テオフィリン製剤

(商品名)テオドール、スロービッド、テオロング、ユニフィル、ユニコン他

テオフィリン製剤の特徴
・テオフィリンはキサンチン誘導体。カフェインやテオブロミンもキサンチン誘導体の一つ。

・投与量の治療域と副作用発現域が狭い
  ⇒テオフィリン徐放製剤の開発によって、血中濃度をコントロールしやすくなった。

・テオフィリン徐放性製剤はRound the clock(RTC)療法(24時間血中濃度を持続的に一定に保つ投与方法)に適している。RTC療法では目標血中濃度を5~15μg/mL(2歳未満は5~10μg/mL)に設定してコントロールすることが多い。


テオフィリンの作用機序(気管支喘息)
アデノシンA1受容体拮抗作用
(テオフィリンのアデノシン受容体拮抗作用はA1、A2A非特異的)
     ↓
気管支平滑筋弛緩

  ※テオフィリンの作用機序として最も有力だが、これだけでは気管支拡張作用、喘息に対する抗炎症作用等の説明は難しい。いまだに明確になっていない部分がある。


ホスホジエステラーゼ阻害作用(cyclic AMP phosphodiesterase inhibitor)
     ↓
気管支平滑筋のcAMPを増加
     ↓
気管支平滑筋弛緩

  ※臨床濃度ではヒト肺組織における総phosphodiesterase活性の5~20%の阻害作用しか持たないとの報告がある。


抗炎症作用
・IL-4の遊離抑制
・アナフィラキシー反応によるケミカルメディエーター遊離抑制作用等


④その他
・内因性カテコールアミンの遊離促進作用

・呼吸筋に対する直接作用
(横隔膜筋の収縮性が増強し、横隔膜筋の疲労回復が早い等)

・メディエーター(プロスタグランジン、TNF-α)拮抗作用

・細胞内カルシウムイオンの分布調節作用


注意;現在のところ、テオフィリンの作用機序についてはまだ明らかになっていない部分も多い。


テオフィリンの薬理作用
気管支拡張、肺血管拡張、呼吸中枢刺激、抗炎症作用、気道の粘液線毛輸送能の促進、横隔膜の収縮力増強、肥満細胞からの化学伝達物質(気管支収縮因子)の遊離抑制、脳血管収縮作用、胃酸分泌促進作用等が報告されている。


・強心作用と腎血管拡張作用により、腎血流量が増え、糸球体濾過量が増加する→利尿作用
・尿細管に直接作用してNa+、Cl-の再吸収を抑制→利尿作用
アデノシン受容体遮断作用→心筋収縮を増強


中枢刺激作用
テオフィリンの中枢神経刺激作用はカフェインより強力。

強心作用、気管支平滑筋作用 (作用の強さ)
テオフィリン>テオブロミン>カフェイン



テオフィリン製剤はいつごろ効果が期待できるか。

テオドール錠の半減期は健常人非喫煙者で8.2時間、健常人喫煙者では5.4時間(テオドール錠インタビューフォームより)。
また、添付文書の薬物動態では12時間毎の連続投与のグラフより6回目の投与後(72時間)にほぼ定常状態に達しているとの記載があることから、投与開始3日目には確実に薬が効いていると考えられる。


テオフィリンの副作用

服用開始初期の副作用(短期間で慣れにより消失する可能性が高い)
   嘔気、頭痛、不眠、胃部不快感等
少量から開始することで防げることが多い。


過量投与による副作用
テオフォリンの一般的な目標血中濃度は5~15μg/mL。20μg/mLを超えると以下のような副作用が出やすくなり、60μg/mL以上では痙攣や死亡の可能性も。
テオフィリン血中濃度が高値になると、血中濃度の上昇に伴い、消化器症状(特に悪心、嘔吐)や精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)、心・血管症状(頻脈、心室頻拍、心房細動、血圧低下等)、低カリウム血症その他の電解質異常、呼吸促進、横紋筋融解症等の中毒症状が発現しやすくなる。なお、軽微な症状から順次発現することなしに重篤な症状が発現することがある。
(インタビューフォームより)

<5μg/mL 非有効域
5~10μg/mL 一部の患者、新生児無呼吸症の有効域
10~20μg/mL 多くの患者の有効域
20~25μg/mL 一部の患者の有効域
25~40μg/mL 心拍数増加、呼吸頻拍
40~60μg/mL 不整脈、痙攣等
>60μg/mL  痙攣または死亡

