2004年06月14日

■ 会社選びの指針?−就業規定の大切さ−

【ある中国進出日系企業で起きた中国人スタッフによるストライキ】
の記事です。

【今回の教訓】
これからは中国労働法を遵守した就業規則のある会社を選びましょう。
まずは入社前に就業規則を読んでおくことをお勧めいたします。
中国労働法の基本については情報収集しといたほうが良いかもしれませんね。


【ストで検証、就業規定と中国労働法の整合性】

ある中国進出企業で一部従業員によるストライキが起き
た。当初の要求は管理体制の見直しというものだった
が、スト解決に向けた動きの過程で事態は労働条件問題
に発展。同社は就業時間や休日出勤手当ての見直しを迫
られる結果となった。ストの流れを追いながら、中国の
労働法と同社就業規定の整合性について検証してみる。

NNA: Global Communities [アジア・欧州の経済情報]
2004/06/14記事より




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■スト勃発

朝8時の生産開始時刻と同時に、20数人の従業員が休憩
室に立てこもった。スタッフから報告を受けた総経理は
午前11時ごろ、休憩室に向かう。従業員側の「個別では
なく全体で交渉したい」との要求を呑み、全員と向かい
合って話をした。

従業員側は日々の管理が厳しすぎると不満を挙げ、「管
理体制見直しを求める。受け入れられなければ我々は辞
職する」との要求を突きつけてきた。総経理はその場で
の具体的な回答を保留。同日のストは就業時間まで続い
た。

同日夜、総経理はストを起こした従業員の大半が在籍す
る作業班の、各責任者を呼んで原因を話しあった。その
場では「給与に不満があるのでは」「食事が物足りない
のだ」などさまざまな意見が飛び交ったが、原因は究明
できなかった。

だが会議の後、班長が「総経理と2人で話がしたい」と
面会を申し込んできた。班長が言うには「有給取得を認
めないなどの管理が厳しすぎるのが原因です。大きな問
題ではないので、直ぐに解決できます」。

同社では生産に影響のない範囲で有給休暇を許可してい
るはずであった。また休暇取得の調整は班長が管轄する
ことになっており、以前からこの班長の管理手法に疑問
を持っていた総経理はそれをぶつけてみた。すると班長
は突然の非難にショックを受けた様子で「では私が辞め
ます」。

■当局介入で問題複雑化

2日目になって、昨晩辞意を示した班長までがストに加
わった。参加人数は1日目より増えたが、中には無理や
り引きずり込まれたのか泣きながら休憩室に入る工員も
いた。この時点でストの中心は河南省出身のエンジニア
7〜8人であることが分かってきた。

同日午前10時ごろ、総経理は工場長を通じて労働当局に
連絡、当局主導による事態解決に向けて動き出した。

早速、労働当局からの職員が同社にやって来る。職員は
休憩室に入りスト従業員から意見を聴取。従業員側の要
求が箇条書きにされたメモの内容は、◇管理体制の見直
し◇残業代の計算方法の見直し◇遅刻など罰金制度の改
善◇安全靴費用徴収の廃止◇就業前10分間の朝礼と終業
後の現場清掃について、残業代の支給◇退職金の支給―
―など13項目に及んだ。

補足説明をすると、同社は就業開始時間の10分前、午前
7時50分から朝礼を行っている。終業後には現場清掃を
するが、どちらも残業時間としては計上していない。ま
た土曜日の出勤については平日と同じように扱ってい
る。

その他に遅刻1分ごとに×元、指定場所以外での喫煙400
元などの罰金制度をとっていた。ただこれら罰金は貯金
箱に入れて別途保管し、福利厚生の社内リクリエーショ
ンの時などの費用に充当していたという。

■当局から改善指示

同日夕方、労働当局から「労働監察限期整改指令書」と
いう、就業体制の改善を命じた文書が届いた。そこには
土曜日の出勤手当てや、罰金制度の見直しなどの指導が
具体的に書かれていた。

