2006年12月10日

『硫黄島からの手紙』〜ディフェンス・ザ・ホーム〜

Iojima『硫黄島からの手紙』公式サイト 硫黄島の戦い(Wikipedia)

監督:クリント・イーストウッド
出演:渡辺謙 二宮和也 伊原剛志 加瀬亮 中村獅童ほか

【あらすじ】(goo映画より)
戦況が悪化の一途をたどる1944年6月、ひとりの指揮官が硫黄島に降り立った。陸軍中将、栗林忠道。アメリカ留学の経験を持ち、それゆえにアメリカとの戦いの厳しさを誰よりも知り尽くしていた男。本土防衛の最後の砦とも言うべき硫黄島の命運は、この男に託された。


きみの死はなにものも変えはしないだろう。敗北はきまっている。だが、敗北は死者たちの姿をとらなければならない。それはひとつの喪であるべきだ。きみはその任務を果たすために軍にあるのだ。

――サン=テクジュペリ『戦う操縦士』より


去年の映画で栄えある「ドン引き大賞」に輝いた『ALWAYS 三丁目の夕日』だの、
未見なもののもし見れば手加減なしに貶しそうな『男たちの大和』だのといった映画に
私がそっぽを向いてしまうのは、それらの作品に描かれる「過去」が多分に
「現代の視点」を反映していることにあります。

その当時を生きていた人たちのリアルな感情を懇切丁寧に再現する意図などなく、
現代の人々が「そうであってほしい」という、フィルターが二重三重にかかった世界を
描いているようにしか見えないのです。
こういう映画が成り立つのも、日本の「大人」は忘れっぽいという傾向も関係している
のでしょう。昨今話題のいじめ問題にしても、「大人」たちは自分が子供だったころ、
まわりにいじめがあったという事実をきれいさっぱり忘れているような気がします。

つまり、日本映画自体が「生きづらい現代」への慰めとしか機能していないのです。
当の「生きづらい現代」を生み出したのは、そういうフィルターのかかった
「古き良き過去」の視野外にある、バブル時代の狂騒のような大いなる過失、
ないしは日々の怠慢が積み重なったものであるはずなのに、それをえぐり出すこともなく、
お茶を濁すような作品ばかりを作っていては、「日本映画に『未来』はない」と
言いたくもなります。

映画のジャンルの中でも戦争映画こそ、「現代の視点」を可能なかぎり排除して、
戦場を戦場として描くべきものではないでしょうか。
そうでないと、実際に命を散らした兵士と民間人にあまりにも不敬だと思います。
が、それが今までできていないのが悲しい事実……

「硫黄島二部作」の第二作、『硫黄島からの手紙』も、本来は日本人監督が作るべき
日本映画だったと思います。
第一作『父親たちの星条旗』と逐一比べながら見ていると、
日本軍の視点から描いたということ以上に、「戦争の現在進行形」として色濃い
ように見えました。画作り自体も「銀落とし」を使っているからなのか、
戦場のシーンは色調が灰色というか、金属質な色に統一されていました。
この硬質な画面の手触りが、戦争を突き放して描く姿勢とシンクロしているようです。
『父親たちの星条旗』の視点が最終的に「現在」にあるのなら、
『硫黄島からの手紙』の視点は徹底して「過去」にある印象を受けました。
あえて現在の視点を入れずに描いたからこそ、「天皇陛下万歳!」や「靖国で会おう」
というセリフもさして引っかかることなく受け入れられたのだと思います。

このような戦争映画がなぜ日本映画でできなかったのでしょうか。
小津や黒澤など、今なお世界の監督に絶大な影響を与えている巨匠がいたといっても、
それは過去の話。その伝統が続かなければまったく意味がありません。
小津安二郎の生誕100年記念映画を作るのでさえ、適任の日本人監督がおらず、
台湾の侯孝賢に『珈琲時光』をお願いせざるをえなかったほどですから。
侯孝賢がその要求をクリアしていた分、悲しみは増すばかりです。

とにかく、『硫黄島からの手紙』は、考えが凝り固まってもはや上積みが期待できない
「大人」よりも、学生、とくに小中生に見てほしいものです。
リアル極まる戦闘シーンはトラウマにもなりそうで、ただ単に「戦争はいけない」
という結論にもってこさせない、もっと複雑な感情をかき立てる作品に仕上げたのは
さすがイーストウッド御大の力のなせる技。
個人的には『父親たちの星条旗』があまりに凄すぎたので、それと同等の域には達して
いない印象を受けたのですが、これはこれで十二分に傑作だと思います。
いろいろな意味で、ケン・ローチ監督の『麦の穂をゆらす風』とも対をなす作品
だと思います。

(以下、ネタバレがあるので未見の方はご注意ください)



