2016年11月11日

はじめに・・

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カテゴリー別にお読みいただくことをお奨めします。

小著 2012.3.8発刊 

実践するドラッカー【事業編】
実践するドラッカー【事業編】

小著 2011.3.3発刊
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実践するドラッカー【チーム編】

小著 2010.4.1発刊       

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実践するドラッカー〔行動編

 

小著 2010.1.28発刊

実践するドラッカー【思考編】
実践するドラッカー〔思考編〕


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pfd at 11:11|Permalinkはじめに 

2016年05月29日

知識があることが不利だった時代

18世紀から19世紀の初めに仕事の現場では、知識労働の芽が出てきました。しかし、あいかわらず学校教育、すなわち「知識」は「働かない人」のためのものと考えられていました。

たとえば「1916年に彼がはじめて就職しようとしていたとき、経済学の学位をもっていることをあえていわなかったということである。彼は『私は14歳の時から鉄道の事務員をしていたといった。もし本当のことをいっていたら、あまり教育がありすぎるということで採用されなかったにちがいない』と述べている」[i]とし、知識は仕事と無関係なものという価値観が支配的でした。

 またドラッカー教授は、「1940年代のあの頃には、研究室の化学者は別として、博士号などというものは概して隠しておくべきものだったのである」[ii]と記述し、GMで体験した奇妙な経験を「ついこの間のあの当時、高学歴が、経歴において、プラスではなくマイナスであったということにはほとんど信じがたい思いがする」[iii]と評しました。

ドラッカー流に表現すれば、世界観の違いと言えるでしょう[iv]。時代はまだ知識を必要なものとは考えていなかったのです。

DLab解説書第2巻』 p.13

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(現代経営研究会訳) 〔1957〕『変貌する産業社会』 ダイヤモンド社 p.140.

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1979〕エターナル・コレクション『傍観者の時代』ダイヤモンド社 p.306.

[iii] 同上p.307.

[iv] 第1巻20ページにナポレオン・ヒル『思考は現実化する』(1937)の存在を挙げました。ここに注目すべき記述があります。「大学では、あらゆる分野での一般的知識を教えているが、そこで教えている教授たちは、それほど富を持っているとはいえない。教授は知識を教えるプロではあっても、その知識を体系化し、活用する専門化ではないからだ。知識は富を得るという明確な目標に向けて体系化し、活用しなければ、富の蓄積には結びつかない。この事実を充分に理解しないで、知識は力だと信じている人が大勢いる」。知識があることを隠す時代に知識の重要性を認識していた人物がいたのです。また本解説書10ページの知識が素材であるとの記述との類似性に注目してください。



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2016年05月28日

知識労働の前史

 ドラッカー教授は、どのような現実を見て、知識労働や知識労働者の存在を知り、名づけたのでしょうか。ここではその歴史を振り返り、理解を深めていきます。

知識労働者、つまり知識労働を行う者の誕生に先立ち、「知識労働」というコンセプトの誕生が必要です。ドラッカー教授は、『断絶の時代』(1969)において、「知識の仕事への適用には長い歴史がある。数千年前、ナイルの洪水についての知識を使い、エジプトの農業ひいては政治と社会のすべてを変えた司祭たちは、知識労働者として知識を仕事に適用した。しかしそのようなことは、人類の歴史上例外に属した」[i]と述べました。

その後、長い懐妊期間を経て18世紀から19世紀初めにかけて「知識を仕事に適用」し、工業や農業の分野で革新が起こり始めました。ドラッカー教授は、人類が知識を三段階で適用したことを明らかにしました。すなわち「知識を道具に適用」し、次いで「知識を仕事に適用」し、さらに「知識を知識に適用」したと[ii]。こうして知識を仕事に適用することで知識労働が生まれました。

DLab解説書第2巻』p.12

 

D−Lab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<D−Lab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。


[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳) 〔1969〕エターナル・コレクション版『断絶の時代』 ダイヤモンド社 p.275.

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1993〕エターナル・コレクション『ポスト資本主義社会』ダイヤモンド社pp.31-57.



