「結論ありき」の非専門家ブログが社会を混乱させている:世界三大不正STAP事件の正しい理解を社会に広める会

「世界三大不正」の1つとも呼ばれる、STAP細胞ねつ造事件の正しい理解を社会に広めることが急務だと思い作成致しました。 現在この件について、科学的見地から正しい説明をしようとする研究者および良心的な方々に対し、STAP細胞(実際には小保方氏の虚構)があるものと思い込んだ人々からの脅迫行為なども行われています。その結果、良心的な研究者がほとんどSTAP細胞について発言できなくなりました。この異常事態を改善し、STAP細胞についての正しい知識を社会に広めるため、このブログを立ち上げました。

タグ:ハイデルベルク大学

 突然変なことを書くようですが、タイトルの通りです。いろんなところで(私たち専門家からすればすべて知識不足等に基づくガセネタなのですが)

STAP 細胞の存在が証明された!」

といった記事をネット上で見ますよね。もしくは、kindle 版の本でもそういったものが多く見られます。STAP が何の略であるかは論文を見ればわかりますが、そういうことではなくて、

「どういう細胞が STAP 細胞なのか?どんどん増える細胞?マウスになれる細胞?どのくらいいろいろなストレスに耐えられる細胞なの?」

 STAP 細胞とは何か?これは、実は、どのような答えでも不正解です。なぜなら、論文が撤回された以上、その論文はなかったことになっているので、STAP 細胞もなかったというしかないからです。実際に、「STAP 細胞がある」ことを証明できなかった以上、これは当たり前であるだけでなく、そう答えなければいけないのです。

 しかしながら、このブログでも7月6日付の
http://blog.livedoor.jp/peter_cetera/archives/4750858.html


で説明しましたが、理研は検証実験を行うに当たって、「STAP 細胞があったかなかった」を決定するには、「STAP 細胞とはそもそもどういう細胞か」を決めないといけませんから、
STAP 現象の検証」(20141219日付)の中の「2. STAP 現象の検証について」の章の中の第一節「(1)検証の目的と概要」において、次のように定義しています。

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 STAP 現象は、マウス新生児の各組織の細胞(分化細胞)を一定の条件でストレス処理すると、多能性を持つ未分化細胞にリプログラミングされるという、上記研究論文(小保方 Nature 論文のこと)に記載された現象である。
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ですから、検証実験の最中においても、これに当てはまらなければ、STAP 細胞ではないのです。

 ちょっと申し訳ないですが、「STAP 細胞はあった!」としている本のレビューコメントから、典型的な誤解例を紹介したいと思います。本名ではないでしょうが、書かれた方の名前は出しませんし、前半部分は少し短縮させてください。

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(以下引用)
実際にSTAP細胞があることはハイデルベルグ大学の研究者が「修正したSTAPプロトコルでヤーカット細胞で試したら死細胞と多能性細胞と二極の運命に誘導されました」的な論文で明らかです。STAPの修正された酸性プロトコルでの実験で以下にAbstractを引用します。
[・・・]

Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes
修正されたSTAP状況は、Jurkat Tリンパ球での細胞万能性と死滅間で二価運命決定を容易にします
Abstract
要約
Low extracellular pH (pHe) is not only the result of cancer metabolism, but a factor of anti-cancer drug efficacy and cancer immunity. In this study, the consequences of acidic stress were evaluated by applying STAP protocol on Jurkat T-lymphocytes (2.0 × 106 cells/ml, 25 min in 37 °C). We detected apoptotic process exclusively in pH 3.3 treated cells within 8 h with western blotting (WB). This programmed cell death led to significant drop of cell viability in 72 h measured by MTT assay resulting PI positive population on flow cytometry (FCM) at day 7. Quantified RT-PCR (qRT-PCR) data indicated that all of above mentioned responses are irrelevant to expression of OCT4 gene variants. Interestingly enough, pluripotent cells represented by positive alkaline phosphatase (AP) staining survived acidic stress and consequently proportion of AP positive cells was significantly increased after pH 3.3 treatment (day 7). In general, acidic treatment led to an apoptotic condition for Jurkat T-lymphocytes, which occurred independent of OCT4 induction.

