2016年11月11日

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小著 2012.3.8発刊 

実践するドラッカー【事業編】
実践するドラッカー【事業編】

小著 2011.3.3発刊
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小著 2010.1.28発刊

実践するドラッカー【思考編】
実践するドラッカー〔思考編〕


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2016年06月28日

知識労働者に時間が必要な本質的な原因(『経営者の条件』P.56)

三つ目の要因は、社会的な要求です。昨日も指摘した用のドラッカー教授は当時の状況を『機械工(マニュアルワーカー・・・筆者加筆)の余暇時間は増大する一方で、知識労働者は余暇どころか、労働時間の長期化に悩まされている」と指摘しました。

その原因を「高い生活水準というものが創造と変革を前提としているところにある」(原因)と喝破し、「短時間のうちに考えたり行ったりすることができるのは、すでに知っていることを考えるか、すでに行なっていることを行うときだけである」と述べました。

現代社会が経済発展を前提とするかぎり、イノベーション(変革)が欠かせないというシュンペーターの言明を待つまでもなく、現状を変え、未来の社会を創造する必要があります。

現代社会のイノベーション・エンジンは組織とりわけ企業が担っています。そのため組織は、膨大な時間を必要とします。教授が『イノベーションと企業家精神』(1985)に著し、その最終章を「企業家社会」で締めくくった意味はここにあります。

「いまやイノベーションと企業家精神が、組織、経済、社会における生命活動とならなければならない。あらゆる組織がイノベーションと企業家精神をもって、正常にして継続的な日々の活動としなければならない」[i]とし、教授は「革命」に代わるものとして継続的変革、つまり組織による体系的イノベーションを現代社会に必須のものとしました。ここからドラッカー教授の時間管理の原点には、機能する社会があることがわかります。つまり、変革には膨大な時間が必要であり、もし時間が足りなければ社会は不全に陥るのです。

DLab解説書第3巻』p.p.2627



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1985〕エターナル・コレクション『イノベーションと企業家精神』ダイヤモンド社 p.311



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2016年06月27日

知識労働者に時間が必要な本質的な原因◆福愀弍勅圓両魴錙P.50〜)

より本質的な理由がここにあります。知識労働者は自ら考え、決定し、行動しなければなりません。それゆえ「何が期待されているかを理解させなければなりません。自らが生み出すものを利用する人たちの仕事を理解させなければならない。そのためには多くの情報、対話、指導が必要」(同書p.51)となります。その結果、部下のみならず、上司、同僚に対して、たとえば方向づけを確認するなどのための時間の要求圧力は常にあります。

「方向づけや計画や仕事の仕方について一五分で話せると思っている者は、単にそう思い込んでいるだけである。肝心なことをわからせ何かを変えたいのであれば一時間はかかる。何らかの人間関係を築くには、はるかに多くの時間を必要とする」とあります。

方向づけのために重要なポイントが貢献です。「なすべきことを遂行する」存在がエグゼクティブです。「なすべきこと」は、方向性を知らなければ手にできません。方向性を間違えば成果は出ません。間違いのないように、対話、指導を要します。ドラッカー教授がマネジャーの5つの仕事[i]に動機づけとコミュ二ケーションを挙げたのはこのためです。

このような事情は、知識労働者の増大によって上司や同僚の時間を奪う圧力となって組織を襲いました。つまり指示・命令・マニュアルどおり動く労働者は減少し、方向づけにしたがって仕事をする労働者が増加したのです。ドラッカー教授は、当時の状況を「機械工(マニュアルワーカー…筆者注)の余暇時間は増加する一方で、知識労働者は余暇どころか、労働時間の長期化に悩まされている」と指摘しました。

その原因を「高い生活水準というものが創造と変革の経済を前提としているところにある」(原因の)と喝破しまし、「短時間のうちに考えたり行ったりすることができるのは、すでに知っていることを考えるか、すでに行っていることを行うときだけである」述べました。つまり現代社会において知識労働者は一人では成果をあげられないという、根源的な理由から組織を機能させるために方向づけのための時間を要するのです。


[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1973〕エターナル・コレクション『マネジメント<中>』ダイヤモンド社 p.26



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2016年06月26日

知識労働者に時間が必要な本質的な原因 福愀弍勅圓両魴錙P.P.49〜50)

