2009年02月28日

『おくりびと』〜凱旋はしたけれど〜

Okuribito『おくりびと』公式サイト

監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘 広末涼子 余貴美子 吉行和子 笹野高史 山崎努ほか

 

【あらすじ】(goo映画より)
所属する東京のオーケストラが解散し職を失ったチェロ奏者の大悟は演奏家を続けることを諦め、妻の美香を連れて故郷の山形に戻ってくる。早速、求人広告で見つけたNKエージェントに面接に出かけ、その場で採用になるが、それは遺体を棺に納める納棺師という仕事だった。戸惑いながらも社長の佐々木に指導を受け、新人納棺師として働き始める大悟だったが、美香には冠婚葬祭関係の仕事に就いたとしか告げられずにいた。


今年のアカデミー賞では、外国語映画賞の本命とされていたのが『戦場でワルツを』
という作品でした。この作品は、去年の東京フィルメックスで『バシールとワルツ』を
というタイトルで上映されグランプリを受賞しています。
さらに、観客賞であるアニエス・ベー・アワードを受賞した『愛のむきだし』は、
先日のベルリン国際映画祭でも受賞したこともあって、
改めて、東京フィルメックスの映画を見る目の確かさを再認識しました。
私自身は、去年のフィルメックスは上映作がイマイチだったような……と思っていたのを、
今さらながら反省しています。

そうして、アカデミー賞の外国語映画賞は、ふたを開けてみれば本命の『戦場でワルツを』
ではなく、日本代表作品の『おくりびと』が受賞してしまいました。
純然たる作品の出来から鑑みれば、アカデミー賞の日本映画代表作品となるのは、
『ぐるりのこと。』か『歩いても 歩いても』しかありえないと思っていたので、
この受賞はかなりのサプライズでした。

『おくりびと』の評判は去年のうちにいろいろと聞き及んでいたものの、
いまだ『陰陽師』のイメージが強く残っている滝田洋二郎の監督作品ともあって、
見るのをスルーしていました。
その折、アカデミー賞の凱旋上映があり、しかも私は松竹直営映画館では
「毎日が映画の日」になる歌舞伎会カードも持っているので、
英語字幕つきのものを、ものは試しに、丸の内ピカデリーで見ることにしました。

アカデミー賞の外国語映画賞受賞作品はなかなか良いものが多かったりするのですが、
実際に見てみると、私にとっては、『おくりびと』はよくある「泣ける日本映画」
といった印象があり、去年の日本映画ベストテンに入らないどころか、
『崖の上のポニョ』と並んで「ドン引き大賞」に入りかねないほどでした。
昨今隆盛を極める「泣ける日本映画」の特徴である、「身近な人が死ぬ」という要素が
メガ盛り状態で、さらには、「死」という現象を、わざわざ遺体まで引っぱり出してきて、ここまでベタに描く必然性があるのかどうか、どうにも引っかかってしまいます。
このベタさは、相田○○をの色紙書きに近いものをすら感じてしまいます。
「死」をテーマに据えるなら、『ぐるりのこと。』や『歩いても 歩いても』のように、
「子供の死」が母親のメンタリティに長らく影響しているということを
描くだけで十分でしょう。
「個人と国家」という構図、言い換えると、「ミクロとマクロ」の視点を欠いていると
いう日本映画の致命的な欠点が、『おくりびと』でも見受けられました。

その他、映像ではなく、「行間のないセリフ」でテーマを伝えたりと、
全般的な演出不足を感じてしまいます。
滝田洋二郎ではなく、根岸吉太郎あたりが手がけていれば、また違った作品に
なったとは思うのですが。
英語字幕も、かなり適当につけられていた箇所もちらほら見受けられたので、
アカデミー賞の選考委員たちに何がウケたのか知りたいものです。



pfwfp at 00:49 │Comments(0)TrackBack(1)clip!日本映画 

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1. 『おくりびと』のアカデミー賞受賞の報に接して  [ trivialities ]   2009年03月02日 22:12
【2月24日特記】 このブログをよく読んでくれている知人から、「『おくりびと』のアカデミー外国語映画賞受賞に関して何か書いているかと思ったのに・・・」と言われた。 彼女が期待したのはどうやら少し悪意を

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