ドイヒーな話

2020年06月04日

歯車 第四章 手順

ボク「一泊一人10ドルなんて払わないぞ」 
ウィリアム「でもペシマルガが言ったじゃないか チェックインしなかったら戻ってきて今度こそ本当に留置されるに決まってる 奴らはどこかで見張ってるに違いない

ウィリアムは完全に自分を見失っていて周りが見えてなかった

ボク「もう雨はあがってる 移動してどこか静かな場所を探そう 戻ってくるわけがないじゃないか

ウィリアムがアゼルバイジャン共和国の秘密警察に暴行を受けパソコンを破壊されたトラウマを抱えているのを知っているだけに奴の怯えがヒシヒシ伝わってくる····ボクは正直な所でこんなヘナチョコの面倒はもうイヤだと思っていた
数時間前(傘を壊されたあと)ずぶ濡れでモスクに入った時 イスラム教の1日の最後の祈りが始まっていて時刻は夕方の6時になろうとしていてボク達は入口付近の屋根の下で雨を避けてから中の様子を見ようとしたらウィリアムが言った「祈りが終わるまで中に入るなよ」
ボク「どうしてさ」
ウィリアム「常識だろうが」
ボク「そんな常識聞いたことない キチンと作法を守って尊敬の気持があれば関係ない

神様を知らないやつから大した忠告を受けてウンザリ嫌気がさしたボクは無視して手水舎へ身体を清めに行くことにした

イスラム教徒でないボク達が簡単に受け入れてもらえるなんて考えてない だけども同時にイスラム教徒がとても親切な人達であることも知ってるボクは手順を踏んでキチンと説明すればわかってもらえると信じてる 靴を脱ぎ靴下も脱ぎ 手足を洗い顔も洗い口の中も洗い中に入る準備をして戻ったら祈りが終わっていて入口付近にいたウィリアムの姿がない

ボクは今晩泊めてもらえるかどうかまず神様に尋ねてみようと一礼して中に入りヤツと離れた所の説教台正面で建物のほぼ中央に正座して目を閉じた 


つづく

神様が押せって言いました
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photon_5d at 13:18|PermalinkComments(0)

2020年02月18日

緊急報告 その2/2

サンタマルタは海辺の大きなリゾート地でマッサージするための条件が整っている街だと思ってやって来ましたでもコロンビアの殆どの海辺のリゾート地は許可なして仕事ができないように整備されていました組合に加入しない限りボクのような人間がゴミ箱あさってダンボールでこさえた看板掲げて歩くとすぐにケーサツに怒られますボクは行き詰まっていました その時ベネズエラから出稼ぎに来ている闇両替商の少年たちに出会ってサンタマルタからバスで20分走った隣の静かでスキューバダイビングに適したタガンガというビーチがあることを教えてもらい外国からの旅行者も多いと聞いて行くことにしたんです 

小さなビーチが山間を走るバスの車窓から2つ見えたときボクはすぐにここではないと思いました マッサージできる場所にはうまく説明出来ないオーラがあるんですでも後戻りもできないボクは流れに呑まれるようにそのビーチに荷物を下ろしテントを張りました辺りは真っ暗になり誰もいなくなった夜の11時近くテントの外から誰かが出てこいとボクを起こしたのでケーサツかと寝ぼけまなこで顔を出した途端力ずくで体を引っ張られナイフが首に当たる感覚を持った時には手遅れでした 覆面をした男が3人一斉にナイフを突き出し一言「金を出せ」

強盗団はあっという間にボクを後ろ手に縛り上げクビを締め気絶寸前のボクを殴り蹴りボコボコにしてリュックにしまってあったコンピュータ キャノンのデジタル一眼カメラ ケータイ 腕時計と約一万円ほどの現金と金になりそうなものは全て奪ったのです