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2016年05月27日

知識労働者(knowledge worker)の存在が体系的に示された

「物事をなすべき者の仕事の一つについて山ほどの本や論文が出ている時代に、なぜ成果をあげることはずっと放置されてきたのか」とドラッカー教授は、この節を始めました[i]

そして、放置されてきた理由を次のように述べました。「成果をあげること」が組織の中で働く知識労働者に特有の能力であり、そのような人々は、最近までほとんどいなかったからだと指摘しました(同書19ページ)。

ドラッカー教授は、『経営者の条件』で初めて知識労働者(knowledge worker)の言葉を体系的に用いました。同書に先立つ『創造する経営者』(1964)では、knowledge peopleの語を用い、その第14章である経営者の言葉を引用する形でknowledge workerという語句を登場させました[ii]

 知識労働者の存在に気づき命名したのは、ドラッカー教授本人です。知識労働者は、教授の著作を紐解く際の重要なコンセプトの一つです。すなわちマネジメントという新しい道具を用いる張本人(主体者)であることを自覚することが求められます。

DLab解説書第2巻』p.11

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社 第一節の冒頭部分の文章。訳はエターナル版を用いた。

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1964〕『創造する経営者』ダイヤモンド社なお<knowledge people>も知識労働者と訳出されている。



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2016年05月26日

To effect:成果をあげること

『経営者の条件』18を開いてください。1節は次の文で始まります。

To be effective is the job of the executive.

「成果をあげることは、仕事を遂行することである」

続けて。

‘To effect’ and ‘to execute’ are ,after all, near-synonyms.

「成果をあげることと仕事を遂行することとはほとんど同義である」

 つまり成果のあがらない仕事は仕事ではないということです。それはただの作業、動作。そして仕事とは、「なすべきことをなし遂げること」とほとんど同義であるといいます。

The effective is, first of all, expected to get the right things done.

「エグゼクティブは常に、なすべきことをなし遂げることを期待されている」

このようにドラッカー教授は、本書の冒頭で最も大切なことを繰り返し言いました。それは、なすべきではないことを行っても成果には結びつかないことの強調でもあります。

 ちなみに2006年発刊のアメリカのペーパーバック版の表紙には次の言葉が書かれています。

The Definitive Guide to Getting the Right Things Done

「なすべきことをなし遂げるための決定版の手引書」

しかしこのようなエグゼクティブと呼ぶべき人たちは、驚くほど少ないという現実を第1章の序言で述べました。つまり「なすべきことをなし遂げる」人は少ないというのです。

成果があがらない第一の理由は、そもそも「なすべきでないことを行っている」場合と「なすべきことを行っている」が結果がでない場合に分けられます。したがって、自分は「何をなすべきか」ということに自覚的であることが大切です。それゆえ、何度も自問しなければなりません。第3章の貢献に関わる章は、このことを明らかにする能力について取り上げています。そのうえで他の4つの能力を用いてはじめて成果があがります。

ところで先の冒頭の文章は、1章の序言に記されています。序言は、オリジナル版[i]1966)の訳には反映されていますが、エターナル版では、1節に吸収されています。序言や序章には、全体にかかわるテーマなど重要な情報が記載されていることがありますので繰り返し注意して読まなければなりません。

DLab解説書第2巻』p. p.89

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社



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2016年05月25日

『経営者の条件』第1章の構造

『経営者の条件』の第1章は「成果をあげる能力は修得できるEffectiveness Can Be Learned」は、5つの節で構成されています。

1節「成果をあげる者はなぜ必要か WHY WE NEED EFFECTIVE EXECTIVS」で効果性」と「効率性」の違いに触れ、新しい労働の時代に必要なコンセプト、知識労働者を提示します。そして知識労働者にとっては、「効率性」ではなく、「効果性」がより重要であることを指摘しました。これまで「効率性」が叫ばれ、「効果性」が省みられなかったのは、知識労働者の出現が「新しい現実」であることに原因があることを明らかにしました。

2節「エグゼクティブとは WHO IS AN EXECUTIVE?」では、新しいコンセプト誕生を受けて、知識労働者の中から真に組織に貢献する存在をエグゼクティブと定義しました。逆に、エグゼクティブならざる存在を明らかにし、たとえば、必ずしもすべてのマネジャーがエグゼクティブではないことを指摘しました。ポイントは、組織の中にあって成果をあげる者だということです。

3節「働く者を取り巻く組織の現実 EXECUTIVE REALITIES」では、この点に特に注目してエグゼクティブを取り巻く共通する環境を「現実」という言葉を用いて考察しました。「効果性」、つまり成果をあげることを期待されているエグゼクティブが、成果をあげられない阻害要因を探りました。ドラッカー教授は、組織に属していない医者という知識労働者の働き方を観察することで4つの現実を挙げました。