今回はポール・ハギスが脚本に深く関係していないせいもあって、
物語的には『父親たちの星条旗』ほどの切れ味は見られませんでした。
しかもイーストウッド作品というよりも、日本映画テイストのどストレートな物語で
あったのに何より驚きました。
このストレートさは『フラガール』に近いものがあるでしょう。
ストレートな物語の強みを最大限に生かして、今回の作品は登場人物の感情に
丁寧に寄り添っていました。前作にあった「個人と国家」の関係ではなく、
戦場に置かれた「個人」をクローズアップしていたと思います。

ただ、「ベストを尽くすのみ」という登場人物に通じる姿勢は、
『ミリオンダラー・ベイビー』や『スペース・カウボーイ』の流れをくんでいました。
単なる生き死にを超えたところでベストを尽くすこと、
自決という安易な「ソリューション」を選ばせないこと、
そこにイーストウッド作品らしさがありましたね。
「死ぬよりつらい生」をあえて選ぶことから、イーストウッド作品はどこまで行っても
「生きる」映画なのかもしれません
おなじみ「食べるシーン」や「水を飲むシーン」も多数散りばめられていましたから。
食べることも水を飲むこと、どちらも「生きること」とつながってきます。

ほか、何度となく繰り返された細部としては、「ホーム=故郷」にまつわるものが
ありました。新入りの兵士のみならず、負傷したアメリカ兵にも出身地を聞いています。
子供たちの歌を聴いて涙する栗林中将も、その歌が自分の故郷、
長野県からよせられたものだからです。

故郷への思いを残したまま散った兵士たちが、
散り際のあらゆる思いを「天皇陛下万歳!」もしくは「靖国で会おう」で表象せざるを
えないところも、やりきれなさがにじみ出てました。
実際は、めいめいがまったく違っていることを思いながら、手榴弾で自決したのでは
ないでしょうか。
韓国映画でどぎついシーンは散々見慣れている私でも、この自決シーンはこたえました。
パク・チャヌク監督の「復讐三部作」には、
アキレス腱をぱっくり切り裂いたり(@『復讐者で憐れみを』)、
釘抜きで前歯をひっこ抜いたり(@『オールド・ボーイ』)
孫の殺人犯の首筋に、孫が愛用していたハサミを突き刺したり(@『親切なクムジャさん』)
などのエグいシーンがあっても、それはある程度演出上の手加減があったのですが、
この作品ので手榴弾が爆発して肉片が飛び散る自決シーンは生々しく見えました。

一方、自決せずに生き残った、西郷役の二宮和也はこの映画一番の名演だったと思います。
これは「勇気あるヘタレ」ではないでしょうか、戦時中にヘタレるのも相当な意志が
あってはできないことですから。
捕虜になったのはめぐりあわせのよさが第一にあるでしょうが、
栗林中将の「弔い」をしたことで命拾いしたという想像も膨らますことができます。
「二度あることは三度ある」と、西郷に命拾いの可能性をほのめかした栗林中将が、
「ここは日本か」という言葉を最後に自決したのは、
硫黄島が日本の領土であるうちに死にたかったからなのかもしれません。

史実のみならず映画でも、「硫黄島」はアメリカに占領されてしまいました。
しかしながら、まだわれらには「オキナワ」という島があります。
去年公開された、こちらも映画史レベルの大傑作、アンゲロプロスの『エレニの旅』でも、
ラストの手紙に「オキナワ」の言葉が触れられていました。
劇場パンフレットににあったシナリオを引用すると、


1945年3月31日ケラマ島。太平洋オキナワの25マイル西の小さな島。44年12月1日の君の手紙が昨日届いた。届いただけで奇跡だ。何ヶ月も世界中を転々とした手紙。笑って、泣いたよ。君は元気で解放を迎えたんだね。嬉しくて一人で乾杯した。僕が君を忘れたって? 忘れるものか! この何年、君を思わない日はない。この誰も知らない島で、黄色い川の泥の中を銃をかついですすんでいる。もうすぐ6万の兵が死を覚悟で出撃する。オキナワは地獄だ。


硫黄島の戦いが1945年2月16日からの36日間。その後がオキナワの戦いと
なるのです。(Wikipediaの「沖縄戦」にはこと細かく記されています。)
民間人の死者が兵士のそれより上回った沖縄戦のことを映画にするのは、
アジアならポン・ジュノ、ヨーロッパならケン・ローチほどの力量を持つ監督でなければ
できない力業でしょう。
それでも30年以内に、オキナワを題材にしたまともな戦争映画をつくれる日本人監督が
表れることを願っています。
できることなら日本とアメリカ、二つの視点から描いてほしいものです。



