2019 ギリシャ

2023年03月16日

ラストギリシャ 後編

地図アプリって便利だ

おじさんが旅を駆け出した頃はこんなんじゃなかったぜ

地図や情報はアナログで重たくてそんなのを沢山抱えて歩き回ってた 若いから出来た 若いってはずかしい

年月を経て経験して科学技術も進歩して冒険が拡がった

そしてボクはどこだかよくわかんない斜面を登り小高い場所から家並みを確認し地図と照らしても村っぽいから歩いて行ってみようとしてる 目算で5㌔メートル 手ぶらだからちょろいなんて気分はノッてる

小さな村の広場に来たら日曜なのに食料品店が開いてた 物売りの人達もチラホラ道端で商品を広げている それに広場の中にも沢山人がいてなんかやってる

それはお祭りだった しかもキリスト教圏では重要で有名なお祭りの復活祭ってやつだった ちゃんとした音楽隊が演奏して村人が飲んで食べて踊ってた

荷物になるから買い込みは後回しにして近づいたら歓迎された

いつかこの国の事を懐かしむ時一番に思い出すのはヒッチハイクの難しさでボクがそこに存在していないような様子で走り去る冷たい人々で でもここではご馳走を振る舞いダンスに誘いお酒を注いでくれて言葉なんて通じなくても心を開いてもてなしてくれる人がいてボクはこの双方の振り幅を懐かしむんだろう

飲み食いしてるうち英語を話す男と出会ったその恋人の女性は日本のアニメオタクで彼らはボクにことさら好意を持って接してくれて話し込んでるうちに厚かましいお願いをしたら快諾してもらえた

そして約2時間の滞在の後でその村を後にした

山を下るボクの手には村人が持たせてくれた今晩の食べ物があり赤紫色に塗られたお祭りを象徴する卵があり少しの乾燥大麻があった

楽しくなりそうなギリシャの最後の夜が冷たい風を吹かせて近づいていた


つづく


願うそして叶える
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photon_5d at 16:04|PermalinkComments(0)

2023年03月15日

ラストギリシャ 中編

気持ちのいい2日目の朝を川辺で迎えた 誰もやって来ない山奥で火を起こし川の水を沸かしてゆっくり呼吸し鳥の鳴き声を聴く

音だ それは振動 それが全てを支配してるんだ 文字なんて所詮ちょっと賢い生き物が造ったゲームみたいなもんさ 機械的なんだな って思ってた

冷たいわけじゃないんだけど考えてみたらボクはそんな機械の世界でずっと生きてるよ 自分が賢いということじゃなくただ言葉より文字の方がが自分らしくいれてるって言いたい

もしももしも第三者の視線の覗き穴から自分を見れたら間違いなくボクはボクをなんだか冷たい奴って第一印象付けるよでも

しょうがないよボクはそういうふうになることを自分で選んで後悔もないけど普通に生きてたらどんなんだろうと思うことはある 一般で伝統的な人生のことさ 地に根を張って生きてたらってこと

実際そんな分岐点もあったし

でもね やっぱりだめだそんな狭苦しい世界に縛らないで欲しい ボクはアンドロメダの魂を持つスターシードの旅人と勝手に思い込んで生きてる男 好き嫌いなんか結構あるし飽きっぽいし面倒くさいやつだからこれでいいのだ

両親は?って思う人もいるよ結構聞かれて来た 

正直に素直に自分の気持ちを言うなら ってかその気持ちを冷たい機械的な文字に慣れ親しんで心地よくなってるボクの得意とする世界から正直に発信させてもらうとだね

あんまり興味ない

申し訳ないけど親しみが感じない 病気と思われても仕方ないボクは病人だと自分でわかってる

だってアンドロメダから来てんだから やべーなこれ以上アンドロメダは病気だ

そうではなくて両親は間違いなくボクを小さい時から育ててくれた恩人だそうなんだけどボクはあの人達に親しみが感じれない モチロン一つの家でずっと共同生活してきたんだからそれなりの歴史や楽しく過ごした日々の思い出もある でも家族という特別な絆とか執着が薄弱なのは間違いない

