲の間に何度もあってもどかしい気持ちになってしまいます。
楽曲の演奏後、瞬火氏が歌詞のテーマについて熱く長く語ったことからも、この曲が今回のイチオシだということが伝わってくるのですが、生演奏で聴いても、ぼくとしては今ひとつしっくりきませんでした^^;

一方の""は、日本的情緒がたっぷりと込められた楽曲で、スタジオ音源からして大好きでしたが、生演奏で聴くと本当に感動的でした。


ここから本編は、メタル、メタル、またメタル!
ラストへ向けて、ヘヴィメタルナンバーの乱れ打ちで一気に盛り上げにかかります!
ここら辺は音に揺られながらひたすら首を振っていたので、楽しかったこと以外の記憶があんまり残っていないのですが(笑)
しかし、"組曲「鬼子母神」~鬼子母神"や"而して動くこと雷霆の如し"といった個人的にあまり印象に残っていなかった曲も、この怒涛の流れの中で聴くとすごくカッコ良く感じました。


そして、本編ラストは、やはり『雷神創世』からの楽曲"雷舞"で締め。
この曲も、スタジオ音源で聴いた時にはイマイチしっくりこなかった曲。
この曲では、ほぼ全編にわたり、瞬火黒猫が全く同じメロディラインをユニゾンして歌います。
瞬火はともかく、黒猫にとってはかなり低いキーだと思われます。しかもハモるわけでもなくユニゾンなので、歌メロが弱いというか、なんだか煮え切らないという印象が強かったのです。
しかし、スタジオ音源では歌の部分に注目しすぎて気づきませんでしたが、この曲、ライブで聴くと楽器隊の演奏がすごくカッコいい!
演奏のカッコ良さに気づくと、あまり気に入らなかったヴォーカルについても「これはこれで今までにはない特徴的なヴォーカルで面白いな」と好きになってくるから不思議ですね。
会場も大盛り上りの中、ライブ本編は終了しました。


アンコールでは、アルバム『鬼子母神』に収録されているヘヴィメタルナンバーに2曲を披露。
雷神創世』がダウンチューニングの作品なので、同じくダウンチューニングで作られた『鬼子母神』の楽曲もたくさん演奏されます。


2度目のアンコールでは、"組曲「義経」~悪鬼判官"が披露されます。
ヘヴィメタルと言うよりは、J-ROCKといった雰囲気の楽曲。アルバム『臥龍点睛』に収録されただけでなく、シングルとしても発売されたこの曲はやはり人気が高く、会場も大盛り上りです。
この曲は、その曲調だけでなく、サビの歌詞もわかりやすくてキャッチーですよね。ツインギターによるソロパートもカッコいいです。

さらに、アルバム『魔王戴天』より"魔王"、"黒衣の天女"と大盛り上がり必至のヘヴィメタルナンバーで畳み掛けます。

燃えるように熱い楽曲に続き、アンコールラストはアルバム『百鬼繚乱』より"がいながてや"。
今度は、正真正銘の陽気な「お祭り曲」です。
ハードでファンキーな演奏と、コブシを効かせた黒猫のヴォーカル。これもまた名曲。ライブのラストに相応しい「大団円」的な楽曲です。


こうして、今回の陰陽座のライブは終了!
会場が明るくなり、公演終了のアナウンスが流れます。
しかし、鳴り止まない陰陽座コール! アナウンスが流れる中、観客はアンコールを求め続けます!

そしてその声に応え、再びステージ上に戻ってくる陰陽座メンバー!
うおぉぉぉぉっ!! また出てきてくれたぜぇぇぇっ!!

