闇ルート その2ラストギリシャ 前編

2022年12月28日

記憶の中の叫び声

ジョージアの古着屋市場で見つけたお気に入りのトレッキングシューズが砂利に飲まれて滑り落ちてく

スキーしてるみたい

現人生で一回体験したけどボクは自分で気づいてる運動音痴だ なのでスポーツ全般やろうと自ら動いた事はない ダンスもダメだ これは数えきれない体験してきた 激しいリズムに体を思うがままに跳び跳ね宇宙の鼓動と同調したりしたこともあったけど

だがしかしダンスは最強の格闘技と言う人もいるみたいだしやっぱり運動音痴なボクには合わない

あと歌も会話も下手っぴ ゲームもゼロセンス コンピューターも使いこなせない 人生設計なんて頭が痛む

逆に言えばやりたいことがないってこと

ボクがまだ25才位の時独りの登山家に出会った 彼は孤独を愛して寂しがり屋だったけど冬季以外山で暮らしてるから仕方ない

そんな彼とは京都で出会った 普段は富山県の山奥で測量とか伐採の仕事してあとは山の中を歩いたりロッククライミングして過ごしてるんだそうだ

あの頃ボクは京都の建設会社で働いていて と言えば聞こえがいいけど実際はホームレスの一歩手前の日雇い肉体労働者で関西ではアンコ(多分差別用語)って呼ばれるアウトカースト的人生を満喫していた 

要するに夢も希望もなかったんだけと彼はボクに自信満々で必ずやりたいことが見つかるって言ってた

彼は眼差しの奥で絶対的運命を語っていて おそらくボクの中に昔の自分を見ていたんだろう そんな彼は27才の時に伝説のアルピニストの講演会に参加して人生の道を見つけたと言った そうして登山家になった

ボクは時々彼のことをこの言葉と共に思い出すんだ でも未だにやりたいことを見つけられたと思ってない 

振り返ってみたらずっと旅してるけど 旅しながらやりたいことを探し続けて今日まで来ちゃった気がするよ でもやりたくないことは絶対にやらなかった

その結果ギリシャのどっかの崖をよじ登ってるわけだけどこれ以上の危険はもう受け付けないぜ

幸いこの闇ルートは隠されてるとはいえ方向的には正規の国道とホボ並走してるから完全に方向を見失う危険はなかった ただ道は更に酷くなって行き 藪のトンネルの手前に来たとき諦めて国道に戻ることにした 再び崖をよじ登りガードレールをまたいだ時国境管理の建物が先方に見える

不法入国した所で1つも良いことなんかないと気を改めてボクはまた国道を歩く事にした


つづく


押せば見つかるかも
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photon_5d at 13:59│Comments(0)2019 ギリシャ 

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