「夢飛行」(こども五行歌)を始めるきっかけとなった「ハート達のお茶会」活動記録(1999.11.18~2002.2.28「個育てトーク通信」より抜粋)の前書きについて下記に掲載致します。
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 みなさんは「五行歌」をご存知ですか?なんか難しそう?いえいえ「五行で書いたウタ」のこと。一行の音数も、一息で読める長さであれば自由です。他にややこしいきまりは何もありません。この新しい「ウタ」の形は「五行歌の会」の主宰者である草壁焔太先生が「古事記」や「日本書紀」のなかの歌謡の持つ、自由なリズムのすばらしさを参考に、考えられのです。

   古代歌謡
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 家事や育児に追われる毎日、少しの時間でいいから自分を見つめ気持ちをそっと五行歌という掌にのせてみませんか?きっと何かがかわっていくと思います。

 文学のみならず、すべての芸術の源は「なぜ生きるのか」という問いにあると思います。でも芸術は芸術家のために存在するのではありません。この世のすべての人にそれぞれの生の輝きがあります。私は、その輝きを自らしっかりと自覚し、形あるものとして表現しなおす作業を芸術と考えています。五行歌は誰もがありのままの想いを形にする手段として優れていると思います。

 すぐには言葉にならないようなつらい経験をした時も、歌が救ってくれます。歌に纏めようとする作業の中で、少し冷静に多角的に感情と向き合うことができるからでしょうか。”自分で自分の気持ちに耳を傾けてあげる”五行歌にはそんなセルフカウンセリングのような効果もあるのではないかと思います。また例えば、作者が感じた幸福感が読者に伝染して、どんどん「癒し」が循環するなんて素敵な魔法的な効果もあります。

 以下、「ハートたちのお茶会」をはじめた当初、秀作として五行歌「本誌」から引用された作品例です。 

   李 陽子
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  渡部道子
5p_2

 














安川唯紀ちゃん(当時小一) 
5p_3




 











以下、大西直子さんのエッセイです。
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「こども五行歌」におもうこと

大西 直子 

 こどもたちにとって、歌は「つくるもの」ではないのかもしれない。歌はすでに彼らの内にいつも「ある」のだ。だから、こどもたちが「歌ができた」という時、それは、大人たちのように「歌が完成したこと」を指しているのではなく、彼らの世界についてみんなに「話してあげる」という了解をくれた合図なのだと私は思う。外の世界との信頼関係が土台にないと、こども歌はけして産み落とされないのだ。親も、教師も、こども歌と接する大人はそのことを、肝に銘じておかなければいけない。
   

 私たちのホームページ「夢飛行」では、親などが聞きとって記した幼児の歌について「保護者代筆」と添え書きするようにしている。今までも幼い子供の詩などで「保護者採取」と表記されている例があったが、より一層子供のつぶやきに忠実に、という意味を込めて「代筆」を使っていきたい。

 子育ては雑多な作業の連続で、珠のような言葉や甘美な瞬間は、すぐに紛れていってしまう。それを大切に拾い集め、歌に纏めて宝石箱にしまっておくことで、ささいな日常が生き生きと輝くだろう。

 また、一歩進んで、ぜひ親自身も歌を書いてほしい。客観的に自分を見つめる時間を持ち、じぶんの声に耳を傾け、自身を尊重することで、子供のこともいっそう慈しめると思うからだ。子育ては滅私的、犠牲的に偏ってはいけない。親が「じぶんを生きる」ことを楽しんでいなければ、子供もまたじぶんを表現することを躊躇するようになる。そうなると先に述べたような、在りのままのこども歌は、たちまち彼らの内に深く潜んだままになり、姿をあらわしてはくれなくなるだろう。

 また、他の子供たち、他の親たちの歌にふれて、共感することは、子育てする仲間と心を通わすことを手伝えるだろう。そして世界中のすべての人が、誰かの子どもであるか、かつて誰かの子どもだった、という意識を忘れずに行動できたなら、地球上から無益な戦争はなくなるのではないか、とさえ思うのだ。いささか話が大きすぎるかもしれないが、私はこどもの歌の持つ普遍性が、それを可能にすると信じている。

 学校での五行歌指導についても、今まで述べたことが同様にあてはまると思う。すべての作品について、すてきなところはどこだったか、伝え合いたい。そして教師もぜひ自分の歌を披露してほしい。こども達は教師の「ほんとうのところ」にとても興味を抱いている。教師が本気で書いた歌は、きっと子供たちとの信頼関係を深めるのに一役買ってくれるだろう。


カ 寝 抱 風 乳
ラ 息 い 車 房
カ で た が の
ラ   児 あ 奥
ま   の る に
わ     の は
る       
       

<風車=かざぐるま>