2007年09月09日

1週間遅れの報告

070901立教シンポ報告が遅くなりましたが、「シンポジウム 『日本のガラパゴス』琵琶湖からの発信」に行って来ました。
当日は夜行バスで新宿に着いた後、N氏と吉祥寺で待ち合わせて合流をしました。その後N氏は用事で一旦別行動を取りましたが、その間に私はshuさんと合流し、昼近くまで井の頭公園を見物した後、再度N氏と合流して、今年2度目の立教大学に向かいました。

【基調講演】
「『地域地域の生き物』を大事にするということ」
(財)日本生態系協会代表 池谷奉文氏

桜井新氏(全国内水面漁業組合連合会代表理事会長)の挨拶の後、「作ったもの輸入したものは(やがて)全てゴミになる」と言う(財)日本生態系協会会長池谷奉文氏の基調講演では、今や当たり前になりすぎて逆に実感し難い「持続可能な社会」について、外来種はもちろん農林水産業や公共工事に教育まで幅広く問題を指摘しながら、「文化文明とは自然の上に乗るのであって、この上には乗らない」と、スライド写真等を使い具体的に分かりやすく解説していました。

【現地報告】
「法律ができても、外来魚はちっとも減らへん」
 滋賀県漁業協同組合連合青年会 戸田直弘氏

続いて、滋賀県漁業協同組合連合青年会の戸田直弘氏は、稲作においては害魚とされるワタカを獲る際に群れの圧力で投網が沈まなかった思い出を紹介し、「(商品となる)有用魚種以外いらないなんて思っている漁師なんて居ない」とひとしきり琵琶湖への思い入れを話した後、『法律ができても、外来魚はちっとも減らへん』という今回の題目について、「そんなこともないんですね。事実減ってきてるんです。ただ、その減ってきているのは決して条例や法律ができたから減ったんじゃなくて、そこの地域の漁師なりが(外来魚を)一匹一匹(琵琶湖から)取り出したから減ってきてるんですよ。」「現場で1匹2匹10匹を獲ってるから減ってるんですよ。」と語り、その結果、実際にモロコやスジエビが復活してきていることを喜びながら、それも手を緩めたら元に戻ってしまう可能性は否定できないと、今後の実践を訴えて話を終わりました。

【トーク】
「どうする琵琶湖の外来魚、どうなる琵琶湖の在来魚」
 滋賀県知事 嘉田由紀子氏
 ジャーナリスト 櫻井よしこ氏

休憩を挟んで、「メインゲスト」の滋賀県知事嘉田由紀子氏とジャーナリスト櫻井よしこ氏のトークセッションが始まりました。
トークは両氏の挨拶の後、配布されている資料を基に県としての現状報告や外来魚対策の実態を説明しながら進行していきましたが、このパートは途中、戸田氏が意見を求められたり、生物多様性や外来魚対策の意義やその展望、それ以外の環境保全の取組紹介、さらに琵琶湖・淀川水系のダム問題まで、話題が多岐にわたり、正直、まとめるのが面倒ですので、その中での発言を以下に抜粋要約して紹介しておきます。

「琵琶湖の漁獲量が減少しているのは、開発による水域の分断のような構造的な問題と併せて、外来魚の問題や水質の変化といった問題が複合的なんですけど、外来魚と在来魚の増減の関係を見事に表している」
*配布資料について説明する嘉田氏の発言。

「条例を作っただけでは、とても駆除は出来ないわけでして、それをどうやって実行していくのか、そのお金は誰が一体どのように負担するのか、人手はどうするのか」
*嘉田氏からの現状報告に続いて、対策として県の取組を聞いた櫻井氏の発言。