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この記事へのコメント

1. Posted by 現象   2006年12月15日 00:01
そうか、なるほど。
「戦争はいくない」っていう現代の視点を抜きにしているからこそ、
リアルで武骨で真摯な姿勢が感じられたのかもしれません。
それでいて反戦の意が込められて、
うーんイーストウッド恐るべし。
日本人監督ももっと頑張ってほしいですね。
売れる映画は商業主義のものばかり。
ニーズにこたえようとするものばかりで画一化されて、
我々受け手ももっと目が肥えなければいけません。
2. Posted by エバ   2006年12月15日 09:06
昨日、決死の思いで観に行って来ました。
それが意外と大丈夫でした。

まず思ったのは、モノクロ映画ではないのに色彩が全然ないということでした。
カーキ色がシックとかミリタリーテイストがお洒落なんて言えるのは、カラフルな色彩が溢れているからこそ言えることなのだなぁと思いました。

こんな地獄絵図のような状況が数百年前ではなく、ほんの60年ほど前なのだというのが衝撃的でした。

3. Posted by 丞相   2006年12月16日 23:13
>>現象さん
こんばんは、TB&コメントありがとうございました。
いろいろな見方ができるのは前作同様ですね。戦場をできるかぎり
リアルに再現することに撤するのも、今までの日本映画になかった
ものだと思います。
商業主義でも、質の高いものなら大歓迎なのですが、
今の日本映画は……と絶句したくなるような作品が多いのが困りものですね。
現象さんのおっしゃるように、それは作り手だけの問題でなく、
受け手も大いに関わっていることだと思います。
4. Posted by 丞相   2006年12月16日 23:13
>>エバさん
こんばんは。
この映画には「銀落とし」という、あえて粒子の粗い映像に仕上げるテクニック
を使っているそうです。このテクニックはスピルバーグの『ミュンヘン』や
『殺人の追憶』という韓国映画でも使われていました。

ともあれ、映画でなくとも手紙は効果的なアイテムだと思います。
この映画のキツい描写が乗り切れたなら『父親たちの星条旗』も大丈夫なので、
良ければこちらも見てください。
5. Posted by    2006年12月17日 13:34
『硫黄島』をイーストウッドがつくったことで気づいたのは、サイパンもレイテもオキナワも、負け戦をきちんと見つめた日本映画がほとんどないということでした。

オキナワ戦の日本映画が『ひめゆりの塔』にしかならないのは、映画の問題というよりわれらの民族性の問題かもしれませんね。

6. Posted by 丞相   2006年12月17日 16:13
>>雄さん
こんにちは、TB&コメントありがとうございます。
そうですね、たしかに負け戦をきちんと見つめた日本映画と言われても、私は思い浮かびません。
いつの時代であっても、TVや映画では日本は「勝つこと」もしくは「勝ったこと」しか描いていないような気すらします。
負けを負けとして、冷静な視点から描いてこそ、
未来の糧になるとは思うのですが、今の日本映画の現状を見ると、
まともな戦争映画が作られるのはなかなか難しいそうです。
7. Posted by rabiovsky   2006年12月17日 22:09
TBありがとうございました。
どストレートな物語ゆえに映画としての強さを感じましたし、
ストレートだけど「戦争反対」というだけで終わらない所に
イーストウッド御大の力を見せつけられた感じがします。
個人に焦点が当てられたのも題名にある「手紙」と「故郷」そして
「生きる」につながりますね。
「勇気あるヘタレ」は今でも行き難いかもしれません。
だけど日本映画でこのような映画が作られなかったことは悲しいですね。
一時期の東映の映画の持つメチャクチャさに可能性はあったかもしれ
ませんが、やっぱ無理かな〜。
8. Posted by 丞相   2006年12月17日 22:17
>>rabiovskyさん
冒頭とラストに現代のシーンを入れてサンドイッチ方の物語にするのは、日本映画らしいところでもありますね。
今年はじめの映画で、高倉健さん主演の『単騎、千里を走る』でも同じようなサンドイッチ型物語でした。
私は日本映画でも、キム・ギドクの『受取人不明』ぐらいの映画が作られてほしいのですが、それは無理な注文なのでしょうか・・・。

ともあれ、手紙というのは映画の最重要アイテムでもありますね。
私はリアルでも半年前、メガネを買った店のおねいさんから手書きの手紙がきてドキッとしたことがあります。
ただ普通のアンケートに答えただけなのですが。
映画の場合、受取人または差出人のどちらかが欠けているというのが、切なさを倍増させるのだと思います。
9. Posted by リーチェン   2006年12月21日 20:45
丞相さん、TB&コメントありがとうございます!

