2018 クルディスタン自治区

2021年03月18日

疲れのあとで

スレイマニアから期せずしてダリオとの旅がはじまった 縁があってというか因縁すら感じる

何しろ一緒にいてとにかく疲れるんだ ボクはそっとしておいて欲しかったのに連れて行ってアリーの家に泊めて(助けて)やれなんて言われたらイヤだとは言えない モチロンシャシャりウィリアムバカ王子の余計な一言

何なんだあいつは世話焼きオバちゃんめ

ダイレクトに母ちゃんの情熱的でブラックホールより深いラテンの母性愛を満開にしてる男オンナ

タカシの時も面倒くさかったの思い出した

もーこれは避けられなかった事故で因縁と諦め小雨の中ボクたちはヒッチハイクを始めたが ダリオはすでにイラついて険しい顔をしてた

雨が降ってるからだろ 寒いからだろ 車が止まってくれないからだろ その薄い髪の毛がペッタンコになってハゲちゃうからだろ

かるくディスったけど全て真実 

どれもイラついてどうにかなるってもんじゃないのに

悪いやつじゃないんだ 自分を客観視できないで他人にはワンランク上の貧乏快適旅行術みたいな講釈を偉ぶってたれるけど面白くもためにもならない事を断りなく話し続けるから

そんな奴に旅人の心得から説明する気はサラサラないぜ(余計に疲れる)

旅人ってのは自然と一緒に生きていていつも自然と相談しながら移動する人生を選んでしまっている自由人で自然人だよ映画イージーライダーのように····(ホントか)

ダリオは心に余裕がなさ過ぎで 実際後4ヶ月以内に母国イタリアに帰り 弟の結婚式に参列する予定も絡まってるという

のわりに2018年末時点で世界で最も危険な国の1つに入るシリアに行くとほざいてる 正確には真冬の北に向かうより少しでも温かい南のエジプトまでトルコ→レバノン→シリアというふうに通り抜けようとしてるけどシリア通ったら披露宴は欠席になるだろな
 
ダリオはとにかくこの寒い環境から抜け出したくて急いでたし自分は屈強で軍経験もあるからイケると思い そしていくつかの選択ミスでこの状況にいる自分と一部の他人に腹を立てていた

メチャメチャ難しい選択の中で自分はベストを尽くしたがうまく行かなかったからどうぞ笑ってくれというストーリーの主役になってるナルシストってやつだ アイツは別にクルディスタンでなくても良かったんだ 温かい場所だと思ったら全く寒かったんで怒って急いでるだけ

まったく疲れる

この日ドホークのジーナの家まで3台乗り継いで到着した時夜の9時を過ぎていて途中から大雨になってドホークの街は洪水だった

ジーナの家にはすでにポーランドからの旅行者が泊まっていて3泊したボク達より1日前に出ていった 旅は終わり故郷に帰るそうだ

ボクのイラククルディスタン自治区での約1ヶ月の旅も終わる 2018年12月12日早朝ジーナの家族に礼を言ってドホークから国境に向かいトルコのマルディンまで一気に戻り 知り合いの知り合いという殆ど他人の家に泊めてもらってからその翌日には懐かしの アリーのいるディヤルバクルへと帰ってきた
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トルコ側の国境から捕まえたトラック野郎にドライブインでもてなされるダリオとカセイ

途中国境で色々あったんだ ダリオがいかに短気なのかっていうのがわかるエピソードだけどここでは疲れるから省略だ
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左から知り合いの知り合いで今晩部屋を提供してくれた人 のとなりがダリオだ
トルコのマルディンにて

つづく

ありがとうクルディスタン
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photon_5d at 14:52|PermalinkComments(0)

2021年03月11日

疲れ その6

確かブログのタイトルもっと笑え!だった

しかし実際は長々と疲れる話が続いてる気がするよ

だがしかし···続けなければこの疲れは伝わらないし後々降りかかる新たな災難へと続く伏線だし今後どうすれば疲れなくできるかの解決策を見つけるためにも徹底的にホコリのごとく叩き落とす

スレイマニアでボクはウイリアムとの長旅を終えた

ヤツはイランへ行く車を捕まえて国道でその姿を見送ってから小雨が降り始めた

ウイリアムには2度と会えないような気がする 路上ではっていう意味さ

半年後にはお金を貯めてまた旅立つなんてほざいていたけどボクにはアイツなりの社交辞令と気遣いからでた言葉だとわかった気がした

2ヶ月以上寝食をともにし曲がりなりにも仲間としてやってきたんだ そのくらい感じる ムードメーカーで平和主義者で頭脳明晰だから喋りも知的だがおふざけのあどけなさもある社交界のスターみたいなやつだったが本当のウイリアムそこにはない

