歩きながら思うこと(世界)

2023年03月15日

ラストギリシャ 中編

気持ちのいい2日目の朝を川辺で迎えた 誰もやって来ない山奥で火を起こし川の水を沸かしてゆっくり呼吸し鳥の鳴き声を聴く

音だ それは振動 それが全てを支配してるんだ 文字なんて所詮ちょっと賢い生き物が造ったゲームみたいなもんさ 機械的なんだな って思ってた

冷たいわけじゃないんだけど考えてみたらボクはそんな機械の世界でずっと生きてるよ 自分が賢いということじゃなくただ言葉より文字の方がが自分らしくいれてるって言いたい

もしももしも第三者の視線の覗き穴から自分を見れたら間違いなくボクはボクをなんだか冷たい奴って第一印象付けるよでも

しょうがないよボクはそういうふうになることを自分で選んで後悔もないけど普通に生きてたらどんなんだろうと思うことはある 一般で伝統的な人生のことさ 地に根を張って生きてたらってこと

実際そんな分岐点もあったし

でもね やっぱりだめだそんな狭苦しい世界に縛らないで欲しい ボクはアンドロメダの魂を持つスターシードの旅人と勝手に思い込んで生きてる男 好き嫌いなんか結構あるし飽きっぽいし面倒くさいやつだからこれでいいのだ

両親は?って思う人もいるよ結構聞かれて来た 

正直に素直に自分の気持ちを言うなら ってかその気持ちを冷たい機械的な文字に慣れ親しんで心地よくなってるボクの得意とする世界から正直に発信させてもらうとだね

あんまり興味ない

申し訳ないけど親しみが感じない 病気と思われても仕方ないボクは病人だと自分でわかってる

だってアンドロメダから来てんだから やべーなこれ以上アンドロメダは病気だ

そうではなくて両親は間違いなくボクを小さい時から育ててくれた恩人だそうなんだけどボクはあの人達に親しみが感じれない モチロン一つの家でずっと共同生活してきたんだからそれなりの歴史や楽しく過ごした日々の思い出もある でも家族という特別な絆とか執着が薄弱なのは間違いない

ボクはある時からスッパリとシャットダウンしてしまったんだ この人達にはボクを理解できる頭がなくボクもまた彼らの考えには従えないと確信した時だ それは2度と開かないってか今んとこ開かないし開けられないなんだか頑丈なやつだ 彼らはボクにとても大きくて暗くて重たい物を背負わそうとしてた

もっと言うよボクの家族は何だか深い闇を抱えているんだ そんな気が幼い頃から感じてたしよくよく考えることのできる年齢の今もやっぱり普通な感じがしない

だからボクは逃げたんだ結局の所は

でもそれって何だ?多分言わなくてもいい事なんだろうけどボクにはそれがもっと遡った家系の繋がりの中で積み重なって大きく醜くなってるようにも感じるんだ 

っていっても完全な一方通行な偏見に近い供述だ 全てはボクの頭の中が作って文字をカチャカチャ並べて発信してるんだ 病人だと自覚してるだけに何がホントかわからなくなる

まぁ結局の所全部夢 幻 ボクも多分まぼろし

けど腹減ってる 間違いない

とボクは立ち上がりマップアプリを頼りに昨日の国境方角の反対方向をあるき出した


つづく


これが全てだ
 ↓

放浪記ランキング

photon_5d at 23:41|PermalinkComments(0)

2022年03月19日

ヒッチハイクは

昔世界120カ国以上全部ヒッチハイクで旅をしたというアメリカ人に出会ったことがある そのへん出版もしてるみたいで名刺ももらってウェブサイトも確認したから本物(バカ)だ

年はボクより少し上で56歳といってたけど子供みたいに好奇心いっぱいで誰にでも昔からの友達みたく陽気に話しかけるあのキラキラした目を思い出していた

ヒッチハイクにコツとか経験なんていらない そこには知らないだけの決まった予定があるだけだ 運命と言ってもいいそれだけがあるんだとボクは自分につぶやいていた
  
焼け付く日差しに顔をしかめ昨日から24時間車が捕まらない事にうんざりしてた 飽きっぽい性格だから1箇所で止まって停まる車を待つなんて3時間くらいでまたすぐ歩き出しヒッチハイクなんかしてやるもんかと思うんだけど心のどこかでは車が停まるのを期待していてる所があるからやっぱり停まらないのがヒッチハイクってやつだ

それで2日も3日も歩くうち本当の諦念状態がやってきて本当の道が見え始める 本当というか根本というか命をつなぐギリギリのラインをまたぐ時視界の端にちらっと映り込むそれだ