という、ここまでが陰陽座のライブのお約束ですね(笑)
公演終了のアナウンスのあと、少なくとも1回はアンコールで出てきてくれるのが最近の陰陽座。どうもお疲れ様です(笑)


3度目のアンコールにして正真正銘のラストは、アルバム『金剛九尾』より"喰らいあう"。
上で"がいながてや"をライブのラストに相応しい楽曲と評しましたが、この"喰らいあう"もまた、ライブのラストに相応しい楽曲。
80年代アメリカンハードロック的曲調に、「喰らいあう」と「Cry out(大声で叫ぶ)」というダブルミーニングな歌詞。
まさにライブの素晴らしさと楽しさを完璧に表現しきった名曲で、雷神ツアー大阪公演は幕を下ろしました。


帰宅して早速『雷神創世』を聴きました。すごくカッコ良かったです(笑)
今回のライブで、また好きな楽曲や好きなアルバムが増えました。やっぱりライブは最高ですね!


セットリスト

1.雷神
2.天獄の厳霊
3.夜歩き骨牡丹
4.千早振る
5.百の鬼が夜を行く
6.靂
7.神鳴忍法帖
8.組曲「鬼子母神」~鬼拵ノ唄
9.天狗笑い
10.累
11.蜩
12.吹けよ風、轟けよ雷
13.人首丸
14.組曲「鬼子母神」~鬼子母神
15.青天の三日月
16.而して動くこと雷霆の如し
17.雷舞

Encore1

18.組曲「鬼子母神」~徨
19.組曲「鬼子母神」~膾

Encore2

20.組曲「義経」~悪鬼判官
21.魔王
22.黒衣の天女
23.がいながてや

Encore3

24.喰らいあう


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petenshitokukiotoko at 23:52コメント(0)

2014年11月28日

陰陽座 - 全国ツアー2014「風神」(大阪) 【ライブレポート・感想】

なんばHatch陰陽座のライブを見に行ってきました。

2014年9月に『風神界逅』と『雷神創世』という2枚のアルバムをリリースした陰陽座ですが、今回のツアーは『風神界逅』のツアー。『雷神創世』からの選曲は1つもなく、『風神界逅』の曲に旧曲を織り交ぜたセットリストとなりました。

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なんばHatchは、近鉄やJRの難波駅から非常に近い場所にあり、とても行きやすいライブハウスです。
しかし、かなり大型のライブハウスであるため、動員数の問題から、ここでライブができるメタルバンドはあまりいません……(笑)
そんな中、多分日本で一番売れているヘヴィメタルバンドであろう陰陽座は、毎回なんばHatchにてライブin大阪を行っています。頼もしいですね。
とは言え、満員とはいかず、後ろの方は閉鎖されていましたが……


ロックバンドに遅刻は付き物ですが、ファン想いのバンドである陰陽座は定刻通りライブ開始。
今回のツアーのオープニングSEは、アルバム『風神界逅』の1曲目でもある"風神"です。
爽やかでかつ壮大な雰囲気のインストナンバーに合わせて、和服姿のメンバーがステージ上にあらわれます。
どんなライブでも、バンドがステージ上に姿をあらわす瞬間は心が滾りますが、アルバムを聴いていれば、この後にキラーチューン"神風"が待っていることはわかりきっているので、今回の高揚感は特にハンパじゃありません。

"風神"が終わると、予想通りにそのまま"神風"へと雪崩込みます。
陰陽座のヘヴィメタルナンバーはどれも高水準ですが、この"神風"は、そこからさらに突き抜けたレベルのキラーチューンです。
激しく刻まれるギターリフが、タイトル通り「神風」となって襲いかかってきます。ライブではその破壊力も倍増!
やはり、ヘヴィメタルのライブのオープニングは、こうでないといけません!