ここで少し脱線しますが、ドラッカー教授の思考法に○○○を説明するために○○○でないものを引き合いに出すという方法があります。この節では、組織に属していない知識労働者を観察することで組織に属する知識労働者の姿を浮き彫りにしました。

さて4節「成果を大幅に改善する方法 THE PROMISE OF EXECUTIVENESS」です。ここでは、もう一つの現実ともいうべき私たちの「万能への期待」信奉を挙げ、これを否定します。つまりスーパーマンを期待するのではなく、平凡な人間に成果を出させるのでなければ、組織社会は立ち行かなくなるというのです。合わせて、組織で働き、そこで成果をあげることの重要性を指摘しています。そのためには、個の力を急速に伸ばすのではなく、仕事のためのツールを用いて個の能力を拡張することが重要です。

最終5節「成果をあげる能力は修得できるか BUT CAN EXECUTIVENESS BE LEARNED?」ではこれらを受け、平凡な人間がエグゼクティブになるべく、それらの者を取り巻く現実を打破するためのツール、つまり5つの「成果をあげる能力」を提示しました。加えて、それらの能力(ツール)が習慣的な能力として身に付けられるべきものであることを示しました。

より簡潔に基本構造を示すと次のようになります。

1節「効率性」よりも「効果性」を重視する新しいコンセプト知識労働者の提示

2節 知識労働者とエグゼクティブの定義の違い

3節 成果をあげることを期待されているエグゼクティブを取り巻く環境

4節 エグゼクティブに対する組織社会の期待

5節 期待に応える者として身につけるべき「成果をあげる能力」

DLab解説書第2巻』p. p.35

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。 



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2016年05月24日

『経営者の条件』の使い方

   ドラッカー教授は、本書を「自らを訓練することについて述べた」[i]と記しています。訓練あるいは修得という言葉が示すように、単に理解するレベルでは、本書をものにしたことになりません。

これらのことは、九九を憶えるように修得すること[ii]、あるいは習慣的な能力[iii]として身につけなければならないなどの言葉に象徴的に表れています。修得のための実践行動が欠かせません。

修得に必要なのは、九九を憶えたときのようなトレーニングです。一度で者にできた人は一人もいないはずです。エグゼクティブとは、いい大人にはってもなお、トレーニングの重要さを理解し、日々実践している人です。成果は、その結果、生み出されるものです。

無意識に心身が動く状態を習慣化されたといいます。習慣は第二の才能とも言われます。悪しき習慣をあらため、良き習慣を身につけることが成果への近道です。

DLab解説書第1巻』p. p.36

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1966〕エターナル・コレクション『経営者の条件』ダイヤモンド社p.222.

[ii] 同上p.42.

[iii] 同上p.43.



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2016年05月23日

エターナル・コレクション『経営者の条件』の特徴

エターナル・コレクション(以下「エターナル版」という)の第1巻が『経営者の条件』となっています。これは前回の全集「選書版」と同様のポジションです。「選書版」での発行部数が一番多く、人気の証です。不動の一番バッターとも言うべきポジションです。

このようなポジションにあるのは、本書が「万人のための帝王学」と言われ、広く組織に属する成果をあげることを期待されているすべての方を対象としているからです。

さて本書の内容ですが、オリジナルの本文の他、「序章」として2004年の論文「 成果をあげるには」が追加掲載されています。本文とは、直接の関係はありませんのでやや整合性に欠ける面がありますので、読む際には気をつけてください。

  またエターナル版の「まえがき」は、1985年版の「まえがき」に差し替えられています。その都度、指摘しますが、ロングセラーが多い作家の著作を読む際には、「まえがき」や「あとがき」が発行当時のオリジナルのままのものと、後の新装版の際に差し替えられていることがありますので、注意してください。   

筆者は、それぞれの著作の「まえがき」や「あとがき」を好んで読みます。創作意図や時代背景などを垣間見ることができるからです。ときに熱く、ときに冷静なドラッカー教授の息遣いが聞こえてきます。

次にエターナル版の各著作には、発刊年とドラッカー教授の年齢が明記されています。チェックしてから読むことで、その著作の年代的な位置づけが把握できます。

ちなみに1966年発刊の本書は、ドラッカー教授が56歳の時の著作であると明記されています。マネジメントの古典三部作(他に『現代の経営』『創造する経営者』)の最後の一冊としてセルフ・マネジメントを取り上げたことや、この後に社会生態学系の著書として大ヒット作となる『断絶の時代』(1966)を書いたことなど、本書が一つの転換点となっていることがわかります。

DLab解説書第1巻』p. p.36

 
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2016年05月22日

日本版序文には何が書いてあるのか?

