2016年11月11日

はじめに・・

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カテゴリー別にお読みいただくことをお奨めします。

小著 2012.3.8発刊 

実践するドラッカー【事業編】
実践するドラッカー【事業編】

小著 2011.3.3発刊
01457-thumb-208xauto-8182

実践するドラッカー【チーム編】

小著 2010.4.1発刊       

01293-2 

実践するドラッカー〔行動編

 

小著 2010.1.28発刊

実践するドラッカー【思考編】
実践するドラッカー〔思考編〕


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pfd at 11:11|Permalinkはじめに 

2016年07月28日

プロフェショナル・マネジャーの行動原理(『経営者の条件』P. 12)

ドラッカー教授は、2004年に「プロフェショナル・マネジャーの行動原理 What Makes an Effective Executive」という論文を書きました。この論文は、エターナル版『経営者の条件』の序章に収録されました。

『経営者の条件』執筆から約40年、再びEffective Executiveを論じたことはとても興味深いことです。論文には、「正しいことをやり遂げる」エグゼクティブに共通する八つの習慣が挙げられ、一つに「会議の生産性をあげる」ことがあります。

 ポイントは第一に、会議等の目的を七つ挙げ、それらの準備をどのようにすればいいかを論じました。合わせて目的を達したら直ちに閉会すべきことを付け加えました。 

第二に、フォローが大切であることを挙げました。GMのCEOであったアルフレッド・スローンの習慣である会議等の結論と宿題を記したメモを例示しました。

最後に教授は「会議には、成果をあげるものとあげないものの二つに一つしかないことを知らなければならない」と締めくくりました。

DLab解説書第4巻』p.56



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2016年07月27日

成果をあげる会議(『経営者の条件』P. 97)

ドラッカー教授は、会議を成果のあがるものとするための工夫を指摘しました。

<会議の成果をあげるために行うべきこと>
 _餤津の召集前に、目的を明らかにする
 会議等の冒頭に、目的と果たすべき貢献を確認する
 L榲に沿って進行させる
 げ餤津の進行役は、発言してはならない
 ソ仞兵圓料完を刺激し、全員を挑戦させるものにする
 Σ餤津の終りには、冒頭の説明に戻り、結論を目的と関連づける

<会議の成果をあげるため行ってはならないこと>
 ‐ー蠅縫▲ぅ妊アを言い合う場としない
 ∋弭佑噺‘い硫餤弔鮹かのプレゼンテーションの場としない

DLab解説書第4巻』p.55



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2016年07月26日

なぜ会議を問題にしたのか(『経営者の条件』P. 97)

ドラッカー教授は、これまたやや唐突に「会議」をテーマとして4節を設けました。会議の他に報告やプレゼンテーション(以下「会議等」という)を含めて複数人が集まる場は、エグゼクティブの典型な局面であり、日常的で、膨大な時間を要します。

第2章「汝の時間を知れ」でも「時間浪費の原因を整理する」の中で会議等の過剰は組織の欠陥であると断じました。会議等がエグゼクティブから時間を奪っている現実からの脱却が生産性向上の大きなポイントと考えたのです。 

教授は、「人は、仕事をするか、会議に出るか」(同書p.68)と述べていることから会議を仕事とは考えていませんでした。「会議を開くのは、仕事をする人たちが互いに協力しなければならないからである」とし、互いの貢献のための道具として考えていました。

貢献のため必要であるが、時間がとられると成果から遠ざかるというジレンマにあるのが会議の特性です。それゆえ特別な意識を持って取り組むべき課題なのです。

DLab解説書第4巻』p.54



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2016年07月25日

4の必要条件の構造(『経営者の条件』P. 93)

ドラッカー教授が挙げた「効果的な人間関係の基本的な必要条件」は、それぞれ単独で説明されていますが、そこにも構造があります。第一に.灰潺綟鵐院璽轡腑鵑鉢▲繊璽爛錙璽は、,縦の、△横のコミュ二ケーションの関係を示し、相互補完的です。第二に自己開発とた雄牋蘋は、自分の自己開発と他人の自己開発を示し、自己開発という同じ基本原理を基礎として自分の立ち位置の違いを示しているに過ぎません。すなわち自分から見て対象を自己にするのか他人にするのか違いです。

とい遼楴舛蓮∧殕能力を高めることです(インプット面)。貢献に焦点を合わせることで自らの足らざる点を知り、より貢献できる存在に変えるために必須です。,鉢△遼楴舛蓮∧殕能力を現場で活かすかという点で不可欠です(アウトプット面)。