ただの戦争映画ではない印象を残してくれたという点で、さすがはイーストウッド監督と私も唸りました。

丞相さんがおっしゃる通り、前線にいながら、生きて帰れないとわかっていても、生きて帰ることへの執着を捨てない、当時の軍人から見れば「へたれ」の西郷役の二宮君。こういうキャラクターがいるということ自体が戦争映画では珍しく思えますし、栗林や西などの留学によって広い視野を養った上司たちの苦悩や周りに与えた影響なども丁寧に描かれていましたね。

10. Posted by 丞相   2006年12月22日 17:14
>>リーチェンさん
こんばんは,いつもお世話になっております。
イーストウッド監督は,想像をはるかに上回るほど良い作品を
作ってくれましたね。
くすんだ映像が日本映画らしくもありました。

役者陣では,やはり私も二宮君が良い演技をしていたと思います。
役上の年齢は実年齢とずいぶんちがっていたのですが,
かのヘタレっぷりを自然体で演じていました。
硫黄島での壮絶な戦闘を描くことに全力を傾けた作品のなかで,
二宮君演じる西郷が,現代との接点になっていたかと思います。



11. Posted by カヌ   2006年12月23日 14:06
こんにちは。
>日本映画自体が「生きづらい現代」への慰め
『3丁目の夕日』はまさにという感じですね。
個人的には、楽しめましたが(^^;
邦画には安易なお涙頂戴が多い中、
心にズシンと想いが伝わる作品だったと思います。
12. Posted by 丞相   2006年12月23日 23:56
>>カヌさん
こんばんは、いつもお世話になっております。
私が『3丁目』にドン引き、というか懐古主義そのものを受け付けないのは、
1990年代後半の阪神タイガースのドツボな戦いぶりを見てきて、
昔を振り返っても何も良くならないと、身にしみて感じているからでしょうか。

ともあれ、『硫黄島からの手紙』は、日本映画の見本として作られた作品でも
ありますね。まだまだ、これより良い作品を作る余地はあると思います。
硫黄島二部作だと、私は『父親たちの星条旗』にガツンとやられたのですが、
『硫黄島からの手紙』は、『父親たちの星条旗』のエピソードを裏付けるもの
として見ることができました。
13. Posted by 狗山椀太郎(旧・朱雀門)   2006年12月24日 21:35
こんばんは
本作の視点が「過去」に限定されていたのは、正しい選択だったと思います。
下手に生還兵や遺族の視点を挟んでいたなら、作品がノスタルジー的な色合いに染まってしまったかも知れませんね。

そして「個人と国家」の関係についてですが、本作において「国家」サイドが描かれなかったのは、「どのような視点であれ、他国(日本)のありようについて口を挟むのは行き過ぎだろう」という制作側の遠慮があったためではないかと思います。描かれなかった「国家」に関しては、私たち日本人が(何らかの視点をもって)描くべきなのでしょう。
本作から「現代の日本人は、当時の国家や軍部について、どのような見方をもっているのか?」という無言の問いかけを感じることもできるのではないでしょうか。
14. Posted by 丞相   2006年12月27日 21:25
>>狗山椀太郎さん
こんばんは、いつもお世話になっております。
たしかに、他国の歴史にとやかく口を挟むのは慎んだほうがいいでしょうね。
私は『父親たちの星条旗』にガツンとやられたあまり、こちらの作品の
ストレートさに少し戸惑ったところもあったのですが、
見た後はいろいろと考えさせられました。
15. Posted by 健太郎   2007年08月23日 21:46
4 お久しぶりです。
今更ですが『硫黄島からの手紙』です。
アメリカ映画なのに日本の細部を描いていたのが驚きました。
栗林中将も、バロン西も「人として素晴らしい」方だったので、作中でも渡辺謙や伊原剛志が素晴らしかったです。
イーストウッドの凄さを改めて感じました。
日本にもこれぐらい気骨のある監督が欲しいですね。
16. Posted by 丞相   2007年08月24日 22:57
>>健太郎さん
こんばんは、こちらにもTB&コメントありがとうございました。
私は今まで硫黄島二部作のうちでは『父親たちの星条旗』を
より評価していたのですが、
『硫黄島からの手紙』も最近になって以前とは違った
印象を受けています。
本当に、現代からの視点でなく、もっと別の視点から、
軍人を人として素晴らしく描いたのが、
この作品の美点なのかもしれませんね。
17. Posted by 健太郎   2007年08月26日 21:07
4 又来ました。TBありがとうございました。

軍人が軍人としてあるべき姿であったのを、アメリカ人監督が描いている事に驚かされました。
『父親たちの星条旗』では「英雄に祭り上げられてしまった兵士」を描いていましたが、2作とも意味深く、平和な時代の今だからこそしっかりと受け止めるべき作品ですね。
18. Posted by 丞相   2007年08月26日 22:11
>>健太郎さん
こんばんは、ふたたびコメントありがとうございます。
私はこの作品のDVDを持っていないので、そのうち
買おうと思っています。この2部作は、何度見ても
見飽きない、素晴らしい作品ですね。

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