日本映画

2010年01月28日

『流れる』〜オンナばかりの家につき〜

nagareru『流れる』DVD


監督:成瀬巳喜男
出演:田中絹代 山田五十鈴 高峰秀子 中北千枝子 松山なつ子 杉村春子 岡田茉莉子ほか


【あらすじ】(allcinemaより)
大川にほど近い花街にある芸者置屋、つたの家。ここに職業安定所の紹介でやってきた女中・梨花は女将つた奴に面会、呼びにくいからといきなり名を“お春”に変えられてしまったものの無事採用が決まり、さっそく住み込みで働くことになるのだった……。


私は今年の目標の一つに、これまでよりも多くの名画をスクリーンで見ようということを
掲げています。
去年スクリーンで見た名画は、アンゲロプロス御大の『ユリシーズの瞳』(@新文芸坐)、
溝口健二の『西鶴一代女』(@角川シネマ新宿)、
ビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』(@下高井戸シネマ)ぐらいなので、
今年は少なくとも月一本のペースで名画に接したいものです。

とくに今年のはじめは特集上映ラッシュになっていて、
日本映画だと、フィルムセンターの大島渚特集、銀座シネパトスの山本薩夫特集があり、
外国映画だと、アテネ・フランセ文化センターのアメリカ時代のフリッツ・ラング特集、
来月にはイメージフォーラムでタルコフスキー映画祭などがあり、
とどめには早稲田松竹でアンゲロプロス御大の『シテール島への船出』が上映されるので、
チャンスは数多くあります。

このような特集上映のうちで、どうしてもスクリーンで見たい作品を見ることにして、
今回チョイスしたのが、神保町シアターの特集「女優・高峰秀子」中の『流れる』です。
神保町シアターに行ったのは今回が初めてだったのですが、
三省堂書店本店のすぐ近くにあり、すずらん通りからでも建物が見えたので、
迷わずに行くことができました。

この劇場は何となく場末の映画館というイメージあったものの、足を踏み入れるやいなや、
同じ建物内に「神保町花月」がある上に、神保町シアターが「THXシアター」
であったところに驚いてしまいました。
『流れる』は、成瀬巳喜男の最高傑作と言われているので、最高の上映環境で見られる
のはもっけの幸いです。『流れる』自体も、映画史級の傑作!というほかない出来でした。
まず花街の空気感がいま見てもリアルだと感じられる上に、
大女優たちのアンサンブルがお見事です。

以下、女優陣の印象を軽くコメントしていくと

去年、『西鶴一代女』を見たときは、田中絹代が演じた主人公の救いのなさに
凹みまくったのですが、『流れる』の役どころは、コミカルな面をふくめて
田中絹代の魅力が引き出されていました。

杉村春子は、思い返せば小津作品でしか見たことなかったものの、
成瀬作品でもずば抜けた演技力を発揮し、ラストのやりとりで「ヤヴァい」と
思ったほどです。

その他、高峰秀子は、成瀬作品なら『乱れる』がベストアクトだと思いつつ、
岡田茉莉子は、いま見ても「モダン」なビジュアルに見とれてしまいました。

よくぞ成瀬巳喜男は、この大女優たちを、その魅力を損なうことなくまとめあげたもの
だと感心するばかりです。

このように、女性ばかりの映画といえば、私はペドロ・アルモドバルの
『オール・アバウト・マイ・マザー』ぐらいしか思いつかないのですが、
『オール・アバウト〜』が「母性」を賛美しているのに対して、
『流れる』は「女性そのもの」を描いた印象を受けました。
これで『流れる』が成瀬巳喜男の最高傑作というのも納得できただけでなく、
また日本映画四大巨匠のうちでは、私は「小津・成瀬派」だということを再確認した
次第です。



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2010年01月09日

『蘇りの血』〜シネマで決意表明〜

Yomigaerinochi『蘇りの血』公式サイト

監督:豊田利晃
出演:中村達也 草刈麻有 渋川清彦 新井浩文 板尾創路ほか





【あらすじ】(goo映画より)
闇の世界を司る大王が患う業病を癒すために招かれた、天才按摩オグリ。しかし、大王を嫉妬させるほどの健康な身体を持ち、忠誠を誓わない態度に腹をたてた大王は、オグリを殺めてしまう。そんな中、オグリに密かに思いをよせるテルテは、男を“現世”へと蘇らせるため、一心不乱に地の果てにあるという“蘇生の湯”を目指す。


年末年始は関西に帰省し、当初の予定通りに、元同僚のSくんと会うことができました。
Sくんとは、去年はGWしか会っていないので、久しぶりの再会となります。
願わくば、夜に会って、Sくんの爆裂R18トークを拝聴したかったのですが、
あいにくSくんは多忙とのことで、お昼前に堂島アバンザのジュンク堂書店前で
待ち合わせ、その下で昼食をご一緒するということになりました。