本当のウイリアムは深い所で悲しんでいる 相当な傷を負って医者からも精神疾患者と診断されてる ボクからみてもお前は考えすぎって思う繊細な男だった

生後すぐに両親が離婚 片親という環境からいじめを受け疎外感から孤独を知り悲しみを知り母の愛に救われ気持ちの優しい大人に成長し旅に出た 目的は世界の弱小国家や未承認国家や最大の難民クルド人との触れ合いで弱き者達のか弱き声に耳を傾ける旅 ウィリアムらしい

2ヶ月隣にいたんだ 言葉はなくてもよく知ってるよ あいつの生活は別の場所にちゃんとあってそこがアイツとアイツを取り巻く全員にとってベストな世界で

同じようにあいつもまたボクの隣であの聡明な頭脳で解析して ボクみたく(やべぇヤツに)なりたくねぇと答えを出したんだ 

でも今となってはいい旅だった ボクはこの旅の経験が自分をまた大きく自由にしてくれた気がする そしてウィリアムにとっては期待や予定を大きく狂わす楽な旅じゃなかったろうけどやり尽くした旅となった あと数日残ってるイランの旅を無事に終えて母親とクリスマスを過ごせることを願ってるよ 

とは言わなかったけど言わなくてよかったよ

あれは年が明けて1月も10日になるくらいだった頃ボクはトルコのアリーのアパートで共同生活を再開してノホホンとしていた時アリーがウィリアムに電話した事で発覚したんだけどヤツはまだイランにいてクリスマスは帰らないで英語の先生として働いてたんだ ひっくり返った

イランのクルド人地区もヤッパリ高待遇な接待攻めに合っていてビザの延長もべらぼうに安いらしいので帰りそびれたと言った ボクは送られてきた楽しそうクルド人と踊ってる動画を複雑な気持ちで見てた

でも親より自分の楽しみを選んだヤツは大人で男っぽく見えてそれが 正直に言えば嬉しかったんだ


つづく

これでよかったのか
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photon_5d at 17:54|PermalinkComments(0)

2021年02月19日

疲れ その5

ドルフィンホテルのオーナーのシャーは新婚で年も若いのに(35)市街中心にホテルを建て赤ちゃんももうすぐ生まれる幸せの絶頂にいると思う

自分を王様と呼ばせているだけあって街で有名人のシャーのホテルは目立ち尊敬を集めようとしてるのか新宿歌舞伎町の風俗店やキャバクラの入口みたいで目がチカチカする電飾で一杯でもあった

シャーは自分がキングであることにこだわっていた シャーの考えているキング像は一言でいえば名声の上に立つことだと思う

人生の成功者シャー 生まれながらのお金持ちは物質的に欲しい物をことごとく手にした後で精神的名声が欲しくなったんだろう 誰からも愛され慕われ尊敬されたくて庶民や貧乏旅行者に手を差し伸べる 確かにイイ王様だけど

シャーは代わりにホテルにある滞在者が残していく感想ノート(名前が出てこない)やカウチサーフィンアプリのレビュー欄に感想(ホメ言葉)を書き残す事を強要し 挙げ句に使ってない他のSNS(booking.com  facebook など)のレビューも残せという 

フェイスブックはともかくカウチサーフィンやブッキングドットコムのアプリは実際に使って予約して初めてレビューできるのをどうやって残すのか訊くと実際に予約すればいい話だと一蹴してとにかく架空のレビューを書かされまくった

別に言われなくても親切にしてくれてるから書くつもりではいたけど強制されると気分が落ちる

これまで沢山の旅行者を受け入れて来たシャーだけど感想を書き込まなかった人に対しての口の悪さには疲れさせらせた

ある意味ではすなおとも言えるだろう

親切にして4泊させてもらって色々ゴチにもなって観光もさせてもらって最後は国道のヒッチハイク好ポイントまで送ってくれて感謝の言葉を残さない旅人も旅人だけど やっぱり尊敬しろと押し付けて来るうちは仲良くなれないよ


つづく

寂しがりやなだけなんだ
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photon_5d at 19:35|PermalinkComments(0)