組織に所属することに起因する「成果には何も寄与しないがまったく役に立たない仕事」が多数あります。それは地位が上がるほど増える傾向にあります。

現代は組織社会です。それは。内外ともに人と関わることを前提としています。組織に属する、もしくは組織相手に仕事をするということは、それだけで非生産的な膨大な時間を要求されます。

ドラッカー教授が挙げたものだけでも社交、会食、上得意先からの電話、会議などがあります。教授は、エグゼクティブの現実を「組織の囚人」(同書p.28)と表現しました。

この点は、時間管理の専門家の多くが論及しています。たとえば時間管理のベストセラー作家、R・マッケンジーが挙げた「時間の敵」は、計画の欠如、優先順位欠如、過剰なかかわり、綱渡り的管理、性急、書類仕事と読書、日常仕事と末梢事、訪問者、電話、会議、優柔不断、権限委譲欠如です[i]

DLab解説書第3巻』p.23



[i] R.マッケンジー(奥田俊介訳)〔1972〕『時間を管理する技術』産能大p.256



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2016年06月25日

時間がエグゼクティブに要求を突きつける(『経営者の条件』P.49)

2節THE TIME DEMANDS ON THE EXECUTIVEの主語は、時間です。強調すると成果を生まない時間がエグゼクティブを追いかけてくるということです。

第1章でエグゼクティブを取り巻く4つの現実を示しました。第一の現実として「時間がすべて他人にとられてしまうことである」(同書P.28)としました。その具体的理由がこの節に記されています。
  〜反イらの要求
  ⊃佑亡悗錣詭簑蠅らの要求
  A和い畔儚廚らの要求

これら3つの要求を理由としてエグゼクティブは時間の管理に日々手を焼いているのです。2節では、これらの要求からくるエグゼクティブを取り巻く現実を描写し、現実を認識する力を向上させ、さらに対策例を挙げています。



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2016年06月24日

時間管理の3つの手順(『経営者の条件』P.46)

ドラッカー教授は、第2章の冒頭で時間管理の手順を示しました。
    糞録する)時間の使い方、つまり活動を記録する
   ◆弊依する)時間(活動)に対する非生産的な要求を退ける
   (まとめる)得られた時間をまとめる(そして活動量を確保する)

時間管理の本質は、活動管理です。強調するため「活動」という表記を筆者が加筆しました。時間ではなく活動に意識を向けるという思考習慣の転換が必要です。

活動に焦点を当てるということは、「何を成果とし、そのためにどんな貢献をするのか」と問うことが不可欠です。第一に、「どんな活動が今の成果に結びつくのか」、第二に「どんな活動が未来の成果に結びつくのか」を明らかにしなければなりません。

時間の多寡を問うのはその次です。「そのためにどれだけの時間を使っているのか」「現在の時間の使い方は成果に結びつく時間なのか」「そうでなければ何をやめなければならないのか」「何を任せなければならないのか」など自問を連鎖的に発します。

DLab解説書第3巻』p.19



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2016年06月23日

PDCA思考の落とし穴(『経営者の条件』P.47)

PDCA思考は、計画から始める思考習慣を生みます。ドラッカーの思考法では、P(プラン)から始めることが誤りであることがわかります。『経営者に贈る5つの質問』(2009)に掲載されている質問の第一の質問は「われわれのミッションは何か」です。「われわれの計画は何か」は第五の質問です。計画は、ミッションに従います。

個人も事情は同じです。「何を成果とし、そのためにどんな貢献をするのか」を知らずして立てる計画の無意味さを教授は強調したのです。単なるPDCA思考に陥らないようにしなければなりません。

時間の確保というところにスタート地点を置くべしとの指摘は、何を意味するのでしょうか。それは時間と向き合うということであり、自分の活動と向き合うことにほかなりません。大げさにいえば人生と向き合うということです。それゆえ教授は、「時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする」としたのです。

DLab解説書第3巻』p.17



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2016年06月22日

人間がもっている「生理学的な体内時計」(『経営者の条件』P.47)