靴も服も持ち去られたボクの持ち物は殆どなくなってしまいました

その日から両足完全に浸かった一文なしの路上生活の始まりですケーサツに行ったところでなんの役にも立ちません言葉もボクはスペイン語を知りませんし誰も知り合いもいませんからちょっと困ってしまいました どうやって生きて行けって言うんだどこに何があるのか 地図を見ようにももうケータイはありませんし何しろ食べ物すら買えなくなってしまったんです

でもそんなことは起こってしまって取り返す事もできませんからいつまでもガッカリしているわけにもいかず約10日間サンタマルタのダウンタウンで毎夕無料で犬の餌のような炊き出しの行列に並んで飢えを凌ぎ地獄を満喫してパロミノという小さな海辺の村にたどり着きました今現在もボクはここでマッサージの仕事をすることができています このビーチは組合も許可も要らずアメリカドイツフランスなど比較的ヨーロッパからの旅行者が休暇を楽しむためにやってくるのでなんとか仕事ができお金も少しずつ貯まってきて そのお金で一番最初にケータイを買いましたボコボコにされた日から1ヶ月半かかってようやくインターネット接続して自分のグーグルアカウントを開いたんです

その時初めてバックアップしてきたこれまでの旅の全ての写真が削除されていることに気づき代わりに知らない女が現金をうちわのように広げて嬉しそうにしている写真が沢山入っていたんです間違いなくボクから奪った金品を現金化したものです 金目のものは仕方ないです ボクも余りに不注意でしたから コロンビアの危険をなめてましたからいい勉強なったと多少の時間はかかりましたが忘れかけていました でもどうして強盗団は思い出の写真を全て削除したのでしょう あまりに酷い仕打ちですそれだけが今も時々考えさせられます すぐに盗まれたケータイを無効化すべきだったんでしょうがそれ以上に1日を生き抜くので一杯でした

ボクはこの話をいつか面白おかしく話すつもりで今日まで閉まっていたんです 

でもこうしてブログを書くとき1枚として貼り付けられる写真がないと実感するうち 緊急報告しなければいけないと思うようになって本日皆様に報告することにしました これからもボクのブロクは続きます トルコ イラク ギリシャ そしてヨーロッパ 南米····そこまで貼り付ける写真はありませんが今後ともよろしくご贔屓にと一言お願いして緊急報告とさせて頂きます

つづく

ボクの読者はそんなことじゃ離れないマニアと信じてますから
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photon_5d at 19:10|PermalinkComments(0)

緊急報告 その1/2

話を今するべきかどうか悩み迷いましたがこのブログのタイトルはみんなのせかい やっぱり話すべきだという思いに至りこの決定に全責任を背負ってお話しようと思いました

ボクは現在世界3周旅行中まだ1周すらしていないけど南米のコロンビアにいます ブログの話はトルコですからトルコとお思いの人すいません コロンビアです

2017年11月にこの旅は始まりました 2年以上かかりましてやっと日本から見て地球の反対の半分のとこです

これからお話するのは去年の11月の終わりにコロンビアで起こったちょっと怖くてドイヒーな実話です 嘘も脚色もないお話です····

コロンビアへはスペインのマドリードからエクアドルに飛行機で来て1週間滞在したあと陸路で入国しました バスとヒッチハイクでグングン北上しカリブ海を臨むサンタマルタ街まで1800㌔近く移動し(コロンビア縦断)旅の資金は底をついていました

あーそろそろ仕事しないと路上生活者の仲間入りになっちゃうよー

でもすでに片足はドップリ浸かっていました

ところでお金がなくなったのは何もこれが初めてというわけではありません お金がなくなると仕事を見つけてこれまで旅を続けてくることができました 

幸いボクは日本にいた時人体の神秘に魅了されマッサージセラピストの道を歩き始めた所でこの道を既に見極めた男 ボクのお師匠まっちゃんと運命的出会いを果たし弟子として彼の元で教えを請いながらおよそ3年間ではありますが人体に関する多くを学び おかげで旅先でマッサージをしながら食いつなげている次第です

