2006年02月03日

『イエスタデイ、ワンスモア』〜ぐずって可愛いひと〜

Yesterday Once More『イエスタデイ、ワンスモア』公式サイト  DVD(HMV)

監督:ジョニー・トー
出演:アンディ・ラウ サミー・チェンほか

 

【あらすじ】(goo映画より)
豪華な暮らしを続ける富豪のトウ夫妻。実はその正体は高級品専門の泥棒カップルだった。
しかしある日、トウ夫人は夫から理由もないまま一方的に突然の離婚を言い渡される。
2年後、彼女は資産家の息子からプロポーズされていた。
彼女は男の母親の宝石目当てに結婚を承諾し、銀行から宝石が出て来たところを盗み出そうとする。しかしまんまと宝石を手に入れたのは、元・夫のトウだった…。


私がここ1年で見たジョニー・トー作品といえば、
『ザ・ミッション 非情の掟』『PTU』『ブレイキング・ニュース』
と、どれも本気印のハード系作品ばかりです。
それぞれ強烈なインパクトを残してくれました。

が、ジョニー・トー先生とのそもそもの出会いは、
2004年の秋に『ターンレフト・ターンライト』を劇場で見たときです。
かのトンデモラストにしばしあ然とし、これが香港映画の底力なのかと恐れ入りました。
原作絵本のファンには相当不評だったようですが、かつてなく面白いラストに
大満足してDVDまで買ってしまいました。

『イエスタデイ、ワンスモア』は、その『ターンレフト・ターンライト』に続く
ジョニー・トー先生久々のラブコメです。
サミー・チェンとアンディ・ラウとのゴールデントリオとくれば、
期待しないわけがないですか! そして期待に見事応えてくれました。
世界随一の映画職人らしくいろいろと楽しめた作品で、
ジョニー・トー先生らしくないと言われればそうかもしれないのですが、
きっちりやらかすところも忘れていません。
一つ二つ「んなアホな!?」とツッコミを入れたくなるシーンもありましたから。

このレベルの作品がどうしてレイトショーのみの公開なのか納得がいかないのですが、
幸い5月10日にDVDがリリースされるそうです。
ここで広くこの作品が見られるのを願うばかりですね。

それでは以下、【あらすじ】の範囲を出ない、ネタバレなしの感想が続きます。



何となくですが、初めは『Mr.&Mrs.スミス』の香港版かなというイメージがありました。
といっても、『Mr.&Mrs.スミス』を見てはいないのですが。
『Mr.〜』は殺し屋夫婦、こちらは泥棒夫婦と、とにかく似たもの夫婦なところは
同じなようですね。

似たもの同士をめぐる物語としては、『ターンレフト・ターンライト』につながります。
すれ違いにつぐすれ違い、そのパターンを踏まえたものなのです。
アンディ演ずる元亭主の真意がはかりかねず、サミー・チェンがことあるごとにぐずる
ところがたまりません! ぐずってこそサミー・チェンですから!
『マジック・キッチン』で屈辱の北京語吹替で聞けなかったサミー・チェンの
特徴ある声が聞けただけでも満足できました。
とにかく、真意が不確かなことをサスペンスの軸として、物語を引っ張るところは
ジョニー・トー先生の職人芸の真骨頂でしょうね。
くっついたり離れたりする夫婦は、まさに二人の「距離」をめぐる物語となっています。

サブキャラもかなりパンチが効いていました。
『ブレイキング・ニュース』で、焼き芋を食べるとオナラが出ずっぱりだった、
笑福亭鶴瓶似のホイ・シウホンがここでもグッジョブです!
最初に登場したときから不穏な空気だなあと思っていたら、それがビンゴ!
もうちょっと登場しても面白かったのに、香港映画らしからぬ節制がありました。
これも物語のバランスを崩さないがためなのでしょうか。

その他もろもろの笑いを散りばめながら、ラストはなぜかホロリとさせてしまう、
バカとロマンチシズムが高次元で融合したラブコメです。
今年のラブコメ大賞はこの作品でほぼ決まりでしょう。
ジョニー・トー先生に一生ついて行きます!と思ったぐらいでした。

これからもジョニー・トー作品が続々と日本に入ってきます。
サミー・チェンとアンディ・ラウのコンビの第二弾『ダイエット・ラブ』や、
黒澤明にオマージュを捧げた柔道ものがありますから。
ダイエット・ラブ』はもうすぐDVDリリース開始となるので、
すぐにレンタルして見たいところですね。



pfwfp at 09:07│Comments(6)TrackBack(2)clip!香港映画 

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1. 『イエスタデイ、ワンスモア』  [ 愛すべき映画たち ]   2006年02月11日 15:43
龍鳳鬥(2004/香港) 【監督】ジョニー・トー 【出演】アンディ・ラウ/サミー・チェン/ジェニー・フー ジョニー・トー第24弾。 UPするのは24本目ですが、観るのはこれで31本目
2. イエスタデイ、ワンスモア  [ any's cinediary ]   2006年02月12日 23:54
100万ドルの宝石 それとも 永遠の愛? <ストーリー>美男美女、その上リッチ