「ほかの動物と同様、人にも生物学的な体内時計」があるとドラッカー教授は記しました。「しかし心理学の実験が示すように、人には正確な時間感覚はない」と続けました。ここで「正確な時間感覚」とは、「機械的な体外時計」を意味しています。人間の体内時計は、太陽光の影響を大いに受けています。人間の時間感覚は、等間隔で刻む機械仕掛けではなく、太陽の運行を敏感に感じ取るようになっているのです。

それゆえ「人間というものは自分の時間を管理するには、まことに都合が悪くできている」と指摘し、そのような時間感覚の持ち主が、自分の記憶に頼って時間を管理できるはずがないとドラッカー教授は、考えました。

さらに脳の働きは、記憶を都合よく書き換えます。ある会社トップは、顧客、幹部、地域のために三分の一ずつ使っているとしましたが、それは「割くべきであると考えている時間にすぎなかった」と指摘し、「記憶」という脳の機能の曖昧さを明らかにしました。それゆえ時間管理は、時間の使い方の記録から始めよ、と強調しました。

DLab解説書第3巻』p.14



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2016年06月21日

時間に対する「愛情ある配慮」(『経営者の条件』P.47)

このような時間の性質にも関わらず、多くの人は時間が特殊な資源であることを理解せずに、当たり前のように扱うと述べました。そして成果をあげている人とあげていない人の際立った違いを時間に対する「愛情ある配慮」の有無であると断じました。
 時間への「愛情ある配慮」とは、人生への配慮でもあります。人生に関するドラッカー教授の言葉を一つ紹介します。 

人生から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによることを知ったとき、人は人として成熟する。組織から何を得るかを問い、得られるものは自らが投じたものによることを知ったとき、人は人として自由になる[i]

自らが投じたもの、つまり「何に」「どれだけ」の時間を投じてきたのかを明らかにするとき、時間への「愛情ある配慮」の片鱗が見えてくるのではないでしょうか。

DLab解説書第3巻』p.12

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1969〕エターナル・コレクション『断絶の時代』ダイヤモンド社 p.268



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2016年06月20日

時間の性質を述べる(『経営者の条件』P.47)

  古今東西、時間の様々な性質が指摘されています。ドラッカー教授は、「資源としての時間」という側面から時間の性質を述べました。

 教授は、経営資源について『現代の経営』(1954)や『創造する経営者』(1964)で述べました。しかし時間は、組織の資源ではありません。それは純粋に個人が所有する活動の燃料としての資源です。

 教授が1節で挙げた時間の性質は次のとおりです。〇間の供給は増加しない(いくら需要が大きくても…)、∋間には価格がない、時間は消滅しやすい、せ間は貯蔵できない、セ間は他の資源で代替できない。

それゆえ時間は常に供給不足の状態にあります。時間なくして活動なし。したがって活動を制約する最大の要因は時間です。さらに言えば活動なくして成果なし、ゆえに時間なくして成果なしとなります。このことから教授は、時間こそ真に普遍的な制約条件であると述べました。

DLab解説書第3巻』p.11



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2016年06月19日

成果をあげている人の思考習慣(『経営者の条件』p.46)

成果をあげる人の思考・行動パターとそうでない人のパターンをドラッカー教授は、示しました。社会生態学者として驚異的な先見性を示しましたが、その観察眼は個人の行動の観察にも遺憾なく発揮されたことがわかります。

<成果をあげない人の思考習慣>
    ・「仕事は前もって計画せよ」というアドバイスを思考の出発点としている人
    ・その場合、計画が実行されることは稀である
    ・なぜなら時間が不足し計画が実行されることはないから

<成果をあげている人の思考習慣>
   ・時間が制約条件であることを知っている
   ・決して計画を立てることからはスタートしない
   ・常に時間を確保することからスタートする

DLab解説書第3巻』p.10



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2016年06月18日

「汝の時間を知れ Know Thy Time」の真意を探る(『経営者の条件』P.45)

「汝自身を知れKnow thyself 」ギリシア中部のデルフォイにあるアポロン神殿に掲げられた碑銘の警句です。ドラッカー教授の著作の中にも何度か登場するソクラテスは、これを自らの箴言として用いました。教授がこの言葉を模してあえて章のタイトルに用いた真意はどのあたりにあるのでしょうか。

ソクラテスは、徹底した問答によって自他の言葉の吟味を通して対話の相手に不知なる自己の自覚を促し、新たな自己探求の出発へと導こうとしました[i]。その原点にあった言葉が「汝自身を知れKnow thyself 」でした。