まっちゃんから教わった知識は命を繋ぐ大事な宝物となってます こんなつもりで勉強した訳ではないのですが このためにやってたのかと思わずにいられないほど助けられて来たんです あの人の知識と技術は恐ろしく深く理にかなっていまして 人体というより地球規模で光と闇の調整をしますから ボクなどとても追いつけません一生かかってまっちゃんの足元にタッチ出来たら上出来でしょうからボクは修行を辞めました そのボクの中途半端な技術でさえ大好評で行く先でお金を作って旅を続けられるのです


つづく

まっちゃん
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photon_5d at 16:34|PermalinkComments(0)

2019年05月16日

その32 ズレてるヒト

食事が済んでコーヒーを飲むためお湯を沸かすのがボクの役割 
小さなポット一つだけの調理器具でお湯も沸かしナッツも炒る 
手際よく効率的に手慣れたものさ 野宿ライフはシンプルで 
招待するのはいつだって静かな夜だけ

一つのコップの中のコーヒーを分け合い 
炒ったナッツをつまみ タバコを吸いながら頼りなき身を夜に預ける

ボク「そういやぁ 君と旅を始めて何日たっただろうか?」
サーラとボクはこれまでの旅を思い出しながら指を折って
カウントしている 今晩を含めて9日間だった
サーラ「オー ゴーッシュ」 そんなにかっていう驚きだ

あっという間の9日間であると同時に数カ月を凝縮したような
9日間でもあり 光の速さで時間が遅くなった感覚に包まれるボクは 
過去や未来をタイムトラベルしてきた気分だ
何度も同じ場所へ戻り 何度も同じ楽しみを味わうための時間旅行みたい‥‥
明日を思うと何だか寂しくなり 楽しかった過去の思い出が
薄れていくよう気がした
ボク「君はこの9日間の中で一番印象深く残っている夜はあるかい?」
サーラは少しの間 真剣に考えていた
サーラ「あたしはやっぱり初日かな‥‥」
 
彼女にとっての印象深いとは 川辺でのキャンプファイアーで
ウプリスツィヘ のあの洞窟居住遺跡群の丘のふもとで自然に
囲まれた場所で過ごした夜だった
ボク「あの夜は確か雨に降られた夜じゃないか それに地元の村人
もいてつきっきりだった とても親切だったけどボクの見る限り
彼はずいぶん君に執心していてスイカを持ってきてくれたり 
薪を集めたりして君の傍を離れようとしなかった」
サーラ「そうそう」
ボク「君だって静かになりたくて来たのにちょっとウザいって言ってたぞ」
サーラ「そうそう そういうのも含めて今となってはあれが始まりと思うと
なんか 感慨深く思い返しちゃうのよねぇ‥‥」

なんかボクの質問とズレてんだなぁ‥‥こいつ
まぁこのつたない英語力のせいなんだろうけど‥‥そういうことじゃ
ないんだよ 明日になればこの旅は終わるかもしれないんだ
もっと2人で過ごした中の思い出を語ってほしかったのに‥‥
なんで雨の夜で下心の見え隠れしている村の若者が登場するんだ

サーラ「で カセイは?」
ボク「ゼスタフォニの駅に泊まった夜 1時間近くも捨て猫みたいに
寝場所を探して汽笛の音がボク達を助けてくれたあの夜
サーラ「わかるぅ 汽笛の音でこれだってひらめいた夜よね 
我ながらあの時はナイスアイデアだった それで快適な夜を過ごせたんだ

ちょっと待てボクが川辺に行きたがってるお前を導いたんだ
汽笛の音で駅を提案したのはこのオレだ 我ながらじゃない
なに自分の手柄にしてんだお前はお前はなんにもひらめいてない
それにあの夜のボクの気持ちも全くわかってない
日本人ならではの侘び寂び 尾崎の詩 どれだけメランコリックで
ノスタルジックでセンチメンタルな気持ちでアイラブユーを
口ずさんでいたのかわかっていないのかぁ‥‥ズッコケ


