2005年06月29日

『エレニの旅』〜そこに音楽があるかぎり〜

Eleni2『エレニの旅』
 
 
監督:テオ・アンゲロプロス
出演:アレクサンドラ・アイディニ ニコス・プルサディニス
 
【シーン2】
スピロスの一行が10年かけて築き挙げた「ニューオデッサ村」には家々が立ち並び、
学校、教会まで備えている。
かまどからは煙が立ち昇り、牛・馬・羊が放牧され、子供たちの遊ぶ声が聞こえる中を、
ある男が馬車でくっきりと轍をつけながら通り過ぎてゆく。
その馬車の向かっているのは河岸だった。
河の上流からエレニと付き添いの女が乗った船がゆっくりとやってくる。
河岸に子供が集まり、「エレニが帰ってきた!」「エレニだ!」と大騒ぎするが、
学校の鐘が鳴り、急いで教室へ戻ってゆく。
船から降りた二人は、馬車に乗りこみ、村の一番奥にある大きな家に向かうのだった……
 
傑作の予感を感じさせずにはいられないタイトルバック直後のシーンがこれですよ!
しかもこれがすべてワンシーンワンカットで収められているとは!
あまりにも恐るべき映像の構築力に、のっけから度肝を抜かされてしまいます。
画面右から左へ向けてゆっくりと進んでいく馬車に観客の神経を集中させつつ、
背景の村々の営みの一つ一つまでに注目させる、
半端じゃないくらい神経を配った画作りにただただ驚くしかありません。
これらの映像美を見られたでも十分すぎるぐらいですね。
 
一方、物語は、今までのアンゲロプロスとは一味違った、
ものすごくベタなメロドラマとなっています。
8月に一度二度TVで見かける「戦争と女のドラマ」とあらすじだけでは大差ありません。
公式サイトには、ネタバレなしの「あらすじ」と、ネタバレありの「あらすじ」の
両方が載せられてあるので、未見の方には、ネタバレありの「あらすじ」を読んでから
ご覧になるのをおすすめしますね。物語の時間をかなり省略した部分があって、
一度見ただけでは??な部分がありますから。
それに、物語を押さえておくと、うっかり眠りこけてしまったときの保険にもなります。
眠るつもりはなかったのにうっかり寝てしまった、
これもアンゲロプロス映画を見る醍醐味なのです。
 
前フリが少々長くなってしまいましたが、この後、やたらと長い、
ネタバレ全開の感想が続きます。未見の方はご注意ください。


まずは、「難民」としての登場人物についてなのですが、
この作品の登場人物のほとんどが黒い服を着ている点は、過去作品と似通っています。
たとえば『永遠と一日』では、
「死んでいない」人間は「黒い服」、「死んでしまった」人間は「白い服」
という風にはっきりと区別されていました。
私はそのあたりについては詳しく知っているわけではないのですが、
「喪服」と「白装束」は日本でもギリシャでも、その他の世界の国々でもだいたい
同じなのでしょうか。
ともあれ、「黒い服」を着た人は、「生きている」のではなく「死んではいない」と
いうのが『エレニの旅』の第一のポイントですね。
(「白い服」のほうは、『永遠と一日』とは別の意味づけがあるとは思うのですが……)
というのも、登場人物がギリシャの悲しみを一身に背負った「亡霊」に見えて仕方が
ないのです。「亡霊」だから、「死んではいない=半分は生きている」のだと。

今年は尊厳死をテーマに扱った映画がいくつかあったのですが、
それらがどれも「生→死」の流れだったのに対し、
『エレニの旅』は、「死=過ぎ去った20世紀」が物語の原点となっています。
「生」をすっ飛ばして、「死」から世界を見ている。
もっと言い換えれば、「死から生を逆照射」した、「弔いの物語」でもあるのです。
普通なら「生と死」を等分に対比させて物語を進めていくものの、
アンゲロプロスは、「生」をオセロのようにすべてくるっと裏返しにして、
いったん死んだと仮定した上で、「生きること」を考えさせようとしています。
「遠い先近い先に自分が死んだときを仮定するならば、今は何をなすべきなのか?」
というのは、この作品にとどまらず、なかなか興味深い設問でもありますね。

そういう「弔いの物語」だからこそ、どうにもこうにも救いようのないメロドラマに
なるのも致し方ないかもしれません。
人間の尊厳そのものが、戦争という現実によって何の呵責もなく踏みにじられるのは
それは20世紀でも、そして今でも世界のいたる所で、
規模の大小を問わず起こっているのです。
尊厳死のように「生きるor死ぬ」を個人で選択できるくらいなら、
まだまだ幸せだと言えるぐらいですね。