待ち合わせ場所で会うなり、「前より身長伸びてませんか?」と言うSくん。
私は「中2じゃあるまいし」という軽くツッコミを入れ、
その後、Sくんの身の上話をあれこれ聞いていると、
自分のやりたいことを考えた結果、今年は東京進出するという決意表明もうかがいました。
こういうことは、言葉に出したほうが実現しやすいからとのことで、
私は、Sくんの東京進出をバックアップすることを約束した次第です。
ただ、もしSくんが東京進出したあかつきには「ギロッポン」でおごる羽目に
なりそうなのですが……。

年末年始はそれ以外に、シネリーブル梅田で豊田利晃監督の『蘇りの血』を見て、
2009年の映画〆とするつもりだったのですが、帰省以前に時間的に余裕が
できたので、ユーロスペースで見ることになりました。
豊田監督の前作『空中庭園』の「狂気」をはらんだ凄みがいまだ印象深いので、
『蘇りの血』も期待していたものの、実のところ私は、映画の下敷きになっている
「小栗判官」の話を知りません。

ただ、尺の短さから、原作を知らずともわかる話であろうと踏んでいると、
その予測以上にシンプルな話でした。
筋はあってないようなもの、いわば「PVみたいな映画」であり、
間延びした部分も多々あります。
それでも、映像と音楽の合わせ技で引きつける力がある、不思議な作品でした。
全面的に賞賛はしませんが、好きか嫌いかでいうと、「好き」な部類に入ります。
日本映画の監督だと、たとえば黒沢清作品は「(過去の名監督の)映画のお勉強」の
延長線上にあると私は位置づけているのですが、
豊田監督の演出はそれとは違った、天性のものがありそうです。
言い換えると、「何を撮っても映画になる」ということになります。

『蘇りの血』は、いわば豊田監督の今後の決意表明であると、私は勝手に受け止めたので、
今後の活躍に期待したいと思います。



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2009年12月29日

『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』〜汚部屋女ふたたび〜

NODAME The Movie1『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』公式サイト

監督:武内英樹
出演:上野樹里 玉木宏 山田優 ウエンツ瑛士 ベッキー 福士誠治 谷原章介 なだぎ武ほか





【あらすじ】(goo映画より)
フランス、パリ。指揮コンクールで優勝した千秋は、若き日のシュトレーゼマンが指揮を務めた「ルー・マルレ・オーケストラ」の常任指揮者に任命される。だが伝統ある老舗オケにも関わらず、資金不足で団員のやる気はゼロ、演奏も大雑把で低レベル。一時は絶望した千秋だったが、やがてオケの大々的な立て直しに取りかかる。一方、コンセルヴァトワール(音楽学校)に通うのだめは、千秋を見守りながらも進級試験に向けて猛練習を開始する。


『のだめカンタービレ』の続編が映画化されると聞いたのはずいぶん前のことなのですが、
私はTVドラマ放送時にコミックの16巻までを読んだきり、その後の巻をまったく
読んでいませんでした。それで、『レッドクリフ』のように「前編」と「後編」に
分けられた『のだめカンタービレ』映画版は、前編ではコミックのどの巻までの話に
なっているのかまったく知らないまま、
TVドラマを見ていたときの気分を思い出したくなり、
とりあえず映画版を見ることにしました。

そうすると、前編のストーリーは、ちょうど私が読み終えた16巻とプラスアルファ
ぐらいで終わっていて、サブストーリーもざっくりとカットされている分、
映画単体としてもなかなか面白く見られました。
前編のラストのテンションをやや落としているのも、後編へのいいつなぎになって
います。

画作りは「テレビ映画」ならではのものなのですが、「音楽映画」という
アドバンテージがその弱点を補い、コンサートのシーンは、
映画館の音響も手伝って、TVドラマよりも段違いに見応えがありました。

上野樹里の演技も、TVドラマ同様にハマっていて、
この10年を振り返っても、『スウィングガールズ』『亀は意外と速く泳ぐ』
『ジョゼと虎と魚たち』『サマータイムマシン・ブルース』『虹の女神 Rainbow Song』
『幸福のスイッチ』などの印象深い作品に出演したことも合わせて、
私は上野樹里を、ゼロ年代の日本映画のベストアクトレスに推したいほどです。

後編は、ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』と同日公開ということで、
前編を見て、それまでに未読のコミックを少しずつ読もう思った次第です。



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2009年12月05日

『曲がれ!スプーン』〜隠れsaku sakuオマージュありて〜

MagareSpoon『曲がれ!スプーン』公式サイト

監督:本広克行
出演:長澤まさみ 三宅弘城 諏訪雅 中川晴樹 辻修 川島潤哉 岩井秀人 志賀廣太郎ほか



【あらすじ】(goo映画より)
超常現象番組のAD・桜井米は、幼い頃から超能力の存在を信じていた。番組の企画で視聴者からの情報を基に、エスパーを見つけるために全国を飛び回る米。しかし、どれもガセネタばかりだった。世間がクリスマス・イブで浮かれる中、最後にたどり着いたのは喫茶店“カフェ・ド・念力”。だが、ここは本物の超能力者が集まる店だった。自分たちの秘密を守りたい超能力者たちは、米に正体がバレず、無事に帰す事ができるのだろうか!?