ところでオリジナル版の日本語版には、実に8ページにも及ぶ序章があります。戦後歩んできた日本経済の姿を述べ、新産業創出の必要性を説いています。そして本書の必要性を次のように述べました。

「日本の経営者が、きたる10年かそこいらのうちに取り組まなければならなくなるであろうような特定の仕事はなにかということは、とくにこの本が論ずべき主題ではないし、また、私にはそれを論ずる資格はない。しかし、この本が意図していることは、真に重要な仕事とはなにかということを、彼らに発見させる助けとなることである。所与の時間に所与の地位において人がなすことができる真に価値ある貢献とはなにかということを、彼らがどのようにして徹底的に考え抜いてみるべきかを示すのが本書の狙いである。そして、いうまでもなくこのことは、効果性というものに達する手がかりである。なぜならば、効果性というものは、なすべき事柄を成し遂げることに存するからである」[i]云々。

つまり本書のテーマを「取り組まなければならなくなるであろうような特定の仕事はなにか」ではなく、「重要な仕事とはなにかということを、彼らに発見させる助けとなること」であると明言しました。時流や状況によって変化する特定の仕事に惑わされることなく、常にその時々で「重要な仕事は何か」を発見することが、本書最大の意図であることがわかります。最重要ポイントです。

DLab解説書第1巻』p. p.31

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966 〕前掲書まえがきp.11.



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2016年05月21日

なぜ『経営者の条件』というタイトルになったのか?

 エターナル・コレクション版では、2004年の論文が「序章」として付されています。1995年出版の新訳版では、当然ですがこの序章がありません。

しかし、1966年発刊のオリジナル版(と表現しておきます)には、別の「序章」が存在しています。いわば本物の序章です。そしてその序章の冒頭の文章に本書のタイトルの起源があります。

I first became interested in the effective executive early in World War.” これが書き出しの文章です。これを「『効果的な経営者の条件とはなんであるか』といった問題について、私が最初に興味を持ちだしたのは、まだ第二次世界大戦が始まって間もない頃のことであった」と訳したのです。原文は、「」付きで、かつ効果的な経営者にはエフェクティブ・エグゼクティブとルビが付してあります。翻訳の苦労の跡がうかがえます。

その序章をよく読むと、やはり、経営者と訳すよりもエグゼクティブが適訳であることがわかります。さらにこれらの「条件」の適用範囲を「われわれの生きている現代社会の組織、つまり政府機関であろうと、企業体であろうと、研究所であろうと、大学であろうと、病院であろうと、あるいはまた、陸軍ないしは海軍といった組織であろうと、それらの機能の成否はすべてそのような知識にかかっているのである」[i]と明言しました。

ドラッカー教授は約20年後、1985年版の「まえがき」で「成果をあげることは、新入社員であろうと中堅社員であろうと、本人にとって自己実現の前提になっている」[ii]と述べ、対象となる範囲をより具体的に追認しました。つまりタイトルにある「経営者」からさらに遠ざかったのです。

DLab解説書第1巻』p. p.28

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社p.5.

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1966〕エターナル・コレクション『経営者の条件』ダイヤモンド社 まえがき



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2016年05月20日

「経済的な問題を抱えた知識労働者」の存在

19世紀から20世紀前半に肉体労働者が目論んだ階級闘争による権利と賃金の獲得の動きは、労働生産性が50倍に向上[i]したことによる相対的な賃金上昇で事実上無意味化しました。その間、肉体労働者は豊かな中流階級へと変貌し、彼らの参政権が政治と社会を安定させるに至りました。

豊かな中流階級の流れは、その後、1950年代に末に登場した知識労働者にも引き継がれていきました。教授は『経営者の条件』の終章で「通常知識労働者は経済的な問題を抱えていない。大体において豊かである」と述べています[ii]

