知っトク

2019年11月06日

本当の歴史

ここに来る前のボク達はカース(カルス)というトルコの
東の標高のわりかし高い所で夜は気温もぐっと落ちる寒い街にいた‥‥

でも人んちに2泊していて快適だったんだ
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泊めてくれた家 みんな獣医師を目指すインターンで正確にはクルド人

かなり大きくて活気があり原宿のような若者のためのカフェや店が多かった
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泊めてくれた人達

国境付近で拾ってくれた2人のクルド人の若者がカースまで200㌔近い距離を移動し 
到着後食事に招待してくれてレストランで食事をしていた時同僚の友達が3人加わった 
彼らはみな医者でありインターンだった 眠る場所を探していることを知った
彼らのうちの一人が現在6人でシェアしているというマンションへボク達を招いてくれた
のでそこで2泊過ごすことができた
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カースまで乗せてくれたクルド人のお医者さん

そのうちの1日を使ってアニというトルコとアルメニアの
国境近くカースから50㌔離れた遺跡のある村に出かけることを決めて
ヒッチハイクしていた時タクシーが停まってボク達を乗せてくれた そういやあ
あの時もお金を請求されなかった‥‥トルコって不思議だ
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アニへ向かう寂しい道

アニはかつて栄えていたアルメニア王国の領土だった 世界的にも優れた建築芸術
を誇っていたというが度重なる侵略を防げず大地震にも見舞われて
今は遺跡になって静かにたたずんでいた なんにもない
どうしてウィリアムはここに来たがったのか聞いてみた
ウィリアム「かつてここはアルメニアの文明が栄えていた 素晴らしい芸術や建築技術
を持っている‥‥ところが今はトルコの領土に吸収されまるで自分たちがこの文明を築いて
発展させたような歴史を正史として教えている」
というとウィリアムは峡谷の谷底を指ししめして「あれがアルメニアとトルコの
国境だ」と言った 遠くにいくつも矢倉が見える 違法越境者を取り締まるための
見張り台だ でも国境に張り巡らせれているフェンスの一カ所に人が通れるだけの
侵入口もあった フェンスに大きな穴が開いているのだった
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峡谷でトルコとアルメニアを隔てている
 
アニは一時期クルド人の築いた王国の首都でもあったらしい でもそんな歴史は
このトルコでは語られないんだとか‥‥
インターネットも厳しく規制されている イスラム教ってことだからエロ関係は
ブロックされてるしウィキペディアも繋がらなかった

ウィキペディアを国民が閲覧することができないようになっているんだな
正しい情報だから読んでもらいたくないというトルコってどこに向かって
いっているのだろうとボクは思っていた 日は傾き長い影を落としている
ここから気温が下がり長く静かな闇がアニを包んでいく
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かつて重要な交易中継地として陣取りゲームの犠牲になったアニ

ウィリアム「オレは本当のことが知りたい 他人が話したり見せたりするものから
じゃなくオレの目で 全身で感じて真実に近づきたい そのためにこのトルコの東部
に多く住んでいるクルド人エリアにやってきた」
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夕暮れのアニ あの丘の上に城址があった

世界最大の難民と言われているクルド人は度重なる戦争に巻き込まれて世界中に散らばった
列強国がこの場所を取り合うのはここに豊富な資源(石油)があるのを知っているから
クルド人が独立しようと運動することを嫌っている それでトルコからはテロリストと
みなされイラクからも独立は認められていない状況だ 
クルド人にとってこの地域は聖地であり心の拠り所でずっとずっと昔の
列強国によって国境線が引かれる前から山岳民族として生きてきた歴史がある 
自然を崇拝し世界で最も古いとされている宗教(ヤジィディ教)
を崇拝している民族でもある なぜ彼らが国を追われて世界中に
散らばらなければならなかったのか 彼らは本当にテロリストなのか
ウィリアムはそれを自分の目で確かめるためにイラクに行こうとしている

つづく

本当にボタンかどうかは押してみないとわからない
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2019年06月21日