ボクはある時からスッパリとシャットダウンしてしまったんだ この人達にはボクを理解できる頭がなくボクもまた彼らの考えには従えないと確信した時だ それは2度と開かないってか今んとこ開かないし開けられないなんだか頑丈なやつだ 彼らはボクにとても大きくて暗くて重たい物を背負わそうとしてた

もっと言うよボクの家族は何だか深い闇を抱えているんだ そんな気が幼い頃から感じてたしよくよく考えることのできる年齢の今もやっぱり普通な感じがしない

だからボクは逃げたんだ結局の所は

でもそれって何だ?多分言わなくてもいい事なんだろうけどボクにはそれがもっと遡った家系の繋がりの中で積み重なって大きく醜くなってるようにも感じるんだ 

っていっても完全な一方通行な偏見に近い供述だ 全てはボクの頭の中が作って文字をカチャカチャ並べて発信してるんだ 病人だと自覚してるだけに何がホントかわからなくなる

まぁ結局の所全部夢 幻 ボクも多分まぼろし

けど腹減ってる 間違いない

とボクは立ち上がりマップアプリを頼りに昨日の国境方角の反対方向をあるき出した


つづく


これが全てだ
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photon_5d at 23:41|PermalinkComments(0)

ラストギリシャ 前編

ギリシャの出口に来た時雨は殆どやんでた

小さな国境管理だ そういえば入った所もこんな風に寂しい感じがしたな どっちも喫茶店が一軒と商店がチラホラあるホノボノした空間でおよそ犯罪の臭いなんか少しもない所だけど ボクにとって全ての国境はあんまり嬉しい場所ではないんだ

まぁまぁ問題が起こるからだ

第一念入りな荷物検査だけで嬉しくないし出国拒否されたことも犯罪者扱いで別室に閉じ込められた事もあるんでどんなに小さな国境でも通るときは緊張するんだ

国ごとに決まりが違うのはわかるけど気にしない性格のせいでその決まりを自然と破っていたり不足していたり多すぎたり完全アウトなものを時にボクは抱えて国境超えをするからいけない

でも今晩はすでに確保した絶好なキャンプ地で過ごすと決めてる テントも張って一切の荷物を残して財布のみで今晩のご飯の買い物にやって来ていたから今は全く緊張してない そこへ喫茶店でコーヒーを飲んでいた2人のケー官がボクを見つけて手招きしてきた

悪い事は何もしてないからちょっと遊んでやろう

パスポートを見せろと言ってきたから持ってるけど今日はギリシャを出ないから見せないよとからかってみた

屈強な2人の男は難しい顔で足のような腕を組んでそんなの関係あるかお前本当は何人だというから渋顔でパスポートを出すボク

どうやらアルバニア人と怪しまれていた アルバニア人には専用の闇ルートがあるんだぞと心のなかでツッコむもこれが彼らの仕事なのだと沈黙した 二人は予想通り暇を持て余していてボクは終始質問攻めだった 珍しいから暇つぶしには絶好だとは自分でも思う

手前の川辺でキャンプする事を知って野犬が危険だからやめろと諭すケーサツに別れを言って食料を買い込みテントに戻った

国境手前2kmの所に小さな橋がかかっていて下を清流が小川になって注いでる 干上がった川底までは崖を降らないとならないんだ そのゴツゴツの川床を国道から見えなくなるまで歩くんだ だから野犬の心配はない ボクはすでにギリシャから多くを学んでる 殆ど全て他人には役立たない知識ばかりかもしれないけど自分だけの道ってのはそういうもんだ

清流で体を洗いコーヒーを淹れて頭上の冴えた月を眺めながら飲んだ そして頭上から小さな火の揺らめきを見つめていた 聞こえるせせらぎと野犬の遠吠えが子守唄のように優しかった 暖をとるボクがいた ボクはギリシャに暖かく包み込まれていた


つづく

住所地球
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photon_5d at 22:59|PermalinkComments(0)

2022年12月28日

記憶の中の叫び声

ジョージアの古着屋市場で見つけたお気に入りのトレッキングシューズが砂利に飲まれて滑り落ちてく

スキーしてるみたい

現人生で一回体験したけどボクは自分で気づいてる運動音痴だ なのでスポーツ全般やろうと自ら動いた事はない ダンスもダメだ これは数えきれない体験してきた 激しいリズムに体を思うがままに跳び跳ね宇宙の鼓動と同調したりしたこともあったけど