また△鉢い蓮⊆腓燭覺霆爐他人であり同質的です。,眤梢祐霆爐僚斗彑を述べていますが、要求を通すという意味で自分基準が主たるテーマです。は、自分基準ですから、,鉢は同質的と言うことができます。このように4つの条件などいくつかが並列的に列挙される時には、それらの構造を考えてみることが重要です。より理解が深まります。

DLab解説書第4巻』p.46



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2016年07月24日

効果的な人間関係の基本的な必要条件(『経営者の条件』P. 93)

「効果的な人間関係の基本的な必要条件the four basic requirements of effective human relations」(オリジナル版、エターナル版「成果をあげるために必要な四つの基本的な能力」)と訳された次の四つの事項が、やや唐突に本文中に現れます

.灰潺綟鵐院璽轡腑communication
  ▲繊璽爛錙璽teamwork
   自己開発(啓発)self-development
   た雄牋蘋development of others

 この言葉の頭には「貢献に焦点をあわせることによって」という限定が付きます。つまり貢献に焦点を合わせなければ、成果をあげるためのこれらの四つの条件をクリアできないことを示しています。

 ドラッカー教授は、これら四つの項目を成果を前提としたよき人間関係の条件とし、これらが上手くいかなければ、人間関係のあるべき姿を作れないと考えたのです。

DLab解説書第4巻』p.45



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2016年07月23日

三人の人間関係のお手本(『経営者の条件』P. 92)

ドラッカー教授は、自身の経験から人間関係に優れた人物として次の三名を挙げました。教授の人物評とともに記します。

ジョージ・C・マーシャル大将―第二次世界大戦中にアメリカ陸軍の参謀総長を務めた職業軍人。きわめて厳正な態度で、仕事に一途に打ち込む一方、非常な恥ずかしがりやながら一種の人間的魅力に恵まれた人。

アルフレッド・P・スローン・ジュニア―1923年にGMの社長に就任した能吏タイプの人物。礼儀正しいがきわめてよそよそしく見える人間である。

ニコラス・ドライスタット―スローンの年上の同僚。不況の最中、キャデラックを豪華な車として販売し実績を挙げた。五〇年代にも社長となったであろう傑物。古き良きハイデルベルクの伝統を受け継いた典型的なドイツ職人タイプ。

このように彼らは、まったく違うタイプにも関わらず愛され、敬われていました。その人間関係は、「貢献」を中心に構築されていました。そこが三人の共通点でした。

DLab解説書第4巻』p.44



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2016年07月22日

よき人間関係の唯一の妥当な定義(『経営者の条件』P. 92)

ドラッカー教授は、「よき人間関係の唯一の妥当な定義」[i](オリジナル版の表現)という言葉を用いて人間関係のあるべき姿を表現しました。すなわち自らの仕事において、また他人との関係において、貢献に焦点を合わせることがよい人間関係の前提であることを述べました。

貢献に焦点を合わせることで第一に仕事と自分の関係、第二に仕事を通して他人との関係が生産的になるのです。これらの関係が生産的であることが「よき人間関係の唯一の妥当な定義」であるとしました。

組織においては、成果を前提とする仕事を中心とした関係性が第一優先であり、それなしに温かい思いやりや愉快な会話は意味がないとしました。むしろ、単に人間関係のよさを優先させる関係は、ごまかしにすぎないと厳しく断じました。

逆にぶしつけで耳ざわりの悪い言葉も成果を前提にしたものであれば、人間関係を壊すことはないと述べました。現場で生かさなければならない実践的な指摘です。

DLab解説書第4巻』p.43



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社p.120



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2016年07月21日

なぜ人間関係をテーマにしたのか(『経営者の条件』P. 91)

3節は、「人間関係のあるべき姿 THE RIGHT HUMAN RELATIONS」です。ドラッカー教授は、冒頭でこう述べます。「対人関係の能力をもつことによってよい人間関係がもてるわけではない。自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによってよい人間関係がもてる」。やや唐突感のある人間関係についてのこの記述。教授がこのテーマを取り上げた真意はどこにあるのでしょうか。

教授のマネジメントは、大別して仕事のマネジメントと人のマネジメントから成ります[i]。「貢献」は、人と仕事のマネジメントの結節点です。つまり「私が成果をあげるためなすべきことは何か」との問いには、人の要素と仕事の要素が含まれています。