その2 キルジョイ

すっかり暗いぜ‥‥こんな時間からヒッチハイクできるのか‥‥
ウィリアムも同じことを考えている 辺りには何もなくこれじゃ暗すぎて運転手も
見えないんじゃないの

でも車は停まってくれてポティという海辺の小さな町まで移動できた カメラを失くした時に一度訪れていたボクはウィリアムに提案した
ボク「あと10㌔南に行けばグレゴレッティに着く そこで2度野宿したイイ場所があるんだ 
近くに商店もあるし火を起こしても警察は許してくれた 国道から5分で海岸に着けるんだ」

ウィリアムも賛成してヒッチハイクを始めたがやっぱり夜遅いのか全然だ 
彼は地図を見ていた 

ウィリアム「海岸まで歩いて30分くらいだが仕方ない今晩はそこにテントを張ろう」

そうするしかなさそうだとボクも同意してマーケットで食料を調達し海岸に向かって
歩き出したら突然奴は道路を外れてジャングルの中に入っていく

ボク「どこ行くんだよ?」
ウィリアム「地図だとこの藪の中に道があるはずなんだ」
ボク「真っ暗で道なんかないよ」
ウィリアム「まてまて ほらあったぞ」 
薄気味悪い公園の入り口が見えたがその先は鬱蒼と木が茂っていて街灯もない 
懐中電灯の明かりを頼りに暫く歩き続けたら波の音が聞こえてきて本当に30分で海岸に着いた 
風が少し強かったが広い砂浜の一隅にテントを張って火を起こす 

サーラと同じようにウィリアムもたき火が好きな奴だ 
薪集めはいつも張り切ってトンデモナイ量を集めてくる 
ボクは石を集めてかまどを作る 

ウィリアム「どんどん燃やそうぜビッグファイアーにするんだ

燃えそうな丸太や枯れ木は砂浜中至る所に打ち上げられていて奴は
3日燃やし続けてもなくならない量を集めて言った 
風が強かったのであっという間にビッグファイアーになった 
そこに野菜を放り込み熱せられた石の上でパンをトーストしている所でパトカーが砂浜を進んでボク達の所に来たそしてケーサツはこんな所で火を起こすのもテントを張ってキャンプするのも禁止になっている すぐ片づけろと言った 
ボクは抗議したが奴は言う通りにするんだとえらく低調子だった 

ボク「グレゴレッティでは警察は許してくれたのにどうしてダメなんだ?
ケーサツ「ここは管轄が違うポティは砂浜で寝てはいかんのだ」
ボク「でもボク達どこも行く所がないんですよ もう夜の12時だし動きたくない」
ケーサツ「とにかくここはダメだ とっとと火を消してテントをたたんで車に乗れ 
眠っていい場所まで連れて行く」

ケーサツはボク達が通って来たジャングルのような公園の一角のある場所で
ボク達を降ろしここならテントを張って眠ってもいい 但し火は禁止だといって走り去っていった

ウィリアム「ちくしょうケーサツめ楽しみをぶち壊しやがって
ボクはこの日楽しみをぶち壊すって英語でキルジョイ(kill joy)って言う事を知った 
でもそこにはボク達のような外国人旅行者が集まっていてみんな同じように
砂浜でキャンプしようとして連れてこられた人達でガスコンロを使って料理してワインなんか飲んで楽しくやっていたから案外キルジョイではなかった

つづく

押さなかったらキルジョイ
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2019年05月04日

その26 山の人 

翌朝メスティアに向かってヒッチハイクを始めた
サーラはヒッチハイク前に せめてズグディディには今日中に着きたいと言っていたけど 
そんな心配は必要なく車はすぐに捕まり2台を乗り継いでスタート地点から70㌔先の
ズグディディ街に到着 大きな街だと思った マクドナルドがあったから
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一台目のベンツで約13㌔移動 ドライバーは通勤途中の会社社長で
降ろされた場所に広大な敷地と工場があった

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二台目は19歳のジョージアの俳優 イケてるぅ ズグディディまで
60㌔の距離を運んでくれた

この先ずっと山道が130㌔近く続くメスティアは標高1500mの町
そこからさらに45㌔先にウシュグリ村がある
ウシュグリ村はヨーロッパの中では一番標高の高い場所の村という事で
世界遺産に登録されているらしい
サーラの目指している場所はその標高2200mに位置する村だった

ズグディディでヒッチハイクをしていると30分くらいでティビリシからやって来たカップルの
車が停まってくれた 彼らはメスティアに休暇旅行に行く途中だった 
これまでヒッチハイクしてきた中で最も長距離を運んでくれて最も親切にしてくれた人達
だと思う

