ヒッチハイク

2023年03月27日

里の民と山の民

降ろされた街はジロカストロという山の斜面にへばり付いて根付いたような城下町だった
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頂上にはモチロン城が怪しくそびえていた

そしてあのゾクゾクさせるアルバニア国旗もはためいていた

ボクはジロカストロという町の名前があんまりカッコイイという理由だけでしばらくいることに決めた

バチバチ戦争してたような いやそれすら起こさない威圧感で悪名高きって感じがするんだ(テキトー)
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カリオストロ的なジロカストロ城内

城の中には沢山武器や砲台が準備万端でその出番を未だに待ち続けているように状態を保ってあった ほんの前まで本当にやってたみたいだ 今やボクには国旗が海賊旗のように見えている

だけども人々はみな優しく穏やかで旅人を迎えてくれて聞いてた話と違う

ギリシャにいた時は好戦的で厄介なイメージばかり吹き込まれたけど彼らがそう思う気持ちもわかるんだ

この気持ちは近年まで日本にも実在してた山岳民族が時々里に降りて自分達の工芸品を里の食べ物と交換してた感覚と近い

里(ギリシャ)の人間にすれば野蛮で奇妙に見えるかもしれないけど相手は一応人間で需要と供給のバランスが取れてるから交流はする けど何が悪い事が起こると山の人達(アルバニア)をまず疑わう そして少しずつ悪い印象が塗り重なってそういう見方をするなら上等だよって悪業する輩もうまれてこじれていつしか彼らは姿を消した····(想像)

里の民にしてみれば幾分も便利で安定した生活システムを構築して余裕かもしれないけど山の民(アルバニア)は違って山には食べ物がなくなる時期が毎年やってくるんだから不利だ

東北の人間だってちょっと昔は冬の間出稼ぎに都会に行く生活だった 何ヶ月も家族がとうちゃんの帰りとお土産を待っていた····演歌だ

里で暮らす定住者にとってジプシーみたいな山の民はよそ者で警戒されて疑われて煙たがられて当然で

山の民にとっては快適で安定感があって計画的な佐都での人生に憧れて生き方を変えた人も沢山いた(多分)それでも変わらなかったし混じわらなかった人達もいて

そしてボクはその彼らの住む世界にやってきた(かもしれない)


つづく


どっちがいいかはそれぞれ
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photon_5d at 18:37|PermalinkComments(0)

2023年03月22日

初めてのアルバニア

2019年5月のはじめ東ヨーロッパのアルバニアに入った

初めてきた 初めてっていうのはどれもそこそこ衝撃があるもんだ

例えば初めてお酒を飲まされた時

ボクはまだ4歳でまだヤンママだった母親がふざけて自分で漬け込んでいた梅酒を飲ました時の記憶はまだ残ってる 体が熱っぽくなってこんなの2度と飲まないと思ってた事も

あとは初めて迷子になった時とか

初めてオッパイ揉んだときとか

そして初めてのアルバニアでいきなりボクは衝撃を受けた その国旗のカッコ良さに

何だか知らないけど心の奥にズシンと響き思いが込み上げてくるぜ 熱いやつだ  

何だかどっかで知ってるような ずっと昔ボクの魂はこの紋章と関わってるような 結構深く そんな懐かしいような高揚だ

ボクのハートはその言葉通り国旗の中心で周囲を鋭く睨み敵を寄せ付けないドラゴンみたいな二匹のワシの鉤爪に鷲掴まれあっという間に別の世界に踏み込んだことを感じたよ まったく空気が変わったんだ

一山超えると世界はいつもガラリと変わるのをボクは沢山経験してる 山は世界を隔てる境界で異世界への扉でもあるということだ

ここギリシャとアルバニアの国境は丁度山の頂上にありボクはそこから眼下に霞む景色を眺めてた

道はずっと下っていてその道がどんどん細くなってその細いのが遠くの方で平坦になってそれがずっと向こうの山と山の間に消えて伸びていた

殆ど山ばっかりだ そしてダイナミックな大空にフカフカした沢山の雲が何だか乗れそうな気にさせてくれて浮かんでた 

その下り道を軽い足取りで歩いてたら勝手に一台止まった 

すごく幸先がいいけど何言ってるの全く理解できない地元の若者でベンツだ 高いのか安いのかよくわからないクラッシックカーだけどまぁ乗れと言ってるみたいだから乗った

そしたらすぐ別の女性を乗せた

ああ ボクは間違って白タクに捕まってしまい最後は面倒くさい金銭トラブルに巻き込まれ 早い話がカツアゲされちゃうのかと覚悟した

運転手は隣で相変わらずお構いなしに話してくるけどそのヴァイブスはポジティブで陽気だったからまぁいいかと思ったけどアルバニアの金はまだ両替してないからユーロを取られると思ったらまた気が沈んだ

