2018年06月08日

トクビルの見たアメリカ その570 精神の不動性

ドラッカー教授の思想に大きな影響を与えたアレクシス・トクビル。名声を獲得するきっかけとなった著書『アメリカの民主政治』からドラッカー教授の社会生態学の深層部への影響の一端を探る。


人々は絶えず動いているが、人々の精神は殆ど不動のように思われる。


『メリカの民主政治<下>』 1840年 p.457(講談社学術文庫)

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「アメリカ連邦では、次の2つのことがわれわれを驚かすのである」とトクビルは述べた。「一つは、人間的活動の大部分のものの動きが激しいことである」。そして二つ目が上記の精神の不動性である。

トクビルはこのことを次のように表現した。「ある一つの意見が、アメリカの土地の上にひとたび広がってそこに根をはると、地上のいかなる権力も、これを根絶させることはできないといえよう」。「民主国の性格からしても、習慣からしても、そこではいつも感情と思想とが変化するとよくいわれている」。しかし「このことは古代の民主的国民のような、小民主的国民にあてはまるかも知れない」。

「大民主的民族(アメリカ)のうちには、このような古代の小民主的国民に起こったものは、全く見出されないのである」。彼らの理念や信条を変えようとすれば「当事者が経験によって悟る以外に、どうにもならないのである」。そして「このような経験でさえも、反復されねばならないのである」。



pfd at 06:12│Comments(0) 社会生態学の系譜 

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