彼女の方はティビリシ市街にゲストハウスを経営している
彼の方は医者だった 高学歴だけどボク達に偏った見方を
しないで親切にしてくれたのは かつて彼もバックパックを
担いでヒッチハイクの旅をしていたからだ
彼女もまた昔はインドやアジアを旅していたんだそうだ
そうして自分のゲストハウスの名前にはオーム(インドの真言)と名付けて 
ヒッピーやお金のない人達を受け入れてる
ビンボー人にはお金を取らず 正規の値段も設定していないみたいで
寄付金や泊める代わりに手伝いをしてもらったりして運営しているらしい‥‥
そんな彼女の理想は 物質世界の拝金主義社会から抜け出して緑と自然の中で
自給自足の村づくり 出来るだけお金を使わない地域集団社会作り そのための
土地もすでにティビリシ郊外に確保しているんだそうだ

彼氏の方はどちらかというと反対の物質主義が基本になっているけど
自然の大切さも分かっている人だ 人間は自然から切り離されては
いけないと分かっている だけど一方で死んだ後の世界は全く
信じていないし 愛なんていうものは脳が作り出す幻だというし
この先の地球の未来は機械によってもっと進化して便利になって
計算で全て解明できる日が来ることを期待しているしそうなると信じている 
そうすれば宗教戦争もいがみ合いも必要ない平和な世界が人工知能によって
もたらされるだろうと考えていた

メスティアに行く途中彼らはジヴァリという村の近くにあるエングリダムに
立ち寄った
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山の向こうは未承認国アブハジア共和国

このダムは1991年ジョージアがロシアから独立する前の建造物で 
独立後はジョージアの領地内に収まっているのだけど水力で得る電力の70%が
ロシアに供給され ジョージアは30%しか貰えていない 
実質ロシアのコントロール下にあるダムだそうだ
ロシアはジョージアの独立を認めてはいるもののヨーロッパと
仲良くしているジョージアを快く思っていなくて ジョージアは
歴史上ロシアにいじめられ搾取されているという
従ってジョージア人はロシア人をジャイアンのように嫌っている

メスティアに着いたのは夕方の4時を回った頃 思った通り
標高1500mのメスティアは肌寒かった
ボク達を乗せてくれたカップルはこれからもっと車で登った
キャンプ地に宿の予約を入れていて一緒に行こうと誘ってくれる
ボクはメスティアの中心地で安宿を見つけたかったのだけど
キャンプ地で荷物を降ろし一休みし さらに周囲をドライブした後
再びメスティア中心地まで送り届けてやるからとボク達をドライブに誘ってくれたのだ

サーラもボクも異存はなかった
それで彼らが宿泊するキャンプ地にまず行くことになった
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キャンプ地からの眺め 南東方角だから首都のティビリシ方面だろう

そこは泊まったら最低2000円はする高級リゾート地(ボクにとっての)
だったからモチロンボクは断った 第一ボクのポケットには200円しかない 
サーラのポケットにも1000円あるかないかだった なのに彼らは宿の
オーナーに話をして キャンプ地の敷地内の屋外に寝る分ならお金は
払わないでもいいという所まで話をまとめてくれた
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キャンプ地で荷物を降ろして山の頂上まで来るまで来たところ 凍り付く寒さだ

それでもボクは正直嫌だったんだ 夜は絶対に冷えるし(異常な寒がりのボク) 
まだ日が出ている今でさえ寒いしサーラは歓迎ムードに
囲まれているけどボクは違う空気を感じ取っていた
仕方ないな一晩だけだぞ 本当はヤなんだけどっていう空気だ
 
キャンプ地には火が起こしてあってたき火の傍で
眠れるサーラは喜んでいるが やっぱりあいつは山をなめている 
そして山で暮らす人々達を勘違いしてる

サーラはまだボクが山に向かう事を喜んでいない時から
山の人達は平地に住む人達よりずっと親切でとても世話好き
だということを どこで聞いたのかこれまで出会った数人の
ジョージア人から教えてもらっていたみたい
それが彼女を山に向かわせる一要因にはなっていたようだ