10月23日から今月23日までの2ヶ月間、JR渋谷駅と恵比寿駅のちょうど中間地点
で「フィンランドカフェ」が開催されているということで、
先日、映画『曲がれ!スプーン』をヒューマントラストシネマ渋谷で見た帰りに、
フィンランドカフェに行ってきました。
期間限定のカフェとはいえ、店の奥にはソファー席、また、ところどころに白樺の木を
配したつくりになっていて、私はスモークサーモンの入った前菜や、ジャム&マッシュ
ポテトが付け合わせとなっているミートボールなどを食べました。

食べているうちに店も盛況になったようで、ふと店内を見回してみると、
今年話題になった「森ガール」とおぼしき女性が妙に多いのが気になりました。
雑誌『spoon』が火付け役になった森ガールは、蒼井優や宮崎あおい、
ほかにはYUKIやYOUなど、「森にいそうなイメージ」の女性ならば年齢問わずOK
だとのことですが、「北欧つながり」で、フィンランドカフェが森ガールを
引きつけたのでしょうか。
『曲がれ!スプーン』の「エスパーの集まるカフェ」とはテイストがまったくちがう
のが興味深くもありました。

それで『曲がれ!スプーン』に話を戻すと、私は話の内容以前に、
長澤まさみの役名が「桜井米(よね)」というのがツボに入ってしまいました。
というのも、『saku saku』になじみがある人なら誰しも、「AD」かつ「米(よね)」と
いえば、鳥取県米子市出身の「カリフォルニア米(よね)」を連想するはずですから。
風変わりな服装といい、鈍くさいキャラといい、桜井米とカリフォルニア米は意外と
似ているように思えました。
原作・脚本を手がけた上田誠は、かつて読んだコラムでファミコンゲームのネタを
思う存分ぶちまけていたので、ファミコンゲームの効果音だらけの『saku saku』と
ヨーロッパ企画のテイストが似ているのかもしれません。

物語の展開としては、桜井米がエスパーたちの集うカフェに出会うまでプロセスが、
ともすればダレて見えなくもないのですが、私はタランティーノの会話シーンと同様に、
そのプロセスも面白く見られました。
『サマータイムマシン・ブルース』と同じ小劇場演劇のノリでありつつも、
季節柄、暑苦しさを抑えめにしているところに好感がもてます。

『曲がれ!スプーン』は、『サマータイムマシン・ブルース』に及ばないにしても、
これはこれで好きな映画です。
昨今のもろもろの社会状況を反映してのことか、「『夢』を語る映画」があまりにも
少ないからこそ、『アンヴィル!夢を諦めきれない男たち』と同じ理由で、
『曲がれ!スプーン』も評価したいものです。



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2009年10月25日

『パンドラの匣』〜ナル式不協和音〜

Pandra『パンドラの匣』公式サイト

太宰治『パンドラの匣』(青空文庫)

監督:冨永昌敬
出演:染谷将太 川上未映子 仲里依紗 窪塚洋介 ふかわりょうほか


【あらすじ】(goo映画より)
日本が戦争に負けた年、「新しい男」に生まれ変わる決意をした利助だったが、血を吐いて結核療養の健康道場に入る。患者は塾生、看護婦を助手と称し、屈伸鍛練や摩擦など一風変わった治療法を実践するそこでは、互いをあだ名で呼び合うのが習わしで、利助は「ひばり」と名づけられる。しばらくすると新しい組長こと看護婦長の竹さんが赴任する。ひばりは助手のマア坊や竹さんとの日々を詩人のつくしに宛てた手紙に綴る。


三鷹市出身の人として、私がまず最初に思い浮かぶのは、太宰治をさしおいて、
『saku saku』の白井ヴィンセントを操る黒幕先生!
門外漢である私が、「三鷹市民はえてしてジョージ(吉祥寺)好き」
を知ったのは、『saku saku』の「吉祥寺のうた」によってのことでした。


先輩サクサカーであり、いつもブログでお世話になっているrabiovskyさんも
かつて三鷹市住まいされていたということで、以前お会いしたときには、
吉祥寺・三鷹近辺をご案内していただきました。
コースとしては、吉祥寺駅をスタートして、まずは駅の北側を散策。
続いて、駅の南側にある井の頭公園経由し、三鷹の森ジブリ美術館を横切って、
JR三鷹駅がゴールとなりました。
とはいえ、一度歩いただけなので、細かいルートはあやふやなのですが、
それよりも記憶に残っているのは、吉祥寺の「ロンロン」の書店を通り過ぎたときに、
rabiovskyさんが、ふと、作家の川上未映子が好みだとつぶやかれたことです。
たしかに、髪型といい、顔の造形といい、川上未映子はPerfumeの「のっち」路線
なので、その好みも腑に落ちます。