2021年02月10日

疲れ その4

高卒で軍隊に志願したダリオは結構な不良ブリを発揮させて除隊になったらしいが本人いわく旅に出る金を稼ぐバイト感覚で愛国心はないと言い切った

イタリアを飛び出したのは20歳そこそこ
で英語を覚えるためにイギリスへ 仕事はウエイターなら苦もなく見つけられるという

そうして世界中を旅しながら先々で様々な仕事をして自分を誇れる旅人になったんだ 自慢したい気持ちはわかる が自慢話はいつだって誰だってつまらないもの

奴の話には優しさがなく温かみも夢を描く勇気もなく代わりにスリや強盗や警察や軍隊なんかと揉めたり襲われた時の武勇伝に自信が満ちていて疲れさせた

ヤツには語り尽くせない自慢があって1段上からいつも見下ろし的確な判断をくだしたいようだった 

西洋文化によくある情熱的に感情がこもった通常会話のスタイルというのでもない 他のイタリア人の友達はこんなんじゃない 

この先のダリオの旅はシリアに向かってる どこも寒いからトルコからレバノン経由でシリアに入りエジプトでヌクヌクするっていうけど今シリアに言ったらかなりの確率で死ぬだろう 2018年末のシリアはISIS(イスラムテロ組織)が活発で難民となったクルド人が毎日イラクやトルコに逃げてくる状態だ 

ボクはダリオの常に臨戦態勢のエネルギーが苦手だったからウイリアムと別れた後はアリーのディヤルバクルに戻りアイツと仲良く共同生活をして念願の一人旅に戻る それだけ考えていたのにウイリアムはダリオにボクと一緒にトルコまで戻りアリーの家にいけと推奨した

夢は砕けた

はっきり言ってボクはダリオに何も出来ないしヤツから受け取れそうな物の見当もつかないのに出会ってどうして一緒にと考えるとやっぱり疲れた


つづく

答えはいつも風の中
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photon_5d at 22:44|PermalinkComments(0)

2021年02月02日

疲れ その3

ボクは何をしてるんだろう····

酷い疲れ方だ····そして翌日丸々1日ベッドから起き上がる事が出来なかったボクはシャーの接待を逃したんだ

泥水の中をかき分けているようでどんどんおぶさってくる悲しみと苦しみの感情を受け入れながらボクは牢屋のエリアでしでかしたミスを後悔しながら脱出を試みていた

太い鉄格子の向こう側は収容人達が横たわれないほど詰め込まれて飢餓状態で防寒もされてなかったという説明文を通り過ぎて入り組んだ通路を抜け外に出た直後地面に膝をついた

とにかく牢屋を出た直後のボクは地面にへたりこんでその時随分何かが手の先から地面に抜け出て行くのを感じたけども

全く何も感じなくて牢屋や拷問室や独房で苦しめられている当時の様子を再現している人形をパチパチ写真に収めてる奴らの心無さはボクの疲れを倍増させた

シャーもボクを疲れさせるエネルギーの持ち主だと感じる まだ数時間なのでそのうち詳しくわかると思う

ダリオは自分を尊敬させる弟子か信者を求めてるのかウイリアムを少し年上の立場からてなずけ始めていて それもまた疲れさせた 

でも何より疲れさせる強大なエネルギーは博物館でかつてイラクの戦時下の作戦司令本部で捕虜の収容施設があった場所だった
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博物館の庭に戦車やロケット砲が展示されてた

一刻も早くあの博物館から離れたかった いやあの2人からも そして多分これまで受けて来た全てのボクを疲れさせるエネルギーから遠ざかりたかった

当時の大統領サダムフセインが何をしたがっていたのか知らない 毒ガスをまいたり捕まえて拷問した冷血な独裁者というのが一般的に言われてるけどそんなことはしてないと反発するクルド人にも会って話を聞いた

本当に実際にどれくらいの人々がここで苦しめられていたのかそれともウソか知りたくてよし全員入ってこいよボクが外に出してやるって言ってしまった途端ボク自身逃げ始めているということか

体から体温が奪われていて土砂降りのスレイマニアの街をナビを頼りにホテルへ一人で向かう

傘はある ウイリアムに壊されて以来開閉に手間はかかるが使えてるその傘を博物館のカフェにいる2人の目の前で開いてボクは歩き出した

つづく

救ってくれたのは般若心経
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photon_5d at 10:02|PermalinkComments(0)