不思議

2020年11月05日

迷子 その3

ちょっと気にかかる事があったのを思い出した

商店の段差に座って待っていた数分の間に····

家族が目の前を通った 2人の子供とお母さん

子供はそれぞれ風船を持っていたんた どこかの催事で貰ったものだと思う 男の子と女の子は座ってるボクの目線と同じ高さだったからお母さんよりよく見えた それで丁度すれ違う瞬間女の子が握ってた手から離れて風船が紐をブラブラさせて空へ上がり始め 女の子はすぐ気づいて自分の周りをキョロキョロ探してるのだけど上がっていってる事には気づけてなくてその振舞いがいじらしくて何だか不思議な顔を作って通り過ぎる女の子と家族を視界の端で認めながら空を見たら風船はなかった

女の子の手から風船が上がってく瞬間を見て探し始める女の子を見て空に視線を合わせるまで僅か数秒 の間に風船が消えてる

数秒風船を空で探してからまた通りに視線を戻し歩き去った家族を探すのだけど家族も見当たらなかった 

まぁもっと真剣に探せば家族も風船も見つけられた かも知れないし家族も風船も見つけられなくてもそんなに気にすることじゃない とは思う

だがしかし今は事情が違う 一本道の70m先で座って待っていたのに会えなかったのはどー考えてもおかしい 風船も数秒で見えなくなるほど遠くへいかない

神隠しか異次元に飛ばされでもしない限り····

そこでいわゆる一つの並行宇宙にあの瞬間飛ばされたと仮説を立ててみる

夢の中なら並行宇宙に飛んだ経験のあるボクの仮説はこうだ

ウィリアム達がまさに通りかかる直前にボクはそれまでの世界から突然姿を消してある一つの女の子が風船を離す並行宇宙にジャンプした 方法は知らない

数秒間(フワフワ風船が浮かび始め女の子ががキョロキョロ探す間)ジャンプしてまさにウィリアム達が通り過ぎた直後にもとの世界に戻ったから風船も家族も見つけられなくてボクたちも出会えなかった 多分この宇宙のあの女の子は風船のヒモををちゃんと持っていた····個人的には腑に落ちる話だが一般的にはぶっ飛び過ぎでさらにイタい

しばらく歩いて一軒の商店が見えたのて飛び込んだ 夜11時をまわってるというのに開いてるとはありがたい

店内には暇人が4人ほどいて誰一人英語は喋れなかったが食いつきはイイ いつもは暑苦しくスター気分にさせるクルド人でもこの時ばかりは有り難く感じる その内の一人が付いて来いというから安心したら車を走らせてさらにローカルな暗い場所へ向かい一軒の小屋の中へ連れ込んだ

汚い小さな小屋の中には沢山人がいてうるさいくらいの機械の音がしていた 工場ではない ただ機械がガチャガチャ音を立てていた

何だここは
 

つづく

誘拐拉致ではない
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photon_5d at 02:47|PermalinkComments(0)

2020年02月07日

神様からのメッセージ 中編

商店の前に来たら解ったそこは雀荘みたいな遊技場で商品は遊んで空かせた小腹を満たす程度のスナックが売られているだけだった
中には5人のクルド人がテレビを観ながらオッケーというトルコ版の麻雀に興じていて 
貧しい旅人に暖かいお茶をごちそうしてくれた1時間程休ませてもらって話をしてどこでも好きなところで眠ればいいと教えてもらえたが暗闇の中  道を歩いて寝場所を探すウィリアムは神経質になっているのかうまく見つけられずにいてどこでもいいと思ってるボクは始めの内はこの辺いいんじゃないかと提案していたのだけど最後は黙ってウィリアム任せることにした 

奴にしてみれば街に着いて宿に一泊というのが理想の着地点この状況はかけ離れている  それが奴を苛立たせているそれよりボクらの間には根本的に大きな隔たりがある  奴は富んでいてボクは貧しいという隔たりは旅のスタイルと深く関係しているのだ奴がそれをチャンと理解しない限り二人で旅を続ける事は出来ないのだ

暫く黙って歩いていたら人が前方に立っているのが見えた  眠れる場所を探していると伝えると更に先に見える明かりを指してそこに行けと
言う  モチロン言葉の解らないボクらの推測で解釈しているから会話はテキトーともかく礼を行って明かりを目指すとガソリンスタンドだ  沢山人もいて働いていてボクらを見るなり呼び掛けてくれて  よほど珍しいのだろう  ボクなんかジャッキーチェン扱いされてる  その中のよりハイテンションな一人がスタンド内の売店に連れ込んでボクに冷蔵庫から冷たい水を差し出してくれて言った  これから友達全員に向けてビデオ生放送するから出演しろと

