知っている人は知っていると思いますが、僕は旅を愛しています。
教員時代、いただいたの長期的な休日の度に、リュックを背負って一人で僕はいろいろなところを旅してきました。いわゆるバックパッカーというやつです。

バックパッカーの世界というのは、すばらしい善意の世界なんです。

みんな行き先や計画をそこまで細かく決めずに、その場その場のフィーリングや出会いで旅を進めていきます。もちろん、ツアーなどのように何かを決めていく訳ではないので、その分不安定な部分はたくさんあるのですが、それを受けて入れてもあまりあるほどの自由や感動が得られます。この魅力を一度心の底から味わってしまうと、もうツアーでの旅行なんて退屈すぎて、行きたいとは思わなくなるほどです。

バックパッカーは、スケジュールをそこまで面滅に組みません。なぜそんなやり方で旅が成り立つかというと、バックパッカーにはバックパッカーが利用する様々な形のサービスがあるからです。

そしてその最も大きなものが旅人同士の助け合いです。

自分が旅をする時にいろいろな形でお世話になったから、僕も旅人の助けをしようという助け合いの精神を持つ旅人が世界のあちこちにいるのです。みんなでそれぞれの旅がすばらしいものになるようにと手を差し出し合う姿の美しさが僕はたまならく好きです。

旅をしていればトラブルはつきもので、当然僕も、世界のいくつかの国で道に迷ったり、物が壊れたり、盗まれたりというトラブルにあってきました。

でも、それでも今もなお、こうやって楽しく日々を過ごしていることができているのは、その場その場で知り合った数々の人の助けがあるからです。


先日、マニラの空港で、あるオーストラリア人に会いました。マニラから最後の目的地であるセブに向かう時のことです。9日間の日本旅行と、5日間のマニラ旅行を終え、今回もまたたくさんの人たちの手助けのおかげで、本当にすばらしい旅になったと、旅でお世話になった人たちを思い返し、感動を再び噛み締めながらセブへの便にチェックインしようとしていたのです。


そこで会ったオーストラリア人は、このような話を凄い勢いで始めました。

今回の連休で、僕はボラカイに旅に来ていた。がそこで僕はトラブルに会い、本来オーストラリアに帰るためにまず行く必要があったシンガポールに向かうはずの便を乗り逃してしまった。

今は、パスポートもないし、お金もない。空港の関係者や警察、移民局に問い合わせても、自分には責任がないことを強調するだけで全く助けてくれない。

今からでもオーストラリア行きの飛行機に間に合う便が1つだけあって、それに乗れないと大変なことになると。どうしたら良いのか本当に困っている。


という趣旨の話でした。

僕は、フィリピンで生活を始めてからありとあらゆる場面で人を信じるなと言う話を聞かせてもらっていたので、基本的にフィリピンで会う人を全く信用していません。

ただ、フィリピンで生活をした分だけ、フィリピンの役人が全く手伝ってくれないという体質は自分の体で感じていたし、旅先でトラブルが起こった時の焦燥感や、とにかく誰かに助けてもらいたいという気持ちも何度も自分の体で体験していたので、本当に困惑しました。

冒頭にも書きましたが、僕は旅を愛しています。そして、今回の旅でも本当にたくさんの人に助けてもらいました。

そんな中、この人の言葉を聞くと、頭の中に、猛烈な勢いで、これまでに旅先でお世話になって来た人たちの表情が流れていく訳です。


これはどうしたら良いのか。こいつは詐欺かもしれない。でも、本当に、本当に困っているのかもしれない。

んで、もしこの人が本当に困っていたとして、僕がこの人を見捨てていいのだろうか。

フィリピンで外国人として生活の不便さや、旅先での助け合いを知っている人間として、これを見捨ているというのは、自分として許していいのかと、自分の心と話し合いました。

そこで、とりあえず、この人が信じるに値する人間なのかを調べるために、いろいろと話を聞いてみることにし、また情報を集めてみることにしました。

まず、何か身元を証明できるものを見せてくれと言った結果、このパスポートのコピーを出されました。

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船の中で、強盗にバックを盗まれた。寝ているうちに首のところにかけてあったリバッグを切られてしまい、パスポートが手元になくなってしまっているから、これしか見せられないんだと彼はこれを出してきました。

今度は、ウェブ上であなたの何かを見たいので、フェイスブックアカウントを教えてくれと言いました。
今の時代、SNSでどのような事を書き、周囲からどのような言葉をもらっているかを見れば、残念ながらその人の人柄はかなり高い精度で把握できてしまう時代です。何よりも大きなクレジットになると考えました。