教授は、多くの人が時間管理をできていない現状に警鐘を鳴らすために、この言葉を用いました。つまり時間に対する意識の欠如もしくは希薄化を憂え、時間管理の現状の自覚を促し、時間に対する意識の変容を迫ったのでしょう。

定期的に時間の診断を行うことは、自らの活動を振り返ることに他なりません。それは突き詰めれば自分自身の人生と向き合うこと同じなのです。仕事という人生の一つの柱において、どのように時間を使い、何をなそうとしているのかを常に明らかにすることは「不知なる自己の自覚」を問う行為にほかならないのです。

DLab解説書第3巻』p.2

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子



[i] 廣松渉ほか編集〔1989〕『哲学・思想事典』岩波書店p.1203 



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2016年06月17日

『経営者の条件』再評価

『経営者の条件』が発行された1966年当時、まだ組織では効率性を問題にしているのが普通の状態でした。しかし、その状況は一昔前までの状況でした。「今日では、知識を基盤とする組織が社会の中心である」(同書20ページ)と明言したのです。つまり効果性が優先される組織に変わったということです。

発刊当時、知識労働者という存在が世に出て15年あまりが経過していました。しかし世の中の常識はそう簡単に変わるものではありません。どんなに新しい世界観が出現しても、昔の常識(世界観)が支配する時代が続きます。新しい常識が常識となるには時間がかかります。『経営者の条件』の価値は、新しい常識を世に伝えたことにあります。

この旧い常識は時として頑強です。新しい常識が塗り変わるのに50年程度以上を要することも稀ではありません。知識労働者という存在を知らなければ、いまでも旧い常識で働くことになります。そう考えると同書は、「自己啓発書」であるとともに「社会啓蒙書」として価値ある存在だと評価することができます。社会に対して組織と知識を前提とした新しい時代の働き方を説くものです。その意味で現代的価値も大きいといえましょう。

DLab解説書第2巻』p.60



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2016年06月16日

習慣に関する2つの要素(『経営者の条件』P.43)

第1章は、「Effectiveness Can Be Learned 成果をあげる能力は修得できる」と訳出され、Effectiveness(成果をあげること)は、一つの総合的能力とされました。具体的には、実践的な習慣を身につけること―five such practicesfive such habits of the mindをもって5つの「成果をあげる能力」としました。これらの習慣的能力は、単純だが、努力なしには修得できないと指摘し、小さい頃に九九を憶えるように身につけなさいと諭しました。これらの能力が、特別な能力ではなく、九九のように誰でも訓練によって身につけられるレベルの習慣的な能力であることに注意する必要があります。

ここから習慣を身につけるには、二つの要素が重要であることがわかります。つまり、「何を」「どうやって」身につけるかです。たとえば、アメリカの父と評されるベンジャミン・フランクリン[i]は、「決断: なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし」など13の徳目としてまとめた自らの信念を一週間に一つの徳目の修得を目指し、年に4回この過程を繰り返したといいます[ii]

私たちの祖先は、古くから習慣に注目していました。近代哲学にあって注目すべき存在であるラヴェッソンはその著書『習慣論』(1838)の冒頭をアリストテレス[iii]の言葉で始めました。

現代のベストセラー『七つの習慣』は、身につけるべき習慣を明らかにし、「私たちの人格は、繰返される習慣の結果として育成される」[iv]という原則を示し、次の古い格言を紹介しました。「思いの種を蒔き、行動を刈り取り、行動の種を蒔いて習慣を刈り取る、習慣の種を蒔き、人格を刈り取り、人格の種を蒔いて人生を刈り取る」

 『七つの習慣』は、「何を」身に付ければいいかを中心に記述されました。これに対してごく最近出版された『習慣の力』は、「どうやって」身につけるかを集中的に記述した革新的な1冊です。個人ばかりではなく、組織や社会の習慣にまで目を向けています。

 『習慣の力』のエピローグには、ドラッカー教授の著作にも登場するウィリアム・ジェームズの苦悩の人生の一片が描かれています。何をやっても上手くいかず自暴自棄、自殺を考えるほどの状況から立ち直り、近代心理学に確固とした地位を確立したその力の源泉が習慣にあったと[v]

習慣という能力は、人類の叡智ともいうべきものです。周辺的あるいは末梢的な存在ではなく、一人ひとりの自己改革、自己創造という中核的な存在[vi]です。ドラッカー教授は、現代の組織社会において習慣的に身につけておくべき5つの能力を示したのです。最後に、「あなたは、どんな良き習慣を身に付けていますか?」

DLab解説書第2巻』p. p.54-55



[i] 米国 実業家・科学者・政治家・文筆家(1706-1790

[ii] ベンジャミン・フランクリン(松本慎一・西川正身訳)『フランクリン自伝』岩波文庫pp.137-141.