車は約10キロ走って古い城がある町でボクを降ろしたっていうかこれ以上は先に行かないみたいだ

相乗りの女性は途中で降り彼女はそこまでの料金を払っていた コインが23枚だったのをこの目で見た 大した額じゃない しかしこれでますますユーロは払いたくない お釣りやるからと言われても払いたくない そういうトラブルは過去何度かあった 全部酷い目にあってきた

と思って身構えていたんだけど1円も請求してこなかった 若者は最初から最後まで全く同じヴァィブスでボクを頼んでもない町に連れてきてくれて 終始陽気でずっと喋っていてくれてた 

クラクションを2回鳴らして来た道を走り去ってくベンツを見送りながらあいつはなんでタダでボクを乗せて自信満々でここに降ろしたんだろう····

って考えてた 

きっとアイツはそれをずっと喋ってたに違いない


つづく

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photon_5d at 22:36|PermalinkComments(0)

2023年03月16日

ラストギリシャ 後編

地図アプリって便利だ

おじさんが旅を駆け出した頃はこんなんじゃなかったぜ

地図や情報はアナログで重たくてそんなのを沢山抱えて歩き回ってた 若いから出来た 若いってはずかしい

年月を経て経験して科学技術も進歩して冒険が拡がった

そしてボクはどこだかよくわかんない斜面を登り小高い場所から家並みを確認し地図と照らしても村っぽいから歩いて行ってみようとしてる 目算で5㌔メートル 手ぶらだからちょろいなんて気分はノッてる

小さな村の広場に来たら日曜なのに食料品店が開いてた 物売りの人達もチラホラ道端で商品を広げている それに広場の中にも沢山人がいてなんかやってる

それはお祭りだった しかもキリスト教圏では重要で有名なお祭りの復活祭ってやつだった ちゃんとした音楽隊が演奏して村人が飲んで食べて踊ってた

荷物になるから買い込みは後回しにして近づいたら歓迎された

いつかこの国の事を懐かしむ時一番に思い出すのはヒッチハイクの難しさでボクがそこに存在していないような様子で走り去る冷たい人々で でもここではご馳走を振る舞いダンスに誘いお酒を注いでくれて言葉なんて通じなくても心を開いてもてなしてくれる人がいてボクはこの双方の振り幅を懐かしむんだろう

飲み食いしてるうち英語を話す男と出会ったその恋人の女性は日本のアニメオタクで彼らはボクにことさら好意を持って接してくれて話し込んでるうちに厚かましいお願いをしたら快諾してもらえた

そして約2時間の滞在の後でその村を後にした

山を下るボクの手には村人が持たせてくれた今晩の食べ物があり赤紫色に塗られたお祭りを象徴する卵があり少しの乾燥大麻があった

楽しくなりそうなギリシャの最後の夜が冷たい風を吹かせて近づいていた


つづく


願うそして叶える
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photon_5d at 16:04|PermalinkComments(0)

2023年03月15日

ラストギリシャ 中編

気持ちのいい2日目の朝を川辺で迎えた 誰もやって来ない山奥で火を起こし川の水を沸かしてゆっくり呼吸し鳥の鳴き声を聴く

音だ それは振動 それが全てを支配してるんだ 文字なんて所詮ちょっと賢い生き物が造ったゲームみたいなもんさ 機械的なんだな って思ってた

冷たいわけじゃないんだけど考えてみたらボクはそんな機械の世界でずっと生きてるよ 自分が賢いということじゃなくただ言葉より文字の方がが自分らしくいれてるって言いたい

もしももしも第三者の視線の覗き穴から自分を見れたら間違いなくボクはボクをなんだか冷たい奴って第一印象付けるよでも

しょうがないよボクはそういうふうになることを自分で選んで後悔もないけど普通に生きてたらどんなんだろうと思うことはある 一般で伝統的な人生のことさ 地に根を張って生きてたらってこと

実際そんな分岐点もあったし

でもね やっぱりだめだそんな狭苦しい世界に縛らないで欲しい ボクはアンドロメダの魂を持つスターシードの旅人と勝手に思い込んで生きてる男 好き嫌いなんか結構あるし飽きっぽいし面倒くさいやつだからこれでいいのだ