すると、グーグル+とツイッターならあるがフェイスブックはやっていないと言われました。

そんな事があるのか?と思ったのですが、彼曰く、アジアではフェイスブックが流行っているかもしれないが、僕らの周りではグーグル+の方が盛んなんだというので、もしかしたらそうなのかもしれないと思い、グーグル+のアカウントを聞きました。


そこで、チェックをしてみたのですが、突然、空港のワイファイの調子が悪くなり、何度アクセスしようとしても、繋がりませんでした。

途中、自分のチェックインの時間が迫ってきたので、一度彼には上の階のレストランエリアで待ってもらうことにし、自分はチェックインを済ませることにしました。

そこでようやくネットがつながったので、ああ、これで後で彼のアカウントを聞こうと思い、チェックインを済ませ、再び彼のところへ行きました。

彼と合流し、彼の名前を聞くと残念なことに再びネットが繋がらなくなり、また僕のフライトの時間が迫ってきました。

どうしたものかと。

身元さえ確認できれば、彼を信じ、喜んでお金を貸すのに、今の状態ではどっちつかずも良いところだと。

もしこいつが詐欺師だったらどうしようと。

僕はここで決断を迫られました。

騙されるかもしれないけれど、自分の旅人としての思いを優先して、彼の言葉を信じ、身元が十分に明らかになる前にお金を貸すか。

身元が明らかにならない人間には、いくら旅人であったとしても、お金を貸すのはやめ、無視して過ぎ去るか。

僕の心の中では残り2分でこの問いに答えを出さなければなりませんでした。

結果、僕はお金を貸す事にしました。その一番の決定要因となったのは彼のたびたび発する次の言葉でした。

大切なことは人を信じ、尊敬する事だと思う。それを失ってしまったとしたらお金があったとしても、決して幸せには近づけないと思う。

僕はオーストラリアを愛している、オーストラリア人としての誇りにかけて、あなたに必ずお金を返す事を約束すると。

もしかしたら、この言葉自体も嘘かもしれないと思いました。詐欺師であれば、いくらでも言ってきそうな言葉です。

でも、僕がこの言葉の意味が嘘であるか真理であるかと考えたら、真理であると思いました。

僕も、お金以上に人への信頼の方が遥かに価値があると思うし、僕も日本人であることに誇りを持ち、その誇りにかけて約束を守ろうと思っているからです。

そこで、僕は限られた時間で、答えを出しました。

もしここで騙されても、僕は旅人としての恩返しを優先できる人間でありたいと、もしここで騙されても、僕が恩返しを優先できる人間であれるのであればそれで良い。この意思決定に一切の後悔はしないと。


そして、僕は彼の必要だと要求する金額を彼に貸すことを決めました。


急いでお金を彼に私、乗り遅れないようにと飛行機に乗りました。

そして、セブに戻ってきましたが、結局彼からの連絡はありませんでした。


後になってからようやく気がついたのですが、実は僕はこの詐欺師の事を知っていました。

友人がその詐欺師にあっていてその危険性をみんなに知らせるためにブログを書いてくれていたのです。

マニラの詐欺師に倍返し出来なかった件

まさに僕が出会ったその人の姿と、言動そのものでした。


この情報もまた、僕のマニラは危険だ、人を信じてはいけないという意識を作る1つの情報だったのですが、残念ながら細部までは記憶することができていませんでした。

もっと、彼のブログをしっかりと読んでいたらこんなことにはならなかったのにと、自分の危機管理能力の低さを悔やみました。

彼のブログにあるように、どうやらこの詐欺師は頻繁にマニラの街や空港で詐欺を行っているようです。

おそらく、人の良さそうな日本人をメインターゲットに、あたったら儲け物くらいの気持ちで話しかけまくっているのでしょう。

ここから先は僕の推測でしかありませんが、これだけ頻繁に同じような服装で詐欺を行っていて、それでも逮捕されないのだから、警察とも何らかの形で話ができているのではないかと言う気もします。得たお金の数%を渡すから黙っていろと。

人の良い人間からお金をとり、警察とも連携でき、持続できているのだとしたら、全くほめられたものではありませんが、なかなかに周到なプランだと言えます。

もちろん、警察と連携できているわけではなく、ただ単にフィリピンの警察が面倒だからと相手にしていないだけかもしれません。どうせ被害に会っているのは外人だけでしょうから。