そうして、登場人物たちは「終わりのない旅」を続けていくことになります。
いつも何かに追われた予感がして、ひとところに落ち着けない「難民」は、
知人のはからいで得た住居や、音楽の演奏においても、
何がしかの「大きな音」(銃声、叫び声など)で中断されてしまいます。
これらのシーンにはすべて「何かを成し遂げられなかった」イメージが付きまといます。
『旅芸人の記録』で、「最後まで演目を上演できない劇団」のモチーフが
ここでもその発展形として活かされてます。
そのイメージは暗いことこの上ないのですが……

さらに暗いことには、大切な人が次々に亡くなっていきます!
『ミリオンダラー・ベイビー』でも『ライフ・アクアティック』でもあった
「手紙」のモチーフも、巧く用いられています。
ふつう手紙なら「受取人」を問題にするのですが、これまたさすがと言うべきか、
ここでは「差出人」がクローズアップされているのです。
それも「差出人死亡」ときたもんだ!映画の暗さもここで頂点を極めています。
エレニはそんな知らせにさめざめと泣くしかなくて……

エレニが流す「涙」も、作品中のいたるところに表れる「水」とつながっていますね。
自分に不幸が起こっても泣くことしかできない、これはまさしく「赤ちゃんの所作」に
ほかなりません。世界の暴力に対して、個人は何ら無力だというのを表しています。
そもそも原題『ザ・ウィーピング・メドウ(嘆く草原)』には、
「河の始まり=涙の源流」を捉えているように思います。
ひいては、この作品自体がギリシャの「悲しみの源流」を映画によって捉えたという、
アンゲロプロスの自信の表れでもあるのです。
そう考えると、いくら暗く救いようのない物語であっても、映画史レベルの
とんでもない作品だと認めないわけにはいきません。
すごいよ、アンゲロプロス御大!

ほか褒めるべき点といえば、やはりあの映像美について触れないわけにはいきません。
薄暗い部屋の中、椅子にかかった白いウェディングドレスが映る画は、
よくどこぞやのパンフレットで見る、レンブラントの絵と見まごうばかりです。
部屋の中の、物がある空間だけでなく、何もない空間にまで意味が充満している絵。
葬式や「白布の丘」のシーンなど、素晴らしいシーンは多々あるのですが、
私はこの部屋の画が一番凄いと思いました。これはありえない画ですよ!
まったく、アンゲロプロスはどうやってこの画を作り上げたのでしょうか
この画作りは神がかっているとしか思えません。

それと、これは独断と偏見に満ち満ちた解釈なのですが、私はこの作品をあえて
「音楽映画」
として捉えたい欲望にかられます。
アンゲロプロス作品の中では、いつも以上に音楽が効果的に使われているだけでなく、
その使い方が「音楽映画」の骨法を押さえているのですから。
寄せ集めの楽団が各地をドサ回りをしていくというのは、
(エミール・クストリッツァと同じような)「難民」のイメージとも重なり合います。
さらに、音楽さえあれば、人が集い・踊り・話し・飲み・食べる。
すなわち音楽がこの映画で唯一の、人と人とを結びつけるよすがとなっているのです。
子供と和解する廃屋や、「白布の丘」での、それぞれの楽器の音が重なり合って、
やがて一つの音楽に仕上がるシーンも圧巻でした。
『スクール・オブ・ロック』と同じく、こういうシーンがあってこその音楽映画です!
身内を失い半ば狂人となったエレニでさえも、音楽が幻聴として聞こえてくるとは
どこまでいっても音楽がキーになっています。
アンゲロプロスが「音楽映画」を作ってくれたことに、
アンゲロプロスファンでもあり音楽映画好きでもある私は本当にうれしく思いました。
アンゲロプロスの作品では、やっぱり『永遠と一日』が一番好きだとしても、
『エレニの旅』はそれに次ぐ作品に位置づけたいですね。

メロドラマとしての骨格がきちんとしているのでギリシャの現代史・神話についての
背景知識がなくてもことのほか見やすく、ただならぬ映像美があり、
『旅芸人の記録』のように登場人物を「記号」として扱うこともなく、
それでいて「音楽映画」としての味わいもあるこの作品は、
まことにバランスの取れた、アンゲロプロスの最高傑作だと断言できるぐらいです。
これから第二作・第三作がどう続くのか、本当に楽しみですね。
ぜひともアンゲロプロスにはこの壮大なシリーズを完結させてほしいものです。