人と仕事が最適に結びついていることが成果をあげる条件です。その結びつきを度外視して、人と人の関係性を云々することは意味がありません。ややもすれば、人間関係の良し悪しと成果を直接結びつける傾向があることを戒めるためあえて3節を設けたと考えられます。

DLab解説書第4巻』p.42



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1973〕エターナル・コレクション『マネジメント<中>』ダイヤモンド社p.231



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2016年07月20日

ゼネラリストの定義(『経営者の条件』P. 91)

ドラッカー教授は、専門家(スペシャリスト)を扱った2節でゼネラリストの定義を「自らの知識を知識の全領域に正しく位置づけられる人」としました。

全領域とは、守備範囲が著しく広範です。現実的には、企業が関係する知識分野でと限定することが妥当と考えます。それでも広範です。

範囲の問題とともに、正しく位置づけられることが重要です。それは専門家の言葉を翻訳し、組織の成果に位置づける能力です。

教授がここでゼネラリストの定義を挙げたのは、そのような者が多数いることは稀で、組織によっては皆無であることもあるとの認識を示すことにあります。

すべての専門家は、あたかもゼネラリストのように自らの言葉を翻訳し、素人にもわかる言葉で伝え、さらに組織の方向性や要求を知り、限界を理解することに努めなければならないことを強調しようとしたのです。さもなければ「衒学的傲慢さ」という進行性の病にかかってしまうと警鐘を鳴らしたのです。

DLab解説書第4巻』p.39



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2016年07月19日

専門家の成果のあげ方(『経営者の条件』P. 88)

ここでは、知識労働者の中でも専門家という存在に絞って記述します。ドラッカー教授は、「専門家自身に彼と彼の専門知識をもって成果をあげさせることである」としました。「彼と彼の専門知識」、とくに「彼と」の彼に注目してください。専門知識だけでは、成果が生まれないことを示しています。彼の姿勢、振る舞い、行動について特定のものが必要だというのです。

産出物―断片であるアイディア、情報、コンセプト
   仕事の仕方―他の専門家のアウトプットと自分のアウトプットを統合する
   関係づけ―狭い専門分野を真に全体に関係づける
   責任―他に理解される
   思考―何を知り、何を理解し、誰に利用してもらうかを考える
   姿勢―顔を上げ、他を理解する

これらのことを身につけて初めて成果を挙げる専門家と成りえるのです。

DLab解説書第4巻』p.38



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2016年07月18日

専門家という存在(『経営者の条件』P. 88)

ドラッカー教授は、2節HOW TO MAKE THE SPECIALIST EXECUTIVEで専門家の存在を取り上げました。この節の冒頭で知識労働者は、貢献に焦点を合わせることが重要であるとし、1節では用いなかった知識労働者という言葉で始めました。そのうえで知識労働者は、たいての場合、専門家であると指摘しました。

教授が知識労働者の存在を発見する前、つまり1950年代前半、専門家の存在に注目していました。1952年の論文「プロフェッショナルを活かすManagement and the Professional Employee」を読むと専門家が企業に採用されていったときの様子を知ることができます。

第二次世界大戦終了時点で75の企業が100人以上の専門家を擁する研究所を所有し、朝鮮戦争勃発時にはほぼ倍となりました。さらに中小企業でも専門家を雇用しだしました。当初研究者といえば化学者を意味していましたが、物理学、生物学、経済学、統計学、心理学の研究者をはじめ弁護士などに範囲が拡大していきました[i]

DLab解説書第4巻』p.36

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子



[i] P.F.ドラッカー(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編訳) 〔2006〕『P.F.ドラッカー経営論』ダイヤモンド社(論文初出1952)ダイヤモンド社 p.40



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2016年07月17日

貢献の三つの領域(『経営者の条件』P. P. 81〜83)

  ドラッカー教授は、成果をあげるべき三つの領域として…樟榲な成果、価値への取り組み(価値の創造と再確認)、L斉のための人材育成を挙げました。教授が成果の領域を具体的に示した貴重な記述箇所です。

  内容については、同書を良く読んで下さい。一点だけ、エターナル版では「価値への取り組み」となっているところですが、オリジナル版は「価値の創造と確認」と訳されていることは、注意を要します。内容的には、顧客価値の創造と継続的確認(シアーズ・ローバック社の一番安く、一番良いもの調達することを例示)、もしくは、その源泉たる組織の価値観の創造と継続的確認(技術主導というケースを例示)となっています。