両親は?って思う人もいるよ結構聞かれて来た 

正直に素直に自分の気持ちを言うなら ってかその気持ちを冷たい機械的な文字に慣れ親しんで心地よくなってるボクの得意とする世界から正直に発信させてもらうとだね

あんまり興味ない

申し訳ないけど親しみが感じない 病気と思われても仕方ないボクは病人だと自分でわかってる

だってアンドロメダから来てんだから やべーなこれ以上アンドロメダは病気だ

そうではなくて両親は間違いなくボクを小さい時から育ててくれた恩人だそうなんだけどボクはあの人達に親しみが感じれない モチロン一つの家でずっと共同生活してきたんだからそれなりの歴史や楽しく過ごした日々の思い出もある でも家族という特別な絆とか執着が薄弱なのは間違いない

ボクはある時からスッパリとシャットダウンしてしまったんだ この人達にはボクを理解できる頭がなくボクもまた彼らの考えには従えないと確信した時だ それは2度と開かないってか今んとこ開かないし開けられないなんだか頑丈なやつだ 彼らはボクにとても大きくて暗くて重たい物を背負わそうとしてた

もっと言うよボクの家族は何だか深い闇を抱えているんだ そんな気が幼い頃から感じてたしよくよく考えることのできる年齢の今もやっぱり普通な感じがしない

だからボクは逃げたんだ結局の所は

でもそれって何だ?多分言わなくてもいい事なんだろうけどボクにはそれがもっと遡った家系の繋がりの中で積み重なって大きく醜くなってるようにも感じるんだ 

っていっても完全な一方通行な偏見に近い供述だ 全てはボクの頭の中が作って文字をカチャカチャ並べて発信してるんだ 病人だと自覚してるだけに何がホントかわからなくなる

まぁ結局の所全部夢 幻 ボクも多分まぼろし

けど腹減ってる 間違いない

とボクは立ち上がりマップアプリを頼りに昨日の国境方角の反対方向をあるき出した


つづく


これが全てだ
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photon_5d at 23:41|PermalinkComments(0)

ラストギリシャ 前編

ギリシャの出口に来た時雨は殆どやんでた

小さな国境管理だ そういえば入った所もこんな風に寂しい感じがしたな どっちも喫茶店が一軒と商店がチラホラあるホノボノした空間でおよそ犯罪の臭いなんか少しもない所だけど ボクにとって全ての国境はあんまり嬉しい場所ではないんだ

まぁまぁ問題が起こるからだ

第一念入りな荷物検査だけで嬉しくないし出国拒否されたことも犯罪者扱いで別室に閉じ込められた事もあるんでどんなに小さな国境でも通るときは緊張するんだ

国ごとに決まりが違うのはわかるけど気にしない性格のせいでその決まりを自然と破っていたり不足していたり多すぎたり完全アウトなものを時にボクは抱えて国境超えをするからいけない

でも今晩はすでに確保した絶好なキャンプ地で過ごすと決めてる テントも張って一切の荷物を残して財布のみで今晩のご飯の買い物にやって来ていたから今は全く緊張してない そこへ喫茶店でコーヒーを飲んでいた2人のケー官がボクを見つけて手招きしてきた

悪い事は何もしてないからちょっと遊んでやろう

パスポートを見せろと言ってきたから持ってるけど今日はギリシャを出ないから見せないよとからかってみた

屈強な2人の男は難しい顔で足のような腕を組んでそんなの関係あるかお前本当は何人だというから渋顔でパスポートを出すボク

どうやらアルバニア人と怪しまれていた アルバニア人には専用の闇ルートがあるんだぞと心のなかでツッコむもこれが彼らの仕事なのだと沈黙した 二人は予想通り暇を持て余していてボクは終始質問攻めだった 珍しいから暇つぶしには絶好だとは自分でも思う

手前の川辺でキャンプする事を知って野犬が危険だからやめろと諭すケーサツに別れを言って食料を買い込みテントに戻った

国境手前2kmの所に小さな橋がかかっていて下を清流が小川になって注いでる 干上がった川底までは崖を降らないとならないんだ そのゴツゴツの川床を国道から見えなくなるまで歩くんだ だから野犬の心配はない ボクはすでにギリシャから多くを学んでる 殆ど全て他人には役立たない知識ばかりかもしれないけど自分だけの道ってのはそういうもんだ

清流で体を洗いコーヒーを淹れて頭上の冴えた月を眺めながら飲んだ そして頭上から小さな火の揺らめきを見つめていた 聞こえるせせらぎと野犬の遠吠えが子守唄のように優しかった 暖をとるボクがいた ボクはギリシャに暖かく包み込まれていた


つづく

住所地球
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photon_5d at 22:59|PermalinkComments(0)