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この記事へのコメント

1. Posted by しん   2005年06月29日 00:55
TBどうもでした。
終わりのない旅というより、既に終わっている旅、すでに決まっている悲劇に向けて流されていくしかない絶望的な旅という印象をうけました。

映画史レベルのとんでもない作品。うん。ほんとその通り。
歴史の目撃者になってしまった気分。
所詮目撃者の私ら凡人観客と、歴史を創生している天才。

サントラもこないだ買いました。エレニ・カラインドルーの旅でした
2. Posted by 栗本 東樹   2005年06月29日 01:16
TBありがとうございました。
アンゲロプロス映画を劇場まで観に行くと、
「寝たらどうしよう…」
というような緊張感が場内いっぱいに漂っているところがボクは好きです。
確かにこの映画は、“音楽映画”ですね。
3. Posted by dT   2005年06月29日 01:39
TBありがとうございます。
アンゲロプロスの映画は、本当に美しい。ヘタな美術展に行くよりも、ずっと価値のある時間を過ごすことのできる映画ですよね。
4. Posted by rabiovsky   2005年06月29日 02:22
TBありがとうございます。
音楽映画って感じしますね。
音楽がキーになっている部分もありますからね。
音楽に助けられ、音楽によって引き離されたり、苦しんだり! それに映像美に関してはもう何もいえませんね。
それぐらいスゴイです!
5. Posted by seke   2005年06月29日 06:12
丞相さん,初めまして。sekeと申します。
TBありがとうございました。お恥ずかしながらアンゲロプロス映画は初見でした(^^;
エレニ達を救うのが音楽なら,苦しめたのも音楽。丞相さんの深い考察に,自分の記事が薄っぺらなものに感じました(T T)
しかし,女性としては,あの壮絶なラストシーンに,日本が,とにもかくにも60年間平和であったということに
感謝した作品でした。
「涙の河」の今後のつながりに注目ですね。
6. Posted by クリシェ   2005年06月29日 06:23
TBありがとうございました。
喪服の色ですが、国や民族等によって異なりますが、白か黒がほとんどのようです。
日本でも過去の歴史の中で何度か白と黒がくり返されてきたらしいです。江戸時代は白だったようですが、明治維新で欧米に合わせるため黒にしたという記述を読んだことがあります。
また、音楽もすばらしいものでした。自分は映像もさることながら、あの哀愁漂う音楽に惹かれました。
7. Posted by えい   2005年06月29日 09:54
TBありがとうございました。

スゴい洞察力ですね。
服の色からオセロにたとえ、
死から生を照射した映画と捉えてられるところなどは、圧巻でした。

それに比べて私のなんかは恥ずかしくなりますが
TBさせていただきますね。
8. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:32
>>しんさん
こんにちは。前の記事も含めて、TB&コメントありがとうございます。
パンフレットでのアンゲロプロスのインタビューでは、
「英雄的絶望」という言葉が使われていましたね。
エレニが背負った絶望も、個人だけでなく、民族・国家の絶望をも意味されているのだと思います。