「それ安いですよね。他のもっと(高く)売れる魚を獲れば…」
*駆除した外来魚の買い上げ価格(1kg/300円)について櫻井氏の発言。

「獲った魚を食べてくれた人が、美味しかった。ありがとう。と喜んでくれることが漁師の喜びであって、外来魚駆除でいくら収益があったからといっても、そこには全然喜びは付いてこない。安い高いじゃなくて、本当に喜ばれる魚を獲って生活したいんです」
*漁師にその本分ではない駆除を結果的に強いてしまっているということについて、嘉田氏に意見を求められた戸田氏の発言。

「(原因を作り)利益を得てきた業者や釣り人にも負担(協力金)を求めることは出来ないのか?」
*現在実施されている取組を聞いて、櫻井氏の質問。

「レジャー利用税として歳入を増やし、それを自然保護に使うという形で、研究を始めてもらっています」
「取締りがあって初めてお金を払ってくれる」
「外来魚に釣りの権利を与えると、(外来魚が)居ることを認めることになる」
「釣り以上にこのレジャー利用税で把握したいのは、プレジャーボート水上バイクなどですね」
*上記櫻井氏の質問に対する嘉田氏の発言。

「今日のシナリオにはなかった」
「今住民意見を聞いている段階です。決まったわけではありません」
「環境にとってダムは決してよくありません。河川に対して、あるいはいずれゴミになる(ダムを)壊すのはどれだけ大変か。その時、誰がその負担を引き受けるのか?」
「アユが大事か命が大事かと言われたら、命よりもアユが大事とは言えないですね。私は両方大事だと思っています。もちろん命が大事ですが、アユも大事です。自然があってこその人間です。その両方をどううまく守るかというのが頭の痛いところです」
「川の中に水を全部閉じ込めるのは、ほぼ不可能だろう。幾ら大きいダムを作ってもその計画を超える雨が降った時には、流域にあふれざるを得ない」
「流域に万一あふれた時でも人が死なない、壊滅的な被害を受けずに済む、そういう治水対策を考えようと言うのが流域治水です」
「水害の問題もあるけれど生き物の話もある。これをトータルにセットで考えたい」
*櫻井氏に淀川水系のダムの現状を聞かれ、ダムの現状から治水について説明する嘉田氏の発言。

「今日は外来魚のお話だったのに、あんまりこっちの方にいってしまうと…」
*自分でネタ振りしたもののダム関連の話が長くなってしまってフォローする櫻井氏の発言。

「絶対的な生息量を減らすのとプラスして、外来魚が生息し難い環境に戻すのも大事」
「(治水目的で国交症が定めた琵琶湖の水位規定に対して)もっと在来魚のことも考え自然の状態に近づけたい」
「もっと関心を持って欲しい。水質や生き物だけではない(その環境に根付いた)文化や遊びも含めてトータルに関心を持ってもらう。そのために琵琶湖再生課というのを作りました。」
*改めて今後の外来魚を含め環境保全に対する県の取組を聞かれた嘉田氏の発言。

「例えば、琵琶湖でバス釣り禁止と言うようなことをメッセージとして出すことは考えておられます?」
*今後の取組に関連して櫻井氏の発言。

「禁止すると今少しでも減らしてもらっているのが減らなくなるんじゃないかと…」
「まず、増えないようにするということが大事だと思います」
*現状を踏まえた嘉田氏の回答。

「ルアーを使うのを禁止するとか、網で取りなさいとか、そういうことはどうでしょう?」
*妙に執着する櫻井氏。

「そうですね。レジャー利用の担当者に回して検討してもらいますが、それはアイデアをもらうということが大事ですので、法律で縛れるところは縛っていきたい」
*それに対し、右から左へやんわり受け流す嘉田氏。

「(ルアー、バス釣り禁止という)政治的なメッセージを出すことは自覚を促すことにもなりますので、ぜひ前向きに検討していただけたら…」
*言葉の意味を都合よく解釈する櫻井氏。