ちなみに、陰陽座のライブを見るとぼくはいつも思うんですが、軽く手を上げ半身に構えてリズムに乗る黒猫の姿は、昔の格ゲーのキャラみたいです(笑)
で、MCは「うたのおねえさん」風(笑)
可愛らしさと大人の色気を兼ね備えている黒猫さん(;´Д` )ハァハァ


そんな黒猫のMCを挟んで、『風神界逅』から"然れど偽りの送り火"が演奏されます。
良質な歌謡メタルでさらにテンションを上げたところで、続いてはファンキーなお祭り曲"しょうけら"。
アルバム『魑魅魍魎』からの選曲で、4曲目からいきなりの「扇子曲」です。

「扇子曲」と言うのは、文字通り扇子を使う曲のこと。
陰陽座のライブ会場では物販で扇子が売られていて、ライブ中、特定の曲が演奏されると、黒猫と一緒に観客がみんなで扇子を振って盛り上がるというお決まりがあるのです。
矢沢永吉のライブでタオルを振ったり投げたりするようなもんです(笑)
陰陽座の扇子は色とりどり、様々な色合いのものがあるので、たくさんの扇子が振られるとすごく綺麗で、ライブを盛り上げるとてもいいギミックだなぁと思います。

しかしながら、俺は扇子を振るのが恥ずかしい(笑)
いや、ぼくも学生時代は扇子買って振っていたんですけどね……女の人とか、若い子ならいざ知らず、朝剃ったヒゲがうっすらと生えかかっているようなアラサーのおっさんニヤニヤしながら扇子を振っている姿は、客観的に見てどうかと思うのですよ……(笑)
ヘドバンをするのに人目をはばかることはなくても、扇子を振るのはちょっと恥ずかしい。でも、扇子を持っていないとそれはそれで若干の疎外感を覚えるという、この複雑な男心。誰かにわかってもらえるでしょうか(笑)


MCを挟んで、『風神界逅』から""、『百鬼繚乱から"桜花ノ理"と、メタルナンバーが続けて演奏され、テンションはますます上昇。

中盤には、陰陽座名物、「忍法帖」の名を冠した楽曲が3曲連続で演奏されます。
ちなみに、陰陽座の「忍法帖シリーズ」は、曲中で「忍法」に見立てた派手なギターソロが披露されることが売り。ただし、最近の「忍法帖」では、その掟がしばしば破られることもあるみたいですが……(笑)

「忍法帖」ブロックの1曲目は、『風神界逅』より"無風忍法帖"。
派手なギターリフとファンキーなサウンドが特徴的なこの曲は、個人的にはアルバムで一番のお気に入り。
演奏が始まると興奮して思わず拳を上げてしまいました!……が、この曲、微妙に拳を上げづらい(笑)
拳を上げる動作をリズムに合わせにくいというか……ぼくの前の人たちも、リズムに合わせて拳を上げていましたが、その手が妙にしなしなしていたのが面白かったです(笑)
しかしヘドバンするような曲でもないし……と言うことで、ぼくは黒猫のパワフルなヴォーカルに集中していました。
ライブで生の演奏を聴いて強く思いましたが、これは変わった曲ですね(笑)
でも大好きですけどね(笑)

続いては、『魑魅魍魎』より"野衾忍法帖"。「野衾」は「むささび」と読むそうです。空を飛ぶ「むささび」は、今回のアルバムのテーマである「風」を連想させる部分がありますね。そういう意味での選曲でしょうか。
疾走感あるメタルナンバー。個人的に、この曲についてはそんなに強い印象を持っていなかったのですが、ライブで聴くとこれがすごくカッコいい。
"無風忍法帖"が、ちょっとクセのある曲だった分、ストレートでわかりやすい"野衾忍法帖"はとても盛り上がっていました。

そして「忍法帖」ブロックのトリを飾るのは"甲賀忍法帖"。
もう本当に大好きな曲なので、この曲名がコールされただけでもテンション爆上がりです(笑)
サウンドは激しく、歌メロは美しく、文句のつけどころがない名曲ですね!


