2019年08月10日

その14 2つの愛 後編

ボク達は崖の上じゃなくて下の川辺のジャングルのような森の中にいる 
夕暮れから平らな地面の寝場所を見つけるのに歩き回ってゴミが全く落ちていないことに気づいた 
すぐ上は国道が走っているこの森の中は人が踏み入った形跡がないみたいだった‥‥

小さな火を起こして買ってきた野菜を焼いてパンを暖めコーヒーを淹れて飲む 
川のせせらぎと火の爆ぜる音 そして厳しく突き刺すような冷たい空気だけが支配する
やけに静かな夜だった‥‥

あいつが人情深いのはそれだけ辛い経験を奴なりにしてきたからだとボクは考えている 
母ちゃんと2人で過ごしてきた子供時分には少なからず寂しさがあったはずだ 
それでボクに1人で寂しくないのかと尋ねる どうして結婚しないのだと言う

「今まで何度か考えたさ でもボクの本当の居場所がそこなのかって別のボクの声がする 
かと思うとどこかで落ち着けて安らげる居場所を探している声もする 
どうしたいのか自分でもわからない だけど女の子って生き物には少し疲れてしまっている
ボクがいるかもしれない

ウィリアム「確かにな‥‥オレも前の彼女の気違いぶりにウンザリして暫く女性恐怖症
になってるよ 全く面倒くさい生き物でいないと困るのが男なんだからどっちも
どっちって事なのかもしれないけど」 

そう言うとつい最近まで付き合っていたロシア人の彼女の話をしてくれた 
彼女は短気で情緒不安定ですぐに怒鳴りだし大声で人目を気にせずしょっちゅう口喧嘩して
3カ月の短い期間で別れたのもつまらない口論だったそうだ 最後のケンカも道を右に
行くのか左かで始まった アゼルバイジャンという国内の未承認独立をしている
ナゴルノカラバフ共和国を旅していた時 お互い頭に血が上って路上で激しく言い合いを
していたら数人の男に取り囲まれた 彼女が男達に羽交い絞めされたのを見たウィリアムは
激しく抵抗したのだが彼らは秘密警察の人間達でそれが逆効果だと気づいた時にはもう
車に押し込まれて公安庁本部に連行された後だった 取調室に押し込まれ暴行を受け 
挙句の果てに荷物の中の 旅を始める前に購入したばかりの20万円以上したと言う
ラップトップコンピューターを棒で叩き壊されてしまった

それでか‥‥奴が警察に怯えるほど消極的なのがこれで分かった 
ポティでの一件も納得がいく ボクにしてみればピラミッドの天辺で素っ裸になるより
軍の施設に忍び込むよりずっと危ない体験なのに奴にしてみれば
二度と味わいたくない最悪の体験だったんだろう

ボク「全くみんな自分勝手なんだ ボクは人間同士勝手な都合を押し付けたり
られたりするのが好きじゃないんだ 誰かとずっと一緒に居ればそういうことになる 
でもみんなやりたいことをやりながら仲良くできればボクの居場所は
そこにあるような気がするんだけど」 
ウィリアム「そんな場所が見つかったら絶対教えてくれよ」 
ボク「お前は結婚してもそんな場所が見つけられると思うか?」 
ウィリアム「さぁな‥‥でも結婚は人生のゴールじゃないぜ 窮屈なら
また別の場所を探せばいい 一度くらいしてみたらどうだ?うちの母ちゃんの友達が
丁度お前と同じくらいの年でバツイチだけど彼氏募集中だ 良かったら母ちゃんに話しておく
からオーストラリアに来い オレんちに離れの空き部屋があるから何日でも泊まっていいぜ」
ボク「あぁ必ず行くよオーストラリアでも彼女の心配はいらないぜ 
これでも一応いると言えば彼女はいるからな」 
ウィリアム「なにっ?


つづく

結婚したのに簡単に別れるなよ
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photon_5d at 15:24|PermalinkComments(0)2018ジョージア |