[iii] B.C.384B.C322) 言葉:「習慣とは・・・一般的かつ恒常的な存在の仕方である」とし、さらに「一変化の結果として、しかもこの当の変化に関して得られた習慣」とした。つまりは、習慣は恒常性と変化を織り合わしたものである。ラヴェッソン(野田又夫訳)〔1838〕『習慣論』岩波書店p.125. 訳者解説から

[iv] スティーブン・R・コヴィー(ジェームズ・スキナー川西茂訳)〔1989〕『7つの習慣』キング・ベア出版p.50.

[v] チャールズ・デュヒック(渡会圭子訳)〔2013〕『習慣の力』キング・ベア出版pp.363-365. 

[vi] 廣松渉ほか編集〔1998〕『岩波哲学・思想事典』岩波書店 p.711.



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2016年06月15日

習慣として身につける(『経営者の条件』P.43)

ドラッカー教授は、習慣に従って仕事をしないエグゼクティブは、たいてい成果をあげていないことを発見したと述べました[i]。知識労働者が成果をあげるのは才能ではなく習慣であるという信念が形成されました。「あなたは、どんな習慣を身に付けていますか?」と問われているのです。

「習慣は第二の天性!習慣の方が十倍も天性である」という老軍人ウェリントン公爵[ii]の言葉を著書『心理学』(1892)で紹介したのは、ドラッカー教授の著書にも登場するウィリアム・ジェームズ[iii]です。『心理学』の第10章は「習慣」について述べており、私たちの生活が習慣の集まりであることを示しました。

これを裏づける研究成果を2006六年アメリカのデューク大学の学者が発表しました。それによると私たちの行動の実に40%以上がその場の判断ではなく、習慣をよりどころにしているそうです[iv]。この数字の意味するところは、私たちは良くも悪くも習慣によって40%以上の行動が支配されているということです。「あなたは、どのような習慣を身につけていますか?」。成果の良し悪しは、良き習慣いかんです。

DLab解説書第2巻』p.53



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社 p.48.

[ii] 英国の将軍・政治家(17691852):ウォータローでナポレオン一世を破る。

[iii] 米国の哲学者・心理学者(18421910

[iv] チャールズ・デュヒック(渡会圭子訳)〔2013〕『習慣の力』キング・ベア出版p.50.



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2016年06月14日

五つの「成果をあげる能力」の関係を考える

「強みを生かす」「貢献を重視する」という二つの能力は、「成果をあげる能力」の中核をなす能力です。これらと他の三つの能力との関係、および相互関係を考えてみます。

まず「最も重要なことに集中する」です。集中は、「どこに」「どれだけ」という二つの要素で構成されています。「どこに」集中するかは、「なすべきこと」かつ「できること」です。それ以外に集中しても成果があがらないことは自明です。

もうひとつの重要な集中ポイントは、貢献の範囲を広げる活動と自分の強みを磨く活動です。これは将来、成果をより大きくするために必要不可欠です。未来を創るための投資的な活動であり、時間です。

集中のポイント、つまり「どこに」を決めるとき重要な技術が意思決定能力です。どんな基準で意思決定すればいいのか、その手順などをドラッカー教授は示しました。

集中のもう一つの要素である「どれだけ」に大きな影響を与えるのが時間の量です。時間の管理は、そのために不可欠の能力です。時間は、活動量の多寡に直結します。時間管理と成果のあがる意思決定を行うことは、技術的な習慣的能力です。

DLab解説書第2巻』p.52



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2016年06月13日

中核的な二つの「成果をあげる能力」(『経営者の条件』P.43)