「忍法帖」ブロックの次は、『風神界逅』より、"八百比丘尼"と"眼指"が演奏されました。
共に、スタジオ音源からしてドラマティックでロマンティックでもある素晴らしい曲ですが、生演奏で聴くと、聴き応えが格段にアップしますね。
"八百比丘尼"は、生演奏で音に迫力が増したことで、その世界観がより一層深淵なものになったように思います。
"眼指"も、音の迫力が増すことに比例して、そのメロディの美しさがさらに際立っていたように思います。

ただ、このあたりは、MC→"八百比丘尼"→MC→"眼指"→MCという構成で、ライブの流れがやや止まりがちだった印象も。
陰陽座のライブはMCの数がかなり多いように思いますが、もう少し楽曲を畳み掛ける感じの構成でもいいんじゃないかなーと思ったりもします。
楽器の交換とか、素人の観客にはわからない段取りがあるんだと思いますけどね。それに、MCが多いということは、それだけ黒猫さんのおしゃべりをたくさん聞けるということでもあるので、まぁ、それはそれでアリかな(笑)

ここら辺から、演奏した曲の順の記憶が曖昧になってきているのですが、確か『風神界逅』から"一目連"を、『夢幻泡影』から"舞頚"をやったはず。
ライブで聴く"舞頚"はとてもカッコ良かったですが、それ以上に、曲が終わった直後、黒猫さんが「ほとばしってしまいましたーっ!!」と叫んだのが可愛すぎた(笑)

そこから、さらにMCを挟んで『風神界逅』より"雲は龍に舞い、風は鳳に歌う"を演奏。
黒猫作曲の、シンフォニックでドラマティックな楽曲。スタジオ音源ではヴォーカルにしっかりとエコーがかかっていますが、ライブではエコーが弱まり、その分、黒猫のヴォーカルの力強さが強調された印象。
スタジオ音源の壮大で神秘的な雰囲気もいいですし、ライブ演奏の美しくも力強い雰囲気もいいですね。それぞれ違った良さがありました。

この曲が本当に大好きな人がいたんでしょうね。
演奏に入る際、黒猫さんがこの曲のタイトルを口にした瞬間、2階席の方から「う”あ”ーっ!!」というブルータルな声(女性)が聞こえて、会場が一瞬微妙な雰囲気になったのには笑いましたw
でも、すごく好きな曲名がコールされたら、そうなりますよね。しかたがない(笑)

その後、MCを挟んで"焔之鳥"がはじまった時には、俺も叫んださ(笑)
陰陽座が誇る様式美メタルナンバー"焔之鳥"~"鳳翼天翔"には、もう燃えないわけがない!
なんとなくのイメージで、この曲が聴けるとしたら本編かアンコールのオープニングかな~と思っていたので、思いもよらぬところで聴けて、興奮のあまり叫びまくってしまいました。
楽曲最後の「舞い上がれ」の部分はスタジオ音源以上に熱く歌い上げられていて、それがまた興奮。

演奏は、そこから間髪入れず『封印廻濫』からの"火車の轍"へ。
この流れは大好きです。たまらんですよ。
この"鳳翼天翔"から"火車の轍"という流れは、ぼくが個人的に作っているウォークマンの「陰陽座プレイリスト」と全く同じだったので、余計に興奮しました(笑)
この"火車の轍"も本当にカッコいいヘヴィメタルナンバーですね。サビで「火! の! わ! だ! ち!」と叫ぶのが最高に楽しいです。

風神界逅』からの"春爛漫に式の舞う也"で本編は終了。


アンコールでは『煌神羅刹』より"羅刹"、『金剛九尾』より"蒼き独眼"、"組曲『九尾』~殺生石"と、続けざまにヘヴィメタルナンバーが披露されます。
今回のライブでは、鉄分(笑)がやや少なめかな~と思っていたので、このヘヴィメタルコンボには燃えまくりました!
特に"殺生石"は、スタジオ音源よりライブ演奏の方が格段に良いですね。
演奏が良いのはもちろん、曲の最後、九尾の狐の断末魔を表現した黒猫のシャウトが圧巻でした。陰陽座では瞬火招鬼がデスヴォイス担当ですが、一番ブルータルな声を出せるのは黒猫じゃなかろうか(笑)