つづく

寝れる場所訊きに来ました
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photon_5d at 20:45|PermalinkComments(0)

2019年11月05日

約束のヒッチハイク

バスに乗り込んだはいいがずいぶん高級感と清潔感があった
とりあえずボク達トルコ語一切わからない そういやあウィリアムは
ジョージアにいた時 これまたディオリンゴというアプリケーションを
教えてくれてそれは世界中の言語をクイズ形式で学べるやつで 少し勉強して
いたのはいた それで初めて覚えた単語がいくつかあった
例えば リンゴはエルマ パンはエクメック 水はス 牛乳はスット‥‥
全然会話にならないじゃなかぁ

それで乗り込んだらいきなりスを配ってきた
ムー‥‥もう乗っちまったものはしょうがない どうせ金を払わなきゃならない
のだからスも飲む 居眠りもこく

車は2時間走って発音が難しいその街へボク達を運んでくれた
車を降りてウィリアムが言った
「ケイシーすまなかった」
ボク「え?何が?」といいながらボクも奴の言うところの謝罪の意味を
わかっていたんだ ボク達はヒッチハイクで旅をする そう決めて2人旅を
今日までヒッチハイクのみでやってきた それを奴は破ったことをいっているのだった
ウィリアム「どうしても5時に着きたかったんだ‥‥」
バスの中で離れて座ったボク達に一切会話はなかった 眠ってもいた
その間やつはどこかで自責の念に駆られて落ち込んでいたのかもしれない
ウィリアムは繊細なやつだ そしてとても素直なんだ
ボク「ボク達お金請求されてないよなまだ?」
ウィリアム「これから払うんだ」
ボク「いや多分無料だと思う
ウィリアム「んは?何言ってんだ」
ボク「2時間も乗っていたんだ普通は乗車中に請求してくる でもそれが
ないってことは払う必要ない」
ウィリアム「えぇ

ボクは運転手にあいさつした 彼の目はタダだと言っていた

ボク「ボク達はバスをヒッチハイクしたってことだ だから
何にも謝る必要なんかない
P_20181018_163411
バスを降りた場所

つづく

すげぇぞトルコ(クルジスタンエリア)
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photon_5d at 11:39|PermalinkComments(0)

2019年05月17日

その33 トンボの知らせ

翌朝9時前にガソリンスタンドを発った 昨夜はヒッチハイクしないで暫く
山の中を歩こうと決めていた いくら小さな集落があるとはいえ 
この場所は山のど真ん中で豊富にフルーツやナッツが実っている
こいつを収穫する手はないんじゃないかってことだ
(あくまで人んちの敷地外のフリーなやつだけだ)
サーラはリンゴ 栗 柿 イチジク ブドウ プルーン 
クルミを見つけて 手の届かない所はボクも手伝って沢山収穫した 
どれも十分売りさばけるくらい大量で美味しい
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食い物を探すサーラと手下の犬

3時間くらい歩いて昼頃からヒッチハイクを始めたんだけど至極困難だった 
第一に車が通らなすぎしかし1時間たったら突然目の前にキレイな緑のような青い色した
トンボが飛んできた

ボク「すごくきれいなトンボがいい知らせを運んで来た

サーラは面白いじゃん どうなるか見てみましょうよという 望むところだ

それから1時間がたってようやく捕まえた車はズグディディまで行くバスだったのだけど 
お金は取られなかった 理由はフランス人のカップルがメスティアからチャーターした
ヤツでボクらをただで招待してくれたからだ

その車でズグディディの手前ジヴァリで降り そこからクタイシに
ショートカットしようと思っていたのだけど 町で訊ねる人みんな
クタイシに行く道はないというんだ サーラが調べたところによれば
クタイシへの近道はあるという‥‥ややこしいから地図で説明だ
BlogPaint
赤と黄色の線はウシュグリにいる時却下になったルートでピンクの丸(ジヴァリ町)
が現在地 そこからピンクの線でクタイシまでショートカットしようとしているのだけど‥‥