この後、嘉田氏が「138万県民と滋賀県に住まう全ての生き物のために」と決意表明をして、両氏のトークセッションは終わりました。

【緊急提言】
「外来魚駆除の『永続的システム』のつくり方」
 アミタ(株)持続可能経済研究所主席研究員 有路昌彦氏

アミタ(株)持続可能経済研究所主席研究員の有路昌彦氏の講演では「外来魚を利用する側の経済規模だけで語るのは経済学的には正しくなくて、それによって損なわれる経済や文化の価値を天秤でちゃんと見てあげなければならない。はっきり言ってしまえば、こっちの方が圧倒的に大きい」として、そこにある経済・文化を取り戻すために人の善意に頼る駆除では継続性に難があり、あまり効率的ではないことを指摘し、「ボランティアを強要しなくて済む仕組み」の必要性、その中で期間地域限定のエコマネーの有用性やそれの費用対効果、さらに独自の環境対策が広告効果を持つ企業に自由度を与えることでCSR予算を環境対策に使ってもらえる方法などを解説しながら、最後に「(環境・外来魚)対策をすることが全てマイナスなのではなく、経済効果を生み出しながら、少なくとも中立くらいに持っていける方法はあるわけですから、駆除することに苦を感じずできる仕組みが出来るんじゃないかなと私は思います」と締め括っていました。
ちなみに後で個人的に聞いてみると、外来魚ノーリリースの周知広報という目的では「ひろめよう券」の根拠は薄いと考えているようでした。

参照
ゆるエコ!〜食と暮らしの環境経済学〜

今回、最後の質疑応答は殆ど時間がなかったのですが、発言者も嘉田氏のファンや(ルアーでの)バス釣りの有効利用を訴える方など、「質疑応答」の意味がよく分かっていない方にも嘉田氏は丁寧に応対されていたのが印象的でした。

【総括】
「それを言ってどうするの?」というあまり生産的とは言えない方向に誘導したそうな方も居ましたが、上っ面な野次馬のシュプレヒコールだけで終わった前回と違って、今回のシンポは全体的に現実的で前向きな話題が多く、局面が啓蒙から実践へ移行した今に相応しい、これからを期待させる内容でした。
バス業界や利用者という想定された外部の敵が、外来生物法の制定により事実上無効化された今、それまであまり問題とならなかった内部的な問題、産業(漁業)と環境保全という二つの異なる価値観をどう両立させるのかと言う点も問われることになるでしょう。
つまり、今後は生物多様性の価値を訴える側に、今までとは違った説得力が求められるようになります。そうした状況の変化の中で、参加者が受動的な聞き手に回るのではなく能動的に発言提案することで、参加者一人一人が問題の当事者としての自覚を持ち、その中で生物多様性への理解を深め実践に結びつける。今までとは違った説得力を持つために、今後はシンポに限らず、そんな参加者主体の活動も期待したいと思います。

【蛇足】
シンポジウムが終わった後、主催者側の打ち上げにも参加させてもらいましたが、酒を呑まずに語る岩魚氏の釣り業界暴露話など、面白(危険?)すぎてここでは書けません。
さらにその後もN氏とshuさん、打ち上げ途中で参加してくれたゼブラさんと別の店に移動してティラピアをつつきミズガエルをつまみながら、いつものようにぐだぐだやった後、一泊してから帰りました。
当日は来なかった人も居ましたが、そういう人は本当に「勿体無い」一日でした。

phantom3xv at 23:53│Comments(7)TrackBack(1)バス・外来種問題 

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1. シンポジウム「日本のガラパゴス』琵琶湖からの発信」  [ 西から東へ ]   2007年09月10日 00:35
 大変遅ればせながら、9月1日立教大学で行われた、シンポジウム「『日本のガラパゴス』琵琶湖からの発信」のレポートです。    朝から、C-Dさんに誘われてN氏が打ち合わせしているというので、シンポ前に井の頭公園に向かいました。  水生館のウシガエル  久しぶり....

