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今日の未明、仕事が終わって天気予報を見ていると、ある地方がよく晴れ、気温も上がりそうなことに気が付きました。週間予報を見ても、今日がベストです。思い立ったら実行あるのみ。そそくさと撮影機材を準備して、夜明け前の高速道路を駆けぬけました。

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ノシメトンボとリンゴの木
/ Canon EOS 7D, EF 8-15mm F4L Fisheye USM.

そうしてやってきたのは長野県某所。収穫前あるいは収穫されなかったリンゴがたわわに実り、色づいています。よく見るとリンゴの木の枝先にはノシメトンボやナツアカネ、アキアカネなど赤とんぼたちがたくさん止まっていました。神奈川でもこんなに赤とんぼのいる場所があればいいのに・・・とうらやましく眺めるばかり。

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アキアカネ 連結産卵
/ OLYMPUS OM-D E-M5, M. Zuiko Digital ED 9-18mm F4.0-5.6. 若干トリミング(レンズの影をカット)

稲刈りが終わってしばらくたっていそうな水田では、アキアカネたちが交尾や産卵に大忙し。本来はどこの地方でもこうだったはずなのですが、いつのまにか、こんな光景すら珍しくなりつつあります。
この写真、よく見るとメスの腹部の先に泥水の水滴が飛んでいます。オスとメスの呼吸が合わず、勢い余って空振りした時に飛んだもののようです。

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マダラヤンマ
/ Canon EOS 7D, EF 70-200mm F2.8L IS II USM.

気温も上がってきたころだし、そろそろ・・・と池をのぞいてみると、やっぱりいました、マダラヤンマ。ヤンマとしては珍しく、こういった水平に近い姿勢で止まることもしばしば。
マダラヤンマはどちらかといえば秋のヤンマですが、そろそろシーズンも終盤。さすがに翅の傷んだ個体が目立ちましたが、しっかり縄張り行動をとっていました。

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ナツアカネを捕食するマダラヤンマ-1
/ Canon EOS 7D, EF 70-200mm F2.8L IS II USM.

そして今日の目的、捕食シーンの撮影に成功。マダラヤンマがナツアカネを捕らえて食べているところです。マダラヤンマはナツアカネを執拗に追いかけて空中で捕え、頭からかじりついていました。不思議なことに、食べられているのはもっぱらナツアカネ。ノシメトンボやアキアカネもたくさんいるのですが、ほとんど襲われていません。

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/ ナツアカネを捕食するマダラヤンマ-2
Canon EOS 7D, EF 100mm F2.8L Macro IS USM.

まったく違う時間帯に撮影した別の個体ですが、やはり食べられているのはナツアカネ。すでに頭がありませんが、よくみると腹端部から卵がこぼれ落ちています。トンボの中には、危険を感じるとこうして卵を産み落とすものが少なくありません。自分が死んでも、卵の落ちどころが良ければ子孫を残せることもあるのでしょう。いわば最後の賭け。

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ナツアカネを捕食するマダラヤンマ-3
/ OLYMPUS OM-D E-M5, M. Zuiko Digital ED 9-18mm F4.0-5.6.

ここでもやはり、ナツアカネが食べられていました。ふつう、縄張り占有中のマダラヤンマは敏感になっており、止まっていても至近距離には近づかせてくれないのですが、食事中は別のようです。レンズの先端が当たるくらい近づいても、逃げずにいてくれました。

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ノシメトンボ
/ Canon EOS 7D, EF 70-200mm F2.8L IS II USM.

夢中になって撮影していましたが、いつのまにか陽は傾いて、トンボたちの時間も終わりが近づきました。陽は山影にむかって落ちていき、水面に残照を。浮かび上がるノシメトンボのシルエット。

2012年10月16日 長野県