   成果の領域、もしくは貢献の領域ついて、もう一つ重要なことは、これらの三つのバランスは、仕事の内容や職位・職務によって三つの領域の相対的重要性が変わることです。新しい仕事に就いたら新しいバランスを考えなければなりません。

DLab解説書第4巻』p.28



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2016年07月16日

貢献に焦点を合わせることで得られること(『経営者の条件』P. 79〜81)

ドラッカー教授は、1節で貢献に焦点をあてること。すなわち「貢献すべきことは何か」と問うことで得られるメリットをいくつも挙げました。

第一に、自らの狭い専門分野や所属する部門の問題から、組織全体の成果、さらにその先にある成果の在りかである外部に目を向けさせることができることです。そのことで専門分野や所属する部門が、組織のミッション実現のために何が出来るかを考えるきっかけを与えます。

第二に、エグゼクティブが何らかの職務についている場合、「貢献すべきことは何か」と問うことで、膨大な可能性の中から新しい成果の可能性が開けてくると指摘しました。新しい事業機会は何かを考えるきっかけとなるのです。

第三に、もし「貢献すべきことは何か」を問わなければ、貢献の範囲を狭く考えたり、エグゼクティブが目標を低く設定したりすることになります。このことは、自らの可能性を低めることに通じます。

DLab解説書第4巻』p.27

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子



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2016年07月15日

第一に身につけるべき習慣(『経営者の条件』P. 78)

先進国は、時間を提供してお金に換えざるを得なかったマニュアル・ワーカーの時代を経て、さらに戦後それらの者と知識労働者が混合する時代を経て、ここ数十年のうちに知識労働者が主流を占める真の知識社会を迎えています。

しかし社会にはいまだに、指示・命令がなければ働けない人、人材育成は組織がしてくれるものと考えている人が少なからず存在します。原因の一端に知識労働者という存在がいまだ認識されていないという現実が挙げられます。教授が用いた新しいコンセプトが十分に普及していないのです。普及していないということは、世の中の多くの人が従来のマニュアル・ワーカー的な仕事の仕方しか知らないことを意味します。

私たちは、知識労働者であること、その特性について自覚的でなければなりません。新しい仕事の仕方を身につけなければなりません。

「第一に身につけるべき習慣はなされるべきことを考えることである」[i]との言葉、つまり「貢献」こそが、そのスタートラインとなる能力・習慣なのです。

DLab解説書第4巻』p.26



[i] P.F.ドラッカー(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部編訳) 〔2006〕『P.F.ドラッカー経営論』(論文初出1952)ダイヤモンド社 p.68(訳はエターナル・コレクション『経営者の条件』p. 3を用いた)



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2016年07月14日

知識労働者の寿命―貢献の源流(『経営者の条件』P. 78)

第三の源流は、自らのキャリアについての変化です。知識労働者が生まれる以前は、マニュアル・ワーカーが中心的な存在でした。彼らの定年は、5055歳でした。その多くは10代から働き、肉体的には限界でした。そのため寿命も短いものでした。

ところが知識労働者は、60歳を過ぎても肉体的には問題なく、まだまだ働けることが分かってきました。過重な労働から解放された知識労働者の寿命も延び続けました。こうして企業の寿命を人の寿命が越すという事態が生まれたのです。

そのような中キャリアは、組織から切断され、「本人以外の者が計画できるものではなく、すべきものでもない」[i]との考えが主流となり「早くも60年代には、知識労働者自身が、何をしたいかを自ら考えなければ」[ii]ならなくなったのです。

当初、「好きなことをすることが貢献であると」考えられていました。教授は、「68年の学生運動の高まりの背景にも、そのような考えがあった」[iii]と言います。

その後、このような考えも誤りであることが明らかになってきました。「好きなことすることが、貢献、自己実現、成功につながると考えた者のうち、実際にそれらのものにつなげた者はほとんどいなかった」[iv]のです。

指示・命令されたことを行うのでもなく、好きなことを行うのでもなく、行き着く先は教授がGMで見た「なすべきことを行う」ことでした。

時代がまだ「好きなことが貢献である」と考えていたにも関わらず、出現したばかりの知識労働者の特性を見抜いたことは、卓抜した先見性でした。生みの親ならではの鋭い観察眼から「貢献」というキーワードを抽出しました。