この記事へのコメント

1. Posted by 管理人   2007年09月09日 02:45
N氏にshuさん、長時間お付き合いいただきありがとうございます。
ゼブラさん、忙しい中ありがとうございます。
岩魚さん、機会があれば是非遊びに行かせてもらいます。ありがとうございました。
その他、お世話になった皆様、本当にありがとうございました。
2. Posted by ブラ汁   2007年09月09日 22:59
前向きに捕らえたら、「琵琶湖バス釣り」の将来はどうなると
予測しますか?

そこを聞きたい。
3. Posted by 管理人   2007年09月09日 23:46
所詮、ネットで「バサ虐め」がしたいだけの役立たず売名キャラが、それを聞いてどうするの?
知りたければ、嘉田知事なり、バス業界連中なりに聞けばいいんじゃないですか?
琵琶湖で外来魚を駆除してる人間に聞く質問じゃないですね。

とりあえず前向きに“捉えたら”、仮に「琵琶湖バス釣り」が消滅して在来魚が戻ってきたとしても、ネットでバサ虐めがしたいだけの役立たず売名キャラ「ブラ汁」に感謝する人は何処にも居ないだろう、ということだけは確実に予測できますよ。
4. Posted by ブラ汁   2007年09月10日 02:12
貴殿もご存知な通り、私は「売名」など1mmも考えていません。
利害関係ゼロだから。

遊んでたら名が売れただけです。

感謝も憎しみも迷惑です。
ただし、NETの力だけは理解できました。
以前の「ムネオハウスフィーバー」のように。


で、、「琵琶湖バス釣り」の将来はどうなると
予測しますか?
5. Posted by 管理人   2007年09月10日 23:01
>貴殿もご存知な通り、私は「売名」など1mmも考えていません。
>利害関係ゼロだから。

>遊んでたら名が売れただけです。

ええ、よ〜く知ってますよ。だから、「ネットで「バサ虐め」がしたいだけの役立たず売名キャラ」という客観的評価になるのですが、何か間違ってますか?
あなたの自己評価なんかどうでもいいです。世間じゃ、そういうのは「言い訳」って言うんですよ。そんな「言い訳」するくらいなら、最初から言い訳しなくて済むようにすればいいだけです。
それとも、「構ってちゃん」とかの方がかわいくて良かったですかね?

>感謝も憎しみも迷惑です。
>ただし、NETの力だけは理解できました。
>以前の「ムネオハウスフィーバー」のように。

「いいこと言った」とか思ってるかもしれませんが、それは錯覚、あるいは自己暗示です。
冷静さを装った言葉使いと裏腹に、他人のブログに来てまで必死に自己確認とは、よほど自分に自信が無いのですね。
「自分には力があり、何かの役に立っている」と思ってないと、あなたは自身の存在価値が無いと無意識に感じているのでしょう。文章から強い不安感が伺えます。
とりあえず、あなたの自己確認作業に否応無く付き合わされる周りの人間こそ迷惑です。

>で、、「琵琶湖バス釣り」の将来はどうなると
>予測しますか?

人に物を頼む時は、まず対価を示すのが「社会人なんだから。あたりまえ。」じゃないですかね?
私はあなたの保護者でも先生でもないし、あなたをあてにしているわけでもないので、ネットで「バサ虐め」がしたいだけの役立たずな遊び人売名キャラ構ってちゃんの言うことを聞いてやる義理も、“遊び”に付き合う義務もありません。

淋しいなら、「墓場で運動会」なんかしてないで、現実世界でお友達を作る努力をしなさい。話はそれからです。
6. Posted by ブラ汁   2007年09月13日 01:52
ここは貴殿のブログなので、不毛なやり取りには付き合いますよ。
気が済むまで。


だから、他に出て行かないほうが貴殿のためです。
ここで俺に対する悪意を消化しましょう。
7. Posted by 管理人   2007年09月13日 02:44
ハイハイ、頑張ってね。坊や。

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