ステアリングの異音はかなりひどくなり、同乗者が「生命の危険を感じる。」と言うようになった。販売店の店長が替わり、町内会の仕事でよく顔を合わせるようになったので、聞いてみた。
 すぐ見てくれるというので、乗せて一巡りした。途中で彼の顔色が変わり、「これはまずいです。置いていって下さい。」とまで言うが、ステアリングのガタがあるわけでもないし、高速道路を走る予定がしばらくないので、修理の日を予約した。そのまま置いても、代車を長く借りることになるからだ。

 昨日その予約日が来た。オートマティック・フルード 3.5 Lは一回も替えていないので、ついでに替えるように頼んだ。それと、エンジンルーム下のファスナがいくつか抜け落ちているので、その補充も頼んだ。依頼した当日に完成したので、受け取ってきた。

 驚いたことに、音の原因はステアリング軸の等速ジョイントの上側のネジの緩みであった。トヨタ自動車の担当者だった人に聞いてみると、そこは、重要保安部品で緩んではいけない事になっている、と言う。多分何かの見直しがされるだろう。次のリコール時に、ついでに秘密裏に点検するのではないだろうか。

 等速ジョイントは、駆動部分に使うのは当然だが、ステアリングにもかなり前から使われている。等速でないと、切り返しなどのときに回すときの重さが変化し、使いにくいのだ。
 製造がかなり楽になって、価格も下がったのだろう。と同時に、材質、潤滑も進歩しているはずだ。

 ともかく音の原因は判った。実は、今まで所長はそこにたどり着けなかった。下から見える範囲のあらゆる所に紐を掛け、運転中に引っ張って音の変化を見ていたが、それでは検出できなかった。ネジには紐を掛けられなかったからだ。

 この販売店とは、以前のリコールでは、マニュアルを無視した手順で作業されてしまい、大事なデータが全部消えたという情けない事態があった。おバカな店長はそれを糊塗してごまかしたので、こちらも徹底的に攻撃し、決裂した。
 新店長はそのことを知っていたので、これを機会に名誉挽回を図ったのかもしれない。非常に調子が良くなったので、感謝している。あと75万キロを無事に走りたい。
    (246,000 km)