真っ直ぐな1本の美しい道で宝石を敷き詰めた輝く迷いようのない単純な道だけれども単純にならないと歩けない道でもある ヤツは確かに歩いてたよ 見れば間違いないと分かる目をしていた そんなことを考えてた正午近く一台の車が横に停まった

どこまで行くんだと訊かれて次の村までと答えたら乗せてくれた 彼の目にもまた少年の純粋な輝きがあった

ほんの数キロ移動する間の車の中で彼が昔通ったレストランで昼ごはんを食べる所だと知ってボクもまた村についたら何か食べようと思っていたと話したら海風がそっと髪を撫でるオープンテラスで何だかご馳走してもらっている

ドイツに自分の会社を持っているんだそうだ 内装工務店でキレイなドイツ奥さんと多才な10歳の愛娘の話をして写真や動画を見せてくれた 家族はドイツに住んでる コスタ(運転手)は18歳で単身ドイツに渡り今の地位を築き上げたのでドイツの難しい生活にも慣れた振りをできるようになったといった

仕事で1人テッサロニキへ来て終わらせた後で少年時代を過ごした地元までレンタカーで足を伸ばしたくなったんだそうだ 家族にも会いたかったし友達もいる 温かい血の通った仲間達との時間を過ごし懐かしの味を味わいレンタカーでテッサロニキに戻りをこの日のうちに飛行機に乗るんだそうだ その大事な1日の中でコスタはボクを見つけご飯を御馳走してくれて一緒にテッサロニキへ行こうと言ってくれた

晴れてる空から大粒の雨が降ってきたり視界を遮る濃い靄に包まれたり一面灰色の寒空にもなる長い道をボク達は走っていて ドイツの難しい生活に慣れた振りをすることができるようになったっていうのはどーいうことなのか詳しく聞いていた

これまで旅の途中で聞いてきた話を個人的にまとめるとドイツという国には1つの方向性が見えてくるんだけどコスタの話も彼の持つ印象もやはり同じ方向を指していて 行ったことないボクの心をくすぐる方向ではなかったけどコスタはその方向について熱っぽく語った

頭が良くなりすぎると住む世界は完璧でスムーズで明白だけど冷たく人間の心まで機械のようだ 助け合いなんかない競争だけだ そして知らぬ間に自分がイヤだと思う人間になってしまっていくんだ

その通りだよコスタ ボクが気がおかしくなって逃げ出した忙しい世界でコスタは1人家族や社員を支えるため戦って ボクとは住む世界が違うけど根っこは少年時代育まれたギリシャ人本来の助け合う心が呼び覚まされてボクを乗せてくれたのかもしれないな

ボク達はずっと前から出会うのが決まっていて予定通りお互いやるべき仕事を果たした感じがする この先これからもずっと覚えて忘れない大事な時間だったと思うような

ヒッチハイクにコツも経験も必要ない あるのはただ真っ直ぐな1本の決まった輝く道があるだけ

およそ3時間の運転でテッサロニキの市街で車を降りコスタにお礼を言って別れた どこだか知らないけどボクは胸を踊らせてその目を輝かせテキトーに歩き始めた


つづく

押す時も輝いて
 ↓

放浪記ランキング

photon_5d at 22:06|PermalinkComments(0)

2021年11月22日

経済破綻 後編

その始まりは2009年の政権交代の時だから10年ルトラは野放しでどの金持ちも手を出さない分かりにくい田舎の森の中にある カバラの方からテッサロキニに伸びてる海岸道路を看板どおり右折すればいいけどその看板もスプレーでイタズラ書きされてほったらかしだ

曲がると緩やかに道は下って後ろは海で右に川が注いでてくねりながら道と川は並んでルトラ温泉まで1.5キロ続いて外灯も一定間隔で入場口まで配置されてるけど10年手入れされてないからさ 電気なんて付いてるのとついてないとことバラバラで道も割れしみ出る山水で池みたいに水溜りができてあって今度は登りに徐々に変わって温泉場の入り口までくると鬱蒼と植物が絡まって森のトンネルの舗装道路を歩き切って大広場に到着できるという行程だ

車なら4 50台は停めれるこの広場の周りはレストランとかお土産物売り場 サウナや個人浴室シャワールームそして障害者専用の特別な温泉プール施設を想像させる建物が集中していた

温泉は3箇所で現在も出続けその内の2箇所が広場の左側の山側から湧き上がって人工的に配管したこれらの施設を抜け広場の下を流れて今度は右側のプールを貯める仕組みだが今はもちろん機能しておらず道路の下を通ってるメインパイプのみで川へ流してる 

広場をさらに先に進むと沢山の野犬にガードされてる小さな赤い橋があり近づくと吠えて噛みついてくるが渡らないと長期滞在者用アパート群につくことが出来ない そこは同性愛者も家族も寄り付くことが犬によって出来ない旅人ジプシーヒッピー専用エリアでそれ故揉めることもなくうまくやってこれているのだろう見えないバリアで囲われてる