    作用              副作用の症状
呼吸中枢刺激(延髄)    →  頻呼吸、不安感
心収縮力・心拍数増加   →  頻脈、心悸亢進(動機)
末梢血管拡張作用       →  低血圧
ノルアドレナリン放出     →  不整脈、不眠
腎血流増加               →  多尿
胃液分泌亢進            →  悪心、嘔吐、胃痛、潰瘍

※悪心や嘔吐は嘔吐中枢刺激作用にもよる。
※精神神経症状(頭痛、不眠、不安、興奮、痙攣、せん妄、意識障害、昏睡等)は中枢刺激作用による。


発熱時は肝臓でのテオフィリンの代謝能が低下し、血中濃度が上昇するとの報告がある。テオフィリン代謝能の回復には解熱後3日程度かかるため、その間は血中濃度上昇に伴う副作用発現に注意が必要である。



テオフィリンの相互作用

テオフィリンは主にCYP1A2で代謝される。(他に3A4、2E1)

CYP1A2を阻害する薬剤との併用
→テオフィリンの血中濃度上昇


CYP1A2を阻害する薬剤の例
ルボックス・デプロメール(フルボキサミン)
→フルボキサミン25mg/日投与でテオフィリンのCmaxが1.01倍、AUCが1.47倍に、フルボキサミン75mg/日投与でテオフィリンのCmaxが1.2倍、AUCが2.38倍になったとの報告あり。1)

・シプロキサン(塩酸シプロフロキサシン)
→テオフィリンのCmaxが17%,AUCが22%それぞれ上昇

・フルマーク(エノキサシン)
→健康成人にテオフィリン200mg/日と本剤600mg/日を併用投与したところ、投与7日目には、テオフィリン単独投与時に比べ、テオフィリンの最高血中濃度,血中濃度曲線下面積は、それぞれ2倍近く増加した。(フルマーク錠添付文書)

・ノルフロキサシン
→成人でのクリアランスで14.9%程度の低下がみられたとの報告がある。

・アンカロン(アミオダロン)
→CYP1A2阻害が考えられる。

・プロノン(プロパフェノン)
→肝薬物代謝酵素が阻害され、テオフィリンのクリアランスが低下するため、血中濃度が上昇すると考えられる。

・タガメット(シメチジン)
→肝臓の薬物代謝酵素P-450を阻害して、テオフィリンの代謝、排泄を遅延させる。

・パナルジン(チクロピジン)
→テオフィリンの肝臓での代謝を阻害して、血中濃度を上昇させると考えられている。

メキシチール(メキシレチン塩酸塩)
→メキシチール(メキシレチン塩酸塩)もCYP1A2で代謝されるが、メキシレチンはテオフィリンに比べ、チトクロームP-450への親和性が強く、テオフィリンの代謝が抑制されるためテオフィリンの血中濃度が上昇する。



CYP1A2を誘導する薬剤との併用
→テオフィリンの血中濃度低下 

CYP1A2を誘導する薬剤の例
・フェノバルビタール
・リファンピシン
・フェニトイン
・カルバマゼピン
・ランソプラゾール
・リトナビル


セイヨウオトギリソウとの併用
→テオフィリンの血中濃度が低下
セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素がテオフィリンの代謝を促進。テオフィリンの血中濃度が低下するおそれがある。


喫煙
→テオフィリンの血中濃度が低下
喫煙により肝薬物代謝酵素が誘導され、テオフィリンクリアランスが上昇し、テオフィリン血中濃度が低下すると考えられる。

また、禁煙により血中濃度が上昇すると考えられる。個人差はあるが、禁煙後約1週間で誘導が解除されるとの報告がある。



テオフィリンは腎からのリチウムの排泄を促進

テオフィリンはぺルサンチン(ジピリダモール)の作用を減弱
⇒(テオフィリンはアデノシン拮抗作用をもつため、ジピリダモールのアデノシン増強作用を減弱させる)

カフェイン
⇒中枢神経刺激作用の増強(カフェインもテオフィリンもキサンチン誘導体)



テオフィリン製剤はハイリスク薬に該当
薬局におけるテオフィリン製剤の薬学的管理指導
・ 患者に対する処方内容(薬剤名、用法・用量等)の確認
・ 喫煙、カフェイン摂取等の嗜好歴及び健康食品の摂取状況の確認と相互作用の確認
・ 一般用医薬品やサプリメント等との重複使用、相互作用等の確認
・ 服用による悪心、嘔吐、けいれん、頻脈等の副作用症状について説明し、体調変化の有無及びアドヒアランスの確認

(薬局におけるハイリスク薬の薬学的管理指導に関する業務ガイドラインより)


参考文献 
テオロング錠 添付文書 インタビューフォーム
テオドール錠  添付文書 インタビューフォーム
1)日薬理誌128,93~103(2006) 


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