こういう作品が現在進行形で見られるのは、本当に喜ばしいことですね。
写真を見る限りアンゲロプロスは元気そうなので、あとの二作も撮りきってくれることでしょう。
9. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:37
>>栗本 東樹さん
こんにちは。TB、コメントありがとうございます。
私は恥ずかしながら、一回目の鑑賞ではかなりうとうとしてしまいました。
アンゲロプロスの作品をスクリーンで見るには、その時の体調にも相当左右されますね。
二回目ではほぼ全て目が冴えたまま見られたのですが、
肝心かなめの「白布の丘」の演奏シーンで軽くうとうとしました。
長い作品なので、一度くらいうとうとするのは許されますよね。
それにしても、恐るべき映画でした。
今年下半期でこの映画を超えうるものはまず出てこない気がします。
10. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:41
>>dTさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
私は絵に関してはほとんど何も知らないのですが、
アンゲロプロスの映像はただただ凄いと思ってしまいます。
絵画のモチーフもいくつか応用されているのかもしれませんね。
歴史や絵画のことがわかれば、アンゲロプロスの作品をさらに奥深く味わえそうです。
11. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:47
>>rabiovskyさん
再度コメント、TBありがとうございます。
私は繰り返される構図にほとんど注目しなかったので、
そのあたりはDVDが出たときに確認してみたいですね。
ピントの悪いスクリーンで見るよりも、DVDで見た方がいいいかもしれません。
映画としては完璧なこの作品を超えるのは至難のわざなのですが、もしかしたら『リンダリンダリンダ』にその可能性があるとも思っています。だって音楽映画ですから!
来月はもう『リンダリンダリンダ』公開へ向けてブチ切れるくらいテンションを高めていきたいですね。
12. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:52
>>sekeさん
こんにちは、こちらこそ初めまして。コメントありがとうございました。
ラストシーンで「オキナワ」の言葉が出てきたときには、
私たち日本人は誰しもドキッとしたはずです。
この映画がさらに身近なものに感じられましたね。
アンゲロプロスの作品は「水」が必ず用いられるので、
この後第二作・第三作でもあの河はつながっていくでしょう。
今年終わりに第二作が撮影されますから、日本で見られるのは今から3・4年後になりそうですね。
13. Posted by 丞相   2005年06月29日 12:59
>>クリシェさん
こんにちは。コメント・TBありがとうございました。
喪服のことについて、いろいろとありがとうございます。
どの国でも、白と黒以外はあまりなさそうですね。
音楽は、エミール・クストリッツァの『ジプシーのとき』のアコーディオン中心のジプシー音楽とかなり似ていました。
ギリシャとユーゴスラビアは同じような悲しみを背負っているようですね。
14. Posted by 丞相   2005年06月29日 13:04
>>えいさん
こんにちは。コメント&TBありがとうございました。
アンゲロプロスの作品は、考えれば考えるほど、
いろいろな見方ができるように思います。
絵画の知識があれば、あの映像美についてより深く理解できるのですが・・・。
残念ながら私は絵画についてほとんど何も知りません。
『エレニの旅』は、今までのアンゲロプロス作品にとっつきにくさを感じていた方々の評価も良くて、喜ばしいことですね。
15. Posted by 朱雀門   2005年06月29日 19:28
トラックバックありがとうございました

白と黒・・・色についての考察が面白かったです。
私も自分なりに考えてみましたが、まとまりませんでした。
「永遠と一日」との対比も興味深いです。

夏にはクストリッツァ作品が上映されますね。
「アンダーグラウンド」は今でも心に残る音楽映画ですが、
アンゲロプロスとは違った音楽の美しさを堪能したいです。

こちらからもTBさせていただきました・・・

16. Posted by nao   2005年06月29日 20:06
TBありがとうございました。
何度思い起こしても、あらゆるシーンが素晴らしい映画ですね。
神話と現代史をストーリーの骨組みにしてあるし、
CGを使わないあの映像は、やはりすごい監督さんと思います。
私も、この映画の音楽の存在がとても好きでした。
2部、3部と全く違う話らしいですが、とても期待しています。
17. Posted by 沢木耕三郎(仮名)   2005年06月29日 22:10
TBありがとうございます。
アンゲロプロスの映画は好き嫌いでいうと、旅芸人の記録>シテール島への船出>こうのとり、たちずさんで>ユリシーズの瞳>アレキサンダー大王、といった感じで、アレキサンダー大王なんて、最初から最後まで寝ていましたが、このエレニの旅は、とにかく話がベタでわかりやすいので、一番気に入ってしまいました。世評とは違うと思いますが、私のアンゲロプロス・ベスト1です。
18. Posted by henry   2005年06月29日 23:04
TBありがとうございました。鋭い長文を感心しながら読ませていただきました。この映画は始めから終わりまで、あまりにも救いがなく、正視できない感じでした。アンゲロプロス監督のギリシャ悲劇には幸せな瞬間がまったくないという言葉で、少し?は納得しましたが。「旅芸人の記録」を見ましたら、半分くらいしかわからないという状態で。それならと、これを機会に歴史を学ぼうとしているところです。だから映画がわかるというものではないでしょうが、そうせずにはいられないと思わせる作品でした。
19. Posted by 丞相   2005年06月30日 00:00
>>朱雀門さん
こんばんは。コメント&TBありがとうございます。
『永遠と一日』では、亡き妻のアンナが白地に黒の水玉模様のドレスと、かなり微妙な色使いをしていましたね。
使われる色が少ない分、色には相当な意味がこめられているのだと思います。