低い細胞外pH(pHe)は、ガン代謝の結果だけでなく、抗癌薬有効性とガン免疫の要因です。この研究において、酸性のストレスの結果は、Jurkat Tリンパ球(2.0の×106セル/ml、37の°Cの25分)の上でSTAPプロトコルを適用することによって数値がだされました。我々は細胞を西に拭く(WB)ことで8h扱われるpH 3.3だけで細胞消滅のプロセスを見つけました。MTTで測定される72hで細胞生存能力のかなりの落差に導かれるこのプログラムされた細胞死は7日目の流れ血球計算(FCM)に関して結果として生じるPIに対して陽性の細胞集団を検定します。定量化されたRT-PCR(qRT-PCR)データは上述の反応の全てがOCT4遺伝子変形の表現力とは無関係なことを示しました。興味深いことに、明確なアルカリホスファターゼ(AP)染色によって見受けられる万能細胞は酸性のストレスを生き残りました、そして、従って、APに対して陽性の細胞の割合はpH 3.3処置(7日目)の後かなり上昇しました。一般には、酸性の処置はJurkat Tリンパ球の細胞死の条件につながりました。そして、それがOCT4誘導から独立していて起こりました。
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 これを書いた方は、

「実際にSTAP細胞があることはハイデルベルグ大学の研究者が『修正したSTAPプロトコルでヤーカット細胞で試したら死細胞と多能性細胞と二極の運命に誘導されました』的な論文で明らかです」

と述べ、続いて、

「STAPの修正された酸性プロトコルでの実験で以下にAbstractを引用します」

と書いて、まず論文に記載された英文の Abstract、続いて日本語訳(ご自分でされたのか、自動翻訳機なのかわかりませんが)を載せています。申し訳ないですが、みなさんはこの日本語の文章を理解できるでしょうか?正直なところ、これを載せた方も、意味は分かっていないと思います。とにかく、

これは間違いなく STAP 細胞の存在を証明する論文なんだから・・・

という思いだけで

「Abstract は、多分それを証明する内容になっているはずだ」

という希望的観測で書いているように思えます。故に、上で赤字で示したような、この研究分野ではありえないような言葉が出てきてしまうのです

 ハイデルベルク大学の BBRC 論文については何度も書いているので、過去の文章を読んで頂くのが一番なのですが、箇条書きで、「なぜあの論文が STAP 細胞を証明している論文にならないのか」を書いておこうと思います。

がん細胞を使っているがん細胞と正常な細胞は全然性質が違うので、がん細胞を使って実験をしている時点で、STAP 細胞の研究ではありません。がん細胞は無限の増殖能を有しているのですから、ほぼ全滅するような酸性条件であっても、数個が生き残っていれば、増えてくることがありますが、STAP 細胞は正常細胞を使うのが絶対条件なので、がん細胞を使って得られた結果や実験方法は、正常細胞を使った実験には用いることが出来ないことは非常に多いのです。また、分化したがん細胞から、未分化ながん幹細胞が出現することはすでに知られているので、ここで使っているヒト白血病細胞を未分化状態にすることが出来たとしても、STAP 細胞とは関係ないし、発見された時期においてもはるかに遅いので、並べて論じること自体に無理がある

多能性幹細胞になったことの証明が全然できていない(Oct4 の上昇という最も基本的かつ容易な実験が成功していない時点で、「多能性幹細胞の論文」とは全く言えない。STAP 細胞も、刺激を加えるだけで多能性幹細胞が出来た(という触れ込みだった)ので、Oct4 の上昇を示すことが出来ていないことは致命的である)。

論文の筆者自体が、キーワードに「STAP 細胞 (STAP cell) 」も「STAP 現象 (STAP phenomenon) 」も入れていない。その代り、Jurkat T-cells、Acidic stress、Cancer stem cell (CSC)、Apoptosis、Alkaline phosphatase (AP) の5つが挙げられている。STAP 細胞はキーワードに入っていないのに、CSC(がん幹細胞)がここでキーワードに入っているということは、この論文は「がん幹細胞の論文」であって、「STAP 細胞の論文」ではないということである