しかし21世紀の現在、状況は異なる方向へと向かっています。先進国を含む貧困と格差の問題です。「経済的な問題を抱えた知識労働者」の存在です。

この問題の原因は複雑です。行き過ぎたグローバル金融資本主義で知識ではなく資本が富を生む源泉になっていることも大きな一因です。しかしこれとて投資対象が地球上からなくなれば(著しく少なくなれば)終焉を迎えます。現にそうなりつつあり、投資対象を求めて実需なきマネーが右往左往して実体経済に影響を与えています。マイナス金利とは投資先がないことを意味し、お金が富を生まない象徴的な現象です。

私たちは、お金がお金を生むという発想自体が間違っていることを知ることになります。人類は最終的にお金を商品化し、サブプライム・ローンなどの劣悪な商品まで生み出すにいたりました。ドラッカー教授は処女作『経済人の終わり』(1939)で、商品を右から左に動かす商業時代の終焉を描きました。 

しかし、商品を右から左に動かして誰かが儲けを手にする時代は終わったと私たちが真に気づいたのは21世紀に入ってリーマンショックを体験してからです。「経済人の終わり」―ドラッカー教授の警鐘が最悪の形で証明されました。

教授は1942年『産業人の未来』で「経済的な領域を社会の中心的な領域とすることをやめるということは、さらに大きな意味をもつ。それは西洋社会が、人間は『経済人』であるという信条、人間の自己実現は経済的な成功と経済的な報酬によってのみ図られるという信条を捨てることを意味する」と明言していました。教授は、「産業人」というコンセプトを生み出し機能する産業社会という課題に立ち向かうべきことを示唆しました。

マネジメントという概念はその過程で生まれたものです。企業が生み出す価値の源泉はやはり人間の知恵です。産業社会はやがて組織社会と呼ばれるようになり、1950年代後半から社会は知識社会という側面を付加するようになりました。

その時代の到来をドラッカー教授は、産業社会の次の姿を『ポスト資本主義』(1993)として世に問いかけました。しかし知識労働の生産性の大幅な向上は20世紀には実現しませんでした。私たちは再び生産性を何十倍にも向上させ、格差問題を克服できるのでしょうか。

ここで考慮していかなければならないことは、これまでの前提、すなわち市場や資源が無限であるとの幻想を捨てなければならないことです。しかし市場も資源も有限であることに多くの人が気づいています。モノからコトへ。脱資源、省エネルギーなど必然的なシフトの方向性だけは見えています。

これらの制約下で調和とバランスを取りながら生産活動を行っていかなければならないのが現代社会なのです。課題は多く、解決も容易ではないのですが機能する社会の実現のために一人ひとりが一隅を受け持たなければなりません・

DLab解説書第1巻』p. p.26-27に追記

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1999〕『明日を支配するもの』ダイヤモンド社p.160

[ii] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1966〕エターナル・コレクション『経営者の条件』ダイヤモンド社p.226



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2016年05月19日

なぜドラッカー教授は『経営者の条件』を書いたのか

本書『経営者の条件』は、知識社会の到来を告げる書でもあります。教授は、同書で初めて、後に『断絶の時代』(1969)で大々的に取り上げられる知識労働者knowledge workerという新しいコンセプトを初めて用いました[i]

ドラッカー教授は、1966年版の序章で次のように述べました。「われわれは現在、経営者を効果的ならしめるものはなにかという問題について、あらん限りの知識を必要としている」[ii]。なぜなら「現代社会の組織(中略)の機能の成否はすべてこのような知識にかかっている」[iii]からです。ドラッカー教授は、知識をもったエグゼクティブという個人の能力が組織に影響を及ぼすことを先見的に明らかにしたのです。

また終章で「肉体労働者の欲求と、拡大する産業の役割との経済的対立が、19世紀の発展しつつある国にとっての社会問題であったように、知識労働者の地位と機能と自己実現が20世紀の発展した国にとっての社会問題である」[iv]と記しました。つまり知識労働者という人間が社会に影響を及ぼす時がきたと告げたのです。

 19世紀に、権利と賃金の獲得を目指し肉体労働者が繰り広げた階級闘争という歴史的事実は、何を私たちに暗示しているのでしょうか。現代において知識労働者という新種の人間の欲求行動の反動は、何だと考えられるでしょうか。

