申し子

カテゴリ:
_9142273
ムツアカネ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO.

高原の池でなわばり占有するムツアカネのオス。山好きな方なら背景がどのあたりか分かるのではないでしょうか。

ムツアカネは氷河期の遺存種と考えられているトンボで、北半球の寒冷地に広く分布しますが、日本では北海道と本州の冷涼地にだけ取り残されるように分布しています。

_9142189
ムツアカネ 交尾
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO.

交尾するムツアカネ。

本種はいわゆる赤とんぼの仲間(トンボ科アカネ属)ですが、オスは成熟しても赤くならずに黒化します。全体のシルエットや斑紋を見るとアキアカネに似ているのですが、実際には一回りほど小さく、飛んでいる姿にも独特の雰囲気があります。

温暖化が進み、この産地でも年々夏が暑くなっているのを実感する昨今。氷河期の申し子とも言えるムツアカネが、この先もずっとこの地で命を繋いでいくことができるのか。不安が募ります。

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)



似合ってる

カテゴリ:
_9142331
タカネトンボ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

高原の水辺で出会ったタカネトンボ。小さな池をパトロール飛翔していましたが、この日はぐんぐん気温が上がり、正午を過ぎる頃には30℃に迫るほど。

観察していると、次第に小枝に止まって休む頻度が高くなり、13時ごろにはほぼ止まったきりになりました。

もともと木陰の多い環境を好むタカネトンボですから、あまりに暑いのは苦手なのでしょう。

_9165309
タカネトンボ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

こちらは別の日、薄曇りの空の下を活発に飛び回るタカネトンボ。池の縁に沿ってパトロールし、数mおきに1~2秒のホバリングをするという典型的な飛び方。

晴れた日の方が綺麗に見えるのは悩ましいところですが、やっぱりタカネトンボにはこの姿が似合っているように思います。

2024年9月14日・16日 長野県

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)



さざ波

カテゴリ:
_9112872
アメンボ(ナミアメンボ)マユタテアカネを捕食
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

水面にさざ波が立っているので見てみると、浮かんだマユタテアカネのメスにアメンボが群がっていました。

よく観察してみると、マユタテアカネは右前翅が欠損しており、すでに事切れている様子。アメンボたちは近づいたり離れたりしながら、吸血のタイミングを見計らっているように見えました。さざ波はトンボではなく、アメンボが起こしていたもののよう。このマユタテアカネがこうなるまでに、いったい何が起こったのでしょうか。

2024年9月11日 東京都


手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)



逆立ち

カテゴリ:
_9113149
リスアカネ オス
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

残暑厳しい昼さがり、受光面積を小さくするべく逆立ち姿勢(オベリスク姿勢*とも呼ばれる)になるリスアカネのオス。

薄暗い水辺を好むトンボではありますが、メスがやってきそうな場所で待つには、多少日に当たるのは仕方がないということか。太陽の位置次第ですぐに日陰になるし・・・ね。

*オベリスクとは、古代エジプトで神殿の門前の左右に建てた、方形で上にいくにしたがって次第に細くなり、先のとがった白い石柱の記念碑(Wikipediaより)。トンボの場合は日差しの強い日に逆立ち姿勢で静止するのをこれに見立てたもの。

2024年9月11日撮影 東京都

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)


執着

カテゴリ:
_9113229
アカボシゴマダラ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS, Panasonic DMW-FL200L

コナラの樹液を吸っていたアカボシゴマダラ。まだキズなどの少ない、比較的きれいな個体でした。

_9113218-copy
アカボシゴマダラ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS, Panasonic DMW-FL200L

同じ個体を別角度から。鮮やかな黄色の口吻が目を引きます。こうした樹液場にはたいていスズメバチ類やカナブンが来ているものですが、ここは他に何もいませんでした。

樹液自体はっきり見えるほど出ていなかったので、虫たちにとってそれほど魅力的な場所ではなかったのかもしれません。どういうわけか、このアカボシゴマダラは強く執着しているように見えましたが・・・。

2024年9月11日撮影 東京都


手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)

休息

カテゴリ:
_9113091
オナガサナエ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

林縁のロープで休息していたオナガサナエのオス。

秋口になるとこうした場所で見かける機会が増えてきますが、夕方には川で縄張り活動していることも。典型的な夏のサナエトンボですが、あと半月くらいは元気な姿を見せてくれるでしょうか。

2024年9月11日 東京都

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)

多様さ

カテゴリ:
_9110254
マユタテアカネ 連結産卵
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