その後、私は川上未映子のことはまったくのノーマークだったのですが、
おりしも映画『パンドラの匣』に出演するということで、
先に見た『ヴィヨンの妻』が不本意な内容だったこともあり、
テアトル新宿で『パンドラの匣』を見てみることにしました。

この映画の公開に先駆けて、音楽を手がけた菊地成孔と川上未映子のトークイベントが
あったそうなのですが、『パンドラの匣』を見た後には、
そのトークイベントを見逃してしまったことを、後悔してしまいました。

それほど、今作の川上未映子は図らずも魅力的に見えてしまったのです。
仲里依紗も、去年見た『純喫茶磯辺』にくらべると、顔がすっきりしているものの、
私が支持するのは断然川上未映子です。とりたてて美人ではないと思うのですが、
味のある顔立ちで、声も特徴的でなかなかの好印象を受けました。

『パンドラの匣』は映画全体としても、『ヴィヨンの妻』よりも断然私のテイストに
近いものがありました。
まず、菊地成孔の映画音楽は、メロディーのある音楽は短調で暗いイメージがあり、
メロディーがない音楽は不協和音を多用しているところが面白いところです。
色調を抑えつつも、光量の多い画作りは、スピルバーグ作品でおなじみの
ヤヌス・カミンスキーの撮影に近しい印象がありました。
役者の演技の以外の、撮影・美術・音楽などを総合的にかんがみて、
『パンドラの匣』は、『ヴィヨンの妻』よりも「映画的」であると思った次第です。

私は最近の日本の作家の小説をことごとく読んでいないので、芸術の秋もあいまって、
これを機会に、少しずつ小説を読んでいきたいものです。
とはいっても、まずは川上未映子の小説から読み始めそうなのですが…。



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2009年10月23日

『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』〜YES/NOカップリング〜

viyon『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』公式サイト

太宰治『ヴィヨンの妻』(青空文庫)


監督:根岸吉太郎
出演:松たか子 浅野忠信 室井滋 伊武雅刀 広末涼子 妻夫木聡 堤真一ほか


【あらすじ】(goo映画より)
戦後の東京で、才能がありながら放蕩三昧を続ける小説家・大谷を健気に支えて暮らす妻の佐知。貧しさを忍びつつ幼い息子を育てていたが、これまでに夫が踏み倒した酒代を肩代わりするため椿屋という飲み屋で働き始める。佐知は水を得た魚のように生き生きと店の中を飛び回り、若く美しい彼女を目当てに通う客で椿屋は繁盛する。そんな妻の姿を目にした大谷は、いつか自分は寝取られ男になるだろうと呟くのだった。


今からおよそ1ヶ月前のシルバーウィーク期間中は、『空気人形』の公開が控えていた
こともあり、ブログ記事にしそびれてしまったのですが、年始の『パイパー』に
引き続いて、松たか子が主演した舞台『ジェーン・エア』を見てきました。
『ジェーン・エア』は、松たか子にとって単独初主演ミュージカルということもあって、
3時間弱の上演で、松たか子はほぼ全編にわたって舞台上にいました。
ゴールデンウィーク中の、『ラ・マンチャの男』大阪公演をあえてスルーして、
『ジェーン・エア』一本に絞ったところ、やはり「パパ」がいなくて正解!
と確信してしまいました。松たか子はパパの「マイナス七光り」、すなわち、
パパの7倍光っている!と、手放しで賞賛したいほどです。

とはいえ、『ラ・マンチャの男』の松たか子の演技だけは気になるので、一か八かで
youtubeを探ってみると、なんとわれらが『ちちんぷいぷい』で、角淳一が松たか子
にインタビューしているではないですか!

 

このインタビューでもうかがえるように、普段の松たか子は、良家の子女実は…という、
ツイストが効いているところが、私のツボを押さえています。
そのツボを踏まえた上で、現時点での私の松たか子作品ベスト5を、
ジャンルを問わず挙げてみると、

・オケピ!(演劇)
・四月物語(映画)
・お見合い結婚(TVドラマ)
・SISTERS(演劇)
・THE有頂天ホテル(映画)

という感じになるでしょうか。
今年最初に見た映画『K-20怪人二十面相・伝』は、惜しくも『THE有頂天ホテル』の
はじけっぷりには負けるのですが、それに迫るものがありました。

松たか子が今年は『K-20怪人二十面相・伝』に続いての映画作品として、
太宰治の生誕100年を記念した映画『ヴィヨンの妻』に主演するという情報を
耳にしたのは1年前のこと。
ここ最近は『雪に願うこと』『サイドカーに犬』と、
原作ものを手堅くまとめる名匠根岸吉太郎が監督をつとめるならば、
まず悪い作品にはならないだろうと踏んで見たところ……残念ながら、
いろいろと納得がいかないところがありました。

