きょうの横浜は最高気温が26度とのことで、かなり過ごしやすい気候です。朝のベランダの水遣りも必要ありませんでした。子供たちは夏休みに入り、なんだか家族みんなが不規則で、ひとりでほっと息つく時間もない毎日です。プレゼント企画、まだペ・ヨンジュン靴下とランチョンマット、残っております。どうぞ、お気軽にご応募ください。(こちら)

画像 005_1さて、先週末みなとみらいとは反対方向にある神奈川県立青少年センターで、「歌舞伎鑑賞教室」というものに参加してきました。

桜木町駅からこの紅葉坂(もみじざか)を上りきったところにある青少年センターは、歩くだけでも息切れするところです。しかし猛暑にもかかわらず、会場には夏の着物を粋に着こなした女性たちが、多く見られました。この余裕が、大人遊びの世界なのかもしれません

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画像 006_1パンフレットによれば、この「歌舞伎鑑賞教室」は、より多くの人に歌舞伎を気軽に楽しんでもらえるようにと、人気のある演目を充実した俳優陣で演じます。

お芝居の前には歌舞伎俳優が見どころを解説する「歌舞伎のみかた」もあり、観劇の手引きとなる歌舞伎読本やプログラムの無料配布もありと、いたれりつくせりで、歌舞伎入門には最適な公演です。

このような鑑賞教室は、永田町の国立劇場では毎月開かれており、娘や息子は学校を通してそちらの劇場で体験しています。娘は気に入ったのか2年連続で参加していました。

今回は年に数回の青少年センターでの出張講義です。神奈川のPTA連合も後援しており(笑)、近くて、チケット代も少しだけ安くてと、いわば安近短の参加しやすい企画だと言えます。ひとつ残念なのは、講義内容には差はないようですが、舞台が歌舞伎用に作られているわけではないので、花道など短くて、少々物足りないかもしれません。 

私には歌舞伎を観る趣味はないのですが、歌舞伎好きの友人が法事で行けなくなり、「歌舞伎は教養だから」と一緒に行く友人に畳み込まれるようにして参加しました。なんと席は前から3列目、俳優の汗まで見える席でした。

私の若い頃は、阪東玉三郎や市川染五郎(=松本幸四郎)の全盛期で、玉三郎の「桜姫東文章(さくらひめあずまぶんしょう)」など見たさに、歌舞伎座には何度か足を運びました。

まもなく建替えのため壊される歌舞伎座に一緒に行ったなかには、姉もいましたし、若き日のB男君もいました。やたら薀蓄を傾ける人もいました。私にとっての歌舞伎は青春のスィート&ビターな思い出と重なり、ちょっと遠くにおいておきたい気持ちがします。

画像 012_1さて鑑賞教室ですが、これがなかなか面白かった。案内役の中村亀鶴のよどみない説明は、飽きさせることがありません。

ゲストとして舞台にあがった高校生2人、あまり緊張している様子もなく、男子は今回の演目の「矢の根(やのね)」で使われる重い仁王襷(におうだすき)をかけてもらい、女子は女方が着る着物をまとい、亀鶴さんの指導に従って、恥ずかしそうに“見得を切り”ました。

画像 013_1一方、いよいよ玄人俳優による本番。
矢の根」では、超人を表わす「荒事(あらごと)」の一幕を堪能し、「藤娘」では、あでやかさな衣装と舞踊、長唄に三味線そして鳴物の演奏にと、しばし別世界に連れていってもらいました。

いずれの演目も、無駄の無い立ち回りに、日々のストイックな稽古が思い起こされ、なんだか見ているこちらまで背筋が伸びるような気がしました。

亀鶴さんが、「見どころ」の」最後に、一生懸命高校生に訴えていました。
「今回、おもしろくなかった人も、歌舞伎の演目はたくさんあります。その中にはきっと、みなさんの気に入るものが絶対あります。諦めずに、ぜひまた来てください」

伝統芸能の世界は、こうした地道な努力がないと廃れてしまうのでしょう。帰り道、来月もまた歌舞伎座に行くという友人と話しながら、こんな気楽な歌舞伎ならたまには観てもいいかな、と思ったのでした。