夏公開のクストリッツァ作品『ライフ・イズ・ミラクル』は私も楽しみにしています。こちらはかなり明るい作品のようですね。
20. Posted by 丞相   2005年06月30日 00:07
>>naoさん
こんばんは。TB・コメントありがとうございました。
手作りでこの映像を作りあげるとは、ただただ驚くばかりですね。
いくらCGの技術を駆使しようとも、この映像を作りあげるのは不可能だとすら思ってしまいます。
この後の作品にはニューヨークまで関係していくそうです。
ギリシャにとどまらず、さらにスケールアップしそうな感があって、今から期待せずにはいられないですね。
21. Posted by 丞相   2005年06月30日 00:13
>>沢木耕三郎さん
こんばんは。TB、コメントありがとうございました。
『エレニの旅』がアンゲロプロス作品としては、
『霧の中の風景』と並び、親しみやすいものでしょうね。
骨格がしっかりした物語の合間に、はっとするような映像をたびたび挿入するのが何とも心にくいです。
私は『こうのとり、たちずさんで』『シテール島への船出』など、未見のアンゲロプロス作品がいっぱいあるので、これからの特集上映、DVDなどで見ていきたいと思っています。
22. Posted by 丞相   2005年06月30日 00:20
>>henryさん
こんばんは。コメントありがとうございます。
『旅芸人の記録』は、突拍子もなく時空間がねじ曲がった映像があったりして、理解しづらい部分が多々ありますね。
字幕で年代が出てくるのがわずかばかりのヒントになっています。

『旅芸人の記録』と比べれば、『エレニの旅』の「時空間ぶっ飛びショット」は、ラスト近くの双子の出会いのシーンだけと、あえて節制したように思います。
『エレニの旅』は、いくら暗くても前へ前へと物語を進めていこうと意図していたのかもしれませんね。
23. Posted by 華やぐ時間   2005年06月30日 23:54
TBありがとうございました

水は いつもエレニのまわりにあり続けましたが 確かに 音楽もそうでしたね

バイオリンの美しい曲もそうでしたが 全編 押し付けがましくなく  人の生きる傍らに心情を見せるかのような音楽があったと思います

ああいう映画を見ると 真摯に生を大切にしなくっちゃ と思います
24. Posted by 丞相   2005年07月01日 10:58
「華やぐ時間」のrei-naさん、TB&コメントありがとうございました。
『エレニの旅』もまた、「生きること」を考えさせる映画ですよね。
カメラは人物を「引き」で捉えながらも、彼らの心情にしっかりとつかまえていたように思います。
これほど心情をきっちり押さえたのは、かつてのアンゲロプロス作品にも見られないものでした。
25. Posted by 直子   2005年07月06日 00:39
今さらですが、丞相さん、TBありがとうございました!

「永遠と1日」に続くアンゲロプロス作品でしたが、前作の時は(たしかナビオで)大半を眠ってしまったのですが、今回は画面に吸い寄せられるように魅入ってしまいました。・・・わたしも大人になったのでしょうかー?ふふっ。
エレニの辛い半生、美しい映像のせいで余計に際立っているように感じました。はかないように見えて、強い女性だなぁ、と思ったり。
感想、ふむふむ!と思いながら拝見させていただきました。
26. Posted by 丞相   2005年07月06日 23:28
>>直子さん
こんばんは。コメントありがとうございます。
『永遠と一日』は、冒頭のゆったりとしたカメラワークからして、
かなりの催眠作用がある作品です。ちょっとでも気を抜いたら、意識が遠のいてしまいますから。

『エレニの旅』は、ラストの続き、エレニがあれからどうなったかも思いめぐらさずにはいられないですね。
さすがに、幸せに暮らせるとは想像できないのですが・・・。

27. Posted by code_null   2005年07月17日 20:24
TBありがとうございました。
ものすごく細かいところまできっちり鑑賞されていますね。
読ませていただいて、映画のシーンが目に浮かびました。
私にとってはものすごく重い映画で、鑑賞後もかなりひきずったのですが、決して不快感ではなく、映像と濃密な悲劇の世界に
圧倒されたという感じです。
この監督の作品を見るのは初めてなのですが、他の作品も是非
みてみたいと思っています。
28. Posted by 丞相   2005年07月17日 20:56
>>code_nullさん
こんばんは、コメントありがとうございます。
『エレニの旅』がアンゲロプロス初体験だというのは、
良いめぐりあわせだったかもしれませんね。
アンゲロプロスらしさが一番バランス良く発揮された作品でしたので。
他の作品で見やすいものならば、『霧の中の風景』をおすすめします。
これも映像が心にしみ入るロードムービーとなっていますよ。
かなり大規模なレンタルショップでないと置いてはいないのですが・・・。
『永遠と一日』ならば、だいたいのショップに置いているとは思います。

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