つづく

日本人なら押せるはず
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photon_5d at 18:47|PermalinkComments(0)

2019年05月05日

その27 雨の厳寒地  

結局ボク達はそのキャンプ場の火の傍の一隅を使わせてもらった
ボク達をそこまで連れてきてくれたカップルの尽力と 
キャンプ地オーナーの仕方ないから泊めてやろうという受け入れに感謝して

サーラは徹底的に火の傍を離れない 全くあいつは
どこまでも火遊びが好きな女だ深く考えるな
文字通りの火遊びってやつだ

ボクは夜空を見上げて 雨が降る予感がしていたから
車の助手席を使わせてもらうことにした 親切なカップルが寝る前に
そうしたらいいと鍵をかけずにいてくれたから
ボクはサーラにもそうした方がいいと誘ったんだけど火の傍で犬と一緒に
眠ることを選んだ そして雨は夜中からボトボト降り出した‥‥

その雨は翌日も止まなかったが早く出て行きなさいと雨の中追い出される

このキャンプ地から麓のメスティア町まで歩けば10㌔以上あった 
荷物をまとめて歩き出すボクにサーラはお世話になったカップルに一言
あいさつしたいと言う 確かにそれは大事だったけどボクは黙っていくべきだと
サーラに言った 親切な彼らの事だ ボク達を麓まで送ると言うに決まってる
恋人同士ラブラブで休暇旅行に来ているのに邪魔しちゃダメだよ 
でもあいさつに行くサーラを止めることは出来なかった

戻ってきたサーラは案の定彼らが麓まで乗せてくれるとボクにいう
運転手の彼はメスティアに行くのかと思いきや
ウシュグリ村に向かう分岐点の所でこれからみんなでウシュグリ村まで
行こうじゃないかと言い出した

いやいや‥‥ボクは言葉を詰まらせているとサーラが代わりに
あたしたち自分達で行けるから大丈夫よと言った
それに昨日からの酷い雨でウシュグリ村へ行くことを諦めていたんだ
気温はますます落ちてるし例え雨が上がったとしてもぬかるんで
トレッキングを楽しむことは出来ないと判断したから

サーラの持ち物っていったらペラッペラの寝袋に
中綿の潰れたボロボロジャンパーとニットのコート
靴にしたって山歩きには不便なコンバースの偽物みたいなのが1つに 
普段から履いてるスリッパはこの前にゴミ箱から見つけたというやつで
歩いている内ソールは半分くらいはがれてカカトの部分には穴が空き始めてしまっていた

それに彼女の足は靴擦れの跡が痛々しく見えていつも布切れをスリッパと
足の甲の隙間に挟んでパタパタ音を鳴らしながら歩いていた

そんなんで山を歩けるのはネパール人くらいだろう
ボクにしたってサーラのより幾分上等なサンダルのみ
だからウシュグリ村はやめようと昨晩話をしていた
でも彼はせっかくここまで来たんだからみんなでドライブしよう
ボク達だって元々行く予定だったんだ 何を迷っているんだここまで来て
と行く気満々で彼女もそうそうレッツゴーとピンクの髪を
かきあげてピンクのサングラスかけ準備万端の仕草をする
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雨のメスティアの町

ウシュグリ村に銀行もATMも当然ない だから行く前にメスティアに寄って
彼らは支払いのため銀行へ ボクも200円しかなかったから機械でお金を引き出す
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丘の上に登ってからのウシュグリ村ほぼ全景

メスティアからここまで距離にしたら40㌔くらいだと思うけどクネクネしていて
ボコボコの上り下りが続くど田舎道は思った以上に時間のかかる移動だった

カフェで食事をして日が暮れ始める頃メスティアまで戻る彼らと別れボク達は
ウシュグリ村で一泊するため宿探しを始めた 雨はまた激しくなった
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ウシュグリ村の玄関口風景

つづく

寒い寒い寒い
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photon_5d at 23:06|PermalinkComments(0)