ジギタリス中毒の症状
・消化器症状(食欲不振、悪心・嘔吐、下痢)

・視覚異常(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視)

・精神神経系(めまい、頭痛、失見当識、錯乱、譫妄)

・不整脈(高度の徐脈、二段脈、多源性心室性期外収縮、発作性心房性頻拍)


ジギタリス製剤による副作用を早期発見するには、早期から現れる自覚症状を患者さんに伝えておく必要がある。



ジギタリス中毒の初期症状(自覚症状)

消化器系の副作用である食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などは比較的早期から出やすいことが知られている。また、視覚異常の副作用(光がないのにちらちら見える、黄視、緑視、複視など)も比較的早期から出現し、患者さんが気付きやすい症状の1つなのであらかじめ患者さんに伝えておきたい。



ジギタリス中毒のリスク

ジギタリス製剤の過量投与

・電解質異常
<低カリウム(K)血症>
血清カリウム値の低下はジギタリス製剤による不整脈を起こしやすくなる。

(理由)
ジギタリス製剤の作用は細胞外のナトリウムイオン(Na+)と細胞内のカリウムイオン(K+)を交換するポンプであるNa+/K+ATPaseを阻害することで現れる。

Na+K+ATPaseが阻害されると→細胞内へのK+の流入とNa+の細胞外への流出が減少→Na+が細胞内に蓄積→Na+とCa2+ 交換系により、Na+が流出しCa2+ が細胞内に流入→心筋細胞のCa濃度が上昇→心筋収縮力増大

低カリウム血症ではNa+/K+ATPaseの活性が低下する(入ってくるはずのK+が少ないため交換系がうまく働かない)ためジギタリスの作用を増強し、ジギタリス製剤による不整脈を起こしやすくなる。

→K排泄型の利尿薬や副腎皮質ステロイドを服用している患者は低カリウム血症を起こしやすいため要注意。嘔吐や下痢が続いている人や慢性的な下剤の使用者も低カリウム血症の危険性が高まっていることが多い。また甘草(カンゾウ)を摂取するとカリウムが排泄されるため低カリウム血症になる危険性がある。漢方薬や胃薬などから継続的に摂取しているような場合にも気をつけた方が良いと思われる。



副作用に「低カリウム血症」の記載がある薬剤の例(一部のみ)
・アーガメイト20%ゼリー
・カリメート散
・プルゼニドなどのセンノシド製剤
・テオドール、ユニフィルなどのテオフィリン製剤(Na+/K+ATPase活性の上昇作用)
・ラシックス(フロセミド)、ダイアート(アゾセミド)ルプラック(トラセミド)などのループ利尿薬
・フルイトラン(トリクロルメチアジド)などのチアジド系利尿薬
・ネオファーゲンC(※グリチルリチン酸含有)
・SM散(※甘草含有)
漢方薬(※甘草を含んでいるもの)
・プレドニンなどの副腎皮質ステロイド(尿細管でのカリウム排泄促進作用がある)






 
<高カルシウム(Ca)血症>
血中カルシウム濃度が上昇するとジギタリス中毒の症状が発現しやすくなる。

(理由)
心筋細胞内カルシウムの濃度が上昇して、ジギタリス中毒による不整脈の症状が悪化しやすい。

急激に血中カルシウム濃度が上昇すると、毒性が急激に発現しやすくなることから、カルシウム注射剤は原則併用禁忌となっている。


→カルシウム製剤やカルシウムサプリメントの多量摂取、ビタミンDの過量摂取に注意。


副作用・相互作用に「高カルシウム血症」の記載がある薬剤の例(一部のみ)
・キャベジンUコーワ配合散(沈降炭酸カルシウム含有)
・乳酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウムなどのカルシウム製剤
・エカード、コディオ、ミコンビなどのヒドロクロロチアジド含有の配合錠(ヒドロクロロチアジドは血清カルシウムを上昇させるおそれがある。)
・ロカルトロール(カルシトリオール)活性型ビタミンD3製剤
・アルファロール、ワンアルファ(アルファカルシドール)活性型ビタミンD3製剤
・ドボネックス軟膏(カルシポトリオール)などの活性型ビタミンD3製剤




<低マグネシウム(Mg)血症>

(理由)
Na+/K+ATPaseはマグネシウムの存在下で活性化する。マグネシウムが不足するとNa+/K+ATPaseは正常に働くことができなくなるためジギタリス中毒が誘発されることがある。

→飢餓などによる食物摂取の低下や腸の吸収不良は低マグネシウム血症を起こしやすい。大量飲酒者、頻繁に下痢をする人にも起こりやすい。利尿薬(ループ利尿薬チアジド系利尿薬)服用者は低カリウム血症に加えて低マグネシウム血症にも注意が必要。利尿薬はカリウムだけでなく、マグネシウムの再吸収も抑制する。アルドステロンは腎臓からのマグネシウムの排泄を増加させるので、アルドステロン拮抗薬のアルダクトンA(スピロノラクトン)では低マグネシウム血症は起こらない。


副作用・相互作用に「低マグネシウム血症」の記載がある薬剤の例(一部のみ)
・ベハイド(ベンチルヒドロクロロチアジド)
・エカード、コディオ、ミコンビなどのヒドロクロロチアジド含有の配合錠
・ネオーラルなどのシクロスポリン製剤 (腎障害によりマグネシウム再吸収が低下)



併用薬剤による

P糖蛋白質を阻害する薬剤を併用している場合
(⇒P糖蛋白質ジゴキシンの尿中排泄に関与)ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある。

・リピトール(アトルバスタチン)
マクロライド系抗菌薬クラリス(クラリスロマイシン;CAM)、エリスロマイシン等)
・ワソラン(ベラパミル塩酸塩)


抗菌剤による腸内細菌叢の変化

ジゴキシンは腸内細菌による不活化が行われている可能性があるため、抗菌薬との併用でジゴキシンの血中濃度が上昇。

マクロライド系抗菌薬(血中濃度2倍の報告あり)
テトラサイクリン系抗菌薬(血中濃度約3割上昇の報告あり)


・腎機能低下
ジゴキシンは主に腎排泄→高齢者は腎機能が低下していることが多いため注意が必要。




・甲状腺機能低下

 甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告がある。

甲状腺機能亢進時には、代謝・排泄が促進されているが、甲状腺機能低下でジゴキシンの排泄が抑制される→ジギタリス中毒に注意


ジギタリス中毒の症状を隠す可能性がある薬剤
ナウゼリン(ドンペリドン)
プリンペラン(メトクロプラミド)
・ドグマチール(スルピリド)
これらの薬剤の制吐作用により、悪心・嘔吐、食欲不振等の症状をマスクすることがある。



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