なおストは2日目も終日続いていたが、総経理は班長を
含むリーダー格の5人について、同日に一時無断で外出
をしたことを理由に解雇することを決定した。

3日目の朝、総経理は、労働当局に改めて相談に向かっ
た。労働当局の説明は「指導書は労働法に則っていま
す。まずこれから改善していきましょう」。この場で従
業員5人の解雇を決めたことを説明。労働当局からは
「解雇については経済補償金の支払いが必要」と説明を
受けた。

同日夜、従業員5人の解雇を最終的に決定、これまでの
給与と経済補償金を支払った。同日のスト参加人数は26
人だった。

4〜6日目もストは続けられ、残った21人が参加した。総
経理はその間、労働当局からの改善指導の検討を続け
た。

■就業規定を変更、スト解決へ

7日目の午前、総経理は労働当局の指導に沿った形で就
業規定を見直し、「改善状況報告」として書面にまとめ
て当局に提出した。

その内容は、
【1】毎週の労働日は5日とし、土曜日に出勤があれば平
日の2倍の賃金を支払う。平日残業は従来どおりの1.5倍
【2】労働法に沿った罰金制度の見直し
【3】3〜4日目にかけて総経理と全従業員で管理制度改
善について話し合いを持った
【4】毎日の勤務時間は午前8時〜12時、午後1時30分か
ら5時30分までの8時間とする――となっている。

土曜の出勤手当てを支給する点と、朝礼を8時開始と
し、掃除も作業時間内に行うようにしたのが同社にとっ
て新しい点だ。なおこれに伴い、午前と午後に10分間ず
つ設けていた休憩を廃止した。

この「改善状況報告」を労働当局に提出すると同時に、
それに沿った就業規定の変更を全従業員に通達。ストは
解散した。

これでストは解決したわけだが、同社では朝礼と掃除時
間が休憩と引き換えに勤務時間に組み込まれたほか、残
業代の見直しで給与コストが10%以上、上昇した。

■労働法との整合性

ここで同社の以前の給与体系、それに対する労働当局の
改善指導と、中国の労働法の整合性を確認してみる。

土曜日出勤の給与について。労働法第36条では1週間の
平均労働時間が40時間以内と定められている。このこと
から土曜日は「休日」と認識され、第44条にある「休日
に業務させかつ代休を手配できない場合は賃金の200%
を下回らない報酬を支給する」ことが必要となってく
る。

日系企業に多く見られる朝礼や「5S」の一環としての社
員による清掃だが、労働法で特別な規定がないことか
ら、労働時間とみなされる。よって就業開始前に朝礼を
行う企業では、それを残業と指摘されることもありう
る。

遅刻などへのペナルティ、罰金については、日系企業の
法律案件を数多く担当し、労働争議案件の経験も豊富な
広東君信法律事務所(広州市)の陳偉雄弁護士によると
「就業規則に加えることはできるが、その場合は労働当
局の審査、認可を得るべき」という。


最後に今回のストライキに伴う解雇と経済補償金の支給
について。「広東省労働契約管理条例」によると、企業
が労働契約を解除することができ、かつ経済補償金(退
職金)を支払う必要がないのは
【1】試用期間で採用条件に不適合であると証明された

【2】労働規律または企業規則制度に著しく違反したと

【3】職務怠慢または不正利益行為により企業の利益に
対して重大な損害をもたらした時
【4】法により刑事責任を追及されたとき――のケー
ス。上記以外の場合で、契約期間中に解雇する場合は、
勤務年数1年につき1カ月分の賃金を経済補償金として支
給する義務がある。なお勤続年数が1年に満たない場合
でも1年として計算。上記の「賃金」とは労働者の基本
給、諸手当、賞与を含めた平均給与を指す。

■スト予防策

就業規定に「ストライキの禁止」を明記する考え方もあ
るが、「それでは労働当局の審査を通らない可能性が高
い」(陳弁護士)。陳弁護士は労働争議の予防策として
「就業規則、労働契約は中国の法律に沿って、かつ詳細
に作成する必要がある」と説明している。

NNA: Global Communities [アジア・欧州の経済情報]
2004/06/14記事より

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