アンコールラストは、『煌神羅刹』より"おらびなはい"。
これもファンキーなお祭り曲。よって、扇子が登場しますが、ぼくもテンションが上がりまくっているので、もう扇子を持っていないことなんて気になりません(笑)
瞬火招鬼狩姦も?)の故郷である愛媛の方言で歌われる楽曲ですが、ファンキーな曲調と愛媛弁(伊予弁?)の相性がバッチリですね。


普通のバンドならここで終わるところですが、陰陽座はたくさんアンコールに応えてくれます(笑)
と言うことで、2度目のアンコールはスラッシュナンバー"悪路王"。
毎回お決まり、瞬火と観客の「悪路!?」「王!!」「悪路なんだって!?」「王!!」「よーしいくぜ、悪路オォゥ!!」って掛け合いが好きです。ちなみに「悪路オォゥ!!」の「オォゥ!!」はの部分はデスヴォイスです(笑)

2度目のアンコールは"悪路王"のみで終了。
ここで会場から「本日の公演はこれにて終了~」のアナウンスが流れますが、欲しがりさんの観客がそれにも構わずアンコールをし続けると、バンドはもう1度登場し、『魔王戴天』より"生きることとみつけたり"を演奏してくれました。

2度くらいのアンコールはライブのお約束ですが、3度もアンコールで出てきてくれるとはサービス精神に満ち溢れたバンドですね(笑)
でも、ぼくが過去いったライブでは4回アンコールしたこともありました。他の会場では、5回も出てきたこともあるそうな。それはそれでどうかと思いますが(笑)


と言うわけで、陰陽座のライブは今回も素晴らしかったです。
そして2ヶ月後には『雷神創世』のツアーで再び大阪にやってきます。2ヶ月で2度も陰陽座のライブを見れるなんて、なんと贅沢な。
しかも、会場でアンケートを取った結果、『風神界逅』より『雷神創世』の方が人気があるみたいなので、次のライブはもっと盛り上がるでしょう(笑)
2ヶ月後が楽しみですね。


ちなみに、今回のセットリストは以下の通り。
ただし、中盤の曲順は自信がありません。でも曲の漏れはない……はず!


セットリスト

風神
神風
然れど偽りの送り火
しょうけら

桜花ノ理

無風忍法帖
野衾忍法帖
甲賀忍法帖
八百比丘尼
眼指
一目連
舞頚
龍は雲に舞い、風は鳳に歌う
故に其の疾きこと風の如く
焔之鳥
鳳翼天翔
火車の轍
春爛漫に式の舞う也

encore1

羅刹
蒼き独眼
組曲『九尾』~殺生石
おらびなはい

encore2

悪路王

encore3

生きることとみつけたり


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petenshitokukiotoko at 03:13コメント(0)

2014年09月25日

陰陽座 - 雷神創世 【感想・レビュー】

日本のヘヴィメタルバンド、陰陽座の12枚目のアルバム。2014年9月24日発売。
11枚目『風神界逅』との同時発売となります。

今回、2枚のアルバムを同時発売した陰陽座
こういう場合、2枚のアルバムで売上に大きく差が出たりするんですかね。
それとも、やはり僅差になるのでしょうか。ファンなら、大抵は2枚同時に買うでしょうからね。
ぼくは『風神界逅』に軍杯が上がると思います。主にジャケットの差で(笑)
とは言え、中身の方も『風神界逅』の方が聴きやすく、一般受けしそうな気はします。

さて、本作は『雷神創世』というタイトルが示す通り、「雷」をテーマとした楽曲が多数収録されています。

「風」と言えば力強い。力強いと言えばヘヴィメタル! と言うことで、ヘヴィメタルにはピッタリのテーマですね。

さすが「雷」がテーマだけあって、本作では雷のような激しい曲や雷鳴のように重く響き渡る楽曲が目立ちます。


ちなみに、サウンド面における『風神界逅』との最も大きな違いは、あちらがレギュラーチューニングなのに対し、本作はダウンチューニングである点。
また、レコーディングエンジニアを、2枚のアルバムでそれぞれ別の人物にお願いすることで、録れる音に違いを持たせているそうですよ。