 論文のタイトルに「Modified STAP conditions」などと入っているので、「STAP 細胞はある!」と思いたい人たちが飛びついてしまったのだが、これは論文を書いた人が悪いと思う。「Modified STAP conditions」とは、単に「Acidic stress」のことなのだ

 溶液を酸性条件にするなどと言うのは、実際の研究現場ではあまりにも普通にあることなので、自分がエディター(雑誌側で、論文を最初に見る人)ならば、

タイトルを直せ。論文の内容が誤解される

と返信したと思う。

ハイデルベルク大学のグループが STAP 現象を確認したというウソの拡散は直ちにやめなければならない。



「ハイデルベルク大学のグループが STAP 現象を確認したというウソを書いたり拡散している人は、誤解をしているだけなのかそれとも確信犯なのか?」



結構不思議に思うところです。私も何度も

「これは
STAP
細胞の研究とは関係がない」

ということを説明してきたのですが、とにかく一定期間ごとに同じガセネタの記事が拡散するのです。まるでインフルエンザなどの感染症の拡散と収束のような感じです。



 とりあえず、出回っているガセネタ



ドイツのハイデルベルク大学のグループが STAP 現象の確認に成功した



というものです。しかし「現象に成功した」というなら、どのデータがそれを示しているというのだろうか?そしてもっと重要なのは、

STAP 現象とはどのように定義されているのか



と言うことです。同じように「STAP 細胞はどのように定義がされているのか」定義に当てはまらないのであれば、それは STAP 現象でも STAP 細胞でもありません。ただの勘違いか、思い込み、あるいは願望に過ぎません。



516日のブログで私が一度書いているのですが、「STAP 細胞の定義はこれこれである」という記載は見たことがありません。



しかし、516日の繰り返しになりますが、理研での「STAP 現象の検証」(20141219日付)の中の「2. STAP 現象の検証について」の章の中の第一節「(1)検証の目的と概要」には次のような記載があります。
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 STAP 現象は、マウス新生児の各組織の細胞(分化細胞)を一定の条件でストレス処理すると、多能性を持つ未分化細胞にリプログラミングされるという、上記研究論文(小保方 nature 論文のこと)に記載された現象である。
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文章の内容、そして「~現象である」という締めくくりを考えると、これは、理研が考えている、STAP 現象の定義の公式見解と言ってもいい、もっと言えば


これが理研の考える STAP 現象の定義である



と言ってよいと思う。範囲が狭いように感じるかもしれないが、あの撤回された論文では、実際に、上で書かれたこと以外のことはやっていない。大人のマウスではうまく行かないとも書いてあったし、ヒトでやったデータは全くなかった。それを踏まえれば、これ以上の内容を、STAP 現象に含めるのはおかしいだろう。



 では、いい加減、何度書いたかわからないが、「ザ・ガセネタ」とも言える例のビジネスジャーナルの記事である。タイトルは、



STAP現象の確認に成功、独有力大学が責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる」



STAP 現象」が確認されたと書いてある。では、理研の定義と比較してみよう。



 STAP 現象は、マウス新生児の各組織の細胞(分化細胞)を一定の条件でストレス処理すると、多能性を持つ未分化細胞にリプログラミングされるという、上記研究論文(小保方論文のこと)に記載された現象である。




このビジネスジャーナルが持ち出しているのは、これもさすがに飽きたが、




Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes』(ジャーカットT細胞を、少し変更を加えた STAP 細胞(を作製したと記載されている)の条件にさらしたら、多分化能を獲得するか、もしくはアポトーシスを起こすか、の2つの状態への遷移が促進された)



という論文である。Jurcat T-lymphocytes(リンパ球)はがん細胞である。この時点で、すでに STAP 現象の実験ではないことがわかる。実際、論文に記載されているキーワードを抜き出してみよう。