 知識労働者の意識は、自己実現欲求の充足や地位向上に向けられています。肉体労働者の意識が権利と賃金に向けられたのと基本的には同質の問題構造を抱えています。マネジメントはそのことに正面から取り組まなければなりません。つまり、給料だけでは人は動機づけされないということです。知識労働者を成果をあげる存在にすることがマネジメントの役割ならは、知識労働者の特性の理解は避けてとおれません。

したがってトップ・マネジメントに求められることは、第一に、自他共に知識労働者であることを認識することです。第二に、組織で共に働く者にセルフ・マネジメントを修得することが必須のものであることを知らしめ、自ら範となることです。

知識労働者の生産性の向上こそが、21世紀最大の課題であるとドラッカー教授は言い残しました[v]。つまり20世紀では、未解決の課題なのです。本書は、そのための先がけとなる一冊です。

DLab解説書第1巻』p. p.26-27を加筆修正

 

DLab解説書』とは―ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場<DLab>に参加しているメンバー約50名に毎月提供されている小冊子。



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1964〕『創造する経営者』 knowledge peopleの語が見られる

[ii] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社p.5

[iii] 同上

[iv] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1966〕エターナル・コレクション『経営者の条件』ダイヤモンド社p.226.

[v] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔1999〕『明日を支配するもの』ダイヤモンド社p.160



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2016年05月18日

「予期せぬ成功」の賜物? もう一つの誕生物語

「効果性(effectiveness)というテーマで話をしてくれないか」。チャンスは突然やってきました。旧い友人、トマス・リー・モリス予算局長(1961年国防次官)からの連邦政府高官に対する講演依頼でした。ドラッカー教授の記憶では、1959年か1960年。

 引き受けたはいいが、気乗りのしない依頼だったといいます。理由は、自分にとっては当たり前のことばかりを話すことになるから。「ところが、驚いたことに私にとっては極めて当たり前な事柄にすぎない話が、聞き手の高官たちにとって、まるでなにか新しい発見でもあったかのように受け入れられた」[i]のです。

それ以来、体系的研究を試み、ついに『経営者の条件』に結実したのです。執筆当時、この方面の文献を洗いざらい探してみたがeffective executiveというテーマで書かれたものはなかったといいます。しかし、ドラッカー教授は、本書は最初の所論にすぎないと明言しました[ii]。つまり、エグゼクティブもしくは知識労働者が成果をあげる方法は、スタートラインに立ったばかりだと宣言したのです。こうしてセルフ・マネジメントという考えが生まれました。

DLab解説書第1巻』p.25より

 

<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>


[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕前掲書p.11

[ii] 同上p.5



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2016年05月17日

構想二五年?『経営者の条件』誕生物語

    ドラッカー教授が成果をあげるエグゼクティブの存在を始めて目にしたのは、1941年の太平洋戦争の開戦直後でした。教授は、日米開戦を機に、同月からワシントンに召集され政府で働くことになりました。

「当時、ワシントン政府には、企業、大学、あるいはその他各種の自由職業において、それぞれの仕事をもっていた民間人が続々集められていった」[i]と述べ、その中に成果をあげる人とそうでない人がいる事に気づきました。“effective executive”というコンセプトが生まれた瞬間でした。こうしてドラッカー教授は、その条件を探ることを一つのテーマとして観察を重ねていきました。

着想から四半世紀の時を経て本書が誕生しました。教授の著作には、『傍観者の時代』など懐妊期間が長期に及ぶものが多数あります。懐妊期間を調べてみるのもドラッカー教授の思想の変遷を理解するには面白い視点です。

この話には伏線があります。1934年の6月、イギリスで偶然目にした日本画から日本に興味を持つようになり、アメリカに移住したドラッカー教授は何度もワシントンやボストンの日本画コレクションに足を運びました。ワシントンには日本画の収集で有名なフリーア美術館がありました。[ii]そして、その数年後、奇しくも日米開戦という悲劇の中で“effective executive”の存在に出会ったのです。

もし太平洋戦争がなければ、『経営者の条件』は誕生していなかったかもしれないと考えると、感慨深いものがあります。またのワシントンでの日々に毎日のようにフリーア美術館に通い、日本美術に接していました。その時に初めて「室町の山水画」というカテゴリーを知ることになるのです。日本との不思議な縁を感じざるを得ません。