そもそも、私は太宰治の作品ならば、これまた好きな太宰作品のベスト5を挙げると、

・水仙
・日の出前
・親友交歓
・トカトントン
・女生徒

といった、戦時中、戦後直後の、おもに「中期」の作品になります。
新潮文庫でいうと、『走れメロス』『お伽草子』『きりぎりす』あたりが、
中期の作品を収めています。
有名どころの『人間失格』『斜陽』といった「後期」好きではないところで、
かなりのマイノリティであることを自覚しているのですが…。
『ヴィヨンの妻』は後期の作品にあたり、たしか読んだ覚えはあるものの、
内容はすっかり忘れていることからみても、印象が薄かったのでしょう。

映画『ヴィヨンの妻』は、まず脚本の田中陽造が松たか子に「あて書き」した後、
監督の根岸吉太郎が決まったという経緯があるようで、そのあたりに、
監督と脚本家で、松たか子に対するスタンスに違いがあるようにも見受けられました。
私には、根岸吉太郎はとりたてて松たか子好きではないという印象があります。
種田陽平の美術も、その当時の再現性はかなり高そうだと思うものの、
ただそれだけというか……『空気人形』の秀雄の部屋のアレンジのほうが、
ずっと良いものでした。

つまるところ、「『私が好きな松たか子』ではない」というのが、この映画に
乗れなかった何よりの理由だったりします。
舞台『SISTERS』では、「女の業」をもきっちりと演じきったがゆえに、
この映画の佐知のキャラクターは、松たか子の演技力を、かなりダウンサイジング
しているように見えてしまいました。
松たか子自身も、佐知のキャラクターにまったく共感していないことは、

松たか子、浅野忠信「主人公の生き方お勧めしない」にファン爆笑 「ヴィヨンの妻」初日挨拶(Yahoo!ニュース)

の記事中の、

松は、放蕩三昧で家庭を顧みない夫を献身的に愛する妻の佐知の生き方について「特にお勧めしません」と即答。さらに、「幸せって人それぞれですから。彼女にとってはあの生き方が幸せだったということ。この映画を通して自分なりの幸せを探してもらえれば、無理に押し付けることはさらさらないっす」と軽妙な語り口調で爆笑を誘った。

というコメントに何より表れています。
「っす」という、映画の初日舞台挨拶にあるまじき発言をする松たか子に、
古式ゆかしい女性像を押しつけられても……という違和感が、どうしてもぬぐえません
でした。
モントリオール映画祭の受賞作品というのは、去年に受賞した某日本映画と同じように、
私にとっては鬼門のようです。



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2009年10月10日

『空気人形』〜ペ・ドゥナ人形/人間振りにて相勤め申し候〜

Kukiningyo4『空気人形』公式サイト

空気人形O.S.T(Amazon)

監督:是枝裕和
出演:ぺ・ドゥナ ARATA 板尾創路 オダギリジョー 高橋昌也ほか




【あらすじ】(goo映画より)
古びたアパートで持ち主の秀雄と暮らす空気人形は、ある朝、本来は持ってはいけない「心」を持ってしまう。彼女は秀雄が仕事に出かけるといそいそと身支度を整え、一人で街へと歩き出す。メイド服を着て、おぼつかない足取りで街に出た彼女は、いろいろな人に出会っていく。ある日、レンタルビデオ店で働く純一と知り合い、そこでアルバイトをすることになる。ひそかに純一に思いを寄せる彼女だったが……。


今年に入ってから、およそ半年に一度、盟友ころ阿弥くんからの文楽鑑賞のお誘いがあり、
5月と9月の国立劇場小劇場での文楽公演をご一緒することになりました。

9月の文楽公演を鑑賞した際には、事前にころ阿弥くんに貸してもらった、
4代目竹本越路大夫の『菅原伝授手習鑑〜寺子屋の段』のCDを「聴いたよ」と
伝えると、「え? 何?」と聞き返すころ阿弥くん。
私は不思議に思い、『リンダ リンダ リンダ』で、ペ・ドゥナ扮するソンちゃんが
カラオケ店の店員と接していたように、「だから、聴いたよ」と繰り返すと、
偉大なる人間国宝の語りを、
「『聴いた』じゃなくて、『拝聴いたしました』でしょ」
と諭され、言い直しさせられてしまいました。
ということで、5月と9月は、もろもろの人形遣いもさることながら、
人間国宝である竹本住大夫の義太夫を、とくと拝聴いたしました。

私は長らく関西に住んでいながら、国立文楽劇場で文楽を見たことがなかったのですが、
以前NHKで放送されていた文楽のドキュメンタリー番組は見たことがありました。
その番組は、『NHKスペシャル 人間国宝ふたり 〜吉田玉男・竹本住大夫』として
DVD化されていて、このDVDには番組とともに、その二人が出演する、
『心中天網島・河庄の段』の公演も収録されています。
竹本住大夫はこの番組の収録時では76歳、現在は御年80を超えてなお、
ころ阿弥くんいうところの、「藝」を高めていることが、
生で語りを拝聴いたしたところ、ありありと感じられた次第です。

