2017年11月14日

トクビルの見たアメリカ その364 民主的なものアメリカ的なもの

ドラッカー教授の思想に大きな影響を与えたアレクシス・トクビル。名声を獲得するきっかけとなった著書『アメリカの民主政治』からドラッカー教授の社会生態学の深層部への影響の一端を探る。


今日の文明的諸民族のうちでは、アメリカ連邦におけるほどに高等な諸科学が進歩していない国はない。そしてまた偉大な芸術家たちや有名な詩人たちや著名な著作者たちの少ない国はない。


『メリカの民主政治<下>』 1840年 p.76(談社学術庫)

1のコメント
ヨーロッパ人は初期アメリカを科学や芸術の不毛の地と見ていた。その結果、「社会状態と民主的諸制度とがひとたび全地球上を風靡し、そこで支配的になれば、人間精神はこの精神を開花する文明の光を、少しずつ暗くするであろうし、そして人々も無知の暗闇に再びおちこむことになるであろうと、ヨーロッパ人たちは考えている」。

このような考え方にたいしてトクビルは異を唱える。「彼等は自覚することなしに、民主的なものとアメリカ的なものとを混同している」。

トクビルはアメリカ人の典型的行動様式を次のように記述した。「最初の移出民たちが信じ、そしてその子孫たちがのこし伝えた宗教は、その礼拝方式では単純であり、その原理では厳しく殆ど粗野であり、外的形象と儀式の華麗さとの敵である。したがってこの宗教は、当然のことながら、美術的に好意的ではなく、そしてまた嫌々ながら、文学的歓楽を認めている」。ヨーロッパ人が典型的に見た姿でもある。



pfd at 06:30│Comments(0) 社会生態学の系譜 

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