Jurkat T-cells

Acidic stress

Cancer stem cell (CSC)

Apoptosis

Alkaline phosphatase (AP)



STAP 現象」も「STAP 細胞」も入っていない。STAP 細胞の論文で、キーワードに「STAP 現象」「STAP 細胞」を入れないなんてありえないだろう。



それに、これは多くの方が指摘されていることだが、STAP 細胞は「がん化しない」が大きな‘ウリ‘のはずであった。もちろんこれは何の裏付けもない発言だった。



iPS 細胞は、有名ながん遺伝子 c-myc を含んでいるが、STAP 細胞には c-myc は使われていない。だからがん化の可能性は低い」



これがパネルに描かれ、さらに「iPS細胞の作製成功率は非常に低い」というずいぶん前の話まで適当に付け加えられ、至るテレビメディアで放送された。山中先生が怒るのも当然である。



2006年のマウスにおける iPS 細胞の樹立の成功から、世界中で iPS 細胞関連の研究競争が始まり、それでも日本の研究室として世界のトップを走り続けて下さったのだ(実際に実験を行った方々の検討はそのうち半分を占めているだろうが)。それをあっさり、いい加減に作られたパネルで全国に吹聴されたらたまったものではない。



このハイデルベルク大学のグループの論文であるが、正直BBRCの中でもデータのレベルは低いと考える。BBRC は最低でも最高でも4つの Figure が要求されるが、そのうち1つが、「多分化能」を示す場合に絶対に欠かすことのできない「Oct4」の発現を検出することが出来なかったというネガティブデータを出して、何とか論文にしているのだ。

 そして、「
Oct4 の発現がなかった」というのに、AP 染色をやったら染まったということで、「多分化能を得た」と書いているのだが、この乱雑なデータで、それを信用するような研究者ではダメであろう。複数のデータが一通りそろって、ようやく重要な結論は出されるというのに、要中の要である「Oct4」ですでに失敗している。これで「多分化能を得た」などと、私なら絶対に書かない。



 AP 染色に限らないが、実験に用いる試薬は、複数の企業から複数のものが販売されていることも多い。AP は非常に有名な酵素なので、当然ながら複数のものが売られている。



このグループはMolecular Probes 社(今は買収されて社名が変わっているが、製品はそのまま残っている)の A14353 という品番の AP を使用していた。

https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/A14353



では、商品の説明を見てみよう。

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アルカリホスファターゼは、未分化の胚幹細胞(ESCs)、人工多能性幹細胞(iPSCs)、胚生殖細胞(EGCs)をはじめとする多能性幹細胞(PSCs)の表現型マーカーのことを言います。アルカリホスファターゼは大半のセルタイプで発現しますがPSCsにおいては発現が著しく上昇します。したがって、AP染色は、フィーダー細胞として使用されるマウス胎児線維芽細胞(MEFs)及び一般的にリプログラミング実験に使用される親株となる線維芽細胞とを容易に鑑別するために、PSCsを特異的に染色する際に使用されてきました

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そもそも Alkaline Phosphatse とはどういうものなのか。自分が初めてこの酵素を知ったのは、「細胞修復酵素」としてである。もちろん、いくつかのアイソフォームがあり、役割は異なる上に、「修復酵素」としての役割が最も発揮されるのは、血液検査で「ALP」と呼ばれて、肝機能が正常かどうかである。この ALP と、多能性を調べるための AP (ALP) はアイソフォームが違うとはいえ、「特異性が極めて高い酵素」というわけでもない。ハイデルベルク大学の実験では、



AP では染まっているのに、OCT4 が発現してこない」



と言う結果であったが、多能性を獲得したのではなく、単に酸性条件で細胞が損傷し、その修復のために AP が上がっているのではないだろうか。これは私の仮説であるが、OCT4 が上がってこないという非常に重要な結果がある以上、「多能性を獲得した」などと言う結論は絶対に導いてはいけない。