また偶然にも、その2度の文楽鑑賞の直後に、歌舞伎の「人形振り」という演出を
見る機会がありました。
歌舞伎の「人形振り」は、元は文楽の話が歌舞伎の演目に移し替えられたものに
よく見られ、女性の恋い焦がれる心がピークに達すると、
突如それまでの話の流れが中断して、普通の文楽のように、
人形遣い・義太夫・三味線の口上があり、役者が人形のようになって踊るという
ものです。
youtubeから動画を探してみると、坂東玉三郎の人形振りがありました。


私は、感情の高揚を、それとは対極的な手法で表現するというところが
「人形振り」の面白いところだと思っています。
ただ「人形振り」は、中堅クラスよりも上の役者が演じることからかんがみても、
かなり難しい演技なのではないでしょうか。

だからこそ、『空気人形』で、はじめは「人形」、やがて「人間らしさ」を帯びていく
という難役に挑んだペ・ドゥナの演技は、これぞ「至藝」!
と、手放しに賞賛したいものでした。
『空気人形』は、ペ・ドゥナの20代最後の作品でもあり、
『ほえる犬は噛まない』『子猫をお願い』『リンダ リンダ リンダ』と並んで、
ペ・ドゥナの代表作の一つであり、それまでの3大代表作の総決算という位置づけも
できます。
もちろん『空気人形』は「都市生活者の孤独」という見方もできるのですが、
私は徹頭徹尾ペ・ドゥナ映画!ということで、「ペ・ドゥナの映画史」という見方で、
『空気人形』を心ゆくまで堪能しました。
そもそも、これまでのペ・ドゥナの代表作が、それぞれのテイストで「孤独」を
描いたものという感もあります。
それまでの2009年マイベストシネマであった『ウルトラミラクルラブストーリー』&
『愛のむきだし』を超えたことはもちろん、
たとえ、これからアンゲロプロス御大の最新作が公開されることになったとしても、
『空気人形』が今年のマイベストシネマであることに揺るぎはありません。
2005年も、アンゲロプロス御大の映画史レベルの大傑作『エレニの旅』をさしおいて、
『リンダ リンダ リンダ』をマイベストシネマにしているほどですから。


(以下、ネタバレがあるので、未見の方はご注意ください。)

続きを読む

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2009年08月31日

『南極料理人』〜しばれるグルメ〜

nankyokuryorinin『南極料理人』公式サイト

監督:沖田修一
出演:堺雅人 生瀬勝久 きたろう 高良健吾 豊原功補 西田尚美 古舘寛治 黒田大輔 小浜正寛ほか

 


【あらすじ】(goo映画より)
海上保安庁の料理担当である西村は、南極ドームふじ基地に派遣される。ペンギンやアザラシはおろか、ウィルスさえ生存できない極寒の地では、楽しみと言えば食べることだけ。観測隊員のために西村は、時に贅沢な食材を使い、娯楽の少ない彼らをもてなしていた。日本から遠く離れた西村の心の支えは家族。しかし、ある日娘から「お父さんがいなくなってから毎日が楽しくて仕方ありません」というファクスが届き、ショックを受ける。


ようやく8月も終わりということで、やれやれという気分です。
今年の夏はそれほど暑くなかったものの、お盆過ぎの1週間は少し夏バテして
しまいました。
迎える9月は映画関係のイベント盛りだくさんなのですが、
その中でも軸となるのが、言うまでもなくペ・ドゥナ主演の『空気人形』!
それがいよいよ9月26日(土)に公開されることが決まりました。
『歩いても 歩いても』で高い評価を得た是枝監督作品ということで、
それを期待して見た観客の半数以上がドン引きしそうな気もします。
このドン引き具合は、おそらく横浜先生の『ウルトラミラクルラブストーリー』に
近いものがあるのではないでしょうか。

さしあたっては『空気人形』の公開日を9月のピークにもっていくつもりだったのですが、
ふとネットでいろいろとリサーチしてみると、9月の上旬には、
なんと新宿の京王・小田急・伊勢丹の百貨店で、北海道物産展が同時開催
されるというではないですか! 
その中でも、伊勢丹では、みそラーメンの「すみれ」と、男爵カレーパンの
「プルマンベーカリー」がともに出店するというゴージャスぶりです。
ちょうど、いただきもののギフトカードがあるので、ここで北海道グルメを
満喫したいと思っています。

味覚は人それぞれ違っているのですが、私は日本の中では、やはり北海道の食べ物が
一番美味しいと思っています。
それを高密度に凝縮した新千歳空港はまさにパラダイス!といった感じで、
本州からよりすぐりの店を結集した羽田空港の第1・第2ターミナルを合わせても、
北海道グルメを集めた新千歳空港にはかなりの隔たりがあります。

北海道グルメの背景には、海の幸に恵まれているということもあるとは思うのですが、
個人的には、北海道の冬の厳しさが多分に影響しているような気がします。
すなわち、厳しい寒さを乗り切るべく、美味しいものを食べようとする傾向が
あるのではないかと踏んでいるのです。