また、後になって気がついたのですが、もしかしたら、彼はネットが使えなくなるような妨害電波を発信するような何かを持っているのかもしれません。

あの時は、やっぱりフィリピンのネット糞だなと思っていたのですが、今になって考えると、ああも調子良くネットが機能しなくなったことにも若干の違和感を感じています。

という事で、それに気づいてすぐにブログで通知してくれていた彼にメッセージを送ってみました。

せっかく教えてくれていたのにも関わらず、僕もその詐欺師に会いましたと。

これは許せないので、いずれ一緒に、みんなで倍返しに行きましょうと約束をしました。

ちなみに、彼は、いつかあの詐欺師に倍返しすることを目的に、体を鍛え始め、もう既に立派な体験を得てしまっています。ちなみに、これがその取り組みの様子。実に彼らしいやり方です。経験から学べることの大きさを感じます。

肉体改造:筋トレ2ヶ月で10kg増量しました

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今回のこの一連のやりとりを経験して、自分の判断のどこがいったい間違っていたのかと考え直したのですが、結局、今の僕が至った結論は、僕の意思決定はそれでも間違っていなかったということでした。

僕は短期的に、一部のお金を失いましたが、でもそれでも人を疑ってばかりで、自分が決めた場面で助けを差し伸べられない人間には大きな成功はあり得ないし、また幸せもやってこないと思っているからです。

大切なのはお金よりも人を信じることだ、僕は今でもこの言葉を信じています。

これは、世の中により大きな価値を生み出すための必要経費のようなものだと思います。
信じる事を優先したら仕方がない、ある程度出てしまうロスの1つです。

とはいえ、今後ももし同じような失敗が続くのであれば、身元が明らかになる前はたとえそれが旅人であってもお金を貸す事はやめようと言うルールを作るかもしれません。

最後の最後にとびっきりな思い出が出来てしまいましたが、それでも僕は旅を愛しています。

ただ、1つだけ言えるのは、旅人の信じる心、助け合いの文化を冒涜した彼は必ず罰せられるべきです。確実に後悔させてやります。やられたら、やり返す。100倍返しですよ。

皆さんくれぐれもマニラでこのような話をするオーストラリア人にあったら絶対にお金を渡さないでください。
ここに、先ほど紹介したブログで今回の詐欺師の目撃情報をまとめてくれたものがあるので、共有しておきます。


PS

検索したところ、同じくマニラで騙されている日本人がいました。こちらに防犯カメラの写真がブログに掲載されていたのを見ましたが鳥肌が立ちました。同じ詐欺師でした。マニラの方は要注意です。

2013年8月26日 フィリピン・マニラでどん底に突き落とされた、オーストラリア人詐欺師の話。
2013年8月27日 フィリピン・マニラでどん底に突き落とされた、オーストラリア人詐欺師の話。 Part 2
2013年8月25日 マニラでどん底に突き落とされたオーストラリア人詐欺師に再会!?

また、2010年にも自称オーストラリア人から詐欺被害にあいかけたというブログ記事がありましたが、おそらく同じ詐欺師のような気がします。

2010年10月27日 人を信じるということ。マニラ空港にて詐欺未遂?

詐欺の話は良く聞きます。フィリピン警察の皆さんには頑張ってほしいところです。



最後までお読みくださってどうもありがとうございました。

 
☆追記

その後、ほんの1日で何人もの方から、僕もこいつにあったことがある、私も被害に会いました話をもらいました。

少なくともどうも4年頃前からこいつが活動しているようです。こんなにたくさんの被害者や目撃者がいるにも関わらず、4年間も続けられるということは、いったいどのような力が働いているのかわかりませんが、この国の警察はこの全く問題を解決することが出来ないということを意味しているという事です。

おそらく、被害に会うのは、人の良い日本人が多い気がします。この4年間でかなりの数の日本人が被害にあったのではないでしょうか?

この人、完全に日本人を舐めていることだろうと思います。こんなのは絶対に許して良い事ではないですし、せっかくフィリピン留学が盛り上がってきて、日本人のフィリピンに対する精神的な距離感も近くなってきているのに、こんなのがのさばっていたら大変に大きな損害となります。

そこで、今回は日本人の誇りにかけて、僕が代表となりこいつに100倍返しをする事に決めました。
土下座で詫びてもらいましょう。

おそらくこのパスポートは偽物でしょうが、顔写真は間違いないですし、外国人がこの国に滞在するためには海外出国やビザの更新などパスポートを見せる場面にいかなければいけません。

この国の権力者がその気になりさえすれば、あっという間に捕まえることができるでしょう。

後は、この国の権力者を動かせるかどうかです。

という訳で、これから先一人でも多くの被害者を救うことができるよう、対処したいと思っております。

続報をお楽しみに。

最後までお読みくださってどうもありがとうございました。