ビジネスジャーナルのタイトルは



STAP現象の確認に成功、独有力大学が責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる



しかし事実は「STAP 現象の確認はされていない」「この論文の発表と理研、早稲田大学の責任は無関係である」



それが正解である理研と早稲田大学の責任追及には、この論文は全く関係しない。




追伸:当然ですが、明確な定義がなされていないからと言って、その定義を限りなく拡張してはいけません。そもそも、STAP 細胞は存在しないので、STAP 現象」も存在しなければ、定義もないのです。

STAP現象の確認に成功、独有力大学が責任逃れした理研と早稲田大学の責任、問われる

文=大宅健一郎/ジャーナリスト

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 今年310日、ドイツの名門大学、ハイデルベルク大学の研究グループがSTAP関連の論文を発表した。論文タイトルは『Modified STAP conditions facilitate bivalent fate decision between pluripotency and apoptosis in Jurkat T-lymphocytes(邦訳:修正STAP条件によって、JurkatT細胞の運命が多能性と細胞死の間で二極分化する)』である。

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 すでに本ブログで解説済みだが、この論文は STAP 細胞とは関係がない。そもそもこの記事はサイゾー系の「ビジネスジャーナル誌」のものだが、「ビジネスジャーナル」などと唱っている一方で、「名前を聞いたこともない」ような人たちばかりが根拠のない記事を投稿している。そして肩書は「ジャーナリスト」だが、この大宅健一郎という人間も、他の雑誌等で記事を全く書いていない。「複数のペンネームを使い分けているのでは?」と考えることも出来るが、名のある人が「ビジネスジャーナル」に記事が掲載するのはそれだけで1つの恥だと思う。


最近、研究の世界でも、一応「専門誌」であるが、論文の査読はほとんどされず、投稿料だけたくさん取って、それで利益を得るという悪質な専門誌の出現が後を絶たない。このような雑誌に論文を投稿しても、私たちがいつも論文検索に使う PubMed でその論文は出てこない。このような雑誌に論文が載ってしまうこと自体、研究者にとっては恥である。


 STAP 細胞は論文も撤回され、再現実験でも誰1人成功していない。小保方氏のホームページには、「小保方氏本人は STAP 細胞の証拠だと思い込んでいる」細胞らしき写真があるが、研究の基本が身についていないので、STAP 現象の根拠に全くならない写真でしかないという嘲笑を研究者の間で再び買うことになってしまった

 研究に疎く、小保方氏の研究ではなく容姿に惹かれている人たちに人気があっても、彼女が研究を再度やりたいと思ったら、専門家から評価を得なければその道は開かない


 小保方氏の多くのファン(残念ながら専門家は限りなくゼロに近いようだが)が言うように、「海外では STAP 現象は本物だというのが共通見解になっている」「STAP 現象研究がものすごい勢いで進んでいる」というのなら、小保方氏はこのハイデルベルク大学に、テクニシャンでもいいから雇って欲しいとアプローチをするべきだろう。もし本当に「STAP 現象研究がものすごい勢いで進んでいる」なら、その第一人者のオファーを断ることなどないだろう。小保方氏とは直接コンタクトは取れなくても、弁護士はフェイスブックの小保方ファングループに登場しているし、説得してみたらどうだろうか?


もしあっちの研究室に「今は空きがないので受け入れられない」と言われたら、ファンでお金を集めて、無給で彼女が研究できるようにすればよい。もっとも、彼女は印税がたくさんある上に、そもそも4人もの弁護団を長期雇用できる極めて恵まれた環境で育った人間だ。今後も生きていくのに何の苦労もいらないだろう。だから、彼女は「無給」を条件に研究室にオファーを出し、ファンはカンパして集めたお金を「研究費」としてその研究室に寄付すればよい。研究費はいくらあっても多すぎるということはあまりない(ゼロではないようだが・・・)ので、特にこのハイデルベルク大学程度のグループなら、「巨額の研究費を持っていくので・・・」と言えば、かなり風向きが変わるかもしれない。もちろん、ファンの皆さんが言っていることが正しければ、の話だが