DLab解説書第1巻』p.23より


<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



[i] P.F.ドラッカー(野田一夫、川村欣也訳)〔1966〕『経営者の条件』ダイヤモンド社

[ii] 河合正朝、菅原壽雄、宮坂淳監修〔1986〕『ドラッカー・コレクション 水墨画名作展』日本経済新聞社



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2016年05月16日

自己啓発書としての『経営者の条件』

『経営者の条件』は、原タイトル“The Effective Executive”とあるとおり、成果をあげることを期待される人すべてに必携の一冊といえるでしょう。筆者は、そのような性格の本書は、書店の本棚では「自己啓発」コーナーに並べられて相応しいものと考えます。

自己啓発書のベストセラーに成功哲学の原典ともいうべきジェームズ・アレンの代表作『原因と結果』(AS A MAN THINKETH1902)があります。本書には、帳簿つけ、羊飼いなどの職業は出てきますが、組織の片鱗さえ見当たりません。出版時期から考えて企業などの組織で働く人の存在は、限定されていたことがわかります。

時代は進み、アメリカで二人の成功哲学者が生まれ、現代でもなお大きな影響力を誇る存在となっています。一人は、成功哲学の父とも言うべきディール・カーネギーです。代表作に『人を動かす』(How to Win Friends and Influence People1936)があります。人に影響力を行使する方法や心構えが書かれており、世界で1500万部以上売れている大ベストセラーとなっています。

さらに「成功哲学」を体系化した男といわれているナポレオン・ヒルの存在があります。代表作に『思考は現実化する』(THINK and GROW RICH 1937)があります。アンドリュー・カーネギーやヘンリー・フォードなど立志伝中の人物へのインタビューをまとめたものです。内容は、願望、信念、潜在意識など個人の心の姿勢を説くものが多く、企業家個人のバイブルとしての性格が色濃く出ています。

これら三つの代表作の出版は、いずれも戦前です。そして戦後、最も影響力を及ぼした自己啓発書は、世界で2000万部以上売り上げている『七つの習慣』(The 7 Habits of Highly Effective People1989)です。同書は、個人、家庭、組織での成功の原則を明らかにしたもので、今では組織と個人の関係は成功の大前提です。

これら大ベストセラーの間にあって、自己啓発書として確固とした位置づけを得るべき存在が『経営者の条件』と考えます。しかも知識労働者のための自己啓発書として先験的存在です。つまり現代社会における自己実現は、組織の存在抜きには語れないということです。同書の重要性を今一度、再評価すべきではないでしょうか。

DLab解説書第1巻』p.p.1920より


<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



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2016年05月15日

『経営者の条件』の位置づけ


初期の著作、特に最初期の『経済人の終わり』と『産業にたずさわる人の未来』は、観念、傾向、『歴史の上の大きな動き』を対象にしているが、まったく没個人的といってよいほど抽象的に扱っている。[i]


DLab解説書第1巻』p.18より

 

1966年発刊の『経営者の条件』は、『現代の経営』(1954)、『創造する経営者』(1966)とともにマネジメント三部作といわれています。56歳のドラッカー教授の手によるものです。

ドラッカー教授は、初期の著作について上記のように述べ、その後、『経営者の条件』によって人間中心の著作を初めて世に送り出したと記しました。つまり教授は、これまでの全著作の中で初めて本当の意味で個人に焦点を合わせたのです。このようなスタンスで一冊丸ごとかかれた著作は、前にも後にもありません。その意味で貴重な一冊と言えます。

 

<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



[i] P.F.ドラッカー(岩根忠訳)〔1972〕ドラッカー全集『一 産業社会編 経済人から産業人へ』ダイヤモンド社p.11



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2016年05月14日

エターナル・コレクションの読み方 その5 教授の思考法に注目して読む

この読み方は、上級編です。教授の思考の仕方には、特徴があります。思考癖といってもいいかもしれません。代表的なものは、著書のタイトルにもなっています。「すでに起こった未来」、ほぼ同じ意味ですが「新しい現実」がこれに当たります。

 また、「未知なるものの体系化」[i]なども重要な思考法の一つです。他にも、ノン・カスタマーに代表される「欠けたものを探す」[ii]という考え方も特有の思考法です。

ドラッカー教授は、それぞれの分野に異なる前提と方法があると述べました。二〇を超える研究分野からもたらされる方法論や思考法は、ドラッカー教授の魅力の一つでもあります。

DLab解説書第1巻』p.15より

 

<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔一九九三〕エターナル・コレクション『ポスト資本主義社会』ダイヤモンド社p.243.

