「近年ますます、近隣諸国からの移民が私たちの病院に来るようになりました。彼らは大抵貧しい労働者で、あまりお金がないけれども、それでも治療を求めて病院に来ます」と、サンサイ郡病院の小児科医は現状を説明しました。医師の仕事は患者の病気を治すことだから、貧しい患者が来るとまずは治療を行って、支払いについては二の次だと。

3月31日にPHJタイ事務所(チェンマイ県)の活動を視察しました。長らくPHJで実施しているHOPEパートナー事業(障がい児に対する支援事業)で私たちの現地パートナーとなっているサンサイ郡病院を訪問しました。PHJは地域の病院と協力し、障がい児が継続的にリハビリを受けるためのリハビリ費用・病院に通うための交通費支援と親に対して家庭でもリハビリが実施できるような教育支援を行っています。

sansaihos02私たちが家庭訪問した患者は、チェンマイ近郊に住むタイヤイ(シャン)族というミャンマーからの少数民族の移民の子供(もうすぐ3歳)です。母親はタイに出稼ぎに来ている時に妊娠し、出産時にお金がなかったのでビルマ側の自宅に戻り、伝統的産婆による自宅分娩を受けたそうです。その後チェンマイに戻り、子供が生後10ヶ月に予防接種を受けにサンサイ郡病院に行った時に、障がいが判明しました。(写真: 患者と家族が住む工場裏の長屋)

患者は、1歳半くらいからHOPEパートナー事業に参加し、母親は定期的なミーティングに患者を連れてきて、障がい児の手当てや日々のリハビリを学ぶ教室に参加しています。おかげで、患者はかなり回復し、現在は立つ訓練を行っており、言葉も発するようになってきたということでした。

現在のところ、他国からの出稼ぎ者は、合法的な滞在者であればわずかな月々の保険費負担でタイ政府が運営する社会保障制度に加入することができるそうです。社会保障があれば、ある程度の診療費や薬代は出るのですが、病院に行く交通費やリハビリ費用、リハビリに使う道具は自分で賄わなければならず、障がいを持つ子供に十分な医療を受けさせることはできません。ましてや非合法に滞在している家族であればなおさらです。また、タイ人であっても貧しい家庭では、病気の子供たちが十分な医療を受けられないことがあります。

sansaihos01サンサイ郡病院の先生たちは、経済的に困難な家庭の子供であれば支援を探してでも治療をしたいと考えており、「PHJとの協力によってこのような子供たちを助けることができてうれしい」と言っていました。実際にはどれくらい支払いなしで治療ができるのかはケースごとに違うでしょうし、一慨には分からないのですが、先生たちの「自分たちで一人一人の患者に対してできる限りのことをやっていこう」という毅然とした姿勢と患者に対する優しい眼差しに非常に感銘を受けました。保険制度の枠組みからこぼれ落ちる人たち、貧しい人たちに対しての取り組みは、医療現場の心優しい方々によって支えられているように感じました。(写真:病院スタッフと記念撮影)

(海外事業担当 中田)