1637338926231
ルトラの3番目の湯床

裸になって心を開いてるやつ(旅人)だけ渡れる赤い橋を超えると大体30戸ほどの同じ作りの部屋が平屋で長屋で収容キャンプ場作りで並んで好きな部屋を探してあとは好きなだけいればいいだけだ

ボクが比較的状態のいい一室を確保することができたのは前日まで旅人が暮らしていたからで部屋には薪ストーブ台と扉と古びたベッドのマットが床に残っていて他のどの空き部屋よりゴミや瓦礫も悪臭もなかった

海沿いのテオの家にいた1ヶ月半は寒さで一度も熟睡出来なかった分もあるのか数日は温泉以外テントで過ごした とにかく明日はまだ行かない それだけ決めて一日が終わるそれが2週間続いていく

 
つづく

当たり前の贅沢がここにある
 ↓

放浪記ランキング


photon_5d at 10:36|PermalinkComments(0)

経済破綻 前編

女人禁制の霊山アトスには観光とか信仰心というより別に個人的な興味があったそれは人生のゴールを見つめての下見ってやつだ

あと20数年で旅が出来なくなるくらい老いたボクの最後の最後はアトスみたいな所で神様の近くで生活しながら身軽にして最小の荷物で立つ鳥跡を濁さず的に旅立つのもありだと思ってるんだあくまで可能性の一つでどこに向かってるのかボク自身まだよくわかってないけど

でも女人禁制って絶対楽しくないだろうな

そんな気持ちでルトラに到着し美女の裸に囲まれたもんだからアトスに行く気はまったく失せた

ルトラ温泉はギリシャが経済破綻して以来捨てられた国営施設で森の中に東京ドーム半分くらい(テキトー)の広さに渡って浴場やホテルやレストランや長期滞在用アパートメントが今は朽ち果てた状態で骨組みが残っているだけだけど温泉は湧出し続けていてまた飲水が山を抜けて染み出していて周りには季節ごとの食べ物が生えるから

国が放置した途端雪崩込んだドロボーに盗み尽くされたあと屋根や窓やドアをつけ直し内装を変え住むようになって次第に旅人に知られる場になった

自由と自然を愛する人達に同性愛者も集まった 休日を賑わす家族やカップルも訪れるルトラは誰にも平等の優しいパワースポットになっている今の所
1637338934860
ルトラのメイン大浴場は破綻後に有志が石を積み上げ完成させたに違いないと思わせる雑な出来栄えだった

この時期はボクのような旅行者が集まって他にジプシーとかギリシャ国内の自然愛好者なんかいて物質文明にうんざりした多くが若者だった

もう何回も冬になるとココにくるというナソスはギリシャ人で何も知らない新顔のボクに色んな事を丁寧に教えてくれた

ナソスはこの温泉場所はみんなが自由に楽しめゴミのないキレイな場所でなければならないという

かつては国が金儲けのため自然を破壊したが今こうして元通りになってる経済破綻も自然には良かったのかもしれない むしろ経済破綻は自然を壊した代償だと 

初めての夜ボクはこんな話をナソスから聞いていた
1637338942351
大浴場からのボーナスショット


つづく

腰が治るまで動かないよ
 ↓

徒歩の旅ランキング

photon_5d at 10:27|PermalinkComments(0)

2021年11月11日

ルトラ

次なる場所は霊山島アトス目的地に着くと同時に許可証が貰えるよう数日前からテオの家を出て歩きだす

ギリシャはヒッチハイクの難しい国だから最悪徒歩移動になっても3日あれば着くと計算して7km先のあのルトラ温泉スパ跡地の所で止まった

なにせテオ一家にこき使われてそこら中ガタが来てるこの体は温泉以外治せないだろうと考え一泊の湯治休養も計算に入れてあるここに来ることはずっと前から楽しみにしてた毎日24時間湧き出る温泉に浸かり放題だぞ このくそ寒い冬にそんな天国他にあるかぁって熱くなったけどマヌスと何度か来てるおかげで情報収集は終わっていた 全て計算して冷静に行動してるボク

そこは世界中のヒッピーが集まるコミュニティでもありゲイの発展場としても有名な場所でとにかくテントをはって安心して眠れる旅人が集まっているというのだから行かない理由はない ほんのちょっと覗いて見るだけだ本物のヒッピーが集まってるんだどれどれ 入って驚いた

年若い美女が全員ハダカで歩き回ってる

それで気がついたら2日のつもりが2週間たっていた


つづく


計算はいつも狂う
 ↓

徒歩の旅ランキング

photon_5d at 07:09|PermalinkComments(0)