 この記事では


「がん幹細胞の分野においては魅力的な課題である」

「使用している緩衝液の緩衝能が適していないことが理由として考えられたので、それも変更した」

「がん細胞の分野で研究の価値大」


などと、論文の内容を紹介しているが、どれもどこかのブログで専門家が指摘していたことだ。特に、「緩衝液の緩衝能」などは普通気がつかない。「それだけこの大宅氏が優秀なのだ」と言う人がいるかもしれないが、それにしては用語の使い方や文章が、ある専門家が書いていたことと一緒なのだ。「がん幹細胞」「がん細胞」を強調しているところなどもまさにそっくりである。証拠がないので何とも言えないが、おそらくパクっているのではないかと思う。面白いことに、STAP 現象の再現にはそんなに触れておらず、がんの方で話を作っている。これではこの論文同様、この記事も STAP 現象の記事なのか、最後にちょろちょろとありがちな言葉で触れてはいるものの、そういう印象は受けない。


 この論文については、すでにこのブログでも触れたので、これ以上の解説は控えたい。


 ただ、一点だけ、ずっと懸念しているこの1つだが、STAP 現象」は論文がすでに撤回されたものなので、本来はそこでその用語も廃棄されるべきなのだが、非専門家(要はほとんど素人だ)が、勝手にそれを「本当だ」と、根拠薄弱および解釈の誤りと知識不足を土台にして、至るところで吹聴しているので、まだゾンビのように生き残ってしまった。で、何が最も懸念されるかと言うと、そもそも研究が成り立っていないので、適切な定義がなされておらず、ものすごい拡大解釈までされてしまっているのだ。この論文はその典型的な例である。


がん細胞と正常細胞とでは性質が恐ろしく違う。無限の増殖能を持つ細胞の分化度を戻したところで、それが正常細胞にも当てはまる可能性はかなり低い。そもそも「がん化しない」が大きなウリだった STAP 現象に、がん細胞を当てはめて何が得られるというのか?最近発表された iMuSCs 細胞も「STAP 現象が再現された」と吹聴されていたが、これでは細胞の分化や発生学の分野の論文が出るたびに「STAP 現象が再現された」といわれるのだろう


小保方支持派はそれで悦に浸るのだろうが、優秀な小学生なら、その論理に無理があることは、結論ありきでこじつけたことは、簡単に見抜いてしまうに違いない。こういうと申し訳ないが、STAP 現象を支持するようなレベルの人では、優秀な小学生には頭脳ではまず勝てない。この論文の日本語訳を彼らに渡せば、こんなコラムよりもはるかに論理性にスキがなく、かつ有用な示唆に富む論文(解説)を書き上げるに違いないだろう


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(以下記事全文)

  海外の一流大学が、いわゆる「STAP現象」の再現実験を行ったということで話題となっている。以下に同論文の概要を紹介する。


<(1)序論:STAP論文は撤回されたが、低pHの刺激による万能性獲得の可能性は、がん、または、がん幹細胞の分野においては魅力的な課題である。


 2)実験:そこで、理化学研究所と米ハーバード大学から発表されたプロトコルを改変して、セルライン化されたT細胞に刺激を与える実験を行った。


 3)結果:当グループが見つけたpH3.3の条件では、酸処理後、多能性マーカーの一種であるAP染色陽性細胞の割合が増加した。AP陽性の多能性細胞は酸処理ストレス下を生き延びて優位に増加。


 4)考察:小保方晴子氏【編注:一連のSTAP細胞論文問題をめぐり201412月に理研を退職】が英科学誌「ネイチャー」で発表したプロトコルでは成功しなかった。それは、使用している緩衝液の緩衝能が適していないことが理由として考えられたので、それも変更した。


 一番の発見は、このような瀕死のストレス条件では、Acute T-cell leukemia(ヒト急性T細胞白血病)の細胞株である JurkatT細胞が、万能性を獲得するか、もしくは死ぬかの間で揺らいでいることである。何がそれを左右するのかを探るのが今後の課題だ>