知識労働者に注目するとこれまでのキャリアの積み方と異なることが見えてきます。すなわち知識労働者は、自らのキャリアを自ら高め、その知識と経験をもって自ら考え、決め、行動する存在なのです。

しかも知識は、組織に属するものではなく、多くは知識労働者の頭の中に蓄積、構築されていきます。知識労働者は、その知識という資本を保有し、自由に組織を移動します。組織より知識労働者の寿命が長くなったことを考慮すれば、移動性の高さは彼らの生存戦略としては当然の帰結です。



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1999〕『明日を支配するもの』ダイヤモンド社p. 214
[ii] 同上p.215
[iii] 同上p.215
[iv] 同上p.215



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2016年07月13日

大量生産と経営者的態度―貢献の源流◆福愀弍勅圓両魴錙P. 78)

ドラッカー教授は、GMで目撃したコンテストの本質を「経営者的態度」という言葉を使って次のように述べました。長文ですが重要な点なので全文引用します。

「最下層の労働者でさえ『経営者的態度』が求められるのは、前代未聞のことである。前産業的な秩序においては、このような必要がなかった。大量生産の技術は社会的統合いかんに左右されることから、この必要性が出てきたのである。大量生産を可能にさせる『特殊化』が原因となって(すでに論じたように『特殊化』とは、これまでの伝統的な分業とは非常に違ったものである)、大量生産の技術は、個々の作業を統合化して一つの全体へ一本化することを必要とするのである。現代の産業体制において生産をしているのは実に、チーム、パターン、機構といった全体的なものなのである。この『全体』は、個々の作業そのものの中に分散して存在するものではなくて、高度に抽象化されたものである。しかし、個々の作業者が『全体』を全体として眺め、その中で自分自身の職能を理解することが、このパターンを機能させるには必要なのである」[i]

全体を知り、自分がなすべきことは何かを考えるという行為が大量生産の中で生まれました。大量生産の現場に「貢献」の源泉があったのです。この記述に続けて二人の典型例を挙げ「経営者的態度」の有無による組織内での振る舞いの違いを、「常識的な考えに反することだが」としたうえで明らかにしました。

熟練した職人は、自分の仕事だけに気をとられ、全体に対する知識と理解に乏しかったのに対し、未熟練工は、彼ら自身の仕事を活用して、驚くほどの想像力と統合力を発揮し、全体という「画像」を作り出したのです。前者の典型として鋳型工を挙げ、彼は「用いる材質への愛情と知識をひけらかしていたにすぎない」[ii]と断じ、前者の典型としてある流れ作業者を挙げ、彼は「フェンダーにとりつけるねじを中心として生産界の宇宙について巨大な画像を作り出していた」[iii]と誇張をもって表現しました。

 このような状況に対して労働組合側から「経営陣が管理し、労働者が働く。労働者に対して管理者としての責任まで負わせるということは、労働者に大きな負担をもたらす」[iv]との声が上がりました。「貢献」の初期段階における一幕です。

DLab解説書第4巻』p.21



[i] P.F.ドラッカー(現代経営研究会訳)〔1957〕『新しい社会と新しい経営』ダイヤモンド社p.182
[ii] 同上p.183
[iii] 同上p.183
[iv] 声の主は、米国で最も影響力をもつ組合指導者であるUAW会長のウォルター・ルーサー。コンテストに関してドラッカー教授が交渉した際の言葉。P.F.ドラッカー『ドラッカー20世を生きて―私の履歴書』 p.123より



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2016年07月12日

組織人から知識労働者の時代へ―貢献の源流 福愀弍勅圓両魴錙P. 78)

ドラッカー教授は、『断絶の時代』で現代は組織社会と指摘し、多様な組織が社会の要請にしたがって事業を行っている状況を描きました。一方、組織の多様化は、専門分化への道のりでもあります。

組織の専門分化は、組織内にも現れます。それは組織のトップよりも第一線の現場を担当する知識労働者が、その専門分野における知識や経験が優っている可能性を意味します。そのような状況は、益々強まっています。

いまや組織社会の中心的な存在は、知識労働者です。このような中では、指示・命令は不可能です。自ら考え・決め、仕事をする人でなければ大きさ成果は望めません。

前近代的な生産方式の時代の中心的な働き手は、マニュアル・ワーカーでした。少数のマネジメントが何をどのように作ればいいかを決めていました。

しかしドラッカー教授は、知識労働者が出現する10年も前にその原型を目撃したのです。その現場は、『企業とは何か』(1946)の舞台となったGMでした。教授は、そこで見たものをやや熱を帯びた調子で次のように記述しました。