さて、そんな本作は、ヘヴィなミドルテンポのナンバー"雷神"で幕を開けます。
この曲では瞬火がメインヴォーカルを取っています。「雷」がテーマの瞬火ヴォーカルのアルバムオープニング曲と言えば、『臥龍點睛』の""が思い出されますね。
どちらも素晴らしい楽曲ですが、当時に比べてサウンド面が格段に向上しており、音のパワーではこちらの"雷神"が圧倒的に上です。
リズム隊が生み出すサウンドが、ゴロゴロと鳴り響く雷鳴のようで、迫力がハンパないです。アルバム冒頭がミドルテンポナンバーと言う構成は、嫌がる人も多そうですが、ぼくとしては、その後に続く展開に対する高揚感を煽られる感じがして、すごーく大好きです。

そこからつながる"天獄の厳霊"はヘヴィな疾走曲。ドコドコ鳴るバスドラの音が、これまた「雷」を想起させます。また、後半ではピアノの音色がいいアクセントになっています。ヘヴィでカッコイイ楽曲ですが、もっと突き抜けたテンションでも良かったかなーという思いもあります。

さらに3曲目のヘヴィメタルナンバー"千早振る"を経て、4曲目は全編デスヴォイスで歌われる問題作"人首丸"(笑)
陰陽座のデスヴォイス担当は、ベースヴォーカルの瞬火とギターの招鬼ですが、この2人のデスヴォイスは、揃ってどうもイマイチ線が細い(笑)
特に、瞬火氏は声がいいので普通に歌ってもがなり気味で歌ってもカッコイイんですが、デスヴォイスだけはイマイチ。黒猫が力いっぱい歌った方が、断然迫力があります(笑)

続く5曲目は、和音階を使用した和風ヘヴィメタルナンバー"夜歩き骨牡丹"。陰陽座って、和風ヘヴィメタルの筆頭的存在ですが、和音階ってあまり使わないイメージがあります。そういう意味では、この曲は陰陽座の中では異端かもしれません。
和風なメロディに、黒猫の演歌唱法が乗り、サビはメロディアスに。
最近目立つ黒猫さんの演歌唱法ですが、この人は「歌」であればなんでもこなせてしまうのでしょうか(笑)
そして、ヘヴィメタル・ハードロックと演歌って、結構合うんだということもわかります(笑)

シリアスなイントロで幕を開ける6曲目は"神鳴忍法帖"。「かんなり」の名を冠するだけあり、この曲もリズム隊の出す音がズンズン響きます。このアルバムは、ベースラインとドラムのサウンドが本当にカッコイイですね。
中盤のギターソロも、哀愁溢れててカッコイイです。
そして、黒猫のヴォーカルがシンフォニックで、楽曲にドラマ性を与えています。

そして、6曲目のあと、間髪入れずに7曲目の"天狗笑い"が始まります。
このアルバムでは、唯一、ギターの招鬼氏が作曲した楽曲で、ぼくは今回の2枚のアルバムを通して、この曲が一番のお気に入りです。
これは、「狗賓」と呼ばれる天狗界では一番身分の低い妖怪の悲哀と自己紹介を歌った楽曲です(笑)
歌詞が「狗賓の『狗』は『犬』じゃなくて「けものへん」に句読点の『句』」みたいな悪乗りした感のある内容なので、てっきりネタ曲かと思いきや、思いもよらず曲が滅茶苦茶カッコイイ!
リズム隊はヘヴィでかつ軽快。そしてギターが刻むファンキーなリズムと、哀愁に満ちたソロ。さらに黒猫さんの小気味よくメロディアスなヴォーカル。
楽曲冒頭とラストのギターの音色が哀愁たっぷりで凄くいいんですが、そこに瞬火氏による「犬の遠吠え」が重なることで、哀愁とカッコ良さがグンと増しています(笑)
先に歌詞を読んだ時にはまさかこんなにカッコイイ曲だとは思いませんでした。そして、曲がカッコイイと、歌詞のふざけ具合もまたカッコ良く感じます! むしろ、ふざけた歌詞だからこそカッコイイという境地にいたります(笑)
ぼくが思い描く歌謡ハードロックの理想系を、この曲の中に見出しました!