そういう感じで、美味しいものが食べたい気分と暑気払いがあいまって、
日本映画『南極料理人』を、ホームグラウンドである品川プリンスシネマで見ました。
ここ最近のシネコン系作品は、人がべらぼうに多い新宿ピカデリー&新宿バルト9
で見ていたので、品川プリンスシネマの閑散とした雰囲気はまさにパラダイス!
と上機嫌で鑑賞できました。ただ、観客は少ないながらも、笑わせどころでは
おもに女性の観客に確実にウケていました。

この手の小ネタの積み重ね&ゆるい雰囲気という作品は、もはや日本映画のお家芸
と言えるものでしょう。
しかも堺雅人、生瀬勝久、きたろうといった演劇畑出身の役者で固めているせいか、
笑いの取り方が小劇場演劇のノリに近いような印象を受けました。
さすがに後半はダレてきたので、100分そこそこの作品に仕上げたほうが
ベストだったとは思うのですが、初監督作品でこの水準にもってくるのはお見事
と言いたいものです。ところどころに気の利いたショットもあり、監督のセンスも
良さげな感じがしました。
色彩設計でいうと、基地のまわりはほぼモノトーンの世界だからこそ、
カラフルな食材・料理が映えていたと思います。

いわば『かもめ食堂』の男版といった趣の作品なのですが、
私はちょっとむさくるしい……という感もあり、どちらか言われると、
『かもめ食堂』に軍配をあげたいものです。
この手の「ゆる系」作品だと、まもなく『プール』も公開されるので、
『南極料理人』と『プール』との違いも気になるところです。



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2009年08月16日

『サマーウォーズ』〜小津のテクノスリラー〜

Summerwars『サマーウォーズ』公式サイト

監督:細田守
声の出演:神木隆之介 桜庭ななみ 谷村美月 富司純子 斎藤歩ほか

 

【あらすじ】(goo映画より)
小磯健二は少し内気で人付き合いが苦手な17歳。数学オリンピック日本代表の座をあと一歩で逃したことをいつまでも悔やんでいる理系オタクだ。健二はある日、憧れの夏希先輩からバイトを持ちかけられ、一緒に彼女の故郷まで旅行することになる。バイト内容は、「ご親戚」の前で彼女のフィアンセのフリをすること。しかし、仮想空間“OZ”のパスワードを解いてしまったことから、世界を揺るがすトラブルに巻き込まれてしまい…。

 

帰省中は、実家のデスクトップパソコンの修理にずいぶんと手こずってしまいました。
症状としてはWindowsXPが起動しなくなったのですが、これは、
フリーズしたときのトラブルシューティングとして、姉に電源プラグを引っこ抜くべし
とアドバイスしたのがあだになりました。
運悪く、電源プラグを抜いた拍子にWindowsの起動に関するファイルが破損したようで、
その上姉は、デジカメ写真のデータのバックアップをまったく取っていないという次第。
そのためにデータ救出プロジェクトを始動し、まずはネットで同じタイプの
トラブルシューティングをリサーチしました。
順序でいうと、?修復プログラム、?WindowsXPの上書きインストール、
?CDから起動できるLinuxでファイルにアクセス、と試みて、
?・?は玉砕、?でようやっとなぜかデジカメ画像のフォルダにアクセスできたと
思いきや、肝心の画像ファイルが表示されず……最後の手段として、
HDDを本体から取り出し、変換ケーブルつないで直にデータ救出を試みるも、
これまた玉砕してしまいました。
さすがにこれ以上のことはできないので、どうしてもデータ救出したいというのであれば、
業者に頼むしかないようです。

それにしても、今でこそWindowsやMacなどの「OS」という言葉は当たり前の
ように使われていますが、この言葉が広まったのは「Windows95」が登場した
ときだと思います。
が、それよりもさらに以前の、今から20年前の1989年に製作された、
押井守の『機動警察パトレイバー劇場版』(以下『1』)では、「OSの反乱」が
時代を先取りする「テクノスリラー」として描かれていました。
続いて製作された『機動警察パトレイバー2 The Movie』(以下『2』)は、
日本のアニメ映画のみならず、90年代の日本映画を代表する大傑作であり、
劇場公開後に起こる、地下鉄サリン事件や9.11を予言するかのような作品なのですが、
『1』を『サマーウォーズ』の前に見てみると、これも『2』に負けず劣らずの傑作
だと思えました。
1989年といえば、バブルの絶頂期であるにもかかわらず、「廃墟」を描いている
ところが、その後の「失われた10年」を暗示しているかのようです。

この「予言力」こそ、フィクションの鑑!というべきものでしょう。
フィクションとは、「<ないもの>を描くこと」。
未来に起こりうるかもしれないこと、あるいは、過去になかったことを描くことで、
「今・ここ」を変容させること。それこそが「フィクションのもつ膂力」であると、
私は思っています。

