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2020年09月28日

子守唄 1

その夜はリビングルームでストーブに温まりながら眠ることができて幸せだったクルドの人のおもてなしはボクの心の芯を温めてくれる

しかし遡ること2時間前のボク達はご飯を食べ終えて外に連れ出された 散歩というのでもなかった ミスターカターブは「君たちだけ行ってきなさい」と大きなお腹をクッションから離そうとしなかった 実家っていうのはどうしたってそうなる 人生の殆どをここで過ごしたんだもの

カターブの兄貴も天才でハローとウェルカムしか英語を知らないのに会って十分後にはボクのしている腕時計を巡って買取交渉を始め しまいに自分の腕につけて現金200ドルを掴ませようとするから揉み合ううちにスッカリ仲良くさせられてしまった

その兄貴も動かなかった 多分1番遠縁の英語なんか一言も話さないおじさんに連れられてボクとウィリアムは歩いて5分の所の一段バカでかい屋敷へ通されそこで何だか伝統的な衣装でキチッとした見るからにこの村の重要な人達に会うことになった 高そうな調度品とサンタも余裕で通れる暖炉がある個人邸宅にざっと20人はいてお茶を飲みながら歓談している その目は一様に鋭く修羅場をくぐってきたって感じの年配者たちだったが これまでのキャピキャピしたもてなしとは違って落ち着きがあっていい感じだった

だがしかし 欲しいものはこれまでもこれからもずっと手に入れているという気迫がクルド人には多々あってその夜知り合うことになる彼は村の長の息子の内の一人で三人男兄弟の末っ子で最近結婚したばかりで近くに家も建て子供ももうすぐだそうだ 電気工事の会社を兄弟で経営してるその男がとにかく自分の家に招待するとウルサく(とはなんだぁ) ごちそうを振る舞うのでぜひ来てほしいと言うんだ そりゃ嬉しい誘いだけどこういう類の人たちと一旦連絡先交換しようものなら隙を与えない勢いで会話にならないメールや電話をしてくるようになるんだ この頃ウィリアムもよく脅威を感じたりして熱狂を超えたとこのストーキングにボクたちは何度か身震いさせられた 向こうは親友になったと思ってるから毎日連絡をしてくる はじめは対応していても毎日毎日居場所や行動を訊かれ続けていく内に返事が遅れたり無視してると怒ってくる

こうなると国民的スター嵐とホボ同格レベルだ(テキトー)

その男は熱狂的にカターブの家までやって来てズイブン長く話していたんだ その模様は結婚を許してもらいたいと相手のお父さんにお願いしてるみたいだった


つづく

気迫をこめて
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