この記事へのコメント

1. Posted by micchii   2006年02月11日 15:47
こちらにも失礼します。

当方名古屋なんですが、同じくレイトショーだけだった『ブレイキング・ニュース』がお客さん10人だったのに対し、こちらは50人近く入っていて、改めてアンディの偉大さを知りました(笑)

この映画、ジョニー・トー監督にしては“普通すぎる”かなと思いましたが、それでも十分楽しめました。

ラム・シューが出ていなかったのは残念でしたが、ちゃんとホイ・シウホンがお笑いは引き受けていましたよね。

でも、こうやって3本観てくると、ゴールデントリオの中では自分は『ダイエット・ラブ』が一番好きです。
この感覚間違ってますかね?(笑)
2. Posted by 丞相   2006年02月12日 17:08
>>micchiiさん
こんにちは、こちらにもTB&コメントありがとうございます。
大阪ではアンディ人気がないのでしょうか、同じくレイトショーでも『ブレイキング・ニュース』のほうが多いぐらいでした。
サミー・チェンの「ありえね〜」というシーンも、物語にうまく収まっているところが、
ジョニー・トー先生にしては大人しくもありましたね。
あくまでも『ターンレフト・ターンライト』のラストのぶっ飛び加減にくらべてなのですが。
ホイ・シウホンの登場回数がもう少し多ければと願ったほどでした。

サミー・チェン&アンディ・ラウの3部作のうち、私は『ダイエット・ラブ』は未見です。
24日にDVDリリースされたらすぐに見てみることにしますね。
3. Posted by any   2006年02月12日 23:58
丞相さん、こんばんは。
この作品すごくスマートで、少々物足りない感じがしましたが、主演2人の力もあってか、最後まで楽しむことができました。
>『Mr.&Mrs.スミス』の香港版かな
言われてみれば、そうですね。
ただ、『Mr.&Mrs.スミス』はアクションが中心で、その辺りは違いますが。
主演の2人に尽きる作品という意味では共通点がありますね。
『ブレイキングニュース』もそうですが、もうちょっと公開規模を大きくして欲しいもんです。
何で、レイトショーだけなんでしょう…。
4. Posted by 丞相   2006年02月13日 23:58
>>anyさん
こんばんは、いつもお世話になっております。
ジョニー・トー先生のラブコメにしては、たしかにスマートでしたね。
香港映画らしくないと言えば、そうでもあります。
おなじみドリフ・吉本系のベタな笑いは、わざと押さえたような気もします。
アンディ&サミーの三部作の締めとして、まともなものにしたのでしょうか。
もうすぐDVDリリースされる、シリーズ第二弾『ダイエット・ラブ』に
期待するのみですね。『マッスルモンク』にもつながる、着ぐるみショーが
楽しめそうです。

それにしても、レイトショーのみの公開は辛いですよね。
梅田の長い長い地下道を、夜11時過ぎに通るのは薄気味悪いものでした。
5. Posted by rabiovsky   2006年05月13日 02:27
DVDがレンタル開始されたので速攻で見てみました。
ジョニー・トーの職人技がひかる映画でしたね。
らしくないと言えなくもないですが、香港の松竹芸能たちがあのような
濃い人たちなのでやっぱりジョニー・トーだと思わずにはいられませんでした。
突っ込みどころもありましたし!
『Mr.&Mrs.スミス』とちょっと似ている感じはしないこともないですね。
ふたりの関係性がちょっと違って私はこっちの方が好きですよ!
主演のふたりがいままで恋人止まりだったのがやっと結婚しちゃいましたし
その分、サミーのぐずり方まで成熟しているようでなかなかいいです!
あのラスト、この映画にあっている感じがしました。
ああいうラスト嫌いじゃないです。
6. Posted by 丞相   2006年05月13日 16:34
>>rabiovskyさん
私もTSUTAYAのコーナーに並べられているのを見ましたよ。
ほかに『ランド・オブ・プレンティ』もレンタル開始とあって、
借りようかどうか、パッケージをちらちら見ながらしばらく考えていました。
結局レンタルしなかったのですが、特典映像が豪華ならば、
ぜひ今度レンタルしてみますね。

それで『イエスタデイ〜』は、「わしがわしが式」の、
脇役がやたらと目立とうとするのも松竹芸能っぽいですね。
松竹芸能コンビがいつのまにかフェイドアウトするのが
寂しくもありました。

全体的に良く出来ている作品でしたね。
ジョニー・トー先生はその気になれば、
ウェルメイドな作品はいくらでも作れるように思いました。

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