だがしかしボクの経験上山で暮らす人達はどこも閉鎖的だ
多分山で生きるには山を知って山で生きられる資格のような
何かを山に認められて生きているという自負のようなものを持っているように思う

実際山の人達はボクらの何倍も働くし体も頑丈だし心も強い 
毎日を真剣勝負で生きているからだ 
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牛の頭を丸ごと放り込む 山で暮らす人々はワイルドだった

そんな彼らがホテルを経営するのはお金を払えばなんでも買えると考える物質社会の人間
を上手に利用しているだけで 本当に大切なことは何も語らないんだろうと
この時のボクは思ったりしていた 本当に大切な事っていうのは自然と人間の
共生についてだ そんな事は都会人には大して重要じゃないってことを山の人は
知っている 山で暮らす人達にとっては全てでも都会人はたまに自然に近づいて
はしゃいで踊って歌って散らかして満足してお金を払って帰っていくだけの
かみ合わない種類の生物なのだ   
モチロン全部の山で暮らす人達に対してじゃなく どんな国でもどんな場所でも
色んなタイプの色んな考え方をする人がいる 
ただここでの彼らはボクの中にそういう性質とか軟弱さを見極めている気がした

人それぞれ相性もあってたまたまタイミングが悪くて
ファーストコンタクトが上手く行かなくて 勘違いで
思い違う出会いを果たしてしまう事だってあるし 
星の配置が悪くて起きたのかも知れないし
もともと好きで来たわけじゃないボクの気づかない所で
発しているエネルギーを敏感に感じ取っていたのかもしれない‥‥

とにかくボクはこの時ここはお金のないボク達のいるべき場所じゃないと居心地を悪くしていた
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ブランコに揺れてる彼氏と彼女


つづく

山をなめるな
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photon_5d at 13:07|PermalinkComments(0)

2019年04月16日

その13 カーマるちょーば

カスキ村の教会を後にしたボクはもうこれで心置きなくトルコに向けて前進できる 後は特に行きたいとこないもんね

ところがサーラはせっかくここまで来たんだからチャトウラの町に行ってみようと言い出した 何があるのか訊いてみら鉱山の町らしく チャトウラの町中ロープウェイが走っていて採掘場入り口まで行けるらしいのだ
ロープウェイも特にお金を払わず乗れるとサーラはいうがホントかよ
‥‥もし本当だとしてもそんなに興味ないなぁ‥‥
金鉱なら別だけどどうしようかなってモジモジしてる間にサーラはまたまたあっという間に車をヒッチハイクした ボクも乗った

カスキ村からチャトウラまでは車で20分くらいで運転手は陽気にワインとマリファナを助手席の下から取り出してくれた

ジョージアのワインは大体みんな自分で作ってるホームメイドってやつだ 
これがなかなかサラリと飲めちゃう でも油断して飲み続けるとジワジワ効いて足が動かなくなるボディーブローのようなパンチの効いたワインだ 
ボクはジョージアがこんなにおいしいワインの産地だなんて全く知らなかった 
でもジョージアこそワイン発祥の地らしい(自国自慢あるある)

自家製だから軒先には良質のブドウが至る所たわわに実っていてそのまま食べても旨い 
彼らはお店で買ったりしない地産地消っていうか自産自消ってやつだ

同様にマリファナも山の方に行くとそれぞれ好きな人は自分の畑を持っているようだ 
これも地産地消 加えてつい最近一部合法化されたこともあって少量ならお咎めなしだから車の中でボク達はすっかりいい気分になってしまったというわけだ

町にはサーラが言った通りロープウェイの乗り場とロープが縦横に走っているのが見えるけど肝心のゴンドラは動いている気配がなかった 

チャトウラはわりかし大きな町でその割にのどかで
外国人のボク達を歓迎するでも敬遠するでもなく
適当な距離を保って受け入れてくれているイイ感じがした

都会になれば忙しく余裕も絡み合いも少ない 郊外だとグイグイ絡んでこれまで来られた所の程よい中間地点という感じだろう

ボク達は日陰に座れてご飯の食べれる静かな場所を見つけて食事の準備を始めた そこは見た感じ築50年は経っているだろう団地群の 中庭で憩いの場所で日向ぼっこの場所なんだろう 
じいちゃん達がベンチに座ってまどろんでる