TVのニュース番組の影響があってのことか、映画においても、
世界や人間のネガティブな面ばかり描いて得意気になって、
ともすればその映画が高評価を得てしまうケースもある昨今の状況にあるからこそ、
私は「世界を肯定的に描くこと」の困難さに果敢にチャレンジして映画を
何よりも高く評価しています。
去年の日本映画なら、『ぐるりのこと。』『ハッピーフライト』『歩いても歩いても』
がそれにあてはまるでしょうか。
どの作品もネガティブな内容がてんこ盛りであり、ことに『ハッピーフライト』では
企業イメージもからんでいるので、おいそれと下手な描写はできません。
綾瀬はるか演じるキャラクターをはじめとして、こんなおとぼけ連発のスタッフに
人命を預けてよいものかと不安になりつつも、見終わってみればANA最高!と
思わせる、「トータルでみてプラス」という肯定の仕方が、このタイプの作品の
特徴でもあります。

『サマーウォーズ』の細田守監督は、各インタビューでこの「世界を肯定的に描くこと」
というテーマをたびたび語っているのですが、このスタンスを、私は全面的に
支持しています。
監督が「家族なのにこんなにわかりあえないだろうかと、いがみあいばかりしているのが
日本映画らしくて、その方が共感を得やすい。具体的な作品は挙げないけれど(笑)」
という風なことを語っている記事を見て、私はその作品が思い当たりました。
おそらくその作品は、東京暮らしの弟が法事で田舎に帰ってきて、人が亡くなる事件が
起こり、その事件に田舎暮らしの兄が関わっていたために、
兄弟げんかを裁判沙汰に持ち込むという、ひらがな三文字のタイトルの、
若手女性映画監督が手がけた作品を指しているのでしょう。
兄の動機をわざと曖昧にして、悪意をそこかしこにちりばめることで、
何か深いことを語っているように見せかけている……と、
その作品にケチをつけるとキリがないのでさておくとして、
夏はアニメ映画が強いというのが、「ゼロ年代」の傾向でもあります。

2004年は『ハウルの動く城』、2007年は『河童のクゥと夏休み』、
去年は『スカイ・クロラ』それぞれが夏映画のマイベストだった上に、
もし2006年に劇場で『時をかける少女』を見ていれば、夏のベストシネマと
なっていたのは間違いありません。

年の初めに『サマーウォーズ』の公開を知って、かなりの期待をして鑑賞したのですが、
実際のところは、その期待を上回るほどの、ぶっちぎりで素晴らしい!
と手放しで賞賛したくなる作品となりました。
『サマーウォーズ』は「ゼロ年代」の日本映画マイベストテンに食い込むほどであり、
今年の映画でいうと、『グラン・トリノ』『ウェディング・ベルを鳴らせ』と並ぶ
インパクトがありました。
内容面から言っても、『機動警察パトレイバー』劇場版の『1』と『2』を足して
2で割った傑作だと思います。
とくに「OSの反乱」と、その事件がとある天才プログラマーと関わっている点が、
『1』と似通っていました。


(以下、ネタバレがあるので、未見の方はご注意ください)

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2009年07月30日

『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』〜HOSODA夏祭り〜

Digimon『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』DVD

『サマーウォーズ』公式サイト


監督:細田守
声の出演:藤田淑子 坂本千夏 天神有海 水谷優子 風間勇刀ほか

 

【あらすじ】(goo映画より)
デジタルワールドの冒険から半年後、インターネット上に世界中のデジタル・データを食べ成長する凶悪なデジモン、クラモンが誕生した。少年・太一は、光子郎と共にクラモンを退治すべくアグモンとテントモンをネット世界に送り込むが、クラモンは驚くほどの早さで完全体・インフェルノモンに成長し……。


いよいよ今週末は、細田守監督の最新作『サマーウォーズ』が公開されます。
細田守監督の前作『時をかける少女』をTV放送のときに見たときに、
リアルタイムで見なかったことをいまだに後悔しているので、今回ばかりは
スタートダッシュをはかるべく、ここ数日は「細田守祭り」さながらに、
まずは『時をかける少女』をDVDで再見しました。

再見でもしみじみと素晴らしさを感じつつ、続いては、
『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』を今回初めて見ました。
レンタルショップに置いていたパッケージの様子から、普通の子供向けアニメかと
思いきや、いやはや、これも凄い作品ではないですか!
『デジモンアドベンチャー』については当然のことながらまったく知らないのに、
密度の濃い物語に打ちのめされてしまいました。

細田監督の、押すところは押し、引くところは引くという、
「アクション映画」としての演出力はただならぬものがあると思います。
この力量は、ポン・ジュノ監督とタメを張れるほどではないでしょうか。

これまで見た細田守監督作品の特徴を挙げるならば、日常生活の描写がベースにしつつ、
それとかけ離れた世界をも同時に描くということがありそうです。
リアルでもなく、ファンタジーでもなく、はたまたマジックリアリズムでもない世界観
というのは、アニメでしか描きえないことであり、『サマーウォーズ』の大筋も、
その構図どおりのようなので、がぜん期待が高まります。
今年の日本映画は、現時点では「天然監督」の横浜(聡子)先生のインパクトが
強かったのですが、この夏は「天才監督」である細田守の底力を見極めたいと思います。



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