筆者は、「強みを生かす」ことが、本質的かつ最も重要な能力であると考えています。なぜならそれは、どんな人であっても過去に一度以上強みを発揮したことがあり、その意味で既に所有しているものだからです。

  もう一つ現代社会に特有の事情で欠かせない能力が「貢献を重視する」ことです。現代の組織社会では、知識労働者が一人で成果をあげることは難しく、組織で一つの成果をあげるためには、一人ひとりの貢献を連ね、束ねる必要があります。

  この二つの能力がとりわけ重要です。前者は「できること」を表し、後者は「なすべきこと」を示しています。成果は、「なすべきこと」を「できる人」が行ってはじめて生まれます。

   適所適材とは、適所=「なすべきこと」であり、適材=「できる人」です。ただし「できる人」とはいわゆる有能な人ではなく、強みを生かす平凡な人という意味です。適材適所とは、自らを相応しい場所に人生を通して配置することなのです。

DLab解説書第2巻』p.51



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2016年06月12日

三つの問いに注目して読む(『経営者の条件』P.40)

5節「成果をあげる能力は修得できるか」は、次の問いから展開が始まります。

第一に、成果をあげる能力が天賦の才によるものか、後天的に修得できるのか?

第二に、もし後天的に修得できるのならその能力とは何か?

第三に、その能力はどのようにして修得すべきか?

ドラッカー教授の回答は、第一に、天賦の才と考えてはすべてが運任せ、文明の進化に関わるとしました。つまり、成果をあげる能力を修得することは、文明の盛衰を左右するほどの一大事なのです。

第二に、成果をあげる能力としてドラッカー教授は五つの能力を示しました。すなわち時間を管理する。貢献に焦点を合わせる。強みを生かす。成果をあげる領域に集中する、成果をあげるように意思決定する。

第三に、成果をあげる能力は、習慣になるまで何度も反服練習することだとしました。

DLab解説書第2巻』p.48



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2016年06月11日

強みを生かす・生かしあう(『経営者の条件』P.38 )

次の節で示めす「成果をあげる能力」のうち「強みを生かす」は、本質的な能力です。なぜなら唯一、万人が既に持っているものだからです。

強みを生かすという段階には、二段階あります。第一の段階は、個人として強みを探し、磨き、活用することです。個人の習慣的な側面に依存します。

第二段階は、個の強みを生かしあうということです。ドラッカー教授は、「一つの重要な分野で強みをもつ人が、その強みをもとに仕事を行えるよう組織をつくる」(同書38ページ)ことが重要であると指摘しました。組織の文化[i]に依存します。

個の力を組織という全体としてまとめ、単なる総和ではないものを生み出すのが組織の役割です。「単なる総和ではない」を実現するためには、単純な足し算ではなく、乗数的な効果をもたらさなければなりません。

そのために必要な思考は、一人ひとりが持っている異なった強みを相互に補完的に利用しあうことです。必要なのは、同質的な強みや価値観をもった人ではなく、異質なものをもった人と組んで仕事をするという考え方です。

DLab解説書第2巻』p.44

 



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1954〕エターナル・コレクション『現代の経営<上>』ダイヤモンド社 p.199



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2016年06月10日

平凡な者を成果のあがる存在に(『経営者の条件』P.37)

ドラッカー教授は、「資源の調達を増やすことができなければ、資源の産出を増やさなければならない」(同書40ページ)と一般原則を述べました。そしてその回答は、「成果をあげる能力」を身につけることでした。

成果をあげる能力は、知力や想像力や知識を結果に導くための能力です。多くの方がその存在を知りません。それゆえ成果をあげることに期待を寄せ、本節の冒頭で「仕事と成果を大幅に改善する唯一の方法が、成果をあげる能力を向上させることである」(同書37ページ)と述べさせたのです。

組織は有能なエグゼクティブを欲しています。しかし現代社会では、組織の数は相当数に上ります。それゆえ、有能なエグゼクティブを待っていたら組織の成果は運任せとなってしまいます。

平凡な知識労働者がエグゼクティブになる方法の追求こそが大切であることを示しました。限られた資源の中でいかに生産性をあげるかは、いまや知識労働者の生産性にかかっています。平凡な者から成果に結びつく仕事に結びつける発想が‘To effect’です。

DLab解説書第2巻』p.43

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子



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