ジョージアのこんにちは はカーマルチョゥバ
日本で有名なパントマイムをする2人組も同じだったように記憶してる
世界的に有名なパフォーマーだからきっとジョージアに来てこの名前を使うことに決めたんだろうな‥‥だっていい国だもの‥‥なんて思いながらあいさつしちょっと場所を使わせてもらった

サーラは 相変わらずマーケットで廃棄になった野菜のもらっていたやつを洗い始め カットして二人で食べていると何だかガラの悪い男が近づいてきて ボクとサーラにどこから来たと訪ねるから 
日本とイタリアと答えると急に笑顔になって日本もイタリアも大好きだ 
イタリアには何度も旅行しているし素晴らしい製品を作る日本人を尊敬している
なんて大はしゃぎして そのまま彼に誘われてコーヒー店に雪崩れ込んでしまったんだ

つづく

断り切れない怖さがあった
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photon_5d at 20:37|PermalinkComments(0)

2019年04月01日

その8 親指

カスキって場所はゴリから国道を西に100㌔くらい走ったゼスタフォニっていう町から北に上がってチャトウラっていうちょっと標高の高い町にいく途中にある地名で多分村なんだと思う
そこに昔建てられた古い教会があるのだけど
その教会 自然が創り上げた奇怪な岩石の柱の上に建っている七不思議的な教会なんだ その岩石の柱は説明によると約40mの高さで聳え立っていて 昔一人の神父さんがずっと死ぬまでそこに籠って神様と交信していた(らしい)そして生涯一度もその教会から外に出ることなく終えたという‥‥

まじかい 完全にパワースポットやんかぁ

サーラの話を聞いたボクはもういてもたってもいられなくなった
どんなに寒かろうがもう絶対に行くそして全身全霊でどんなパワーがみなぎっているのか確かめる いくぞぉ 待ってろカスキぃぃって大はしゃぎでそこまでの計画をサーラと立て始めた

時刻は昼の2時 ボク達は場所を移動して持っていた野菜と出来立てのスケボーサイズのホカホカパン(一枚40円ほど)を買って公園のベンチで遅めの昼食を摂る 近くに水飲み場があって野菜を洗えるからだ
お腹を満たしたボク達は国道に向かって歩き始めた  ロシア語もジョージア語も分からないボク達に近場から車を捕まえることは至難だから8㌔近く歩いて 
ようやく高速道路みたいな国道に着いた時時刻は午後5時になっていた 
さぁ始めるぞと親指を突き立てるボク
サーラはちょっと斜に構えて気だるい感じが妙にカッコいい 親指も突き立てるというより 前進方向を指してる

ボクはこのヒッチハイクの親指を立てるゼスチャーに長年疑問を抱いていた 一体この突き上げる親指は何を意味しているんだろうかって‥‥
この先ずっとヒッチハイクを続ける中でその謎は自ずと解けるようになったんだけど これ実は行先方向を指しているんじゃないかって ボクはこっちの方向に行くんだよっていう意思表示に違いないぜと思うに至るようになった
とすれば指を突き立てるんじゃなくて 寝かせて方向を示すのが正しいという事になって理に適う
親指を立てるのは国々で意味も変わっているようで無礼な意味に解釈される所もあるようだぞ

それはさておいて車はあっという間に停まった 大型のトラックが 
席も広くて世界を見下ろす高さで乗り心地は最高だ 
しかもゼスタフォニまで乗り換えなしのダイレクト
運転手のメラーブは途中でコーヒーやお菓子を買ってくれた
ボクが当初決めていたカハシュリの町で有名なナズーキというパンもおごってくれた

ナズーキっていうのはシナモン味のちょっぴり甘い
平ぺったい野球のキャッチャーミットサイズのパンでボクの知る限りここカハシュリ町限定だと思う 他のどの町でもナズーキを見つけることは出来なかった

おごってもらったナズーキをモシャモシャほうばりながらなんて贅沢でお金のかからない旅をしているのだろうボクはと幸せの味も噛みしめている
 
ジョージアの素敵な旅がボクをトルコへ導いてくれるぞぉ
でもこの時はまだそれがサーラの魅力によるものだなんてなんて思いもしなかった

つづく


全く男ってみんなHなんだ
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photon_5d at 15:19|PermalinkComments(0)