青の線の終わっている所がいわゆるズグディディ街ってやつだ 彼女は前に一回通った
時見つけていたクタイシ付近の川辺を望んでいたんだ それでピンクの道にこだわっていた 
そしたらパトカーがやってきた 事情を説明したらよしオレタチが連れていくというから
颯爽と乗り込んでやった 

もうこの旅でのパトカーは慣れたもんだけどパトカーはボクらをズグディディ街に運ぶんだ
しかも3台も乗り継いだ(所轄が違うという事で)
こんなことなら最初のマイクロバスで行ってりゃよかったと
思いながら車の往来が多い国道まで連れてきてもらう
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二台目のパトカー(一台目と三台目も撮ったのだけど何故だか記録されて
いなかった ボクのケータイカメラは壊れかけてるに違いない)

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ズグディディの中心から少し離れた国道脇でヒッチハイクポイント

それからまた1時間してクタイシまで行く車をやっとこ捕まえる サーラもボクも
車中ではくたばってしまったがふと目を覚ますとサーラの好きそうな
川辺が見えた サーラを起こして降りようかと思ったけど また寝た

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クタイシまで2時間ぶっ飛ばしてくれた運転手と

つづく

トンボのおかげさ
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photon_5d at 12:36|PermalinkComments(0)

2019年04月15日

その12 謎の岩柱に漂う気配

バス停から入った登山道を30分ほど歩き続けて岩の柱の根元までやって来た

カスキ村とはいうものの来る途中家なんかなかった 本当に村外れの隔絶された場所という感じだ

ここからだと谷底を流れる川の向こうにポツポツ小さく家々が見えた 気持ちのよい風が吹きぬけ見上げると真っ青な空に白い石灰岩の柱がそそり立っていて てっぺんには教会というのか修道院なのかが立っているのが見える 

てっぺんまでは物資を運ぶ吊るしロープと滑車が 
錆びついた鉄の梯子の脇に延びている
一般人は今はもう上ることが出来なくなっていた

昔は出来たみたいだ そしてもっと昔はこの俗世間と隔絶して祈りを捧げ続ける隠者(世捨て人)が神と交信していた場所だった‥‥

ウィキペディアで調べたらここに岩の柱があって教会が建っているのを発見して初めて記録したのは18世紀の地理学者だった
でも当時誰にも昇ることが出来なくて ここで何が行われて誰がいるのかも全く分からずじまいだったんだそうだ‥‥
それから月日は流れて20世紀の半ばになって登山家とか作家とか建築家の調査グループが新しい発見をした
この岩のてっぺんにはもっと昔の5世紀頃に2つの教会がすでにあったと思われる遺跡が発見された
どうやら修行の場所として使われていたらしい 調査は続けられたけど余りに沢山の謎を残した

例えばそんな昔にどうやっててっぺんに登ったんだとか
例えばこの岩のてっぺんには今はなかったけど 鉄のワイヤーがくくってあって そのワイヤーがここから1.5㌔も先のカスキ教会の
てっぺんと結ばれていたとか‥‥さっぱりだぞ

柱のふもとには別に祈りを捧げる教会が建っている
それから誰のお墓か知らないけど根元の外に1つ
もう一つは根元近くに地下に下りる5段くらいの階段があって狭い地下スペースに1つ ボクはしばらく柱を見上げていて心地のよい風と雲のない青い空を見上げて何かを感じ取ろうとするんだけど あんまり静かで気持ちがいいというくらいしかわからなかった

その後地下室に入った 多分俗世間から離れて世界と人々の幸せを願い続けた人の眠る場所だろう
部屋一杯の柔らかい空気でわかる それはまとわりつくような空気でもなければ距離を保つような空気とも違う

誰かがいてじっとしている感じだ この空間が誰かという空気
そしてボクが来たからその人もここに来た感じがする
ボクは膝をついてお墓の前で手を合わせ ここに来れたことに深い感謝をした 日本をでて10カ月になる 色んな人がボクをここまで運んでくれた 何とか無事で元気なボクを

今日まで生きてこれて サーラと出会わなかったら知らないまま通り過ぎていただろうこの場所に来れたことに感謝をした

突然教会の鐘が鳴りだした 時を知らせる鐘かと思って腕時計をみたら11時11分を指している ちょっと中途半端な時間だしかも鐘は何故か5回鳴った後止んだ

ボクはもう一度ありがとうございますと言ってその場を離れた


つづく

遥か彼方からのメッセージ
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photon_5d at 17:19|PermalinkComments(0)