[ii] 上田惇生〔二〇〇六〕『ドラッカー入門』ダイヤモンド社p.89.



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2016年05月13日

エターナル・コレクションの読み方 その4 「物語」に注目して読む

第四の読み方は、「物語」に注目する読み方です。多様な「物語」は、マネジメント系の著作の面白さの一端にもなっています。

ドラッカー教授の手法は、既にある現実を観察し、一つの原理に凝縮することです。「物語」も一つの現実です。教授が見聞きした実践現場が物語となりました。「物語」の存在は、実践との橋渡しを意味します。物語を熟読・玩味する意味は、そこにあります。

その際の読み方のコツの一つは、その時代になかったものは何かを意識することです。たとえば「シアーズ物語」[i]は、19世紀末に農民相手にカタログ販売という新規事業を始めた物語ですが、そのカタログは文字と挿絵で構成されていました。ついついこれまでの常識、つまりカタログは文字と写真であるとの前提で読んでしまいます。

物語の背景に関するすべての情報を頭に入れながら読むことはできませんが、頭の中で「時間を過去に戻して読む」と思わぬものが見えてくることがあります。時間軸をずらすという思考法は未来を読む力を養うことにも通じています。

今から未来を見るとき、将来振り返るタイミングでその予見の適否が判定されます。過去を意識しながら今を見ると、振り返るための情報はすでに起こった歴史の中にあります。過去に戻ると未来をどう見ていたかを追体験できるという意味です。「物語」は一種のトレーニング・ツールとしても有効です。

DLab解説書第1巻』p.14より

 

<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



[i] P.F.ドラッカー(上田惇生訳)〔一九七三〕エターナル・コレクション『マネジメント<上>』ダイヤモンド社pp.58-69.



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2016年05月12日

エターナル・コレクションの読み方 その3 コンセプトに注目して読む

第三の読み方は、コンセプト(概念)に注目して読む方法です。この読み方は新しいコンセプトの発明の過程や意味の変化を追うためには欠かせません。新しいコンセプトの誕生は、名もない実体に名前がついたことを意味しています。

「知識労働者」「マネジメント」「マーケティング」「利益の機能」など、多くの新しいコンセプトを生み出し、再定義したドラッカー教授の発想の原点を探りながら読むことは、ドラッカー思想の理解を深めるのに役立ちます。

たとえば、「革新者」の存在を『新しい社会と新しい経営』(1950)において記し、「イノベーション」の必要性を暗示させ、『現代の経営』(1954)で登場させた「イノベーション」という概念は、『創造する経営者』(1964)で充実され、『イノベーションと企業家精神』(1985)で「イノベーションとは技術革新ではなく、新しい価値を創造することである」との定義として結実します。このような変遷をたどることで時代の流れとともに物事の本質がより良く見えてきます。

筆者は、ドラッカー教授をコンセプト・メーカーであると位置づけています。したがってコンセプトに注目して読むという方法をとても重視しています。その意味でエターナル・コレクションは、ドラッカー教授没後に選定されたため重要コンセプトの網羅性では、ほぼ完璧の域にあり、充実した読み込みが可能です。

DLab解説書第1巻』p.12より

 

<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです>



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2016年05月11日

エターナル・コレクションの読み方 その2 分類ごとに集中して読む

第二の主要な読み方は、マネジメント系の著書と社会生態学系の著書など、分類ごとに集中的に読むことです。分類は、先の「ドラッカー山脈」を参考にしてください。

筆者が10年以上行っているドラッカーの「読書会」の読み方もこれに属します。読書会では、これまで主としてマネジメント系の著作に絞って読んできました。また、10年を経過した2012年秋から初期政治三部作にチャレンジし始めました。さらに社会生態学の著作は、D-Labの合宿限定で読んでいます。

分野ごとに集中して読むことで、たとえば「成果」、「位置と役割」などのドラッカー思想を読み解くキーワードの理解が深まります。

DLab解説書第1巻』p.12より


<上記文章は、ドラッカー教授の著作から学び実践に活かすために設けた学びの場「DLab」に参加しているメンバー約50名に提供されている「DLab解説書」からその一部を抜粋し、加筆修正して掲載したものです> 



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