 わかりやすく解説すると、以下のようになる。


<小保方氏が発見したSTAP現象を、がん細胞の一種であるJurkatT細胞を用いて再現実験を試みた。同細胞に対しては、小保方氏がネイチャーで発表した細胞に酸性ストレスをかける方法ではうまくいかなかったため、独自に修正した酸性ストレスをかける方法を試してみたところ、細胞が多能性(体のどんな細胞になれる能力)を示す反応を確認した。それと同時に細胞が死んでしまう現象も確認されたので、何が細胞の運命を分けているのかを探っていきたい>


がん細胞の分野で研究の価値大


  今回の論文で多能性を確認したAP染色陽性細胞は、小保方氏らのSTAP論文でも発現が確認されている多能性マーカーのひとつである。細胞が酸性ストレスによって多能性を示すという反応は、まさに小保方氏が発見したSTAP現象そのものだ。


 世界的に活躍する国際ジャーナリストで、自身もニューヨーク医科大学で基礎医学を学び医療問題に関するリポートも多い大野和基氏は、同論文を次のように評価している。


STAP現象の論文は撤回されたが、少なくともがん細胞の分野ではまだまだ研究の価値がある、ということだ。細胞の多能性に対する酸性 pH の効果は、がん生物学(がん幹細胞も含む)の分野では、注目されるトピックであり、STAP細胞が、がん細胞ではできた可能性があることを、このハイデルベルク大学の論文は示している。


 また、この研究者らの実験では、小保方氏が確認した多能性を示すOCT4の発現を変えることができなかったようだが、異なる結果として、De Los Angelesほかが、STAPプロトコルのような、強いストレスでOCT4の発現が増加した例を紹介している。


 ともあれ、『ネイチャー』のSTAP論文撤回後、海外の大学、しかもハイデルベルク大学においてSTAP現象を確認する実験が行われたことは注目すべきことである」


 がん細胞の一種であるJurkatT細胞に対して、小保方氏が行った方法ではうまくいかなかった理由について、ある生物学の専門家は次のように分かりやすく説明してくれた。


「細胞の種類によってストレス反応に違いがあることも一因と考えられます。小保方氏はがん細胞以外の細胞を使っていたため、ストレスをかけるpHの違いが出ても不思議ではありません。


 また、培養系の実験では、緩衝材の違いはもちろん、試薬のロット(製造日)差によっても結果が違ってくるというのは周知の事実ですし、シャーレのメーカーによっても結果に違いが出ることがあるほどです。それほど微妙な調整が必要な世界であり、プロトコル(手順)通りにやっても同じ結果が得られないことは普通です。


 ハイデルベルク大学の研究グループは試行錯誤の結果、独自にSTAP現象を確認する方法を見いだされたのではないでしょうか」


 日本国内では、マスコミによる異常な偏向報道によって、完全に葬り去られたように印象づけられたSTAP現象だが、そのような先入観もない海外の大学によって再現実験が試みられた事実は大きい。


日本の専門家たちの間違い


 一部の専門家は、小保方氏がSTAP細胞のレシピ(詳細な作製手順)を公表するサイト「STAP HOPE PAGE」を開設した際にも、「STAPを今さら研究する研究者は世界にどこにもいない」と批判していたが、それが完全な間違いであったことが証明された。


ネイチャーのSTAP論文が撤回された理由は、小保方氏が発見した「STAP現象」の否定ではなかったことは前回記事で述べた通りである。


 小保方氏の人権を蹂躙するかのようなマスコミがつくり上げた世論に同調し、常識を逸脱した禁じ手まで使って論文をなきものとして責任逃れをした理研や早稲田大学と比べ、真摯に生物学的現象を追究するハイデルベルク大学のニュートラルな姿勢は、科学に向き合う本来のあり方を教えてくれる。


 ハイデルベルク大学が発表した今回の論文によって、STAP現象に対する世界的な関心が再び高まっていくかもしれない。

 (文=大宅健一郎/ジャーナリスト)




































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