いわゆる赤トンボ類の中でも、早い時期から生殖活動を始める種のひとつ、マユタテアカネ。谷戸の湿地ではすでに多くのペアが産卵していました。

_9112007
マユタテアカネ 連結産卵
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

こちらも同じマユタテアカネですが、メスの翅端には黒褐色の斑紋があります。通称「翅(端)斑型」とか「ノシメ型(ノシメトンボに似ていることから)」と呼ばれるタイプ。

マユタテアカネのメスにはこのほかに腹部がオスのように赤い「赤化型」または「オス型」と呼ばれるタイプがあり、これもまた翅端に斑紋のある個体とない個体がいます。

ほとんどバリエーションのないオスに比べてメスは実に多様。マユタテアカネはいわゆる普通種ですが、観察や撮影をするうえではこの多様さが面白い。

2024年9月11日 東京都


手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)

ド派手

カテゴリ:
_9113317copy
ド派手
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

昨日、外来ハゴロモを撮影したニワウルシ(シンジュ=神樹)の木には、こんなド派手なイモムシ(毛虫)もついていました。

_9113277
ニワウルシの葉を食べる
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

はじめは気づかずにハゴロモを撮影していたのですが、風で揺れる枝を押さえようと手繰り寄せてびっくり。これは!と周囲を探すと、1本の木に5~6頭が。

_9113269
シンジュキノカワガ 幼虫
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

その正体はシンジュキノカワガ、という美しいガの幼虫でした。和名のシンジュは真珠ではなくシンジュノキから。

本来は中国の温暖な地域に住んでいるようですが、季節風や前線に乗って日本に飛来し、一時的に繁殖することがあるそう。関東地方でも特に近年は目撃例が増えているようです。最近はなんだかそんな虫がいっぱい。温暖化もあって、国内定着する日も遠くないのではと想像してしまいます。

繭や成虫もかなり個性的な虫なので、また観察に行ってみようかな。

2024年9月11日 東京都

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)

フワフワ

カテゴリ:
_9113390
ニワウルシの木
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

散策中に見つけた不思議な光景。樹種はニワウルシ(シンジュ)*

幹に点々とついている白っぽいもの。はじめはこの木の棘か何かかと思いましたが、カイガラムシか?

*樹種は X(旧Twitter)で三森典章さん@forestthree
、tameさん@shunmitamura56 に教えていただきました。

_9113298
フワフワ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

しかし周囲を含めて探してみると、葉の上や裏にも同じものが。これは見覚えがあるぞとフワフワの下側を覗いてみると・・・。

_9113344
幼虫
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

そう、この顔はハゴロモの幼虫。しかしこの時期、多くの種は成虫になり幼虫はいないはず。でも実際に幼虫がいるということは・・・。

_9113323
チュウゴクアミガサハゴロモ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

ということで、外来種のチュウゴクアミガサハゴロモでした。昨日の記事に続いての外来ハゴロモ類。在来のアミガサハゴロモと形態はよく似ていますが、色や斑紋の形で見分けることができます。
成虫の左側(後ろ)にあるのは羽化殻。羽化間もない個体のようです。

_9113368
チュウゴクアミガサハゴロモ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

年々見かける機会が増えていますが、在来のアミガサハゴロモとの関係はどうなっていくのでしょうか。

2024年9月11日 東京都町田市

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)

似て非なる

カテゴリ:
_9100127

ヘリチャハゴロモ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

樹液の滲み出すクヌギの幹に、小さくも美しい虫が一頭。

これは外来種のヘリチャハゴロモ。2015年に名古屋から報告されて以降、分布を広げているようです。湘南でもこの2~3年でその姿を見かけるようになりました。

_9100148

アオバハゴロモ
/ OM SYSTEM OM-1 Mark II, M. ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro、マクロフラッシュ STF-8.

すぐ隣のクヌギにも!と思ったら、こちらは在来種のアオバハゴロモ。ヘリチャハゴロモと同属なのでよく似ていますが、見比べるとけっこう違う。

競合することなく共存できればいいのですが、今後両者の勢力図はどうなっていくのでしょうか。

2024年9月10日 神奈川県藤沢市

手軽にトンボを調べるには「トンボハンドブック」


あわせて使いたい「ヤゴハンドブック」


もっとトンボのことが知りたくなったら「ネイチャーガイド 日本のトンボ」


野外で撮影した写真からトンボを同定するならこちらがお薦め「くらべてわかる トンボ」(山と溪谷社)


このページのトップヘ

見出し画像
×