だがしかしダンスは最強の格闘技と言う人もいるみたいだしやっぱり運動音痴なボクには合わない

あと歌も会話も下手っぴ ゲームもゼロセンス コンピューターも使いこなせない 人生設計なんて頭が痛む

逆に言えばやりたいことがないってこと

ボクがまだ25才位の時独りの登山家に出会った 彼は孤独を愛して寂しがり屋だったけど冬季以外山で暮らしてるから仕方ない

そんな彼とは京都で出会った 普段は富山県の山奥で測量とか伐採の仕事してあとは山の中を歩いたりロッククライミングして過ごしてるんだそうだ

あの頃ボクは京都の建設会社で働いていて と言えば聞こえがいいけど実際はホームレスの一歩手前の日雇い肉体労働者で関西ではアンコ(多分差別用語)って呼ばれるアウトカースト的人生を満喫していた 

要するに夢も希望もなかったんだけと彼はボクに自信満々で必ずやりたいことが見つかるって言ってた

彼は眼差しの奥で絶対的運命を語っていて おそらくボクの中に昔の自分を見ていたんだろう そんな彼は27才の時に伝説のアルピニストの講演会に参加して人生の道を見つけたと言った そうして登山家になった

ボクは時々彼のことをこの言葉と共に思い出すんだ でも未だにやりたいことを見つけられたと思ってない 

振り返ってみたらずっと旅してるけど 旅しながらやりたいことを探し続けて今日まで来ちゃった気がするよ でもやりたくないことは絶対にやらなかった

その結果ギリシャのどっかの崖をよじ登ってるわけだけどこれ以上の危険はもう受け付けないぜ

幸いこの闇ルートは隠されてるとはいえ方向的には正規の国道とホボ並走してるから完全に方向を見失う危険はなかった ただ道は更に酷くなって行き 藪のトンネルの手前に来たとき諦めて国道に戻ることにした 再び崖をよじ登りガードレールをまたいだ時国境管理の建物が先方に見える

不法入国した所で1つも良いことなんかないと気を改めてボクはまた国道を歩く事にした


つづく


押せば見つかるかも
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photon_5d at 13:59|PermalinkComments(0)

2022年12月25日

闇ルート その2

偶然とはいえこんなトコなかなか見つけられるもんじゃないよ 導かれたからこそだ 歩かないわけには行かないよ

しかしホントに両足揃えた分の幅で滑らせたらずっと下まで落ちちゃうような道だ

なんだか異世界へ続いているよう(滑ったらホントの異世界行き)実際何人か行ってるんじゃねぇかな

でも確かにケーサツには見つからないな

ボクが出会ったギリシャ人の多くがアルバニアとアルバニア人に対して良くない印象を与えてくれた 彼らはホボホボ不法入国で事件を起こすからだそうだ 質の悪い麻薬も捌かれてるしボクのヒッチハイクもしづらくらせてるし

でもそんな彼らを奴隷同様に扱っている一面もあってなんだかんだ都合よく低賃金でこき使ってるけどそれでも後をたたないのはアルバニアという国が貧しくてお金を稼げないからなんだろう そしてこんな道まで作ってるからなんだろう

1時間は歩いただろうか 進んでいくうちに崖っぷちまでやってきた 道がなくなっている でもよく見ると谷間の向こうにまだ道が見える ってことはこの谷間を下まで降りてまた登るってことだ

ところで今ボクが背負ってるリュックは大体15㌔くらいの重さで片手はスーパーマーケットの厚めのビニールの買い物袋で塞がっている

ギリシャに入国した当初は多分20kgくらいあったんだけどあんまり歩くほうが多いからトルコにいた時にもらった沢山の服やお土産は申し訳ないけど途中でドンドン捨てざるを得なくなってしまった それでもボクにしてみればまだ重いほう

そいつを担いでこの崖を落ちるのはかなり危険だった(目測で40mの急行直下)

でも来た道を戻るのも····

背中のリュックカバーも手提げの袋も茨に引っ掻かれてボロボロに穴が空いてしまってる

そんな道をまた戻るのもなぁ····面倒だから先に荷物を谷底に落として崖を下ることする


つづく


押さない訳にはいかない
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photon_5d at 13:18|PermalinkComments(0)