"天狗笑い"で上がったテンションを、シングル曲でもある陰陽座印のヘヴィメタルチューン"青天の三日月"でさらに盛り上げたところで、続く9曲目は、本作一の長尺ナンバー""。
この曲は、その醜い容姿のために、夫と義母から疎まれ殺されてしまった2人の女性について歌った物語です。
13曲近くに及ぶこの曲は、前半はメロディアスで歌謡曲的に、後半はヘヴィかつメタリックに展開していきます。
詞のストーリーを頭に入れた上でこの曲を聴くと、前半の「貴方にもっと尽くして、貴方をきっと癒して」から続く部分ですごく泣きそうになります。心が痛いよ(´;ω;`)
ただ、素晴らしい前半に比べると、後半はちょっとダレる感が。そして、なんとなく曲の部分部分がそれぞれ乖離しているような印象がありますね……過去に作られた、同じタイプの長尺ナンバー"組曲「義経」~夢魔炎上"や"道成寺蛇ノ獄"では、そういった印象は全く受けなかったんですけどね……。

10曲目の""は「和」を感じさせる弦楽器とピアノの音色が特徴的なバラード。
四季の移ろいを感じさせる、日本的な美しい情緒に溢れた名曲です。案外、こういうバラードは今までの陰陽座にはなかったような気もします。黒猫さんのシンフォニックなヴォーカルがまた美しい。いい曲だな~。そして、なんか泣きそうだな(´;ω;`)

この後、11曲目と12曲目で、本作はヘヴィにハードに元気よく締めくくられます。
陰陽座らしい後味の良い終わり方ですが、たまには""のような美しい曲で余韻たっぷりに終わってもいいのにな、とも思います。


さて、今回発売された2枚のアルバムですが、どちらもハイクオリティな作品であることには間違いがありませんが、文句なしの名盤と思える『風神界逅』に比べ、『雷神創世』の方は、曲によってクオリティにややばらつきがあるかなという印象を受けました。
また、ヘヴィメタルナンバーの突き抜け具合がもう一歩物足りない感じ。これは前作(前々作?)の『鬼子母神』でも感じたことであり、ともにダウンチューニングにより作られたアルバムであることを考えると、陰陽座にはやはりレギュラーチューニングが合っているのかなぁと思ったりします。
やはり、陰陽座のヘヴィメタルは、思いっきりハイテンションかつメロディアスであってほしい、というのが個人的な思いです。

とは言え、これは陰陽座の他の作品がハイクオリティ過ぎるが故に出てくる感想であって、本作も超良質なヘヴィメタルのアルバムであることに間違いはありません。
また、非常に個人的な趣向ですが、7曲目の"天狗笑い"はとにかく必聴だと思っています(笑)

なお、本作のツアーは来年冬に行われます。
ただ、近畿圏内では、大阪のライブの日にちがMOTLEY CRUEの神戸公演と完全にかぶってしまうんですよね。これはどうしたものか。
MOTLEY CRUE今回がラストツアーですからね。でも"天狗笑い"聴きたいしな。悩ましいです。


陰陽座 - 雷神創世

51k+wgaYcfL

1.雷神
2.天獄の厳霊
3.千早振る
4.人首丸
5.夜歩き骨牡丹
6.神鳴忍法帖
7.天狗笑い
8.青天の三日月

9.累
10.蜩
11.而して動くこと雷霆の如し
12.雷舞

※赤文字は特にお気に入りの曲です。

評価:☆☆☆☆☆☆☆☆(8点)


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petenshitokukiotoko at 03:23コメント(0)
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