会計学&実証会計学

April 27, 2005

 たまには、学術的なことを書かねばと思ったので、会計学について簡単に述べます。前の書き込みの使い回しですけど…。
 
 財務会計(って何?という人は自分で調べましょう!)の期待している機能は、利害調整または解消機能と情報提供機能です。
 利害調整または解消機能について簡単に説明します。利害解消機能とは、経営者と株主の話です。経営者は株主からお金を預かり、運用しています。しかし、経営者がそのお金で六本木とかで飲んで使っちゃったら困ります。そこで、しっかりとしたルールのある会計報告を株主にするようにしているのです。利害調整機能とは、株主と債権者の話です。株主には議決権があるので、会社の重要事項の決定ができます。株主が経営者を選べますから、その経営者が株主のために利益の全て配当としてしまうとどうなるでしょうか?債権者は株主総会に参加できませんし、もらえるのは利息だけです。債権者は債務不履行の危険が高まってしまいます。そこで、しっかりとしたルールのある会計により、利益を計算し、利益のうち一部は内部留保させ、全てを配当できないようにさせているのです。では、なぜ株主と債権者は利害解消ではなく、調整なのでしょうか?これは、株主は利益全額配当としたいし、債権者は利益全額配当としてほしくないので、利害対立の完全な解消は無理で、おとしどころを決めているに過ぎないためです。
 情報提供機能とは、投資者に有用な情報を提供する機能です。つまり、株式などを買おう、売ろうと考えている投資者に情報を与えてあげる機能です。
 前者の利害調整機能または解消機能は商法会計が基本的に担っています。後者の情報提供機能は証券取引法会計が基本的に担っています。
 
 以上簡単な説明をしましたが、利害調整または解消機能は絶対必要な機能であることに異論はないと思います。しかし、情報提供機能はどうでしょうか?投資者に有用な情報とありますが、ホントに有用でしょうか?有用とは、情報に意味があることとオレは考えています。つまり、もっと簡単に言えば、会計情報と株価に関係があることです。例えば、株式投資を行ったことのある人は、好決算にもかかわらず、決算発表後も株価はほとんど変化はなく、よく織り込み済みだったといいますが、そういう経験をもったことがあると思います。このことを考えると、会計情報と株価って関係があるの?って疑問をもちますよね。会計理論では、会計情報と株価に関係があるということを勝手に前提にして理論展開をしているようですが、ここをつきつめている学問が実証会計学であるのだと思います。一般的にいわれる会計学とは、会計理論なので、法律のように学説があったりして、それをこねくりまわしていく(ん!?)、理論展開していきます。実証会計学は統計学や証券投資論とかを用いて、会計情報と株価の関係とかを実証的に見ていきます。アメリカでは会計学と言うと実証会計学のほうが盛んのようです。日本ではどうもそんなではないようですが。実証会計学は、神戸大学が有名ですね。詳しい実証会計学の話はまた機会があったら!

 
 今回のオレのオススメする本は、実証会計学の本。
 『会計方針と株式市場』、音川和久、千倉書房、3800円+税です。この本は学部生レベルですとけっこうムズイかも!?読みこなすには、統計理論、証券投資論、会計学という幅広い知識が要求されます。でも、頑張ってみてはどうでしょうか?



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