「GMの調査で得た結論で最も自信を持ったのは、『責任ある労働者』が運営する自治的な『工場共同体』をつくることだった。戦時下で管理者が不足する中で、労働者が責任感を持ち、連帯しながら品質改善に取り組む状況に感銘を受けたからだ。平時体制に復帰してもこれは生かさなければならない。と思った」[i]

「『責任ある労働者』はその後、『知識労働者』へ取って代わられて生涯の重要テーマになる」[ii]と述べ、知識労働者の源流を明らかにしました。その流れは、戦後(1947)に米国産業史上初の大規模な従業員意識調査(作文コンテスト)となって結実しました。テーマは、「私の仕事と私がそれを気に入っている理由」でした。

結果は、従業員の三分の二以上の三十万人もの応募があり、成功したものの、コンテストとしては失敗でした。三十万人もの作文に目を通せないからです。しかし、その結果「従業員が欲しているのはカネだけ」という通説の誤りが証明されたのです。根底には組織への貢献があったということです。

DLab解説書第4巻』p.19



[i] P.F.ドラッカー(牧野洋訳)〔2004〕『ドラッカー20世を生きて―私の履歴書』日本経済新聞社 p.122

[ii] 同上p.122



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2016年07月11日

いつから組織の「貢献」を考えるようになったのか(『経営者の条件』P. 78)

「何に貢献すべきか」ということを考えること自体、人類史上初の出来事です。20世紀の半ばまでは、「誰にとっても貢献すべきことは決まっていた。農民や職人のように仕事で決まっていた。家事使用人のように、ご主人の意向で決まっていた。しかもほとんどの人が、言われたことだけを行う存在であることが当然とされていた」[i]のです。

変化のきっかけは1950年後半に登場した知識労働者の存在です。しかし、知識労働者の存在がまだ一般に知られていない当初、組織人に答えを求めました。しかも人材開発と称して、組織が人間開発に取り組むべきと考えました[ii]

しかし組織が仕事のお膳立てをして指示・命令することや、組織が人の育成を行うなど今や傲慢な夢物語です。次項以降では、「貢献」という考え方の源流を探っていきます。

DLab解説書第4巻』p.18



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1999〕『明日を支配するもの』ダイヤモンド社p.214

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1999〕『明日を支配するもの』ダイヤモンド社p.214



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2016年07月10日

貢献と責任の関係(『経営者の条件』P. 78)

冒頭の文章に貢献と責任という重要なキーワードがあります。ドラッカー教授が用いる「責任」というコンセプトには、三つの次元があります。責任responsibilityもしくは義務dutyの体系とも言うべきものが、『現代の経営<上>』第12章に示されています。マネジャーの責任として示されていますが、マネジャーであるかどうかは別として、エグゼクティブセが追うべき責任・義務と構造は同じです。

第一に、下から上への責任(原文duty)です。具体的には、自分の上司が率いる部門全体の目標達成に必要な貢献をすることです。この責任は、最も基本的なものです。それはマネジャー特有のものではなく、組織に属する者全員に要求される「貢献」という形の責任なのです。

第二に、企業全体に対する責任(原文duty)です。具体的には次のとおりです。
   ・自部門に課された課題を分析し、目標達成のための活動を明確に定義する
   ・その後、それらの活動に必要なマネジメント上の仕事を決定する
   ・部下のマネジャーの協力を得て、彼らの利益と企業全体の利益を一致させる
   ・それらの仕事に人を配置する・成果をあげられない者を移動させる
   ・大きな成果をあげた者に報いる
   ・卓越した成果をあげた者に特別の報奨と昇進を与える
   ・部下たるマネジャーが最大限能力を伸ばすことを助ける
   ・部下たるマネジャーが明日の課題に備えることができように支援する

第三に、上から下への責任(原文responsibility)です。
   ・部下がそれぞれ自己の仕事を正しく理解しているかどうかを確かめる
   ・部下がそれぞれの仕事の目標を設定し、達成することを支援する
   ・そのためには部下に必要な道具、スタッフ、情報を与える責任をもつ
   ・助言を与え相談にのる・必要に応じてより優れた仕事を行えるよう教える

 第二、第三の責任は、後にマネジャーの五つの仕事に集約されていきます。これに対して第一の責任は、『経営者の条件』の貢献とほぼ同義です。 

DLab解説書第4巻』p.15



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