「死の棘」 島尾敏雄 新潮文庫
従順だった妻が、夫の不貞行為を知った日を境に豹変する。
発作が起こればこれまでの女性関係をひとつひとつ告白させる妻を前に、
言われるままに従い詫び続ける夫。
終わりのない狂乱、妻は、夫は、子どもたちはどこへ辿り着くのか。
頁を繰るのをためらうほど、息苦しい内容でした。
まったくの作り話ではなく、事実に基づいた私小説なだけに、より一層
暗さ・重苦しさが身にこたえました。
怒りと嫉妬に狂った妻、いつ狂うかわからず四六時中安まれない夫。
自分でも気持ちのよりようのない妻。
何度も過去の過ちをほじくり返される夫。
どちらが同情されるべきでしょうか?夫?妻?
いえいえ、二人の幼い子どもたちです。
両親がやりあっている間はまったく放っておかれ、愛情を注がれず、
息子にいたっては父親から八つ当たりの体罰をも受けます。
子どもたちの生活の荒みようはすさまじく、まったく罪がないだけに悲しみも
ひとしおです。
最後まで妻の発作はおさまることなく、精神病院に入院するところで
この本は終わりを迎えます。
さて、この後どうなるのでしょう。
その後、妻の生地近くの奄美大島に移り住み、快癒に近い生活を送られた
そうです。
600頁近く読んでへとへとのところ、山本健吉さんの解説でこのことを知り、
ようやく深く息をつくことができました。
鹿児島近代文学館で、島尾敏雄さんに関する展示もありました。
映像で晩年のミホ(妻)を拝見しましたが、とっても穏やかな表情で
ゆっくりしたしゃべり方。
この本からは想像もつかないお方でした。
そういう方を狂わせた敏雄に罪があったってことですね。
従順だった妻が、夫の不貞行為を知った日を境に豹変する。
発作が起こればこれまでの女性関係をひとつひとつ告白させる妻を前に、
言われるままに従い詫び続ける夫。
終わりのない狂乱、妻は、夫は、子どもたちはどこへ辿り着くのか。
頁を繰るのをためらうほど、息苦しい内容でした。
まったくの作り話ではなく、事実に基づいた私小説なだけに、より一層
暗さ・重苦しさが身にこたえました。
怒りと嫉妬に狂った妻、いつ狂うかわからず四六時中安まれない夫。
自分でも気持ちのよりようのない妻。
何度も過去の過ちをほじくり返される夫。
どちらが同情されるべきでしょうか?夫?妻?
いえいえ、二人の幼い子どもたちです。
両親がやりあっている間はまったく放っておかれ、愛情を注がれず、
息子にいたっては父親から八つ当たりの体罰をも受けます。
子どもたちの生活の荒みようはすさまじく、まったく罪がないだけに悲しみも
ひとしおです。
最後まで妻の発作はおさまることなく、精神病院に入院するところで
この本は終わりを迎えます。
さて、この後どうなるのでしょう。
その後、妻の生地近くの奄美大島に移り住み、快癒に近い生活を送られた
そうです。
600頁近く読んでへとへとのところ、山本健吉さんの解説でこのことを知り、
ようやく深く息をつくことができました。
鹿児島近代文学館で、島尾敏雄さんに関する展示もありました。
映像で晩年のミホ(妻)を拝見しましたが、とっても穏やかな表情で
ゆっくりしたしゃべり方。
この本からは想像もつかないお方でした。
そういう方を狂わせた敏雄に罪があったってことですね。